空道 12.1-2 愛知県立体育館:第5回空道世界大会でただ一人、東塾長の“息子”清水亮汰が日本に王座をもたらす
国際空道連盟「第5回空道世界選手権大会」
2018年12月1日(土)~2日(日) 愛知県立体育館
9年前の第3回大会では、ロシアが全カテゴリーを制圧し、日本は屈辱の優勝者ゼロ。4年前の前回大会では、7カテゴリー中、ロシアが6つ、日本が1つの王座を獲得。そして、今大会では、8カテゴリーで、ロシアが7人、日本が1人、優勝。空道界における勢力地図を塗り替えるまでには至らなかったが、なんとか、空道母国としての面子を保ち、4年後に復権を託すかたちとなった。
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レポート提供:編集スタジオあまがえる 写真提供:牧野壮樹
◆270+クラス
前回大会優勝のシャロマエフ・エヴジィニが引退。準決勝で、日本代表の野村幸汰は、マラット・アリアスハボブに、岩﨑大河はセルゲイ・ミナコフにそれぞれ敗れ、決勝はロシア人対決に。レスリングとサンボのスポーツマスターであり、コンバットサンボの大会でも実績を誇るアリアスハボブは、ミナコフの重いパンチを凌ぎ、ビクトル投げや、蹴り足をキャッチしてからのアキレス腱固めといった、いかにもコンバットサンボ経験者らしい技で攻める。その一方で、写真の後ろ蹴りのような奇襲攻撃も多彩で、延長旗判定5‐0のフルマークで、28歳、ロシア人選手としては遅咲きの初優勝を決めた。
◆-270クラス
エース選手であった加藤久輝がプロ競技活動に専念するために、連盟登録から外れたこともあって、もっとも、日本人選手優勝の可能性が低いといわれていたこの階級。目黒毅は、2回戦でトルコのムラット・ケメールにパンチ連打によって効果2つを奪われながら、右ストレートで逆転KO(一本)勝ちし、下馬評を覆してみせたが、準決勝では、前回大会優勝者であるコンスタンチン・カラウリヌイッフに、中段回し蹴りやパンチ連打で効果4つを奪われたうえに、腕十字で一本負け。決勝は、このカラウリヌイッフと、8年前のワールドカップで加藤に勝利しているアンドレイ・チェルニック(写真・青)によるロシア対決となり、本大会唯一の再延長、9分に及ぶ激戦の末、左ミドルでダウン(有効)を奪ったカラウリヌイッフが連覇を決めた。
◆-260クラス
この階級、前回、前々回大会と連覇を果たし、プロMMAの世界でも連戦連勝を重ねUFCとも契約した(結局、在住するチェチェン共和国の保険の問題等で試合は未だ実現せず)アダム・カリエフを、準決勝で加藤和徳が制する大殊勲。自身、喰らった経験のある、カリエフの主武器・後ろ回し蹴りを恐れることなく間合いを詰め、バックマウントからのパンチで効果ポイントを奪っての本戦旗判定5‐0勝利であった。もう一方のブロックからは、準決勝でロシア代表、イワン・シュペットとの接戦を制した(本戦は旗判定1‐2で劣勢、延長4‐1の逆転スプリットで勝利)清水亮汰が進出。決勝は、昨年、空道創始者である東孝・国際空道連盟理事長のひとり娘である由美子さんと結婚し、東理事長の義理の息子となった清水と加藤の日本人対決(写真。青が清水)となったわけだが、このカードが決まった後、審判団は、決勝のうち、ロシア人同士の対戦のジャッジは全員ロシア人でない審判員が、日本人同士の対戦のジャッジは全員日本人でない審判員が担当するかたちに、編成を変更。この計らいあって、細かな技術戦に終始したまま延長旗判定4‐0で清水の勝利が宣告されても、忖度が加わっていない結果であることが明白であった。
◆-250クラス
前回大会、清水亮汰にハイキックで効果を奪われ、決勝進出を逃したイゴリ・ペルミンが、世界選手権史上初の大道塾以外の団体所属の日本代表である加藤智亮から右ストレートで効果を奪い、準決勝をクリア。安富北斗、山崎順也を制したロマン・クリエフとのロシア人決戦(上写真、白がペルミン)を迎えた。ペルミンはパンチで効果を奪い、クリエフにつけいる隙を与えず。昨年のワールドカップに続く優勝を決めた。
◆-240クラス
