UFC 9.25 ラスベガス(レポ):フェザー級王者・ヴォルカノフスキー、オルテガとの5Rの死闘制す。シェフチェンコ6度目の防衛。ローラー、ニック・ディアスとの打撃戦制す
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UFC 266:Volkanovski vs. Ortega
2021年9月25日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-モバイルアリーナ
レポート:井原芳徳
第13試合 メインイベント UFCフェザー級チャンピオンシップ 5分5R
○アレキサンダー・ヴォルカノフスキー[ボルカノフスキー](王者)
×ブライアン・オルテガ(2位)
判定3-0 (49-46/50-44/50-45)
※ヴォルカノフスキーが2度目の防衛
コロナ禍が続くが、UFCは春からナンバーシリーズの大会を有観客で開催しており、今回もT-モバイルアリーナはマスク無しのファンで満員となった。
ヴォルカノフスキーはオーストラリア出身。2015年、グアムのPXCのフェザー級タイトルマッチで矢地祐介に三角絞めで勝利し王座奪取。翌16年からUFCに上がり、粕谷優介、廣田瑞人を連破すると、チャド・メンデス、ジョゼ・アルドといった強豪も下し、19年12月にマックス・ホロウェイに判定勝ちしフェザー級王者に。昨年7月のリターンマッチも判定勝ちで制した。オルテガとの防衛戦は3月に予定されていたが、ヴォルカノフスキーが新型コロナウイルスに感染したため延期となっていた。両者は6月から8月に放送されたUFCのリアリティショー「TUF」のコーチ同士だった。オルテガは14年からUFCに上がり、初戦は禁止薬物の陽性反応で失格となったが、以降は6連勝し、18年にホロウェイの王座に挑戦したが4R TKO負け。昨年10月の再起戦でジョン・チャンソンに判定勝ちして以来の試合だ。両者が登場すると、米国人のオルテガに歓声が飛び、ヴォルカノフスキーはブーイングを浴びる。
1R、両者オーソドックス主体にしつつ、時折スイッチし、攻撃のチャンスをうかがう。長身のオルテガの左ジャブが当たれば、ヴォルカノフスキーも飛び込んで右フックを返す。ヴォルカノフスキーが中央付近に立ち続け、中盤から左ジャブのヒットが目立ち始める。終盤、オルテガも右のフックを合わせるが、すぐヴォルカノフスキーは持ち直し、圧をかけ続ける。記者採点はヴォルカノフスキー。
2R、ヴォルカノフスキーが変わらず中央側に立つが、オルテガもこれまでよりも前に出て、右ストレート、右肘等、右ローのヒットを増やすように。右ハイも出すとブロックされるが見栄えは良い。ヴォルカノフスキーは右のカーフキックも絡めるようになるが、1Rよりもパンチのヒットは減ってしまう。記者採点は圧をかける時間の長かったヴォルカノフスキー。
3R、ヴォルカノフスキーの右のカーフキックでオルテガは少しバランスを崩す。オルテガはサウスポーに切り替えるが、ヴォルカノフスキーは左ローも当て、両足にダメージを与える。ヴォルカノフスキーはパンチも細かく当て続ける。オルテガは鼻血を出し苦しそうだ。
だが中盤、ヴォルカノフスキーの右ローのタイミングで、オルテガが蹴り足をすくいつつ、左ストレートを当てながら倒して、すぐさま上からギロチンチョークで捕まえる。しかし極まりきらず、ヴォルカノフスキーは頭を抜いて上になり、中央付近でパウンドを落とし続ける。オルテガは苦しむが、足を登らせ、三角絞めを仕掛ける。これも極まりそうになったところで、ヴォルカノフスキーが体をひねって脱出し、またも上に。パウンドを打ち続け、レフェリーストップ寸前に追い込む。ブザーが鳴ると、オルテガはすぐには自陣に戻れないほど大きなダメージを負う。記者採点はヴォルカノフスキー。ジャッジ1者は10-8とつけた模様だ。
4R、開始前、右瞼を腫らしたオルテガにドクターチェックが入るが再開。場内はオルテガコールで包まれる。オルテガは1分過ぎヴォルカノフスキーを押し込み、足を掛けて倒し、ギロチンを狙うが、金網が壁になり極めきれず、ヴォルカノフスキーはパウンドを当てる。時折オルテガは足を効かせサブミッションを狙うが、力が入りきらない。ヴォルカノフスキーはパウンドを落とし続ける。記者採点はヴォルカノフスキー。
