修斗 12.29 ゴリラホール大阪(レポ):田上こゆる、ストロー級世界王座獲得し新井丈戦熱望。ダイキライトイヤー、野瀬翔平に判定勝ちしバンタム級環太平洋王者に。石原夜叉坊、4年ぶり日本での試合は50秒KO勝ち。18歳の伊藤琉之助、キック-51.5kgトーナメント優勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム錦糸町
最強のムエタイで最高の“美Body”を目指す!初心者の方、女性の方、大歓迎。見学無料!
サステイン主催「プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2024 FINAL in OSAKA」
2024年12月29日(日)大阪・GORILLA HALL OSAKA
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO
中継:ツイキャス(4,500円/1月12日(日)23:59まで)
田上こゆる、ストロー級世界王座獲得し新井丈戦熱望
第14試合 第11代修斗世界ストロー級チャンピオン決定戦 5分5R
○田上こゆる(BLOWS/世界1位)
×旭那 拳(THE BLACKBELT JAPAN 沖縄/世界2位)
判定3-0 (鍋久保49-46/岡田50-45/豊島50-45)
※田上が王者に
旭那は昨年11月、地元沖縄大会のメインで泰斗に判定勝ちし、田上との対戦を希望し、会場に来ていた田上も承諾した。今年3月の後楽園大会で組まれたが、旭那が左中指骨性マレット指により手術し欠場。5月のニューピアホール大会で改めて試合が組まれ、田上が右ストレートで1R KO勝ちしている。2階級制覇王者だった新井丈が修斗世界フライ級王座防衛に専念するためストロー級王座を返上したことを受け、2024年最後のプロ修斗公式戦で、1位の田上と2位の旭那による第11代ストロー級王座決定戦が組まれた。
再戦は田上の地元大阪で行われる。初対決の1R決着と違い、今回は5R決着となったが、またも田上が実力差をはっきり示す内容となる。
1R、田上がサウスポーをベースとしつつスイッチを繰り返し。細かく動いてプレッシャーをかける。終盤、田上が左フックを効かせると、パンチラッシュから左膝も当てて追い詰めて倒す。田上は金網際でサイドポジションで押さえて終える。記者採点は田上。
2R、田上が1R同様にスイッチを繰り返しつつプレッシャーをかけ続け、時折顔面とボディにパンチを当てる。中盤過ぎにはパンチをまとめる場面も。記者採点は田上。
3R、田上は右ストレートを立て続けに当てて、旭那をダウンさせる。旭那は防御も兼ねつつタックルを仕掛けて倒し上になる。旭那は肩固めのプレッシャーをかけつつマウントを奪い、逆転のチャンスを作る。終盤、旭那はサイドで押さえ続け、残り30秒で腕十字を狙うが、田上は動きを読んで対処してスタンドに戻し、両手を広げてアピールし、地元大阪の応援団の喝采を浴びる。記者採点は田上。
4Rは見合う状態が続き、後の無い旭那がプレッシャーをかける側になるが、田上は距離を取り攻撃を許さない。田上は攻撃が減るものの、時折左ジャブ、ストレート、右ロー等を当て、若干優位な状態をキープする。記者採点は田上。ジャッジは割れ2者が田上につけるが1者のみ旭那につける。
5R、田上は4Rと変わらず距離を取り、随所で自分のパンチを当て、逃げ切りの体勢に。終盤、旭那はタックルで田上を倒し、金網際で押さえるが、押さえるので手一杯でパウンドを出せない。逆に下の田上がパウンドや鉄槌を当て、最後は蹴り上げも当てて差を示して終える。記者採点は田上。合計50-45で田上。ジャッジ3者も田上を大差で支持し、田上が判定勝ちで修斗世界ストロー級王者となった。
ベルトを巻きマイクを持った田上は「KOして言いたかったんですけど、喧嘩売りたい相手おって。最近負け続きですけど、新井丈チャンプ、打ち合う選手やし、他団体の対抗戦も考えましたけど、修斗でおもろいカードってこれなんちゃうかなと思って。キャッチウェイトでも僕が階級上げてもいいです。あと僕は防衛戦、年1回じゃなく、毎試合防衛戦がしたいです。みんなで格闘技界盛り上げて面白い試合しましょう」とアピールし、階級を越えた新井との王者対決や、ハイペースでの防衛戦で修斗の活性化を目指したい考えを示した。
