空道 11.13 仙台(レポ):アジア選手権。岩﨑大河&大倉萌、来年の世界選手権制覇へ向け前哨戦で快勝
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全日本空道連盟「2022アジア空道選抜選手権大会」
2022年11月13日(日)宮城・カメイアリーナ仙台(仙台市体育館)
レポート提供:編集スタジオとのさまがえる 写真提供:牧野壮樹
来年2023年5月13~14日に国立代々木競技場第2体育館で開催される、4年に一度の空道世界選手権に向けては、世界各地域で、出場権を争う大会が実施されており、韓国・モンゴル・インド・タイ・日本の選手が競った今回のアジア選抜大会は、日本代表を決めるための最終選考大会であった。
通例、世界選手権の日本代表は、世界選手権前の3シーズンの全日本選手権の成績を傾斜配点(直近の大会の成績ほど重視するかたち)で評価し、メンバーを選出するが、コロナ問題下の異常事態のなかでの代表選考は、全日本選手権の中止や延期が続いたことで、混乱に満ちた状況となっている。
また、今回の世界選手権、コロナやロシアのウクライナ侵攻をめぐる世界の状況から考え、出場選手数を絞って開催される可能性があり、日本代表として出場が確約されるのは、現時点では、各階級2名もしくは1名のみだという。
従って、今大会は、実績のある選手でも敗れれば“代表落ち”、実績のない選手でも優勝すれば逆転で“代表入り”……そんな「一発勝負」に近い緊張感に満ちていた。
そんななかで、MMAでも活躍する岩﨑大河、女子キックでも闘いを重ねる大倉萌は、ホームといえるマットのうえで、世界選手権へ向けて弾みのつく、圧巻の快勝劇をみせた。
男子270+
修斗やパンクラスのケージで8戦8勝の岩﨑大河(大道塾総本部)が、初戦は肩固めで一本勝ち、決勝は長沢新(大道塾岸和田支部)から、スタンドでの打撃でダウン(技有り=4ポイント)、グラウンドでの打撃でも5ポイントを奪い、本戦で8ポイント先取による優勢勝ちした。
空道の階級は身長センチ+体重キロの数値によって分けられるが、身長185センチ・通常体重96キロで、MMAではミドル級(約85キロ)戦線で闘っている岩﨑は、減量すれば、-270クラスでも闘えるわけで、当然、軽い階級で闘った方が世界選手権で勝てる率は高まると思われる。それでも最重量階級の270+での世界選手権出場を志す理由は「5年前、その階級で負けたというのもあるし、一番重い階級で勝つからこそ、日本を盛り上げられますし、それが東塾長(昨年2021年に亡くなった空道創始者)への最大の恩返しになる、と思っています」。前回2018年の世界選手権では、270+クラス準決勝で、ロシア人選手に敗れている岩﨑。リベンジ、そして、日本人による最重量階級制覇に期待したい。
男子-270
リーグ戦における事実上の決勝戦、西尾勇輝(写真白、大道塾大阪南支部)が、当て位置が的確な下段蹴りで奈良朋弥(大道塾青森市支部)に先制し、意識を下段に傾けた段階で、日本拳法出身者ならでは鋭い右ストレートを決め、本戦効果優勢勝ちを収めた。西尾は全日本レベル以上の大会に初出場の新人であり、奈良は前回世界選手権後の全日本を連覇している実績者。頼もしい新人が現れたとも、トップ選手に盤石の強さがないとも、感じさせる結果であった。
男子-260
半年前の全日本でMVP(北斗旗)を獲得している近藤瑞起(写真白、大道塾岸和田支部)は、準決勝で、極真空手の派閥のひとつ(WKF極真会館)の世界選手権で準優勝した経験をもつ宮原穣(大道塾東中野支部)の華麗な蹴り技を凌ぎ、掴んでのアッパー連打で効果(1ポイント)を得て、決勝進出を果たすが……。決勝の相手、イ・ウォンチョル (写真青・韓国)も極真空手出身で、前回アジア選手権で岩﨑大河をダウンさせた後ろ回し蹴りをはじめとして、蹴り技が巧みでありつつ、掴んでの打撃、テイクダウンの攻防、グラウンドでのポジショニングなど、どの局面にも穴がなかった。間合いを詰め、組んでからの展開で勝負に出た近藤だったが、掴んでのローや、タックルで返り討ちに遭い、スタミナが切れたところで、ニーインベリーからのキメ打撃で効果(1ポイント)を2度に渡り奪われ、延長、スプリットの旗判定で惜敗。日韓のナショナル王者対決で、アジアの王座を韓国に譲った。
男子-250
決勝、離れては伸びのあるストレートやハイキック、組んではガードからの腕十字など、全局面で一本を奪える武器をもった寺阪翼 (写真白・大道塾総本部)が、2019年にシニア(いわゆる壮年部)の全日本を制し、その後、一般カテゴリーに転向し、この春、その全日本選手権でも準優勝を果たした47歳の佐川太郎(大道塾仙台東支部)から、掴んでの中段前蹴りで効果(1ポイント)を奪い、延長旗判定5-0で、嬉しい初優勝。
男子-240
