KNOCK OUT 4.29 ベルサール高田馬場:ヨードレックペット、チャンヒョンに判定勝ちしアジアトーナメント優勝
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KNOCK OUT 2019 SPRING – THE FUTURE IS IN THE RING
2019年4月29日(月/祝) 東京・ベルサール高田馬場
レポート&写真:井原芳徳
第7試合 メインイベント KING OF KNOCK OUTライト級(61.5kg)アジアトーナメント決勝&KING OF KNOCK OUT同級タイトルマッチ 3分5R
○ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ/王者、ラジャダムナン1位・元王者、ルンピニー2位・元王者/61.1kg)
×イ・チャンヒョン[チャンヒョン・リー](韓国/仁川ムビジム/挑戦者、RISEスーパーフェザー級(60kg)王者/61.4kg)
判定3-0 (能見49-47/大成49-48/岡林50-48)
※ヨードレックペットがトーナメント優勝、王座初防衛
ライト級アジアトーナメントは10月の後楽園ホール大会、12月の両国国技館大会で一回戦2試合ずつ、2月の大田区総合体育館大会で準決勝が行われ、ついにファイナル。ヨードレックペットは岩城悠介、ボルドバートル・アルタンドルグーン、チャンヒョンは町田光、森井洋介を下し、決勝にコマを進めた。今回は昨年4月にヨードレックペットが森井から奪取したライト級王座も賭けて争われる。
KNOCK OUTは旗揚げ初年度の17年春から日本人強豪を集めたライト級王座決定トーナメントを開催し、18~19年は同じ階級でアジアトーナメントを開催。16年9月のKNOCK OUTの設立発表記者会見で木谷高明オーナーが「今、世界的にキックボクシングは上位概念がありません。プロレスならWWEがあり、我々(新日本プロレス)もそこを超えようと目指しています。総合格闘技ならUFCがありますが、キックは世界で大会が乱立していて、上位概念を作ればとんでもないビッグビジネスになると思います」とビジョンを口にしていたが、第1段階が王座決定トーナメントなら、第2段階の集大成が今回のトーナメント決勝となる。
1R、サウスポーのヨードレックペットをチャンヒョンがコーナーにじわじわ詰め、左ボディ、左フックを当てるが、ヨードレックペットは耐え、重みのある左ミドル、左ローを随所で返す。ジャッジ2者がチャンヒョンにつける。記者採点はイーブン。
2R、ヨードレックペットが前に出始め、左ミドル、ローを効かせ、首相撲から膝を当て優勢に。チャンヒョンも右ロー、左ボディを返すが、攻撃が少ない。ジャッジ2名はイーブン、1名は意外にもチャンヒョンにつける。記者採点はヨードレックペット。
3R、チャンヒョンも時折右ローを当てるが、ヨードレックペットが前に出続け、左ローを効かせつつ、ジャッジを意識してか、顔面への左のパンチと肘のヒットを増やす。ジャッジ3名も記者もヨードレックペット。
4Rもヨードレックペットが左肘、左ミドル、ローを何発も当てて圧倒する。チャンヒョンも時折ローとパンチを返すが、ヨードレックペットはクリンチも使ってうまくごまかす。記者採点はヨードレックペット。
5R、ヨードレックペットは疲れが見え始め、クリンチが増え、北尻レフェリーから注意1を受けるも、随所で左ミドルを当て続け、チャンヒョンに反撃を許さない。記者採点イーブン。合計50-47でヨードレックペット。ジャッジ3者もバラツキはあるもののヨードレックペットを支持し、下馬評通り優勝と王座防衛を果たした。
ヨードレックペットは「チャンヒョンは強かったです。日本4戦目で今日が一番危なかったです。また日本に来たいです。アリガトウゴザイマス」とコメントした。試合後のインタビューでは「チャンヒョンのボディが効きましたが、4Rに私の勝利を確信しました」と話した。
第6試合 エキシビションマッチ 3分2R
―石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/KING OF KNOCK OUTフライ級(51kg)王者&WPMF世界王者)
―名高・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム/ルンピニー・ラジャダムナン・WBCムエタイ・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者、元WMC世界ピン級王者)
勝敗無し