5Rもヴォルカノフスキーが圧を掛け続け、パンチ、肘をヒット。だが攻撃をまとめきれずにいると、さすがに攻め疲れた影響もあってか、中盤からオルテガは不屈の闘志を発揮して前に出返し、右ストレートを返すように。連打をまとめる場面も作り、最後まで勝負のわからない状況を作り、場内を沸かせる。だがヴォルカノフスキーは左ジャブとステップで距離を取り続け、最後のオルテガの連打にも耐えて逃げ切りに成功する。記者採点はオルテガ。合計49-46でヴォルカノフスキー。ジャッジ3者も順当にヴォルカノフスキーを支持し、ヴォルカノフスキーの勝利となった。ヴォルカノフスキーはこれでMMA 20連勝、UFC 10連勝となった。
第12試合 セミメインイベント UFC女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
○ワレンチナ・シェフチェンコ(王者)
×ローレン・マーフィー(3位)
4R 4’00” TKO (レフェリーストップ:グラウンドでの右肘打ち)
※シェフチェンコが6度目の防衛
シェフチェンコは18年12月にヨアナ・イェンジェイチックを下して王者になると、今年4月の元女子ストロー級王者・ジェシカ・アンドラージとの防衛戦まで5連続防衛と、圧倒的な強さを示しており、UFC女子パウンドフォーパウンドランキングでもフェザー級・バンタム級王者のアマンダ・ヌネスに次ぐ2位にいる。挑戦者のローレン・マーフィーは14年からUFCに参戦。長年負けが込んでいたが、19年8月から5連勝と頭角を現し、最近では6月にジョアン・カルダーウッドに判定勝ちし、フライ級3位まで上がり、ようやくベルトに初挑戦する。
試合はシェフチェンコが終始圧倒する内容に。1R、シェフチェンコがサウスポーに構え、マーフィーがオーソドックスに構え、両者フェイントをかけカウンターを狙うような状態が続く。シェフチェンコは慎重ながら、随所で左ストレート、左ミドル、右ローを的確に叩き込む。終盤には胴タックルで倒し、ハーフで押さえて終える。記者採点はシェフチェンコ。
2R、マーフィーが序盤から押し込むが、シェフチェンコは防御し突き放す。中盤、シェフチェンコがタックルでテイクダウンに成功し、ハーフで押さえる。目立った攻めは無いが、マーフィーは抵抗できない。記者採点はシェフチェンコ。
3R、シェフチェンコは変わらず左ストレート、左ミドル、右ロー主体で主導権を維持する。記者採点はシェフチェンコ。
4R、中盤にマーフィーの右ミドルに合わせ、シェフチェンコが右フックを合わせてマーフィーをひるませる。シェフチェンコはさらに左ハイを当て、左右のストレートを連打しながら前進して金網に詰め、一気に仕留めにかかる。シェフチェンコは倒して上になり、右肘を連打したところでレフェリーがストップした。
第11試合 ミドル級 5分5R
×ニック・ディアス
○ロビー・ローラー(ウェルター級15位)
3R 0’44” TKO (レフェリーストップ:右フック)
38歳になったニック・ディアスが6年ぶりに復帰し、元ウェルター級王者で39歳のベテラン・ロビー・ローラーと対戦した。UFCがリアリティショーのTUFで05年にブレイクする前の04年、UFC 47で両者は対戦したことがあり、UFC 2戦目のディアスが2R KO勝ちしている。ローラーは昨年8月のニール・マグニー戦まで4連敗中ながらウェルター級15位に踏みとどまっている。今回はスター選手のディアスに合わせてミドル級での試合となった。場内はディアスコールで包まれ、ローラーにはブーイングが飛ぶ。
1R、ディアスは開始すぐから後ろ上段回転蹴り 両者サウスポー ローラーが詰めてボディと顔面にパンチを連打し先手を取る。ディアスはパンチに反応できず、ボディにもらうと顔をしかめる。序盤のローラーのラッシュが収まると、ディアスはオーソドックスに切り替え、右のパンチをお返しするように。次第にディアスが手数では巻き返すが、スピードは遅く、ローラーは大半をかわしている。ローラーも右アッパー、左右のボディを随所で的確に当てる。終盤はローラーが手数でも巻き返して終える。記者採点はローラー。両者手数が多く、5R戦うつもりは無い様子だ。
