KNOCK OUT 5.18 後楽園ホール(レポ):大沢文也、大谷翔司を翻弄しBLACKライト級王座獲得。津崎善郎、クンタップとの3戦目で初勝利。漁鬼、中島弘貴にリベンジし海人戦権利獲得
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2025 vol.3
2025年5月18日(日) 後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)KNOCK OUT
※KNOCK OUTのBLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール。REDルールはオープンフィンガーグローブ着用・肘有りキックルール。UNLIMITEDルールはREDルールに加え倒してからの打撃も有効なルール
大沢文也、大谷翔司を翻弄しBLACKライト級王座獲得、6.22 代々木のUNLIMITED戦志願
第10試合 メインイベント KNOCK OUT-BLACKライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×大谷翔司(スクランブル渋谷/王者、元INNOVATION同級王者)※初防衛戦
○大沢文也(ザウルスプロモーション/挑戦者、元Krushライト級王者)
判定0-3 (センチャイ29-30/少28-30/大沢29-30)
※大沢が王者に
大谷は34歳。12月の後楽園でのKNOCK OUT-BLACKライト級王座決定戦では、6月にKO負けした相手であるセーンダオレックと再戦し、2Rパンチ連打でTKO勝ちしリベンジしベルトを巻いた。2月大会ではリード・ミラーに1R右ストレートでKO勝ちすると、大沢がリングインした。両者は23年11月のKrushで対戦し、大谷が延長判定2-1の僅差で勝利している
2月大会のリング上で大沢は大谷に再戦を要求し、大谷も「Krush王者(=大岩龍矢)を振り向かせるのに一番手っ取り早いのは、こうやってK-1とかKrushの目の前に現れた選手を全員圧倒的強さでなぎ倒すことだから、やりましょう」と答え、再戦を了承していた。なお、四国の愛媛出身の大谷はその後、3月30日のRIZIN香川大会での足利也真登にKO勝ちしている。
大沢は33歳。Krush・K-1に15年上がり続けているベテラン。22年4月に瓦田脩二に判定勝ちしKrushライト級王者に。23年6月に里見柚己に判定負けし王座陥落。昨年は3月に友尊に、7月にペットサムイ・シムラに判定勝ち。12月のKNOCK OUT横浜大会に参戦すると、グラウンド打撃ありのUNLIMITEDルールでバズーカ巧樹と対戦し判定勝ちしている。引き続きK-1 GROUPからの派遣でKNOCK OUTに乗り込む。
試合前のインタビューで大沢は「彼は技巧派の戦いはできない。センスのない人の戦い方しかできない」と話していたが、試合ではその技術差で大谷を翻弄することに。
1R、序盤は大沢が中央に立ち、中盤から大谷も前に出て、お互い攻撃は出すものの、まだ手数は少ない。終盤、大沢は左ボディ、左右のロー、左ミドル等のヒットを増やす。大谷が前に出れば、ジャブやクリンチで突き放す。最後、大沢が左右のローを前足に当てると、大谷は少し足が流れがちになる。記者採点はイーブンだが、大沢についても不思議ではない。
2R、大沢はパンチを散らしつつ、左右のローを随所でヒットし、1R同様に多様な攻撃パターンで大谷を翻弄する。大谷はガードを固めつつ前に出るが、大沢は回って距離を取り、ミドル、ストレート等も絡め、ローを的確に当て続け、流れを変えさせない。記者採点は大沢だが、ダメージで大谷をひるませるほどではないため、このラウンドもイーブンとなっても不思議ではない。
3R、大谷はしぶとく前に出るが、変わらず大沢は回って距離を取り、ローはうちにくくなったものの、左ジャブ、ボディを随意でしっかり叩き込む。大谷は2Rまでよりもヒット自体も減り、最後まで同様の構図が続き、大谷に得意の“ナパームストレート”右ストレートを当てさせず終了する。記者採点は大沢。合計28-30で大沢。ジャッジ3者も大沢を1~2ポイント差で支持し、大沢が判定勝ちで、大谷へのリベンジを果たした。
