極真会館 全日本ウェイト制 4.21-22 東京体育館:キックとの二刀流 ベイ・ノア、ロシアの精鋭連破し軽量級初優勝。樋口知春、板1枚差で中量級頂点に。南原健太と安島喬平、決勝でロシア強豪に敗れる
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極真会館(館長/松井章奎)「2018 第35回全日本ウェイト制空手道選手権大会」
2018年4月21日(土) 22日(日) 東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
(※21日に予選、22日にベスト16以降の試合を実施。試合時間は本戦3分、延長2分、再延長2分)
重量級(+90kg)(23名)
南原健太、悲願の10代での全日本ウェイト制優勝ならず
準決勝
×星龍之介(本部直轄浅草道場/2017東日本優勝)
○南原健太(東京城北支部/2017全日本7位)
本戦0-5
極真会館の春恒例の全日本ウェイト制。昨年11月の全日本無差別大会のベスト4勢(優勝・高橋佑汰、2位・鎌田翔平、3位・荒田昇毅、4位・上田幹雄)は参加しないが、今年は世界中から幅広い世代の選手や関係者が集まる4月の「国際親善空手道選手権大会」の中での開催となり、階級によっては過半数が海外勢になった。過去の全日本大会にも海外勢は出場しているが、ここまで多いのは異例だろう。
今後の無差別の世界上位戦線を占うのが重量級。この階級も23名中14人が外国人だ。うちロシアは7人で、フランス、イラン、サウジアラビア、レバノン、モンゴル、中国といった国からもエントリーしている。
それでも準決勝には日本人3人が残り、星も南原も19歳と今後に期待が持てる世代。那須川天心の空手時代のライバルとしても知られる南原は「10代のラストファイトですので、優勝を狙いたいです」と記者会見で話していたが、星戦では中盤まで両手のガードを下げながらミドル、ローを的確に当てて主導権を維持し、終盤には接近戦で突きの連打を続け完勝し、優勝に王手をかけた。
準決勝
×徳田寛大(大阪南支部/2017全日本ウェイト制重量級4位)
○アントン・グリアエフ(ロシア/2018ロシアンカップ重量級優勝)
本戦0-4
3位決定戦
×徳田寛大(大阪南支部/2017全日本ウェイト制重量級4位)
○星龍之介(本部直轄浅草道場/2017東日本優勝)
本戦0-5
決勝
○アントン・グリアエフ(ロシア/2018ロシアンカップ重量級優勝)
×南原健太(東京城北支部/2017全日本7位)
本戦5-0
決勝まで高速の突きの連打で日本勢や同郷のロシア勢を圧倒してきた20歳のグリアエフに対し、南原は序盤から果敢に突きとローを連打し、ハイや回転系の蹴り技の応酬でも渡り合って、場内を沸かせる。
だがグリアエフが左右のローをコツコツ当てていると、南原は少し左足を引きずるような動きに。3分の本戦の終盤に差し掛かり、グリアエフが右ローを当てると、南原はスリップ。グリアエフがすかさず残心のポーズを決めて技有りを奪う。残り時間は短く、南原は挽回できず終了。悲願の10代での全日本制覇はならなかったが、同世代の強豪グリアエフ相手に戦った経験は秋の無差別の全日本大会でも活きるだろう。(右下写真は試合後に健闘を称え合う両者。南原はグリアエフに「またやろう」と笑顔で呼びかけた)
軽重量級(-90kg)(36名)
ロシアの強豪アンドレイ・ルジン、世界の壁を示す
準決勝
○安島喬平(茨城県常総支部/2017全日本ウェイト制軽重量級3位、2013年全日本優勝)