石井はKING OF KNOCK OUTフライ級タイトルマッチを予定していたが、挑戦者のタネヨシホが前日計量を2.4kgオーバーし、体調不良のため試合が中止となった。そのため4月14日のBOM横浜大会でルンピニー王座を獲得したばかりで、石井とも旧知の仲である名高とのエキシに変更となった。
前日の発表では1Rだったが2R行われたエキシ。両者素早い蹴りの応酬で、石井の攻撃が多いが、名高も左ボディや側転蹴りをお返しする。2Rもミドルの打ち合いなど激しい応酬を繰り広げ、観客を楽しませた。
石井は「今日はご来場ありがとうございます。このような結果になって申し訳ございません。急なオファーにも関わらず吉成名高選手、受けてくれてありがとうございます」と話し、名高の2大スタジアム制覇について「凄いことです」と称えた。最後には「今日はぶっ飛ばしたかったですけど、彼もすぐ体調戻しリングに復活すると思うので、みんなで応援しましょう」とタネヨシホにエールを送り、場内から拍手が起こり、「これからもKNOCK OUTフライ級王者として格闘技界を引っ張っていきます」とアピールした。
名高は「大好きな一成選手とエキシができてうれしかったです」と話し、「6月1日に(BOMの)横浜文化体育館(大会)で本場のタイ人との試合が決まっているので応援してください」とアピール。最後に「ミニフライ級は日本の選手が少ないですけど、体が大きくなってきているので、いずれ日本の大きな舞台で戦えたらと思います」と話した。
なお、ヨシホについて、小野寺力プロデューサーは腎臓疾患で入院中だと明かし「試合を楽しみにしていた人たちがいますから彼を擁護できませんが、まだ未来があり、素質もある選手なので、体を治して復活して、また活躍して欲しいです。石井選手も最初は相手に対して消化できない部分もあったようですが、今は体を気遣っていました」と話した。ヨシホに対しては罰金が科され、その金額はそのまま石井側に渡されるという。
第5試合 61.5kg契約(ライト級相当) 3分5R
○町田 光(橋本道場/WPMF世界スーパーフェザー級王者、元REBELS 60kg級王者/61.25kg)
×岩城悠介(PCK連闘会/聖域統一スーパーフェザー級王者/61.3kg)
判定3-0 (能見50-46/北尻50-46/大成50-46)
1R、町田が圧力をかけ、岩城が回り続ける構図で、お互い蹴りを当てるが、まだヒットは少ない。ジャッジ3者も記者採点もイーブン。
2R、町田が圧力を強めパンチと蹴りの手数を上げるが、まだ重みのある攻撃は少ない。岩城も攻撃のヒットは少ないが、おそらく肘で町田の左まぶたを少し切ることに成功する。ジャッジ3者も記者採点もイーブン。
3Rもなかなか均衡が崩れなかったが、町田がしつこく左右の膝を首相撲からやテンカオの形で当て、左ボディフックも当てていると、少しずつ岩城の表情が曇り、終了間際、町田が膝を連打して投げ飛ばすと、すぐ立たない岩城を見た大村レフェリーは有効打とみなしダウンを宣告する。採点は10-8で町田。
4Rも町田が膝、左ボディを当て続け、何度も崩しを決め、岩城を圧倒する。記者採点は町田。5Rも同じように町田が圧倒し、フィニッシュはできなかったが大差をつけ判定勝ちした。
第4試合 女子50kg契約 2分5R
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/MuayThaiOpen女子フライ級王者/50.0kg)
×イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア/キック&パンチ/グレイシー・ファイター・ドージョー/Girls S-cup 48kg世界トーナメント2018優勝、WBCムエタイ欧州女子フライ級王者/50.0kg)
判定3-0 (岡林50-48/小川50-47/大成50-47)
昨年7月のシュートボクシングのGirls S-cupトーナメントではヴァレンティーノが小林に勝利。小林にとってはプロ初黒星を喫した相手で、ホームリングで肘有りのKNOCK OUTでリベンジを目指す。
1R、小林が最初から圧力をかけ続けるが、ヴァレンティーノはサウスポーに構えて回り続け、伸びのある左ストレートを随所で叩き込む。だが終盤に小林も右ストレート、右ミドルを当て、少し挽回する。ジャッジ3者も記者採点もイーブン。
2R、小林が少しずつ右ローを当て続けていると、ヴァレンティーノのステップのスピードも低下し、小林の右ストレートも当たるように。ジャッジ1名がイーブン、2名が小林につける。記者採点は小林。
3Rも小林が右ローを着実に当て続け、終盤には雄たけびを上げて右のロー、ミドルを叩き込むように。ヴァレンティーノはほとんど攻撃が返せない。ジャッジ3名も記者採点も小林。
