DEEP 8.31 東京 青海野外ステージ(レポ):真夏の屋外大会は雨で滑る乱戦続きに。長谷川賢、5年半ぶり復帰戦でSAINTに判定勝ち。海飛、西谷大成にギロチンで一本勝ち
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DAYS Presents DEEPサマーフェスティバル2024 in お台場
2024年8月31日(土)東京・お台場青海R区画 野外特設ステージ
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)DEEP事務局
DEEPは東京臨海副都心のダイバーシティー東京に隣接する野外の特設ステージでイベントを兼ねた大会を開催した。昼間は、バトルフット(バン仲村プロデュースの新感覚サッカー)第1回予選会、選手や関係者の歌合戦、ラウンドガールコンテスト等のイベントを行い、試合は18時から実施した。
開催発表当初から、雨天の場合は翌9月1日(日)に延期することが発表されていた。大会4日前の8月27日(火)、DEEP事務局は、台風10号の影響で順延する場合、29日(木)に判断すると発表した。結局、台風は次第に勢力を弱め、予定通り31日(土)に大会が開催された。
昼間のイベント時間中は晴天だったが、試合の始まる夕方から雨が降り始め、次第に雨が激しくなり、屋根の無いケージの中のマットは少しずつ濡れていく。後半戦の選手たちは、足を踏ん張りきれず、体も滑りやすい状態での戦いを余儀なくされた。夏場は夕方以降、集中豪雨となる確率が高いため、台風が来なくても起こり得た事態だった。
雨の中での試合は野球やサッカーでもあり、選手達は慣れているため、許容しながら試合をしている。だが、MMAは基本的に雨は想定外で、米国統一ルール(いわゆるユニファイドルール)をベースとしたDEEP MMAルールにも雨に関する規定は無い。試合結果はある程度、選手の実力に沿った順当なものとなったが、別種目といっていいぐらいに雨が選手の戦い方に影響したため、敗者の逆転の芽を積んだ恐れもある。今大会の試合の公式記録が変わる可能性は低いが、陸上競技の追い風参考記録のように、注釈を入れた上で、結果や内容を評価したほうが良いだろう。
第8試合 メインイベント メガトン級(体重無差別) 5分3R
○長谷川賢(フリー/元DEEPメガトン級王者)
×SAINT[セイント](米国/Y&K MMA ACADEMY)
判定3-0 (福田30-27/内田30-25/橋本29-28)
元DEEPメガトン級王者・長谷川が、19年3月のONEでのアウンランサン戦以来5年半ぶりに復帰した。SAINTは元在日米軍所属の選手。DEEPで酒井リョウ、誠悟に連勝したが、RIZINでスダリオ剛に敗れ、最近では昨年11月のDEEPで水野竜也に2R TKO負けしている。
両選手とも雨が降る中入場するが、長谷川は階段を降りる際に足を滑らせ、スタッフに補助され転倒は免れる。前日計量体重は117.05kg、SAINTが94.25kgで、長谷川が体格差も活かして優位に試合を進める。
1R、長谷川が前に出ると、SAINTが下がって右ミドルを放つが、長谷川は蹴り足をつかんで倒し、金網際で上になる。中盤、長谷川はパスガードしてサイドで押さえる。SAINTがもがいても押さえ続ける。雨はおさまったが、滑りやすいため、長谷川は押さえにくそうだ。終盤、長谷川はサイドバック、ハーフと動き、肩固めを狙うが失敗する。長谷川は猪木アリ状態に一旦なってから、再びハーフで押さえて終える。記者採点は長谷川。
2R、長谷川はまたも序盤からタックルを仕掛けて倒し、ハーフで押さえる。長谷川はまたも肩固めのプレッシャーをかけ続けつつ時折パウンドを当てる。終盤も押さえ続け、最後は立ち上がってサッカーボールキックを軽めだが当てて終える。記者採点は長谷川。