ジョージアのラウリ・ツタラウリが、第2回大会時のエドガル・コリャン(アルメニア)以来、13年振りに日露以外の国に世界王座を持ち帰る可能性が高いといわれていたこの階級。ツタラウリは、初戦となった2回戦は腕十字で一本勝ち、3回戦では曽山遼太からハイキックで効果を奪い、準決勝は前回世界選手権準優勝者のアンドレイ・グリシン(ロシア)をアキレス腱固めで切って落とし、噂通りの強さをみせる。決勝の相手は、昨年のワールドカップの決勝でも対戦している前回世界選手権王者、ゲガム・マヴァジャン(ロシア)。昨年の対戦の際は、ツタラウリが攻勢のまま試合を終え優勝していたが、今回は一進一退(写真、青がツタラウリ)。そして、互いにノーポイントで本戦を終え、延長を行うことになった時点で、ツタラウリが突然の棄権を申し出る。閉会式後、ツタラウリが「大会前に肋骨を折っていて、闘える状態じゃなかった」と主張したのに対し、最優秀勝利者賞を獲得し、北斗旗をはためかせたマナヴァジャンは「前回負けた時は、出る予定だった選手が欠場して急に出場することになったから準備が出来ていなかっただけ。今回の結果が実力」と振り返る。ラバーマッチで白黒はっきりさせてもらうしか、あるまい。
◆-230クラス
この階級、2009年第3回大会の決勝では、エドガル・コリャンが中村知大を下し、2014年第4回大会では、エドガルが決勝を棄権したため中村が不戦勝で優勝している。その大会での引退を発表したエドガルだが、大会後の共同記者会見時に、中村から決着戦を懇願され、4年後の再会を約束。かくして、今大会、両者は準決勝で、相まみえることとなった。エドガルが豪快な投げを決めれば、中村はハイキックで顔面を脅かす。本戦、延長を経たうえで、中村に2本、エドガルにも2本の旗があがるまったくイーブンの展開の末、最後は主審が中村の勝利を宣告した。こうして、日本人初の3大会連続世界選手権ファイナリストとなった中村、決勝でも残る気力を奮い立たせて右拳を振るうが、ロシアの新エース、22歳のウラジミル・ミロシニコフ(写真・青)はテンプルにクリーンヒットを浴びても、反撃を止めない。2回戦・目黒雄太戦でも、準決勝・谷井翔太戦でも、本戦で攻め込まれながら延長で競り勝っているミロシニコフは、決勝でも、中村を蟻地獄の巣に引きずり込む。投げの打ち合いで体力を消費した中村に速いフック連打を浴びせ、延長戦旗判定、4-1のスプリットで、世界王座を奪い去った。
◆女子220+クラス
19歳のクリスチナ・スチエパニャン、20歳のアレクサンドラ・サビエチバ、ロシアの二人が決勝を争い、延長でニーインベリーからのキメ突きにより効果を奪ったスチエパニャン(写真・青)が優勝。両者とも10年以上の空道歴を誇りながら、容姿端麗。サビエチバはモデル業もこなすというが、準決勝では、優勝候補であったジョージアのプロMMA選手、リアナ・ドジョジュアを真っ向勝負で制している。ぐうの音もでない。
◆女子-220クラス
過去、世界選手権における女子部門はオープンカテゴリーのみで行われていたが、今大会より、軽量クラスがスタート。これまで無差別の世界でパワーの波に飲まれてきた日本女子だけに、期待が掛かったが…。小柳茉生はクリスチナ・サンドルキアに、作田千代美はアナスタシア・モシキナに、それぞれ準決勝で効果を奪われ、敗退。軽量級においても、ロシア勢が頂点を競うこととなった。上段前蹴りを決めたモキシナ(写真・青)が優勝。
試合結果
〔第5回世界空道選手権〕
■男子 270+/Male 270+ class
優勝/1st マラット・アリアスハボフ(Marat Aliaskhabov)(Russia)
準優勝/2nd セルゲイ・ミナコフ(Sergei Minakov)(Russia)
3位/3rd 野村 幸汰(Nomura Kota)(Japan)
■男子 -270/Male under 270 class
優勝/1st コンスタンチン・カラウリヌイッフ(Konstantin Karaulnykh)(Russia)
準優勝/2nd アンドレイ・チェルニック(Andrei Chernykh)(Russia)
3位/3rd 目黒 毅(Meguro Tsuyoshi)(Japan)
■男子 -260/Male under 260 class
優勝/1st 清水 亮汰(Shimizu Ryota)(Japan)
準優勝/2nd 加藤 和徳(Kato Kazunori)(Japan)
3位/3rd アダム・カリエフ(Adam Khaliev)(Russia)
4位/4th イワン・シュペッド(Ivan Shpedt)(Russia)
■男子 -250/Male under 250 class
優勝/1st イゴリ・ペルミン(Igor Permin)(Russia)
準優勝/2nd ロマン・クリエフ(Roman Kuliev)(Russia)
3位/3rd 加藤 智亮(Kato Tomoaki)(Japan)
4位/4th 山崎 順也(Yamazaki Junya)(Japan)