4Rも同様に小林が圧力をかけて右ローを当て続け、右ミドルも絡めて攻勢をキープする。ヴァレンティーノの太ももが真っ赤になっている。記者採点は小林。
5R、小林が右の蹴りを当てるが、ヴァレンティーノも左膝、左ストレート、左肘をお返し。これまでよりも五分に近い状態にしたが、逆転にはほど遠い。記者採点はイーブン。合計50-47で小林。小林が完勝で見事リベンジを果たした。
第3試合 55.5kg契約 3分5R
×宮元啓介(橋本道場/元WPMF世界&WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者/55.45kg)
○良星(平井道場/RISEバンタム級(55kg)2位、Bigbangスーパーバンタム級王者/55.45kg)
判定0-3 (小川49-50/大成49-50/大村47-50)
Krush、RISEなどのK-1系ルールの大会を主戦場としてきた良星はKNOCK OUT初参戦。1R、良星が重みのある右ロー、左ミドルを当てるが、終盤、宮元が首相撲で捕まえ、膝を当て続け反撃する。ジャッジ3者も記者もイーブン
2R、良星は右ローを執拗に当て続け、相手が得意な首相撲でも右膝を返すように。終盤、ロープに詰めて右膝、左ボディを当てた後、左フックでぐらつかせ、パンチと蹴りのラッシュで追い詰める。ジャッジ3者も記者も良星。
3R、良星陣営から「肘使え」という声が飛ぶが、逆に宮元が肘を連打すると、良星が右まぶたから出血する。良星は右ロー、宮元は膝主体でほぼ互角。ジャッジ3者も記者もイーブンだ。
4R、宮元が肘と膝、良星が右ローと左ボディなどのパンチ主体の攻防で、大差はないが、良星は慣れない5R制のせいもあってか、少し動きが落ち、下がる時間が増える。記者採点イーブン。
5R、宮元が膝、肘主体で攻め続け、良星はやや攻撃が少ないが、随所で重みのある右ロー、左前蹴り、左ボディを叩きこんで会場をどよめかせ、差をつけさせない。記者採点イーブン。合計49-50で良星。良星が2Rのポイントを守り切る形で判定勝ち。素質を十分見せつけるファイトで、ルールに適応できれば、KNOCK OUTでもタイトル戦線に絡むことも可能だろう。
第2試合 63.5kg契約 3分3R
×前口太尊(PHOENIX/元J-NETWORKライト級王者/63.4kg)
○松本芳道(KICK-DIET吉野町/元新日本キック・ライト級王者/63.5kg)
判定0-2 (北尻29-30/大村29-29/小川28-29)
1R、サウスポー主体で時折スイッチする松本に対し、前口が圧力をかけ続け、蹴りを主体にしつつ、右ストレート、ロングフックにつなげ、時折松本をぐらつかせる。ジャッジ2名が前口を支持。記者採点も前口。
2R、松本が左ボディを当てるようになると、圧力をかけ返し、顔面へのパンチのヒットも増やし反撃する。ジャッジ2名が松本を支持。記者採点も松本。
3R、一進一退の五分の展開となるが、その中で松本が肘を当て、前口を出血させる。パンチのヒットも松本がやや上か。記者採点は松本。合計28-30で松本。ジャッジは2者が松本を支持し、2Rから巻き返した松本の勝利となった。
第1試合 64.5kg契約 3分3R
○水落洋祐(はまっこムエタイジム/元WPMF世界ライト級暫定王者、元REBELS 65kg級王者/64.3kg)
×山口裕人(山口道場/WPMF世界スーパーライト級暫定王者、元WBCムエタイ日本同級王者/64.4kg)
判定3-0 (小川29-28/北尻30-27/大村30-26)
1R、両者ともパンチ6割、右ロー3割といった攻防で、中盤、水落の右ストレートで少し山口がぐらつくが、終盤は持ち直す。ジャッジ1名が水落を支持。記者採点はイーブン。
2R、山口の肘で水落は左まぶたを切るが、ボディ打ちを散らしながら顔面にパンチを当て続け、山口をぐらつかせる。山口も耐えてパンチを返し続けたが、水落の勢いは止まらず、終了間際の右フックで山口はダウンする。採点は10-8で水落。
3Rも山口が肘で水落の右まぶたを切り、ドクターチェックが入る。続行後も水落がパンチで再三山口を追い詰め終了。記者採点は水落。合計30-27で水落。水落が判定勝ちで激闘を制した。
なお、今大会の会場となったベルサール高田馬場はKNOCK OUT初進出の会場で、1500の座席は完売となり、立見合わせ1863人の観衆を集めた。実質、後楽園ホールと同規模の会場といえよう。
大会の中継の解説席には那須川天心が座った。大会の模様はFIGHTING TV サムライで5月6日(月/祝)22時より放送される。