3R、長谷川は疲れもあってか前に出られない状態に。SAINTが右インローを当ててから右手を突き出すと、指が長谷川の目に入り一時中断する。再開すると、また雨が振り始める。SAINTが前に出るとスケートのように滑るほどで、思わず長谷川も笑顔を浮かべる。それでもSAINTは右ストレート、膝蹴りを当てる。終盤、長谷川は組んで押し込み、倒して金網際でサイドを奪い押さえ続ける。だがその先のパウンドやサブミッションは乏しいまま終わる。記者採点は迷ったがSAINT。合計29-28で長谷川。ジャッジの採点はバラついたが、3者とも長谷川を支持し、長谷川の判定勝ちとなった。
マイクを渡された長谷川は座ったままで「めちゃくちゃやり辛かったです。ヌルヌル相撲みたいで。1R目、打撃で行こうと思ったんですけど、5センチぐらい踏み込んで滑っちゃって、組むしかないと思って、組みも滑って極められないし大変でした。試合まで色々大変でしたけど、今日、純粋に格闘技ができて、すごい楽しいなと思いました。みんな好きで見に来てくれていると思うので、格闘技を純粋な意味で楽しんでほしいなと思います。8月31日、夏の最後を締めくくらせてもらって、有意義な時間でした。ありがとうございます。またDEEPともども格闘技を応援してください。5年半ぶり復活しましたが、また試合をしようと思います。みんなありがとう」と話し、波乱続きの大会を前向きなコメントで締めくくった。
第7試合 フェザー級 5分3R
×西谷大成(JAPAN TOP TEAM)
○海飛[かいと](和術慧舟會HEARTS)
2R 1’50” フロントチョーク
西谷はRIZINで鈴木博昭と高木凌に連続1R KO負けし、DEEPに復帰した。海飛は西谷の同僚の五明宏人に昨年7月に勝利している。
1R、両者サウスポーで構え、中央付近でお互いフェイントをかけ合うが、両者とも足が滑ってステップが踏みにくそうだ。雨は止んでいるが戦いにくいマットコンディションであることに変わりない。西谷が片足タックルを仕掛けるが、仕掛けた方もバックステップでかわした海飛のほうも揃ってスリップし、場内はどよめく。中盤、海飛は右のインカーフをヒットする。西谷はタックルを仕掛け、テイクダウンに成功するが、すぐに海飛は立ち、しばらくして離れる。終盤、海飛が左ストレートを当てると、西谷はふらつく。西谷はタックルを仕掛け、海飛は切ると、金網際でテイクダウンを奪う。最後は金網際で海飛が西谷を押し込んで終える。記者採点は有効打のあった海飛。
2R、両者踏ん張りの効かない状態で、ステップを踏めない中、パンチを当て合う。すると中盤、西谷がタックルを仕掛けるが、海飛が切りつつ膝蹴りを西谷の顔面に当てる。海飛はがぶって押さえて、鉄槌を連打してからフロントチョークを極めてタップを奪った。
第6試合 バンタム級 5分2R
○窪田泰斗(FourRhombus)
×日比野“エビ中”純也 (ISHITSUNA MMA)
2R 3’59” ツイスター
1つ前の試合終了後、雨が強くなったため一時中断する。マット上にビニールシートは敷かれず、スタッフ1名がドライワイパーで水を拭う作業をしていたが、湿った状態なのは変わらず、8分ほどで再開した。
1R、両者ともステップが不安定な状態の中、窪田がサウスポーからの左ミドルを放つと、日比野はタックルを合わせて倒して、金網際で押さえ、マウントを奪う。日比野はバックを取るが、体勢が不安定になると下に滑り落ち、窪田が上から押さえる。窪田はトップキープし、時折パウンドを当てる。終盤、窪田はパスガードし、上四方、バックと動き、アームロックを仕掛ける。これは対処されるが、すぐに窪田はサイドで押さえる。立つと窪田は再びアームロックを狙い、これも対処されたが、引き続きグラウンドでコントロールし、バックから肘を当てて終える。日比野は左まぶたから出血する。インターバル後にはドクターチェックが入る。
2R、窪田は開始すぐ前に出るが、尻もちをつき、すぐに立って両手を広げ笑顔を浮かべる。日比野は片足タックルを仕掛けるが、滑ってしまい、窪田は切って上から押さえる。窪田は上から肘を落とし、サイドを奪う。さらに窪田はバックを奪うと、マットに背中を付けた状態で足4の字で捕まえたままコントロールする。すると終盤、日比野は体をひねって正対しようとしたが、窪田はバックキープしながら両腕で首と胴体をひねり、ツイスターを極めてタップを奪った。