×石塚悠太郎(鹿児島県支部/2017全日本ウェイト制軽重量級2位)
再延長 一本 (後ろ蹴り) 延長2-0 本戦0-1
安島は準々決勝の中島千博(東京城北支部/2017全日本ウェイト制軽重量級優勝)戦が延長まで及び、激しいローの応酬の末に勝利。昨年6月の全日本ウェイト制大会の準決勝のリベンジを果たした。
準決勝で安島は石塚の左ミドル、左膝をもらって少し劣勢だったが延長へ。右ローを叩き込み続けると、石塚の勢いが落ちる。再延長戦でバックスピンキックをレバーに叩き込んで一本を奪い、見事逆転勝ちを果たした。
準決勝
×大澤佳心(東京城西世田谷東支部/2017世界ウェイト制中量級2位)
○アンドレイ・ルジン(ロシア/2017世界ウェイト制軽重量級優勝)
本戦0-5
大澤は準々決勝で身長190cmのマキシム・エキモフ(ロシア)の右ローを浴び続け苦しんだが、延長判定勝ち。ルジンは準々決勝で高橋佑汰の弟・高橋扶汰(東京城北支部/2017全日本新人賞)をボディ打ちの連打で圧倒し本戦で勝利した。準決勝も同様に大澤をボディ打ち、ローの連打で下がらせ続け完勝した。
3位決定戦
×石塚悠太郎(鹿児島県支部/2017全日本ウェイト制軽重量級2位)
○大澤佳心(東京城西世田谷東支部/2017世界ウェイト制中量級2位)
本戦0-5
決勝
×安島喬平(茨城県常総支部/2017全日本ウェイト制軽重量級3位)
○アンドレイ・ルジン(ロシア/2017世界ウェイト制軽重量級優勝)
本戦 合わせ一本
ルジンが序盤から突きの連打で下がらせ、右の顔面前蹴り、右の膝蹴り技有りを2つ立て続けに重ね、合わせ一本勝ちで完勝。昨年の世界ウェイト制で高橋・上田の日本人Wエースを撃破した強さを今回も見せつけた。
中量級(-80kg)(58名)
一昨年は3位、昨年は2位。樋口知春、試割1枚差で悲願の初優勝
準決勝
○与座優貴(茨城県常総支部/2017世界ウェイト制軽量級優勝)
×臼田悠希(大阪なみはや支部)
延長5-0 本戦0-0
延長にもつれ込み、臼田が左ハイを数度うまく当て、若干優位だったものの、抱え込み注意3度の累積で減点1となってしまい敗退。与座が決勝に進んだ。
準決勝
○樋口知春(東京城北支部/2017全日本ウェイト制中量級2位)
×竹岡拓哉(東京城西支部/2017全日本ウェイト制中量級優勝)
本戦5-0
開始すぐ、樋口がハイキックで技有りを獲得。その後も竹岡の前進をかわしつつ、ハイ、ローを的確に当て続け完勝した。
3位決定戦
○臼田悠希(大阪なみはや支部)
×竹岡拓哉(東京城西支部/2017全日本ウェイト制中量級優勝)
不戦勝 (竹岡のドクターストップ)
決勝
×与座優貴(茨城県常総支部/2017世界ウェイト制軽量級優勝)
○樋口知春(東京城北支部/2017全日本ウェイト制中量級2位)
試割(足刀5-6) 再延長1-0 延長0-1 本戦0-1
ローの応酬が続き、少しずつ樋口のローが効き目を発揮し、与座が下がり気味になるが、耐えきり2分の延長へ。延長も樋口が若干優位だったが、さらに2分の再延長になると与座も盛り返す。試割判定となり、1枚多く申告した樋口が見事全て割り勝利した。樋口は一昨年大会で3位、昨年大会で2位。20歳で公約通りの初制覇を果たした。
軽量級(-70kg)(71名)
キックボクシングとの二刀流・ベイ・ノア、ロシアの精鋭を連破し初優勝
準決勝
○ベイ・ノア(東京城北支部/2017全日本ウェイト制軽量級2位、キックボクシングJ-NETWORKウェルター級王者)
