RISE 3.28 後楽園ホール:18歳の宮﨑小雪、アトム級王者に。敗れた紅絹は引退表明。17歳のAKARI、トーナメント制し寺山日葵への挑戦権獲得
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RISE 147
2021年3月28日(日) 後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:RISEクリエーション
第8試合 RISE QUEENアトム級(46kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×紅絹(NEXT LEVEL渋谷/王者、元J-GIRLSミニフライ級王者)※2度目の防衛戦
○宮﨑小雪(TRY HARD GYM/挑戦者、アトム級NEXT QUEENトーナメント2021優勝)
判定0-2 (大沢48-49/佐藤49-49/長瀬48-49)
※宮﨑が王者に
紅絹は昨年2月の初防衛戦では小雪の先輩・平岡琴に勝利。秋に行われたQUEEN of QUEENSトーナメントでは11月の決勝で寺山日葵に敗れ準優勝に終わり、今回が再起戦となる。
対する小雪は宮﨑姉妹の妹。1月に行われたアトム級NEXT QUEENトーナメントで佐藤レイナと小林愛理奈に勝利し優勝した。本来はこれで王座挑戦者決定戦に進んだだけだったが、その直後に紅絹がリングインし「宮﨑選手は私よりスピードもあって、私より強いと思います。もうタイトルマッチでもいいと思います」と話し、両者のタイトル戦が決まった。
小雪は先日、高校の卒業式を終えたばかりで、早速髪を金色に染めている。1R、両者サウスポーに構え、小雪は右ジャブからの左ストレート、右の顔面狙いの前蹴り、パンチの連打を決め好印象。紅絹は攻撃が少ないが、終盤には右ローを立て続けにお返しする。だが、紅絹の蹴りのタイミングで小雪が左フックを合わせると、紅絹は少しバランスを崩してしまう。記者採点は小雪だが、まだドローでも不思議ではない。
2R、少し紅絹が圧を増すが、均衡状態が続く。紅絹はバックハンドブローや左フックを当てそうになるが、小雪はポイントをずらす。小雪は終盤に右ミドル、顔面狙いの前蹴りを当てるが、1Rより攻撃が減り、正味の与えたダメージは乏しい。記者採点はイーブン。
3R、小雪はスピードを上げ、連続のスピンキックも出し、先手を取ろうとする。中盤には右ジャブから左ストレートもヒット。右ボディ、右ミドルも絡め、優位に試合を運ぶ。だが紅絹も終盤に左フック、左ミドル、左ハイを当て、差を縮める。記者採点はイーブンだが、最後の印象で紅絹につけるジャッジもいそうだ。
4R、お互い前に出るが、クリンチも増え、均衡は崩れず。だが組み際や、組んだ直後に小雪は膝を度々ヒットする。離れれば右ミドルを当てる。紅絹の動きは落ちないものの、なかなか攻撃を当てさせてもらえない。記者採点は小雪。
5Rも同様に、小雪がタイミングを合わせて膝とミドルと前蹴りをヒットする。紅絹は必死にパンチを振るい、時折当てるものの、当たりは浅い。4Rよりヒットは増えているが、主導権を奪うほどにはならない。記者採点はイーブン。合計48-50で小雪。ジャッジは1者がイーブンだったが、2者が小雪を支持し、小雪が王者となった。
初のベルトを巻いた小雪は「まず、対戦した下さった紅絹選手、ありがとうございました。タイトルマッチが決まった時には絶対負けると思っていましたが、皆さんのおかげでベルトを巻けました」と涙声で話した。続けて「小学校6年生の時にお母さんが病気で亡くなっているんですけど、こうやって一番になった姿を天国にいるお母さんに見せることができて良かったです。支えてくれたお父さん、お姉ちゃんたち、ありがとう」と話し、最後に「RISEチャンピオンとして恥が無いよう、もっと強くなってRISEを盛り上げていけるよう頑張るので、宮﨑姉妹、TRY HARD GYMの応援、よろしくお願いします」とアピールした。
大会後のインタビューで紅絹は「小雪選手が上手に戦っていて、速くて、ついていけませんでした。自分の持ち味が出せませんでした。正直これが自分の実力です」「(ジャッジ1名の採点の)ドローは私が納得しないです。完敗です」と話し、「ベルトが無くなった時点でおしまいと試合前から話していたので、私はこれでキャリアを終わりにしたいと思っています。伸びしろのある選手がベルトを巻いたことで、私はもうスッキリです。これからただの観客になると思います。私に光を当ててくれたのはRISEさんで、本当にありがとうございました」と、途中から涙を流しながら引退を表明した。