■男子 -240/Male under 240 class
優勝/1st ゲガム・マナヴァジャン(Gegam Manavazian)(Russia)
準優勝/2nd ラウリ・ツタラウリ(Rauli Tutarauli)(Georgia)
3位/3rd 服部 晶洸(Hattori Akihiro)(Japan)
4位/4th アンドレイ・グリシン(Andrei Grishin)(Russia)
■男子 -230/Male under 230 class
優勝/1st ウラジミル・ミロシニコフ(Vladimir Miroshnikov)(Russia)
準優勝/2nd 中村 知大(Nakamura Tomohiro)(Japan)
3位/3rd エドガル・コリャン(Edgar Kolyan)(Russia)
4位/4th 谷井 翔太(Tanii Shota)(Japan)
■女子 220+/Female 220 over class
優勝/1st クリスチナ・スチエパニャン(Kristina Stepanyan)(Russia)
準優勝/2nd アレクサンドラ・サビチエバ(Aleksandra Savicheva)(Russia)
■女子 -220/Female under 220 class
優勝/1st アナスタシア・モシキナ(Anastasiia Moshkina)(Russia)
準優勝/2nd クリスチナ・サンドルキナ(Kristina Sandrkina)(Russia)
※最優秀勝利者賞(北斗旗)獲得:ゲガム・マナヴァジャン
〔第2回世界空道ジュニア選手権〕
U13 F-42 勝利者/WINNER 相内 春花(Aiuchi Haruka)(Japan)
U13 F-52 勝利者/WINNER 神 舞優(Jin Mahiro)(Japan)
U13 M-42 優勝/1st 鈴木 廉(Suzuki Ren)(Japan) 準優勝/2nd アルセン・アヴェチシャン(ARSEN AVETISIAN)(Russia)
U13 M-52 優勝/1st 酒井 晃希(Sakai Koki)(Japan)
U16 F-43 優勝/1st 稲垣 琴愛(Inagaki Kotoa)(Japan)
U16 F-53 勝利者/WINNER 小野寺 玲奈(Onodera Reina)(Japan)
U16 F-63 優勝/1st アンゲリナ・スタロベロヴァ(Angelina Staroverova)(Russia)
U16 M-48 優勝/1st 今井 健太郎(Imai Kentro)(Japan) 準優勝/2nd チムル・ボルコフ(Timur Volkov)(Russia)
U16 M-58 優勝/1st バデイム・ルキナノフ(Vadim Lukinanov)(Russia) 準優勝/2nd 吉田 優太(Yoshida Yuta)(Japan)
U16 M-68 優勝/1st デニス・ズボフ(Denis Zubov)(Russia) 準優勝/2nd 鶴田 陸(Tsuruta Riku)(Japan)
U19 F-215 優勝/1st ビクトリア・ノスコバ(Viktoriia Noskova)(Russia)
U19 F-225 優勝/1st イアナ・マレバヌナヤ(Iana Malevannaia)(Russia)
U19 F-235 優勝/1st クセニア・ヤコベンコ(Kseniia Iakovenko)(Russia)
U19 M-220 優勝/1st エルビン・カザノフ(Elvin Gasanov)(Russia)
U19 M-230 優勝/1st エブゲニー・ノビコフ(Evgenii Novikov)(Russia)
U19 M-240 優勝/1st ダニル・マコゴノフ(Danil Makogonov)(Russia)準優勝/2nd アレクサンドル・ソポフ(Alexander Sopov)(Russia)
U19 M-250 優勝/1st 曽山 智輝(Soyama Tomoki)(Japan) 準優勝/2nd デミアン・ブンドザ(Demian Bundza)(Ukraine)
U19 M-260 優勝/1st ダニル・ダニロフ(Danil Danilov)(Russia)
U19 M-270 勝利者/WINNER コンスタンチン・イワノフ(Konstantin Ivanov)(Russia)
U19 M270+ 勝利者/WINNER ミハイル・スツヂョノフ(Mikhail Studenov)(Russia)