ベルトを巻きマイクを持った大沢は「気持ちよく終わりたいんで、最初に毒舌吐きます。俺の(勝利)予想しなかったクソラウンドガール、俺に予想しろ。(中継席の)アンジー(ひより)お前もだよ。森岡(悠樹)選手は好きだから許す」と怒りをまき散らしつつ「今回の試合前、色々ありまして、ピリピリしていました。自分のお父さんがステージ4で、12月の試合の時で最後と思っていましたが、あの試合で勝って、お父さんのがんが小さくなりました。自分の試合が多少なり人の力になるとうれしいです。今回は自分のために戦いました。本当にみんなに感謝しています。ありがとう」と感謝の言葉を述べ、最後は「KNOCK OUTのベルト、似合ってますか?カーフキック蹴られたんですけど、ダメージないんで、6月(22日)代々木で、僕のUNLMITEDルール、見たくないですか?集客は任せてください。KNOCK OUT最高」とアピールした。
津崎善郎、クンタップとの3戦目で初勝利
第9試合 セミファイナル KNOCK OUT-REDスーパーウェルター級(70kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×クンタップ・チャロンチャイ(タイ/チーム・クンタップ/王者、元WMC世界・WMAF・M-1同級王者)※BTC GYMから所属変更 ※2度目の防衛戦
○津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム/挑戦者、元暫定王者、スック・ワンキントーン・ミドル級王者)
判定0-2 (秋谷29-29/センチャイ28-29/少28-29)
※津崎が王者に
クンタップは45歳、津崎は40歳で、3度目の対戦。22年12月の同王座決定戦で対戦し、クンタップが判定勝ち。23年2月、クンタップはMASATO BRAVELYを相手に防衛戦を予定していたが、拳の負傷により欠場し、代わって津崎が出場し、暫定王座決定戦でMASATOに判定勝ちした。昨年12月の後楽園大会での王座統一戦では、クンタップが判定2-0の僅差で勝利したが、評価が分かれる内容だった。津崎は今年2月大会で蛇鬼将矢に2R TKO勝ちしている。
この3度目の対決についてKNOCK OUTの山口元気代表は「3度目の正直で、遺恨なく決着つけてほしい」「REDルールも変わりました。オープンフィンガーグローブになってますし、さらに言えば、判定基準も明確に変わりました。そういう意味ではもう言い逃れができない決着戦になるのかなと思うし、してもらいたい」と3月のカード発表時に話していた。
1R、津崎が前に出る時間が続き、右ロー、ストレートを当てる場面もあり、積極性で上回る。だがクンタップはもらいっぱなしにはならず、終盤には前に出て右ストレートを返したり、首相撲で膝を当てたり崩したりして巻き返す。記者採点はイーブンだが津崎につく可能性もある
2R、クンタップは下がりつつも左右のミドル、膝、右ストレートを随所でヒット。中盤にはクンタップが前に出て右ストレートを当てる。だが終盤、津崎も右ストレート、肘、カーフのヒットを増やし、やや優位に。クンタップはしんどそうだが、最後は津崎の右ミドルをつかんで右ミドルを強打し、底力を見せる。記者採点はイーブンだが、終盤やや優位だった津崎につく可能性もある。
3R、クンタップは序盤から前に出て、スイッチを織り交ぜつつ左右のパンチを当てる。だが中盤から組む場面が増える。膝を当て、崩しも絡め、ムエタイ基準なら有効な攻めを見せるが、今のKNOCK OUTの採点基準で評価されるかは微妙なところだ。終盤、津崎が右ストレートを当てるとが、クンタップは舌を出して効いていないとアピールする。最後はクンタップが崩しで倒して終える。記者採点はイーブンだがクンタップにつく可能性もある。合計30-30でイーブン。ジャッジは比較的ポイントを割り振り、1Rと2Rを若干優位に進めた津崎を2者支持し、津崎が判定勝ち。津崎が対クンタップ3戦目で初白星を手にし、王者となった。
ベルトを巻き、マイクを持った津崎は「お互いキャラにもなくバチバチになって、昨日の会見でもBreakingDownじゃないですけど、激しく煽ってきて、僕も内心穏やかじゃなかったんですけど、今日、リングチェックしている時にクンタップ選手が僕のところに来て『昨日はごめんね』と。尊敬できる偉大なチャンピオンだと思いました。今も僕なりにすっきり戦えたつもりです。やっぱり強いですね。3回戦ったんですけど、クンタップ選手がいたからここまで成長できたと思います」とクンタップを称えた。
