極真会館 11.20 東京体育館(レポ):西村界人、決勝でコバレンコ下し全日本大会男子2連覇。鵜沢菜奈、佐藤七海の女子3連覇阻止し初優勝
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極真会館(館長・松井章奎)「日本赤十字社 災害義援金チャリティー 第54回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2022年11月20日(日)東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
極真会館の体重無差別の全日本大会(うち4年に1回は全世界大会)は例年、秋に開催されているが、21年秋の大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年4月に延期して開催され、西村界人が初優勝した。
それから半年後の今大会にも、西村をはじめ、準優勝の山川竜馬、3位の加賀健弘、4位のコンスタンティン・コバレンコら入賞者が揃い踏み。6月に極真会館と真正会が共催した全日本体重別大会で優勝した大秦稜司(中量級)らも無差別の頂点を目指して参加した。2019年第12回世界大会8位の35歳・荒田昇毅も3年ぶりに復帰した。
女子では2020・2021全日本女子大会優勝者の佐藤七海が3連覇を狙い、2020全日本女子2位で今年6月の全日本体重別女子重量級を制した鵜沢菜奈、フランスから2019年世界大会3位のシャイネス・エルハイモワも出場した。
なお今大会は、来年11月に創始者・大山倍達の生誕100年記念大会として行われる、4年に1度の全世界大会(体重無差別)に向けた、日本代表選手選抜大会にもなっている。
男子(69人参加)
トーナメント表 (リンク先は極真会館公式サイトのPDFファイル)
※試合時間は3回戦まで本戦2分、延長2分。4回戦から本戦3分、延長2分、再延長2分
4回戦
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2022(春)第53回全日本4位、2022全日本体重別重量級優勝、2020第52回全日本優勝)
×岡部慎太郎(東京城西支部)
本戦5-0
×岩田 大(神奈川横浜港南支部)
○清水祐貴(東京城北支部/2022(春)第53回全日本5位)
本戦0-5
○長澤大和(北大阪支部)
×山上大輝(東京城北支部)
反則 (山上の顔面殴打の反則で長澤はドクターストップ)
○荒田昇毅(千葉中央支部/2019第12回世界8位)
×山川竜馬(東京城北支部/2022(春)第53回全日本2位)
本戦一本 (右ローキック)
山川が開始すぐから積極的な攻めで主導権を握り、荒田は攻撃をほとんど返せなかったが、終盤、荒田が右インロー一発をヒットすると、山川は右足を引きずり顔をしかめ後退し、荒田が見事逆転一本勝ち。ベテランの巧さを印象付けた。
○加賀健弘(東京城西支部/2022(春)第53回全日本3位)
×西村大河(東京城北支部)
本戦3-0
○大秦稜司(京都支部/2022全日本体重別中量級優勝)
×飯塚 翼(東京城北支部/2022(春)第54回全日本8位、2022全日本体重別軽量級優勝)
本戦4-0
○石﨑恋之介(東京城西支部/2022(春)第54回全日本7位)
×小林健人(東京城北支部)
本戦4-0
×奥寺勇輝(東京城西支部/2020第52回全日本7位)
○西村界人(東京城北支部/2022(春)第53回全日本優勝)
本戦0-5
西村は1回戦シードで2回戦で勝利し、3回戦で2012年第44回全日本優勝者の46歳・ベテラン、アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)も下す(上写真)。組手で決着がつかなかった場合に勝敗を決める試割り(積み重ねた瓦を正拳・足刀・猿臂・手刀の4パターンで割る)では隣にいる最大のライバル、コバレンコと接戦を展開。4回戦では奥寺相手に安定した組手を見せ、順当にベスト8に駒を進めた。なお、コバレンコは試割りで最多の22枚を割り、試割賞を獲得している。
準々決勝
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2022(春)第53回全日本4位、2022全日本体重別重量級優勝、2020第52回全日本優勝)
×清水祐貴(東京城北支部/2022(春)第53回全日本5位)
本戦5-0