ダイキライトイヤー、野瀬翔平に判定勝ちし環太平洋バンタム級王者に
第13試合 第13代修斗環太平洋バンタム級チャンピオン決定トーナメント決勝戦 5分3R
×野瀬翔平(マスタージャパン福岡/環太平洋3位、世界1位)
○ダイキライトイヤー(修斗GYM神戸)
判定1-2 (豊島29-28/鍋久保28-29/安芸28-29)
※ダイキが王者に
7月の後楽園大会で藤井伸樹が齋藤奨司との修斗世界バンタム級王座決定戦で勝利したのに伴い、保持していた同級環太平洋王座を返上したため、9月の後楽園ホール大会から4選手参加の王座決定トーナメントが始まり、今回決勝が行われた。
野瀬は3年連続でROAD TO UFCに参戦し、今年は5月の一回戦で元DEEP同級王者のユ・スヨンに判定負けした。とはいえ国内では昨年12月の修斗山口大会で神田T800周一に1Rアームロックで一本勝ちし、今年2月のRIZIN佐賀大会でも瀧澤謙太に2R TKO勝ち。9月のトーナメント初戦では人見礼王に2Rアームロックで一本勝ちした。
ダイキは36歳。13年にプロデビュー。長年修斗に上がり、16年9月のVTJで佐藤将光にTKO負けしたこともある。近年はRIZINにも上がり、22年11月のRIZINでは釜谷真をタックルのカウンターの膝蹴りでKO。今年3月のRIZINでは金太郎に判定負け。今回のトーナメント初戦は対戦相手の川北晏生が皮膚疾患でドクターストップがかかり試合中止となり、ダイキは戦わずして、そしてノーランカーのまま決勝に進んだ。
1R、ダイキが野瀬を金網に押し込むと、野瀬は飛びついてギロチンチョークを仕掛けて、グラウンドに引き込む。下の野瀬はそのままリバースして上になり、ギロチンを解除し、ハーフガードでコントロールする。だがダイキの蹴り上げで野瀬は鼻血を出してしまう。中盤過ぎには野瀬がパスガードしてマウントを奪う。終盤、野瀬はサイド、バックと移り、ダイキの首元に腕を入れるが、ダイキが防御して終える。記者採点は野瀬。ジャッジ3者とも野瀬につける。
2R、野瀬はまたも序盤から倒し、トップキープして時折パウンドを落とす。だが野瀬が腰を上げてスタンド状態になると、寝たままのダイキの蹴り上げが度々野瀬の顔面を捕らえ、野瀬はフラついてしまう。野瀬は再びグラウンドなるとマウントを奪う。まだ残り1分半もある状況で、野瀬は早くも腕十字を狙うが、ダメージの無いダイキは対処し、スタンドに戻す。野瀬はそれでも再びすぐに倒すと、ハーフで押さえ続けて終える。記者採点はダイキ。判断が難しかったが、下になり続けながらもダイキがはっきりダメージを与えていたと評価した。ジャッジは割れ、1者がコントロール時間の長かった野瀬につけ、2者がダイキにつける。
3R、野瀬はタックルを繰り返すが、蹴り上げをもらったダメージの影響もあってか、力が入らない。ダイキは切り続け、立つと右ストレート、膝を当てて印象を作る。野瀬は打撃勝負に応じるがフラフラで、自分の攻撃を出せない。終盤、野瀬がタックルを仕掛けるが、ダイキはまたも切る。ダイキは時折笑みを浮かべつつ自分の右フックやストレートを的確に当て続け、主導権を維持して終える。記者採点はダイキ。合計28-29でダイキ。3Rのジャッジは3者ともダイキにつける。2Rが割れたためジャッジの合計も割れ、1者は野瀬を支持したが、2者がダイキを支持し、ダイキが判定勝ちし、環太平洋バンタム級王者となった。
環太平洋バンタム級のベルトを巻いたダイキはマイクを持ち「まず始めに、結果もろくに出してこなかった、ランキングにも入っていない自分を信じてくれてみんなありがとう。こんな自分でもチャンピオンになれました。あきらめなければ夢がかなうと証明できました。修斗やってきて良かった。ありがとう。最後に修斗やっている息子の璃一と写真撮らせてください」と話し、息子やチームメイトと記念撮影した。