第1試合 RISEミニフライ級(49kg)NEXT QUEENトーナメント2021準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×山本ユノカ(Kick Box/プロボクシング元WBA女子世界ライトミニマム王者、元OPBF女子東洋太平洋フライ級王者)
○大倉 萌(大道塾吉祥寺支部/2017年北斗旗全日本空道体力別選手権大会 女子-215クラス優勝)
判定0-2 (大沢29-30/佐藤29-29/小川28-29)
女子ミニフライ級では同級王者の寺山日葵への挑戦権を懸け、4選手によるNEXT QUEENトーナメントを開催。3月6日に組み合わせ抽選会が行われ、宮﨑若菜 vs. AKARI、山本ユノカ vs. 大倉萌の準決勝となった
山本はプロボクシングで世界タイトルを獲得し、19年からキックに転向し4戦2勝1分1敗。昨年8月に樋田智子に判定勝ちして以来の試合となる。
大倉は着衣総合武道「空道」のトップ選手。昨年10月、プロ2戦目でQUEEN of QUEENSトーナメントに抜擢され、百花に延長判定負けしたものの高い蹴りの技術で印象を残した。早稲田大学法学部卒で、現在は大手金融会社に勤務している。
1R、大倉が左に回り、左右のミドル、ローを序盤からヒット。中盤には右ストレートを絡めるが、山本も打ち合いで左右のフックを返す。終盤、山本の右フックに対し、大倉が右フックをカウンターで当てて、最後は右のカーフも効かせ好印象を残す。記者採点は大倉。
2R、パンチの打ち合いで、山本の左フックが炸裂。中盤、大倉が右ローを当てると、少し山本は嫌がるが、その後もまたも左フックを強打する。終盤、大倉が右のローをヒット。山本は持ちこたえているものの、勝ったとしても決勝まで持つか気になるところだ。記者採点は山本で合計はイーブンに。
3Rも大倉が執拗に右ローをヒット。山本は少しバランスを崩しながらも耐え、随所でパンチを返すが、なかなか均衡は崩れない。終盤、距離が詰まりパンチがお互い命中するが、山本はつかんでから連打し、イエローカードをもらってしまう。しかし最後、山本の左フックがクリーンヒットし、いい印象を残して終える。記者採点はイーブンだが山本でも不思議ではない。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者のみイーブンだが、2者は大倉の蹴りを高く評価し、大倉の判定勝ちとなった。
第2試合 RISEミニフライ級(49kg)NEXT QUEENトーナメント2021準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×宮﨑若菜(TRY HARD GYM/2019年KAMINARIMON全日本女子トーナメント-52kg級優勝)
○AKARI(TARGET/2018年KAMINARIMON全日本女子トーナメント-52kg級優勝)
判定0-3 (佐藤29-30/長瀬29-30/大沢28-30)
AKARIは出場メンバー最年少の17歳。ジュニア時代から神村エリカ氏に教わり、19年9月にプロデビュー後5戦全勝の快進撃を続ける。
宮﨑若菜は今大会で紅絹の持つアトム級王座に挑戦した小雪の姉で20歳。19年10月にデビューし5戦4勝(1KO)1敗で、19年11月のプロ2戦目でAKARIに唯一の黒星をつけられている。
1R、若菜はサウスポーに構え、長身のAKARIから距離を取って回りつつ、右ロー、左のインローを当てる。AKARIも蹴りを返すが、中盤過ぎには若菜が左ハイをクリーンヒットし、好印象を残す。だが終盤、AKARIが圧をかけ続け、左ストレートも当て返し、印象を残す。記者採点はイーブン。
2R、AKARIが左の手足のフェイントを駆使しつつ、自分の距離を作ってから、右の前蹴り、インローのヒットを増やし優勢に。終盤、若菜はローをもらった右足のダメージを気にするようにステップする場面も。最後はAKARIが右の前蹴りで若菜を吹き飛ばして好印象を作る。記者採点はAKARI。