今年の全日本王者・伊東宗志(大道塾日進支部)、2019年の全日本王者・寺口法秀(大道塾横浜北支部)、2016年の全日本王者・田中洋輔(大道塾御茶ノ水支部)、昨年と今年、いずれも全日本準優勝の遠藤春翔(大道塾総本部)、3年連続U19全日本優勝の記録をもつ曽山遼太(大道塾岸和田支部)、そして全日本無冠ながら前回世界選手権でこの階級の日本人最上位・3位入賞の服部晶洸(大道塾横浜北支部)……の6名が日本代表の座を競う激戦となったこの階級、モンゴル、韓国、インドの選手たちのつけ入る隙はなく、決勝に駒を進めたのは、今春の全日本と同じく、伊東と遠藤だった。伊東がアッパーでアゴを抉れば、遠藤は頭突きから大外刈でテイクダウン(上写真)。一進一退の攻防の末、延長旗判定5-0で、遠藤が5ヵ月前のリベンジを果たした。
男子-230
決勝に駒を進めたのは、全日本連覇記録(2022年でV7)保持者・目黒雄太(写真青・大道塾長岡支部)と、前回アジア選手権王者、谷井翔太(大道塾横須賀支部)。右利きサウスポーの谷井は、前拳を強打する独自のスタイルをもち、一方の目黒は、側転したり、相手の帯を踏み台にしてジャンプしての蹴りを放ったりと、予測不能な動きをみせる。寝た状態から飛び上がるように蹴りを放つ目黒の過去の試合映像を目にしたデメトリアス・ジョンソンが自身のYouTubeチャンネルで「ジャッキー・チェン・スタイル!」と評していたが、通算対戦成績は2勝2敗のイーブンで迎えた今回の目黒vs谷井も、展開は既存のキックボクシングやMMAのセオリーにはあてはまらない展開となった。谷井がランニングしながら頭突きで突っ込めば、目黒は片腕で韓国背負風のコントロールをみせる。闘いは今大会唯一の再延長、9分間におよび、右フックで効果を奪った谷井が、勝ち越しを決めた(再延長効果優勢勝ち)。
女子-220
決勝は、ここ数年はキックボクシングの試合にも挑み、名だたるトップファイターたちと好勝負を繰り広げている大倉萌(大道塾吉祥寺支部)と、2021モンゴル選手権王者、ダヴァジャルガル・プレヴジャブの対戦。道着を掴んで相手を遠心力で振り回してのハイキック(写真)など、空道ならではの技術をみせる様は、まさに〝水を得た魚〟。右ストレートや上段前蹴りで、5つの効果を奪い、完勝を収めた(延長効果優勢勝ち)。
女子220+
リーグ戦で争われたこの階級、事実上の決勝戦となったのは、内藤雅子(大道塾横浜北支部)vs小関沙樹(大道塾仙台東支部)。内藤は柔道出身の選手で、以前は掴んで内股→寝技という展開が必勝パターンであったが、ここ数年で、左ミドルや右ストレート(写真)の切れるトータルファイターに成長。延長効果優勢勝ちを収めた。
入賞者
男子
230以下: 優勝 谷井翔太 (日本・大道塾横須賀支部) 準優勝 目黒雄太(日本・大道塾長岡支部)
240以下: 優勝 遠藤 春翔 (日本・大道塾総本部支部) 準優勝 伊東 宗志 (日本・大道塾日進支部)
250以下: 優勝 寺阪 翼 (日本・大道塾総本部) 準優勝 佐川 太郎 (日本・大道塾仙台東支部)
260以下: 優勝 イ・ウォンチョル (韓国) 準優勝 近藤瑞起 (日本・大道塾岸和田支部)
270以下: 優勝 西尾勇輝(日本・大道塾大阪南支部)
270超: 優勝 岩﨑 大河 (日本・大道塾総本部) 準優勝 長沢 新 (日本・大道塾岸和田支部)
女子
220以下: 優勝 大倉 萌 (日本・大道塾吉祥寺支部) 準優勝 ダヴァジャルガル・プレヴジャブ(モンゴル)
220超: 優勝 内藤 雅子 (日本・大道塾横浜北支部)
最優秀勝利者賞 岩﨑 大河
秋期全日本空道ジュニア選手権大会
※氏名の後ろのカッコ内表記はすべて「大道塾〇▽支部」の略。
U11女子 34kg以下 優勝 千葉紗空(登米) 準優勝 相内結衣(青森)
U11女子 44kg以下 優勝 楯 らめる(岸和田)
U11男子 34kg以下 優勝 内藤雄星(新宿西) 準優勝 檜野 岳(仙台東)
U11男子 44kg以下 優勝 平山瑛人(多賀城) 準優勝 三浦泉海(仙台西)
U12女子 42kg以下 優勝 相内美希(青森)
U12女子 52kg以下 優勝 春本侑里(日進)
U12男子 42kg以下 優勝 佐藤蓮太(仙台西) 準優勝 滝田隼汰(総本部)
U12男子 52kg以下 優勝 村山陽音(仙台西)
U13女子 42kg以下 優勝 廣田舞央(弘前)
U13女子 52kg以下 優勝 菊地菜々乃(仙台東)
U13男子 42kg以下 優勝 亀田 空(総本部) 準優勝 島橋陽也(多賀城)
U13男子 52kg以下 優勝 鈴木奏多(仙台西) 準優勝 佐藤大峨(総本部)
U16女子 43kg以下 優勝 五十嵐心桜(三沢)
U16女子 53kg以下 優勝 槻田ゆい(木町)
U16男子 48kg以下 優勝 坂本天音(塩釜)
U16男子 58kg以下 優勝 相原琉唯斗(仙南) 準優勝 飛澤周希(盛岡)
U16男子 68kg以下 優勝 熊谷慈英(仙南) 準優勝 佐藤歩(仙台西)
U19女子 215以下 優勝 相内春花(青森市)
U19男子 230以下 優勝 曽山隆聖(岸和田)
U19男子 240以下 優勝 佐々木惣一朗(仙台東) 準優勝 佐々木翼(長岡)
U19男子 250以下 優勝 佐藤裕太(横浜北)
平塚賞 槻田ゆい(木町)