コバレンコはロシア出身だが東京・代官山の総本部道場の内弟子として鍛錬を積む選手。清水とのローでの削り合いの中で、約20kg重いコバレンコのローが効き目を発揮し、清水は足払いでこかされる場面が増える。終了間際にコバレンコが得意の足掛け下段突きで技ありを奪い判定勝ちした。
×山上大輝(東京城北支部)
○荒田昇毅(千葉中央支部/2019第12回世界8位)
不戦勝
×加賀健弘(東京城西支部/2022(春)第53回全日本3位)
○大秦稜司(京都支部/2022全日本体重別中量級優勝)
本戦0-5
今回、ダークホース的な活躍をしたのが、春の体重別中量級を制した21歳の大秦稜司だ。28歳の加賀は2019年第36回全日本ウェイト制中量級優勝者で、新旧中量級王者対決の構図に。体格の近い両者が接近戦で一歩も譲らずローとボディを激しく打ち合う展開が続く。その流れで加賀は胸を合わせて攻撃をする反則を繰り返してしまい注意1。終盤にも同様に注意1が入り減点1となってしまい、大秦の判定勝ちとなったが、正味の内容は接戦だった。
×石﨑恋之介(東京城西支部/2022(春)第54回全日本7位)
○西村界人(東京城北支部/2022(春)第53回全日本優勝)
本戦0-4
体格で勝る西村がプレッシャーをかけ続け、右ロー、カーフを何発も当て、石﨑を後退させ、左右の膝蹴りも度々当てて圧倒し判定勝ちした。カーフキックはRIZINで堀口恭司が使用したのをきっかけに一気にMMA・キックボクシングで浸透したが、空手でも使用頻度が上がった感がある。
準決勝
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2022(春)第53回全日本4位、2022全日本体重別重量級優勝、2020第52回全日本優勝、2019年第12回世界5位)
×荒田昇毅(千葉中央支部/2019第12回世界8位、2017年第6回全世界ウェイト制重量級3位)
本戦5-0
2019年世界大会の入賞者同士による全日本準決勝。序盤から激しい突きとローの応酬が繰り広げられ、千葉中央支部の大応援団の声援を背に荒田は奮闘するが、中盤過ぎからじわじわコバレンコの攻撃数が上がり、荒田は返せなくなる。終盤になってもコバレンコは荒田の周りを軽快にステップしながら攻撃を当て続け圧倒し判定勝ち。復帰戦の荒田は準決勝で散った。
×大秦稜司(京都支部/2022全日本体重別中量級優勝)
○西村界人(東京城北支部/2022(春)第53回全日本優勝)
本戦0-5
下馬評を覆し準決勝に上がった大秦が、左のローを立て続けに当てるが、体格で勝る西村が左ローを返し続けると、こちらが効き目を発揮。中盤には足掛け下段突きを決め技ありを奪う。その後も西村が主導権を維持して判定勝ちし、連覇まであと1勝となった。
3位決定戦
×荒田昇毅(千葉中央支部/2019第12回世界8位)
○大秦稜司(京都支部/2022全日本体重別中量級優勝)
判定0-5
小柄な大秦だが、執拗にインロー、外ローをヒット。荒田も中盤に左ローを連打で返すが、大秦は耐えると、終盤には左右のローのヒットを増やし、荒田を後退させ好印象を残し判定勝ち。3位入賞を果たした。荒田戦の勝利は、世界の猛者が集まる来年の世界大会に向けて大きな自信となるはずだ。
決勝
×コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2022(春)第53回全日本4位、2022全日本体重別重量級優勝、2020第52回全日本優勝)
○西村界人(東京城北支部/2022(春)第53回全日本優勝)
延長4-0 本戦0-0
※西村が優勝
決勝は下馬評通り全日本優勝経験者の2強の争い。20年の決勝ではコバレンコが西村に延長戦の末に判定勝ちしている。
今回は突きとローの激しい応酬が続き、序盤はコバレンコ、中盤は西村、終盤はコバレンコが巻き返す一進一退の展開となり延長へ。2年前は無観客だったが、今回は激闘に大声援が飛び交う。
すると延長、西村の左のローのヒットが増え、コバレンコは少し下がり気味に。2年前はコバレンコのローに西村が苦しんだが、奇しくも逆の構図となる。コバレンコも必死に攻撃を返すが、西村が押しと膝蹴りを巧く織り交ぜつつ、突きとローを的確に当て続けて終わり、西村が判定勝ち。見事連覇を果たすと涙を流し喜んだ。
勝利者インタビューでは周囲の応援やサポートに感謝の言葉を述べ「最後は細かい技術もありますがが気持ちの勝負になると思っていました。ここまで僕を強くするきっかけになったコバレンコ選手には感謝しています。来年の世界大会決勝でもう一度戦って(現在1勝1敗のため)決着をつけたいです」と最大のライバルにも敬意を表し、「来年の世界大会は強い日本チームで戦って、最後は自分が世界チャンピオンになります」と力強く宣言した。
