TTF CHALLENGE 8.16 練馬Coconeriホール(レポ):エフェヴィガ雄志、元ベラトールのエマニュエル・サンチェスに1R TKO勝ち「これから世界行ってトップ狙う」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
TRIBE TOKYO MMA主催「TTF CHALLENGE vol.10」
2024年8月16日(金)東京・練馬Coconeriホール
レポート&写真:井原芳徳
長南亮代表のTRIBE TOKYO MMAが主催するMMA大会「TTF CHALLENGE」は13年10月20日に後楽園ホールで開催された「TRIBE TOKYO FIGHT ~長南亮引退興行~」が源流で、翌14年5月には選手育成・発掘をテーマにした「TTF CHALLENGE」が初開催され、今回は10大会目にして10周年記念大会となる。TRIBEのジムのある練馬での開催は17年10月の第7回以来約7年ぶり。コロナ禍で大会開催が困難になった20年6月には無観客の有料生配信で第8回を開催し、同年12月にはサステインとBLOWSの協力の元、大阪で観客数を制限して第9回大会を開催していた。
エフェヴィガ雄志、元ベラトールのエマニュエル・サンチェスに1R TKO勝ち「これから世界行ってトップ狙う」
第8試合 メインイベント ライト級 5分3R
×エマニュエル・サンチェス[Emmanuel Sanchez] (米国/Thug U)
○エフェヴィガ雄志(TRIBE TOKYO MMA/修斗ライト級世界3位)
1R 3’40” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
エフェヴィガは24歳。父が西アフリカのトーゴ出身、母が日本人。空道をベースとし、22年のMMAプロデビュー後は8戦全勝(5KO/1一本)。LDH主催のPOUND STORM等で岡澤弘太、グンター・カルンダに勝利。昨年5月にはフロリダの名門・キルクリフFCに出稽古し、地元の大会に出場しメキシコの選手に3R TKO勝ちしている。昨年から修斗に参戦し4戦全てフィニッシュ勝利。3月の後楽園大会では、急きょ初のメインを務め、韓国の選手を1R裸絞めで下し、5月のニューピア大会での日中対抗戦7×7の副将戦では2R左ボディでKO勝ち。その後、約2か月間キルクリフで再び練習し、約4年ぶりに再開するTTFのメインで米国の元ベラトール戦士を迎え撃つ。
サンチェスはMMA 30戦21勝(1KO/8一本)9敗の34歳。11年にプロデビューし、14年からベラトールに参戦し、18年11月にパトリシオ・ピットブルのフェザー級王座に挑戦したが判定負け。21年4月のフェザー級GP準決勝兼王座戦ではパトリシオに1Rギロチンで返り討ちにされた。その後は4連続判定負けと振るわず、ライト級に階級を上げても2連敗し、昨年6月の試合を最後にベラトールを離れる。今年4月のXFCで判定勝ち、5月のアンソニー・ペティスFCでは2Rギロチンで勝利し2連勝中だ。
試合はエフェヴィガの完勝に。1R、長身のエフェヴィガがサウスポーで構え、開始すぐから左インロー、ミドル等の蹴りを随所で当てて主導権を握る。サンチェスはパンチを振るうがやや遠く届かない状態が続く。中盤、エフェヴィガは左ボディ等のパンチも当ててていると、左インローを効かせてサンチェスの動きを止め、左ストレートをクリーンヒット。ダウンしたサンチェスの顔面に、エフェヴィガが左のパウンドを的確に連打したところで、梅田レフェリーがストップした。
大盛り上がりとなる場内で、マイクを持ったエフェヴィガは「キャリア9回目の試合で、今までの相手とは二段、三段、レベルの違う相手でした。アメリカでタイトル戦う選手と戦えて光栄でした。TRIBEで入って6年ちょっと、厳しい練習を続けて、アメリカにも行って、自信のついたタイミングで、長南さんが地元練馬で試合を組んでくれました。これが大きな一区切りになると思うんで、これから世界行って、トップ狙うんでよろしくお願いします」とアピールし、近いタイミングでの海外進出を示唆した。最後はセコンドについた後藤丈治、木下憂朔と共に記念撮影した。