石原夜叉坊、約4年ぶり日本での試合は50秒KO勝ち
第12試合 フェザー級 5分3R
○石原夜叉坊[やしゃぼう](KING OF FREE)
×轟轟[とどろきごう](コブラ会)
1R 0’50” KO (左フック)
石原は33歳。修斗でデビューし、15年のRoad to UFCを経てUFCと契約し、16~19年にUFCに上がり、8戦3勝5敗、最後は3連敗で契約が終了する。21年1月に修斗ニューピア大会に出場し祖根寿麻に判定負けした後、居住する米国のローカル大会で8戦し3勝4敗1分。昨年9月にユライア・フェイバー主催大会で敗れて以来となる試合が、修斗の試合となった。地元大阪での試合は約10年ぶりとなる。対する轟轟はMMA 6戦4勝1敗1分の24歳。8月のTRIBE TOKYO FIGHTで狩野優に判定勝ちし3連勝中だが、世界の舞台で戦ってきた石原は問題にしなかった。
1R、石原はサウスポーで構え、右のガードを下げて誘いつつ出入りする。轟轟が右ミドルを立て続けに放ち、石原は左手で蹴り足をすくいつつ前に出る。金網際まで下がった轟轟は、足を抜くと右のフックを連続で振うが、石原は下がってかわしてから、カウンターで左フックをこめかみにヒットする。轟轟は腰が落ち、すぐ立つが、背中を向けて逃げる形となり、石原は追いかけながら左フックをさらに3連打して倒す。石原がパウンドで追撃しかけたところで片岡レフェリーがストップした。
マイクを持った石原は「ただいま」と地元大阪のファンに向けて第一声を放ち「やっと帰って来れました。またここから出発なんで。言うことなくて。気持ち良すぎる。大阪最高。また片道切符でどっか行くんで(主催のサステイン代表の)坂本さん、また呼んでください。これだけ応援おったら僕の交通費出ると思うんで」と、地元での券売力の強さをアピールしつつ、修斗継続参戦に意欲を示した。
青井太一、山本健斗デリカットを42秒KO
第8試合 フェザー級 5分3R
×山本健斗デリカット(コブラ会/世界6位、環太平洋4位)
○青井太一(心技舘/環太平洋10位)
1R 0’42” KO (右フック)
青井は今年既に4戦し3勝1敗。9月の新潟大会のメインでは澤江優侍をパンチと膝の連打で56秒でKOし、今回は王座戦経験者の山本を秒殺することに。1R、サウスポーの山本が左ミドルと三日月蹴りを立て続けに当て、先手を取ったかに見えたが、青井は左に回って距離を作り、左ジャブのフェイントを見せつつ、右フックを放つとこれがアゴにクリーンヒット。ダウンし金網を背にした山本に、青井が追い打ちのパウンドを当てると、ダメージが大きく、すぐさま鍋久保レフェリーがストップした。青井はこれでフェザー級世界ランキング6位以上への浮上が確定し、来年はタイトル戦線に絡む可能性が高くなりそうだ。
第7試合 フライ級 5分2R
○高岡宏気(FORCE GYM/世界5位)
×渡辺健太郎(直心会生野道場TK68)
判定2-0 (鍋久保20-18/安芸19-19/片岡20-18)
1R、渡辺が右ストレートを当てて高岡からダウンを奪う。高岡はダメ―ジは小さく、すぐタックルを仕掛けて倒して上になる。その先の攻めは乏しいが、立たれてもすぐ倒して再び上になり、長時間トップキープして終える。記者採点は高岡としたが、渡辺につく可能性もある。
2Rも高岡が中盤にテイクダウンを奪うと、ハーフで押さえ続け、終盤には鉄槌を当て続け差をはっきり示して終了。2Rのポイントをしっかり取り、高岡が判定勝ちした。高岡はこれで3連勝。41歳の渡辺は今年復帰後2連敗となってしまった。
第6試合 バンタム級 5分2R
○青柳洸志(修斗GYM神戸/世界8位)
×西村大地(BLOWS)
1R 1’41” フロントチョーク
青柳は昨年12月に奇天烈に判定勝ちし3連勝中で、1年ぶりの試合。1R、青柳が左ジャブを開始すぐから当て続けると、西村が右のパンチを振って詰めて来たが、青柳は組んで両脇を差して早くも倒し、ハーフで押さえる。青柳は肩固めのプレッシャーをかけ、パスガードを狙うと、西村が上体を起こして脱出しようとしたが、青柳は上からネッククランクに近い形でギロチンチョークを極めタップを奪った。