最後に津崎は「KNOCK OUTが盛り上がっていて、華のある軽量級の選手に注目が行きがちですけど、大きい階級の、特に肘有りは面白いんだと、チャンピオンとしてこれから見せていきたいです」とアピールした。
漁鬼、中島弘貴にリベンジし海人戦権利獲得
第8試合 KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)暫定王座決定戦 3分3R(延長1R)
×中島弘貴(NEXT LEVEL渋谷/元Krushスーパー・ウェルター級王者)
○漁鬼[りょうき](SHINE沖縄/元TENKAICHI&BEASTウェルター級王者)
判定0-3 (秋谷27-29/北尻28-29/板倉27-29)
※漁鬼が暫定王者に
海人が長らく防衛をしていないことから、今回、暫定王座決定戦が組まれた。
中島は36歳、21年からKNOCK OUTにレギュラー参戦し4連勝後、22年7月にKNOCK OUT初参戦の漁鬼と対戦したが、中島は苦戦し、延長の末にTKO勝ちしている。
漁鬼は29歳。KNOCK OUT初戦で中島に敗れた後、昨年2月、約2年ぶりにKNOCK OUTに上がると、渡部太基に判定勝ち。6月にエミール・アラゾフと対戦し判定負け。10月のKNOCK OUT-BLACKウェルター級王座決定トーナメント準決勝では中島玲に判定負けするも、激しい打ち合いを繰り広げ評価を高めた。今年2月には西川康平を1R KOしている。ウェルター級での試合が続いていたが、今回はスーパーウェルター級に階級を上げて戦う。
試合は漁鬼が成長を印象付ける内容に。1R、漁鬼がプレッシャーをかけ、右ストレート、左ジャブ、フック、右ロー等を積極的に放つ。最後、中島が右ストレートを当てたが、それまでの消極的的な印象をぬぐうほどにはならない。記者採点は漁鬼。
2R、変わらず漁鬼が前に出て。右カーフを当てていると、中島は少しバランスを崩すように。終盤、漁鬼は右ストレート等のヒットを増やす。終了間際、前に出た中島が、後退してロープに跳ね返った漁鬼に右ストレートを当てて倒したが、漁鬼がすぐ立ったこともあり、和田レフェリーはダウンとみなさない。記者採点はイーブンだが、最後の中島の一撃をジャッジ3者とも評価したようで、中島を支持する。
3R、中島は左インローを当てるが、漁鬼も右カーフを返していると、中盤には右アッパー、左ボディも繰り返し当て、じわじわ中島を追い詰めると、残り30秒、右ハイをヒットしひるませ、さらに右フックを当ててついにダウンを奪う。中島はなんとか立ったが、カーフのダメージもあって踏ん張りが効かず、最後は漁鬼に押し倒され終了する。8-10で漁鬼が取る。合計27-30で漁鬼。ジャッジ3者も漁鬼を支持し、漁鬼が判定勝ちでリベンジを果たし、暫定王座も獲得した。
ベルトを巻き、マイクを持った漁鬼は「これでたぶん日本で一番強い海人選手と仮で試合が決まったんで、自分がジャイアントキリング起こします。僕、ウェルター級なんですけど、来月(BLACK同級王者の)中島怜とユリアン(・ポズドニアコフ)が試合するんで、勝った方とやらせてください」とアピールし、2階級制覇に意欲を示した。
第7試合 BLACK ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○バズーカ巧樹(菅原道場/MA日本スーパーライト級王者、元KNOCK OUT-RED・REBELS-BLACK同級王者、元KNOCK OUT-BLACKライト級王者)
×武内晴信(TEAM PREPARED/RUSH ONスーパーライト級(65kg)王者)
1R 2’20” KO (右ストレート)
バズーカはKNOCK OUTでマルコス・リオス、中島玲、大沢文也相手に3連敗中だが、今回はKNOCK OUT本戦シリーズ初登場の武内との試合では、大幅な経験差を発揮し完勝する。
1R、開始すぐから、バズーカが首相撲で捕まえてから膝蹴りを2連打する反則を犯し、少白竜レフェリーから注意を受ける。バズーカはしばらく距離を取るが、右の前手を突き出しながら前進すると、左ストレートを当て、武内をひるませる。さらにバズーカは左ハイも当てる。それでも武内が前進を続けていると、中盤過ぎ、右ストレートを当てたが、すぐにバズーカが左ストレートを当て返してから、右のバックハンドブローをクリーンヒットする。武内は腰が落ち、ロープに腰掛ける形となり、意識が飛んだ状態がしばらく続く。レフェリーはダウンを宣告しカウントしたが、バズーカをニュートラルコーナーに戻す間に武内の意識が戻ったせいもあってか、試合を続行する。しかし武内は足元がフラついており、止めたほうがいい状態で、バズーカが右ストレートを当て、武内の腰が落ちたところで、レフェリーがすぐさまストップした。