元ONEのティアル・サン、上田直毅を圧倒し判定勝ち
第7試合 64kg契約 5分3R
×上田直毅(パラエストラ東京/インプルーブ株式会社)
○ティアル・サン[ティル・サン/Tial Thang](ミャンマー/キルクリフFC)
判定0-3 (水垣26-30/岡田26-30/青木27-30)
上田はDEEPを主戦場とし、昨年9月にDJ.taikiに判定負けしたが、今年3月にはMG眞介に判定勝ちしている。今回が初の国際戦だ。
対戦相手のサンはMMA 10戦6勝(2KO)4敗の30歳。少年時代に米国に移住しレスリングを習い、同じミャンマー出身のアウンランサンのONEでの活躍に刺激を受けて、アウンランサンと共に練習し19年にMMAデビュー。22年までONEで6戦し3勝2敗1無効試合。昨年からはLFA等の米国の大会に上がり当初は3連勝したが、昨年11月、今年4月と2連敗中だ。
上田のセコンドには上田貴央、梅野源治がつく。サンのセコンドにはキルクリフ所属のマーティン・ニューイェン、キルクリフで練習している木下憂朔がつく。場内にはサンの同胞のミャンマー人が70人近く詰めかけ、サンを大歓声で後押しする。サンはレスリングをベースとしたバランスの良いスタイルとクレバーな試合運びで上田を圧倒することに。
1R、サンがプレッシャーをかけ、左ミドルを当て、押し込む展開を繰り返す中で、終盤には抱え上げて倒し、左の肘を当て好印象を残す。記者採点はサン。
2R、スタンドの打撃戦が続き、上田が右ハイ、サンが右フックや膝を当て、僅差の展開が続くが、終了間際、やや疲れ気味の上田に対し、サンがタックルを仕掛けて倒し、パウンドを当てて、はっきり差を印象付けて終える。記者採点はサン。
3R、サンが左ジャブを当てていると、上田は口から出血し苦しそうになり下がる展開に。中盤からはサンが右ストレート、左三日月蹴りを効かせ追い詰める。終盤、上田はタックルを仕掛けて打開を図るが、サンは難なく切って潰すと、上からギロチンチョークを仕掛ける。最後はギロチンを解除して裸絞めを狙い、それでもダメならパウンドを当て続け、圧倒して終了する。記者採点はサン。合計27-30でサン。ジャッジ3者もサンを支持し、サンが判定勝ちとアナウンスされると、場内のミャンマー人は大喜びした。
なお、今大会のジャッジは、水垣偉弥氏、青木真也、岡田遼が務めた。東京でのこれまで最後の大会だった20年6月大会では水垣・青木と大沢ケンジ氏がジャッジをしており、大会中継や雑誌の解説等で知見の広さを示している新旧の選手・OBがジャッジを務めることがTTFの恒例となっている。
大越崇弘、引退試合は判定負け
第6試合 大越崇弘引退試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×大越崇弘(TRIBE TOKYO MMA)
○小森真誉[まよ](ロータス世田谷)
3R 判定0-3 (水垣9-10/岡田9-10/青木9-10)
2R 判定0-1 (水垣18-20/岡田19-19/青木19-19)
大越はMMA 12戦6勝5敗1分の37歳。過去にDEEP、TTF、修斗、NEXUSに出場し、21年7月にNEXUSで須藤拓真に敗れて以来の試合となる。
1R、金網際での押し合いが続く中で、小森の右膝蹴りの的確さがやや印象に残る。記者採点は小森。
2R、小森が潜り込んで足関を狙い続けるが極まらない。大越は鉄槌をボディへ当てるが、顔面へのヒットは乏しく、形としては防戦に。記者採点は大越。合計19-19でイーブン。ジャッジは1者が小森を支持したが、2者はイーブンで延長へ。5分2Rプラス延長ラウンドという形式も従来からのTTFの伝統だ。
延長R、金網際での押し合いで、1R同様に小森の右膝がやや目立つ。大越は疲れ気味で攻撃が減る。時折離れるとパンチが交錯するが、差は乏しいまま終わる。記者採点は小森。ジャッジ3者も同じ採点で、小森が判定勝ちし、大越は引退試合を白星で飾ることができなかった。