第5試合 バンタム級 5分2R
△青井心二(心技舘)
△中島 陸(ゴンズジム)
判定1-0 (岡田19-19/片岡19-18/安芸19-19)
第4試合 女子50kg契約 5分2R
△Fukky(修斗GYM神戸)
△嶋屋 澪(SISU MMA&BJJ)
判定0-0 (豊島19-19/鍋久保19-19/片岡19-19)
第1試合 フェザー級 5分2R
×垂水稔朗(FORCE GYM)
○稲葉祥真(ASH)
1R 4’31” アームロック
新空手Stand up提供試合:18歳の伊藤琉之助がキック-51.5kgトーナメント優勝
※新空手Stand upキックルールは肘無し・ワンキャッチワンアタック
第2試合 CKC 2024 -51.5kgトーナメント一回戦(1) キックルール 3分3R(延長1R)
×酒井柚樹(TEAM TEPPEN)
○木下悦志(KICK LAB)
判定0-2 (片岡27-30/安芸30-30/豊島29-30)
第3試合 CKC 2024 -51.5kgトーナメント一回戦(2) キックルール 3分3R(延長1R)
○伊藤琉之助(EX ARES)
×山口悠真(ジムファイターズ)
判定3-0 (鍋久保30-26/豊島30-25/安芸29-26)
※1R右バックハンドブローで山口に1ダウン。2R右ハイキックで山口に1ダウン
第11試合 CKC 2024 -51.5kgトーナメント決勝戦 キックルール 3分3R(延長1R)
×木下悦志(KICK LAB)
○伊藤琉之助(EX ARES)
判定0-2 (豊島28-30/鍋久保29-29/岡田28-30)
※伊藤が優勝
サステイン主催修斗大阪大会では恒例となっている全日本新空手道連盟提供によるキックボクシングの試合。今回はフライ級相当の4選手によるキックトーナメントが行われた。CKCとはケージキックチャンピオンシップの略称だ。
準決勝で木下は酒井と接戦の末に、3Rに手数を上げて差をつけ判定勝ち。18歳の伊藤は蹴りとパンチのコンビネーションを駆使し、山口悠真から2度のダウンを奪い判定勝ち。両者3R戦っての2戦目を迎える。両者は22年12月の修斗大阪大会でも対戦し、伊藤が判定勝ちしている。
1R、五分の攻防が続き、終盤に木下の左フックで伊藤がのけぞるが、その先は攻め切れず終わる。記者採点はイーブンだがジャッジは1者が木下につける。
2Rも接戦が続き、お互い攻めあぐねるが、終盤、伊藤が圧をかけ、左フックやジャブを当て、やや好印象で終える。記者採点はイーブンだが伊藤につけるか迷った。ジャッジ1者はイーブンだが2者は伊藤につける。
3R、両者今日6R目だが、ダメージとスタミナロスはさほど無い様子。お互いはっきり差が作れていない状況だったが、伊藤がやや積極的に動いて攻めていると、中盤、ワンツーで右ストレートをクリーンヒットし、木下が少しひるむ。伊藤はこれで勢いづき、終盤、左ジャブ、ミドル、テンカオ、左右のボディ等を度々当て、はっきり差を示し終了する。記者採点は伊藤。合計29-30で伊藤。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者は伊藤を支持し、伊藤が判定勝ちし、トーナメント優勝を果たした。
優勝記念のベルトを巻いた伊藤は「RISEのフライ級のベルト、絶対取るんで期待してください」とアピールした。
第10試合 CKCオープンフィンガーワンマッチ キックルール 57.5kg契約 3分3R
△白鳥光希(正道会館KCIEL)
△タカヤ・ハーデスワークアウト(ハーデスワークアウトジム)
判定0-1 (鍋久保28-26/豊島28-28/岡田28-28)
※2Rタカヤに右フックで1ダウン。3R白鳥に右フックで1ダウン
第9試合 CKCオープンフィンガーワンマッチ キックルール 70kg契約 3分3R
○シンパヤック・ハマジム(タイ/HAMA GYM/元ラジャダムナン認定スーパーバンタム級2位)
×荒尾祐太(チーム吉鷹)
判定3-0 (豊島30-28/片岡30-28/岡田30-28)