第6試合 UNLIMITED スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○高橋幸光(飯伏プロレス研究所/元BOMウェルター級王者、元WMC日本スーパーライト級王者、元MA日本&J-NETWORKライト級王者)
×川村英樹(リバーサルジム久喜wings)
1R 2’21” KO (グラウンドパンチ)
高橋は昨年10月、REDルールでMASATO BRAVELYに判定負け。今回はUNLIMITEDルールに初挑戦した。ムエタイベースの選手同士の戦いで、キャリアで大幅に勝る髙橋が打撃スキルの差を活かして完勝する。
。1R、両者サウスポーで構え、髙橋がプレッシャーをかけると、川村は両先を差して組み付くが、髙橋は倒れず、膠着ブレイクがかかる。その後も髙橋が前に出続けていると、ロープに際まで詰め、ボディへの右の前蹴り、顔面への右フックを連続で当ててダウンを奪う。高橋がサイドポジションから左のパウンドと肘を連打したところで、植松レフェリーがストップした。
マイクを持った高橋は「プロレスラーの俺がこのルールでやったら面白いでしょ。いつでもまた来るんで、すぐに呼んでください」とアピールした。
第5試合 RED フライ級(50.5kg) 3分3R(延長1R)
○渡部 蕾[らいな](KNOCK OUT クロスポイント大泉)
×エイル・ルーククロンタン(HIDE GYM)
2R 1’22” KO (左肘打ち)
17歳の新鋭対決。渡部がサウスポーで距離を取る構図が続き、なかなか攻め手をつかめなかったが、2R中盤、左ストレートをクリーンヒットしてのけぞらせ、ボディへの右前蹴りも当てると、エイルはガードが下がって後退する。渡部はチャンスを逃さず、パンチの連打からの左の縦肘でKOした。
第4試合 RED ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○小林 司(Sports 24/スック・ワンキントーン・ライト級王者)
×力也(ウィラサクレック・フェアテックス湖北)
1R 1’45” TKO (ドクターストップ:パンチによる右目の負傷)
1R、小林がサウスポーからの左ストレート、縦肘を当て続けていると、力也は眉間をカットして出血し、ドクターチェックが入る。傷は浅く見えたが、ドクターは指を一本立て、腫れた右まぶたのチェックをすると、ストップがかかり、小林のTKO勝ちとなった。
第3試合 BLACK 女子アトム級(46kg) 3分3R(延長1R)
×Nao(AXGYM/ミネルヴァ・アトム級王者)
○Kiho(KNOCK OUT GYM 調布)
3R 1’43” KO (右ハイキック)
Naoが蹴り、パンチ、首相撲と、多様な攻めで主導権を握り続けていたが、3R、Naoがパンチを振って前に出て、KIhoが下がった状況で、Kihoが右ハイキックをカウンターでクリーンヒット。ダウンを奪うとダメージが大きく、Kihoの逆転KO勝ちとなった。
第2試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○雅治(レンジャージム)
×森本直哉(フリー)
判定3-0 (30-27/30-28/30-27)
第1試合 BLACK 女子45kg契約 3分3R
○森川侑凜[ゆり](J-KRANG)※GRES 8Mile GYMから所属変更
×BONNIE(MSJ KICKBOXING GYM)
判定3-0 (30-27/30-26/30-28)
プレリミナリーファイト第2試合 RED フェザー級(57.5kg) 3分3R
○茂木豪汰(上州松井ジム)
×KO-KI BRAVELY(BRAVELY GYM)
2R 2’48” KO (左ストレート)
プレリミナリーファイト第1試合 UNLIMITED 61kg契約 1R3分・2R2分・3R1分
×江森優惺[ゆうせい](KNOCK OUT クロスポイント吉祥寺)
○松本飛雅[ひゅうが](パラエストラ広島)
判定0-3 (27-30/28-29/28-30)