その後、大越の引退セレモニーが行われ、大越は長南亮代表らに感謝の言葉を述べ、10カウントゴングを聞いた。最後は長南氏と多数のチームメイトと共に記念撮影した。
第5試合 ライト級 5分2R(延長1R)
○岩倉優輝(NICE BAD GYM)
×チェ・ジョンミン[Choi JungMin](韓国/コリアントップチーム)
判定3-0 (岡田20-18/水垣20-18/青木20-18)
1R、岩倉がタックルから押し込みを繰り返すが、テイクダウンは奪えない。離れるとパンチが交錯するが、お互いヒットが少なく僅差で終わる。
2Rも岩倉が押し込み続け、時折膝を当て、相手を片膝立ちにさせる場面もあるが、倒せないまま終わる。梅木レフェリーも時折アクションコールを出すがブレイクしない。2Rとも岩倉がポイントを取り判定勝ちした。
第4試合 グラップリング(判定無し) 78kg契約 10分1R
―伊集龍皇[いじゅう りゅうおん](パラエストラ小岩)
―室谷勇汰(リバーサルジム立川ALPHA)
時間切れ
室谷が序盤から上になると、近くにいるセコンドの金原正徳の指示を聞きながら、一個一個丁寧に仕掛けていく展開に。室谷がハーフから肩固めを狙いつつ、中盤過ぎにはマウントを奪う。終盤にはバックを奪い、最後は腕十字にトライするが、極まらず終了。規定により時間切れドローとなったが、室谷の強さが印象に残る内容だった。
第3試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×狩野 優(TRIBE TOKYO MMA/パンクラス・ネオブラッドトーナメント2020ライト級優勝)
○轟轟[とどろきごう](コブラ会)
3R 判定1-2 (岡田10-9/水垣9-10/青木9-10)
2R 判定1-0 (岡田20-18/水垣19-19/青木19-19)
狩野は昨年3月のONE Friday Fightsでロシア人選手の膝十字固めで一本負け。その試合で負傷し、しばらく学業に専念。今年3月に大学院の修士課程を修了すると、本格的な練習を再開し、8月に約1年半ぶりに試合復帰した。
1R、スクランブルの展開で狩野は下になるが、ギロチンやツイスターを狙い、主導権を握る。とはいえ完全には極まらず、背中をマットにつけ続け、評価の難しい状態に。だが終了間際に立ち上がると、狩野が左ハイとパンチを当て、好印象で終える。
2R、狩野が首投げで倒し、サイドを奪うと、ネルソンで首を抱え続ける。極まりは不十分で、終盤、ハーフになってもその形を解除せず終える。記者採点は20-18で狩野。ジャッジは1者のみ狩野を支持し、2者はイーブンで延長へ。
延長R、轟が狩野の蹴り足をつかんで倒すが、狩野は足関を狙いつつ返して上になる。だが轟がバックを取り返すと、裸絞めを狙って追い詰める。終盤、狩野が脱出し、タックルで倒し上を取り返すが、少しパウンドと肘を当てる程度で終わる。記者採点は轟。ジャッジは割れ、轟が判定勝ちした。
第2試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
○永井奏多[かなた](TRIBE TOKYO MMA)
×唐沢タツヤ(GRABAKA/T-GRIP TOKYO)
判定2-0 (水垣20-18/岡田19-19/青木20-18)
1R、修斗5戦4勝1分無敗の19歳・永井に対し、唐沢がタックルで倒してから、バックを奪って裸絞めを狙うなど、中盤まで主導権を握る。ところが終了間際、永井が左ハイ、右ボディを効かせると、苦し紛れの唐沢のタックルを永井が切り、押さえてパウンドを連打し、攻勢で終える。
2R、流れは完全に永井で、唐沢のタックルを切り続け、スタンドでもグラウンドでも打撃を当て続けて終了する。記者採点は20-18で永井。ジャッジ2者も同じ採点で、永井が判定勝ちした。
第1試合 ライト級 5分2R(延長1R)
○後藤 亮(TRIBE TOKYO MMA)
×グラップラー脇(有永道場 Team Resolve)
1R 4’24” 裸絞め
1R、後藤が序盤からテイクダウンを奪い、パスガードしてマウントを奪うと、パウンドの連打で追い詰める。最後はバックを取り裸絞めを極めてタップを奪った。