第5試合 フェザー級 5分2R
×劉獅[りゅうじ](KIBAマーシャルアーツクラブ)
○安井飛馬[ひゅうま](JAPAN TOP TEAM)
判定0-3 (内田18-20/橋本18-20/福田18-20)
安井は23歳でプロデビュー戦。柔道をベースとし、関西学院大学在学中に大阪のコブラ会でMMAを始め、21年のBreakingDown第1回大会出場でベストバウト賞を受賞。23年の朝倉未来チャレンジ2期生となり、今年4月のDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝し、今回プロデビューした。
1R、劉獅が左フックを当ててから組み付いて倒そうとするが、マットが滑るため踏ん張りが効かず、倒せず離れる。中盤、劉獅のパンチをかわし、安井は片足タックルで倒して上で押さえる。だがその先に持ち込めず、終盤にはスタンドに戻る。だがまたも安井はパンチをかわしてタックルで倒して上から押さえる。安井は
パウンドを当て、印象を作る。安井はパスガードしてから腕十字を仕掛ける。脱出した劉獅は安井のバックを取るが、雨が強くなってきたため、滑りやすくなっており、下に落ちてしまい、安井が上から押さえて終える。
2R、安井は序盤からタックルで倒して上になる。安井はバックを取るが、これも滑ってしまい、脱出を許す。それでも安井は再びタックルを仕掛け倒してトップキープする。中盤、安井はマウントを奪い、劉獅のブリッジを潰してポジションキープする。終盤、劉獅は脱出し、バックを取り返し、腕十字を狙うが、安井は対処し、またも上から押さえる。最後は安井がマウントを奪って終了する。ジャッジ3者とも2Rとも安井にポイントをつけて判定勝ちした。
第4試合 バンタム級 5分2R
×朝比奈龍希(JAPAN TOP TEAM)
○漆間將生[うるしま しょうい](フリー)※KRAZY BEEから所属変更
1R 2’39” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1つ前の試合後、雨が強くなったため一時中断し、約10分ほど経過して、雨が弱まってから試合が再開した。中断時間にマット上にビニールシートを敷いたり、水を拭き取るような作業は行われなかった。
1R、朝比奈がサウスポで左ミドルを放つが、漆間は蹴り足をつかんで倒す。朝比奈は立つが、引き続き漆間は背後からしがみついて金網に押し込み、片足タックルで倒す。朝比奈は金網を背にして立ち上がり、タックルを仕掛けて押し返す。だが離れると、漆間が右フックを2連続で当てる。ひるんだ朝比奈は片足タックルで難を逃れようとするが、漆間は切ってスタンドに戻すと、再び右フックを当てて倒し、朝比奈が亀になったところで、レフェリーがストップした。
第3試合 DEEP JEWELS 54kg契約 5分2R
×坂本瑠華(江口道場)
○月井隼南[じゅんな](FIGHTER’S FLOW)
1R 2’11” 裸絞め
両者ともMMAデビュー戦。坂本はBreakingDownで「土木ネキ」の愛称で出場していたキックボクサー。月井は伝統派空手で2022年ワールドゲームズ優勝実績のある選手。
1R、月井は右手を高めにして構えつつ、右ストレートを当ててから、胴タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。月井はハーフガードで押さえてから、すぐにマウントポジションを奪う。坂本はグラウンドに対応できず、月井がパウンドを連打し、坂本が背中を向けると、裸絞めを極めてタップを奪った。
第2試合 バンタム級 5分2R
×八須拳太郎(FIGHTER’S FLOW)
○みやび(糸満MMA)
1R 0’39” TKO (レフェリーストップ:右アッパー)
第1試合 オープニングファイト アマチュアSルール フライ級 3分2R
○琥[こはく](JAPAN TOP TEAM)
×近藤大真(THE BLACKBELT JAPAN)
1R 1’26” 腕ひしぎ十字固め