×アレクサンダー・アリストフ(ロシア)
本戦3-0
全日本ウェイト制で最多参加の軽量級。昨年優勝の亘和孝(東京城西支部/2017全日本ウェイト制軽量級優勝)ら日本勢が敗れ去り、ベスト8に残った日本勢は奥寺勇輝(東京城西支部)と米国生まれ日本育ちのベイ・ノアだけ。奥寺を破ったアリストフ含め残り6選手はロシア勢だった。準決勝でノアは中盤まで互角だったが、終盤に右膝主体で手数を上げ、接戦を制した。
準決勝
○アリム・ユヌソフ(ロシア/2017世界ウェイト制軽量級2位)
×エブゲニー・グルコフ(ロシア)
本戦5-0 ※ユヌソフに上段回し蹴りで技有り1
3位決定戦
×アレクサンダー・アリストフ(ロシア)
○エブゲニー・グルコフ(ロシア)
本戦0-4
決勝
○ベイ・ノア(東京城北支部/2017全日本ウェイト制軽量級2位、キックボクシングJ-NETWORKウェルター級王者)
×アリム・ユヌソフ(ロシア/2017世界ウェイト制軽量級2位)
本戦4-0
両者右ロー主体の蹴りの応酬が続き、少しずつユヌソフのローが効き目を発揮し、ノアのバランスが悪くなるが、耐えてローを返し、終盤には突きを含め手数をアップ。僅差だったが、ノアを4者が支持。ノアはうれし涙を流した。(右下写真は本部席の松井館長への優勝報告の様子)
ノアはキックボクシングでも9戦全勝中。RISE史上最大の大会となる6月17日の幕張イベントホール大会への出場も既に決まっており、今回の優勝は今後に向けて大きな自信となるだろう。
2018 世界女子ウェイト制空手道選手権大会
軽量級(-55kg)(17名)
決勝は姉妹対決。姉の佐藤七海が2連覇達成
決勝
×佐藤 凛(城西国分寺支部)
○佐藤七海(城西国分寺支部/2017全日本女子ウェイト制軽量級優勝)
本戦0-4
佐藤姉妹の妹・18歳の凛は準決勝で本村愛花と再延長まで戦っても決着がつかず、手刀による試割で差をつけ決勝進出。姉の20歳・七海は島田慧巳を下し、妹の待つ決勝へ。七海が終始、上中下左右と蹴りを多く当て続け圧倒。凛も時折インローを返すが姉の勢いは止まらず、姉が2連覇を果たした。
3位決定戦
×本村愛花(城東北千住支部/2017全日本女子無差別3位、2016世界女子ウェイト制軽量級優勝)
○島田慧巳(本部直轄浅草道場/2017全日本女子無差別2位、2017世界女子ウェイト制軽量級2位)
本戦0-5
重量級(+65kg)(13名)
決勝
×ウリワナ・グレペンシコワ(ロシア/世界女子ウェイト制重量級5連覇、2015世界女子無差別優勝)
○アナスタシア・クリプノワ(ロシア/世界女子ウェイト制中量級9回優勝)
本戦0-3
3位決定戦
○アナスタシア・カサノワ(ロシア)
×アンナ・コフィリア(ロシア)
本戦5-0
中量級(-65kg)(21名)
決勝
○クセニア・ザソリナ(ロシア)
×イリーナ・クリアゼワ(ロシア)
本戦5-0
3位決定戦
○エリザベータ・メルコニワ(ロシア)
×マリア・ヤスコ(ポーランド)
本戦5-0
現行のフルコンタクトルールと並行採用する「セミコンタクトルール」の説明が、4月22日の大会の中で行われた。伝統派の全日本空手道連盟(全空連)のいわゆる寸止めルールとフルコンルールの中間のようなルールで、防具着用・顔面寸止めあり・ローキック無し等が主な特徴。「I.K.O.セミコンタクトルール2018全国交流大会」(6月3日(日) 大阪府立体育会館)で初採用される。昨年の全日本無差別大会優勝の高橋佑汰、同4位・上田幹雄がルールに基づき実演した。