2R、ローラーは最初からディアスを金網に詰め、パンチを積極的に当て、左ミドルを効かせる。ディアスは半身で走って逃げる場面も度々見られる。ディアスも右ボディ、右フックを時折返すが、ローラーは圧力を弱めない。記者採点はローラー。
3Rもローラーは変わらずディアスを金網に詰め、顔面とボディにパンチを当て続ける。そして右フックを当てると、ディアスは崩れ落ちる。ローラーは追撃せず、離れ、スタンド勝負を望む。ディアスは意識はあるが立ち上がれず、ジェイソン・ハーゾグは棄権と判断した様子でストップした。
17年越しでのリベンジを果たしたローラーは「ニックが相手だから前に出続けました。これだけのショーを見せられましたからニックには感謝しています」とコメント。敗れるもファンを楽しませたディアスは「言い訳できません。ロビーの動きが良かったです。ファンのみんなありがとう。また帰ってきます」と話し、場内は歓声に包まれた。
第10試合 ヘビー級 5分3R
○カーティス・ブレイズ(4位)
×ジャルジーニョ・ホーゼンストライク(6位)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
1R、ブレイズは序盤から胴タックル一発でテイクダウンに成功し、金網際でサイドポジションで押さえ込む。目立つ攻めは無いまま中盤、スタンドに戻り、見合う状態が続く。ややブレイズが積極的にパンチを出す。記者採点はブレイズ。
2Rもお見合いが続くと、少しブーイングも飛ぶように。3分過ぎ、タックルを仕掛けたブレイズの右まぶたに、ホーゼンストライクの右膝蹴りがヒット。それでもブレイズがタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。中央付近でブレイズはハーフガードで押さえ、時折左の肘とパウンドを当てるが、スタンドでホーゼンストライクの当てた膝でブレイズは右まぶたがふさがっている。記者採点はブレイズ。
3Rも序盤にブレイズが両足タックルで倒して上になり、押さえ続け、時折パウンドを当てて終了する。記者採点はブレイズ。合計30-27でブレイズ。ジャッジ3者も同様で、ブレイズの勝利となった。
第9試合 女子フライ級 5分3R
○ジェシカ・アンドラージ(1位)
×シンシア・カルビーヨ(5位)
1R 4’54” TKO (レフェリーストップ:右フック)
1R、アンドラージが圧力をかけ、カルビーヨが金網を背に回り続ける構図が続く。アンドラージは時折左右のパンチとローを当て、じわじわダメージを与える。カルビーヨも少しパンチを返すがアンドラージは出続ける。終了間際、アンドラージは左アッパーを効かせると、最後は金網に詰めて右のフックを連打。カルビーヨが亀になって防戦一方で止まったところでレフェリーがストップ。アンドラージの完勝だった。
第8試合 バンタム級 5分3R
×マルロン・モラエス(6位)
○メラブ・ドバリシビリ(11位)
2R 4’25” TKO
第7試合 ライト級 5分3R
○ダン・フッカー(8位)
×ナスラット・ハクパラスト
判定3-0 (30–27/30–27/30–26)
第6試合 ヘビー級 5分3R
×シャミル・アブドゥラヒモフ(7位)
○クリス・ドーカス(10位)
2R 1’23” TKO
第5試合 女子フライ級 5分3R
×ロクサン・モダフェリ(9位)
○タイラ・サントス(12位)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第4試合 ライト級 5分3R
×ウロシュ・メディチ
○ジェイリン・ターナー
1R 4’01” 裸絞め
第3試合 ミドル級 5分3R
×コーディ・ブランデージ
○ニック・マキシモフ
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第2試合 ウェルター級 5分3R
○マシュー・セメルスバーガー
×マーティン・サノ
1R 0’15” KO
第1試合 フェザー級 5分3R
○ジョナサン・ピアース
×オマール・アントニオ・モラレス・フェレール
2R 3’31” 裸絞め