結果
優勝/西村界人(東京城北支部)
準優勝/コンスタンティン・コバレンコ(総本部道場)
3位/大秦稜司(京都支部)
4位/荒田昇毅(千葉中央支部)
5位/加賀健弘(東京城西支部)
6位/清水祐貴(東京城北支部)
7位/石﨑恋之介(東京城西支部)
8位/山上大輝(東京城北支部)
敢闘賞/荒田昇毅
技能賞/大秦稜司
試割賞/コンスタンティン・コバレンコ(22枚)
新人賞/西村大河(東京城北支部)※下写真
女子(23人参加)
トーナメント表 (リンク先は極真会館公式サイトのPDFファイル)
※試合時間は3回戦まで本戦2分・延長2分・再延長2分、準決勝から本戦3分・延長2分・再延長2分
3回戦
×シャイネス・エルハイモワ(フランス/2019世界3位)
○知念琉花(神奈川横浜北支部)
本戦1-4
○鵜沢菜奈(千葉下総支部/2022全日本体重別女子重量級優勝、2020全日本女子2位)
×本村愛花(東京城東北千住支部/2022(春)全日本女子4位)
本戦5-0
○山崎乙乃(東京城西世田谷東支部/2022(春)全日本女子3位)
×神田乙璃沙(神奈川横浜支部)
本戦3-0
×宮本 神(本部直轄浅草・神田道場)
○佐藤七海(東京城西国分寺支部/2020・2022(春)全日本女子優勝、2019世界2位)
体重判定70.6kg-54.1kg(※5kg以上差があるため) 延長0-1 本戦0-0
準決勝
×知念琉花(神奈川横浜北支部)
○鵜沢菜奈(千葉下総支部/2022全日本体重別女子重量級優勝、2020全日本女子2位)
本戦0-5
171cmと長身の知念に対し、鵜沢が序盤からやや積極的に突きとローを当てる。中盤まで知念も返していたが、終盤、鵜沢がギアを上げ攻撃の回転数を増やすと、知念は返せなくなり、鵜沢が判定勝ちした。
×山崎乙乃(東京城西世田谷東支部/2022(春)全日本女子3位)
○佐藤七海(東京城西国分寺支部/2020・2022(春)全日本女子優勝、2019世界2位)
本戦0-5
比較的体格の近い両者の争いは、激しい突きとローの打ち合いが続くが、終盤、攻め急いだ山崎のガードの甘くなったタイミングで、佐藤が左のハイキックをヒットして山崎をフラつかせ、技ありを奪い優勢勝ちした。
3位決定戦
○知念琉花(神奈川横浜北支部)
×山崎乙乃(東京城西世田谷東支部/2022(春)全日本女子3位)
本戦5-0
知念が序盤から、左の上段前蹴りを山崎の顔面にクリーンヒットし、技ありを奪取。その後も主導権を維持し判定勝ちした。3回戦でエルハイモワも下した知念は、今回大成長した姿を見せ、敢闘賞も獲得している。
決勝
○鵜沢菜奈(千葉下総支部/2022全日本体重別女子重量級優勝、2020全日本女子2位)
×佐藤七海(東京城西国分寺支部/2020・2022(春)全日本女子優勝、2019世界2位)
再延長4-0 延長0-1 本戦0-0
※鵜沢が優勝
両者は2年前の全日本決勝で対戦し佐藤が勝利し優勝している。両者距離を取り、近づけばどちらも激しく突きとローを連打するが、お互い決め手に欠け延長へ。それでも同様の攻防が続き、なかなか差がつかず再延長へ。変わらずお互い一歩も譲らぬ打ち合いを繰り広げる。胸を合わせての攻撃の反則で佐藤に注意2、鵜沢に注意1が入る中、鵜沢が膝蹴りとミドルを絡め、僅差だが手数で上回り判定勝ち。佐藤の連覇をストップしリベンジも果たし、初優勝を果たした。
結果
優勝/鵜澤菜南(千葉下総支部)
準優勝/佐藤七海(東京城西国分寺支部)
3位/知念琉花(神奈川横浜北支部)
4位/山崎乙乃(東京城西世田谷東支部)
敢闘賞/知念琉花
技能賞/佐藤七海
新人賞/神田乙璃沙(神奈川横浜支部)
かつての名選手たち、そしてあの選手も聖地・東京体育館に来場
生中継の解説は木山仁氏(左端)、岩崎達也氏(左2人目)、八巻建志氏(右端)が務めた。休憩時間には増田章氏(右2人目)も挨拶に訪れ記念撮影となった。
多数の選手が参加した東京城北支部勢のセコンドを“ブラックパンサー”ベイノアが務めた。RISEとRIZINで活躍するベイノアは2018年の第35回全日本ウェイト制軽量級優勝でもある。
準決勝終了後、3位決定戦と決勝までの選手の体力回復休憩の時間に演武が行われるのは、空手の大規模大会では恒例。極真会館ではコロナ禍の2020年7月に演武プロジェクトチームを発足し、今年は歴代全日本優勝者・安島喬平、鎌田翔平による氷柱割り、バット折り、両手刀瓦割りが披露され、場内はどよめいた。