3RもAKARIが右のインローを的確にヒットし続ける。若菜はパンチの空振りが続き、左ハイもブロックされる。AKARIは終盤、右のテンカオも炸裂させる。最後は右ローで若菜をスリップさせ終了。記者採点はAKARI。合計30-28でAKARI。ジャッジ3者もAKARIを支持し、AKARIの勝利となった。
第7試合 RISEミニフライ級(49kg)NEXT QUEENトーナメント2021決勝 3分3R(最大延長2R)
×大倉 萌(大道塾吉祥寺支部/2017年北斗旗全日本空道体力別選手権大会 女子-215クラス優勝)
○AKARI(TARGET/2018年KAMINARIMON全日本女子トーナメント-52kg級優勝)
判定1-2 (小川29-30/佐藤29-28/大澤28-29)
1R、長身のAKARIがプレッシャーをかけ、大倉は距離を取って回り、前蹴り、ロー、ミドルの応酬が続く。終盤、AKARIが右の前蹴りで大倉を吹き飛ばすが、大倉も接近戦で右フックを返す。記者採点はイーブン。
2R、蹴りの打ち合いと、接近戦でのパンチの打ち合い、クリンチが繰り返される。終盤、左ジャブの相打ちで、AKARIが尻餅をつくが、ダウンとはみなされない。それ以外の場面では互角だ。記者採点はイーブン。両者これで合計5R戦ったが、スタミナは問題なさそうだ。
だが勝負の3R、序盤からAKARIの右の顔面狙いの前蹴りがヒットすると、流れはAKARIに。パンチと蹴りの応酬の中でもしっかり最後に右ミドルを当て、大倉が前に来れば、下がって左ジャブも当てる。終盤にもAKARIの右の顔面前蹴りが炸裂。最後もAKARIがパンチの連打からの右ミドルも決め、手数多く攻めて終える。記者採点はAKARI。合計29-30でAKARI。ジャッジは割れたが、2者がAKARIを支持し、AKARIが寺山への挑戦権を争うトーナメントで優勝した。
うれし涙を流したAKARIはチームメイトやファンに感謝を述べ「初めての1DAYで、試合前から自分でも煽って、どうしようという気持ちが多かったんですけど(神村)エリカ先生やママや弟が支えてくれたおかげで優勝できました。うれしい気持ちはありますけど課題はいっぱいです。寺山選手にはこのままでは勝てないので、これからがスタートだと思って気合を入れます。シンデレラが女帝を超える瞬間を見せたいと思うので、応援よろしくお願いします」とアピールした。
続いてリングインした寺山は「AKARI選手、優勝おめでとうございます。気持ちの入った試合で、もっと強くならないとベルトを取られるんで、気合が入りました。AKARI選手、強いし、かわいいですけど、負ける気はないので、チャンピオンらしく防衛できるよう追い込みます」とコメントした。
第6試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○SEIDO(Team ORCA/RISE 5位)
×中村 寛(BK GYM/元DEEP☆KICK -60kg王者)
不戦勝 (中村の計量失格)
第5試合 ヘビー級 3分3R
○内田雄大(Team Aerts/ホーストカップ日本ヘビー級王者)
×森孝太郎(NEXT STEP GYM/J-NETWORKライトヘビー級暫定王者)
2R 2’19” KO (右フック)
ピーター・アーツの弟子・内田はRISE初参戦。1R開始すぐから、重みのある右ロー、左ジャブを度々ヒットし、終始優勢。中盤にはパンチからローへのコンビネーションも駆使する。森は前に出るがかわされ続け、組んでの膝で応戦するが攻撃が少ない。
2Rも同様に内田が手数多く攻めると、終盤、組んで膝を当てた森を突き放し、右フックを当ててダウンを奪う。森は立ち上がれず、内田のKO勝ちとなった。清水賢吾の引退後、停滞していたヘビー級戦線に新風を巻き起こしそうだ。
第4試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○森香津眞(チームドラゴン/RISE 6位)
×吉沼大樹(フリー)
4R 判定3-0(10-9/10-9/10-9)
3R 判定1-0(30-29/29-29/29-29)
第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○梅井泰成(TEAM TEPPEN/RISE 8位)
×山田直樹(KSS健生館/DEEP☆KICK 57.5kg 1位)
判定3-0(30-29/30-28/30-28)