DEEP JEWELS 11.23 ニューピアホール(レポ):松田亜莉紗、万智との接戦制しストロー級暫定王者に。伊澤星花との王座統一戦も「対策や練習をしたら行ける」。大阪勢は須田萌里&栗山葵も勝利
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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skyticket Presents DEEP JEWELS 43
2023年11月23日(木/祝)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳

中央の松田亜莉紗がDEEP JEWELSストロー級暫定王座を獲得し、須田萌里(左2人目)と栗山葵(右2人目)もこの日は終盤の主要カードで勝利。2023年最後のDEEP JEWELSは大阪勢の活躍が光った。大阪の176BOX等で行われてきたDEEPでの試合経験の積み重ねも活きているだろう。
松田亜莉紗、万智との接戦制しストロー級暫定王者に。伊澤星花との王座統一戦も「行ける」と自信
第10試合 メインイベント DEEP JEWELSストロー級暫定王者決定戦 5分3R
○松田亜莉紗(BLOWS)
×万智(スポーツジム67’s)
判定3-2 (石川28-29/橋本29-28/島村29-28/植松28-29/豊永29-28)
※松田が王者に
DEEP JEWELSストロー級はRIZIN女子スーパーアトム級王者でもある伊澤星花が王座に君臨する。21年6月に当時の暫定王者の本野美樹に勝利してベルトを奪い、UFC参戦中の魅津希が昨年3月の正規王座を返上し、伊澤が正規王座に昇格した。伊澤は大晦日のRIZIN出場も予定されることから、今回はポスト伊澤として期待される2選手による暫定王者決定戦が組まれた。
松田は28歳。高校卒業後、女子プロ野球の京都フローラに5年在籍し、18年からMMAを練習。結婚と出産を経て21年からアマの試合をし、同年12月には万智に判定2-1で勝利している。昨年8月のDEEP大阪大会でプロデビューし1R TKO勝ち。11月のDEEP JEWELSでの2戦目では長野美香に判定勝ちし、今年4月の大阪での3戦目でも純玲に判定勝ちし、プロ3戦全勝だ。ちなみに入場曲に使っている工藤静香「嵐の素顔」は、プロ野球時代にバッターボックスに入る時の登場曲だ。
万智は20歳。柔道をベースとし、MMAを始めた18歳の時に松田に敗れたが、アマで試合を重ねて力をつけ、昨年11月のDEEP JEWELSでのプロデビューから4連勝。2戦目では大島沙緒里に勝った実績もあるHIMEに1R裸絞めで一本勝ちすると、今年5月には韓国のキム・ユジョンに1Rアームロックで一本勝ち。10月のRIZIN名古屋大会では修斗女子スーパーアトム級(50kg)世界王者の渡辺彩華に判定2-1で勝利し、ハイレベルな攻防で印象を残した。試合後のマイクでは「52kg(=ストロー級)には世界に強い人がいっぱいいるので、RIZINでベルトを作って欲しいです」とアピールしていた。
1R、松田が右ローを放つとスリップしてしまい、その隙に万智が組み付いて金網に押し込む。松田は倒されてもすぐ立ち、その後はテイクダウンを防御し続け、左の膝蹴りを万智のボディに随所で当て続ける。離れての打撃戦の後、終盤にも万智が押し込むが、これも松田が耐え、左膝をボディに当てて、やや好印象で終える。記者採点は僅差だが膝を度々当てていた松田。
2R、サウスポーの万智に、松田は1Rも当てていた右ミドルを放つが、万智は蹴り足をつかんで倒す。万智は金網際で松田を押さえるが、松田は1R同様、その先の攻めを許さず立つ。膠着ブレイク後、パンチの打ち合いの後、またも万智がタックルを仕掛けて倒す。だがこれも松田が立ち、膠着ブレイクがかかる。すると万智は口が開き、その前にもらったパンチの影響で鼻血を出し、少ししんどそうになる。万智は押し込むが力が入りきらず、松田は難なく対処するように。記者採点は僅差だがパンチの有効打のあった松田。
3R、松田が開始すぐに右の蹴りを放つと、万智はタックルを仕掛け、テイクダウンを奪う。松田は下から腕十字を狙うが、万智は対処する。万智は今度は松田に金網際に行かせず、中央に近いところでサイドで押さえ続ける。松田はハーフガードに戻して立とうとしたが、その隙に万智はバックに回り込み、裸絞めを狙う。松田は耐え続け終了する。記者採点は万智。合計29-28で松田。DEEPのタイトルマッチのジャッジは5人で、3人が松田、2人が万智を支持する接戦となり、松田が判定勝ちした。ジャッジは1Rの評価で割れたか?RIZINルールのトータルマストなら万智の勝ちだろうが、DEEPルールのラウンドマストで松田が差をつけた形となった。
バックステージでのインタビューで松田は「1どやろ?2は行けてるのかな?3は完全に押さえられたんで(合計は)どやろ?って感じでした。押さえられたらめっちゃ強かったですね。テイクダウンはできるだけさせない、バック取らせないよう気を付けていました。ボディへの膝で消耗してくれたんかなと思いました。2Rは『わ、鼻血出た、ラッキー』って感じでした」と試合を振り返った。
この日は2つ前の試合で栗山葵が1R KO勝ちし、セミファイナルの須田萌里も1R腕十字で勝利し、松田と合わせた大阪勢が最後の3試合を制した。3人は練習仲間で、松田は「葵ちゃんが勝って、萌ちゃんも勝って、次は私やな、絶対ものにしないと、と思って戦いました」と振り返る。練習状況について松田は「試合が決まったら自分のジムだけで練習しているんですけど、試合が無い時は月2回ぐらい一緒に練習していました。萌里ちゃんの所に行ったり、葵ちゃんはこっちに来たり私も行ったりしていましたね。天理大でレスリングやってる子で、“あやか先輩”って呼んでる子も来てくれて、身長や体型が万智ちゃんに似てて、対策をしてくれました」と明かした。
正規王者の伊澤との対戦について松田は「めっちゃ楽しみですね。普通にいてたらできないんで、まず今日勝って近づけたと思います」と話した。現時点で伊澤に勝てる自信を尋ねると「強いんでね。でも試合は何があるかわからないんで、しっかり対策や練習をしたら行けると思います」と、プロ歴の長いアスリートらしく強気にコメントした。
RIZINで唯一王座のある女子スーパーアトム級(49kg)での戦いについては「そこまで落としたことが無いんで、やったことが無いからわからないです」と慎重。具体的に今後戦いたい舞台等については「海外で試合がしたいという思いに近付けましたけど、オファーがあればどこでも試合がしたいです」と話し、DEEPが対抗戦を積極的に行っている韓国のBLACK COMBATについても「オファーあれば」と答えた。
大阪勢は須田萌里も勝利
第9試合 セミファイナル 49kg契約 5分2R
○須田萌里(SCORPION GYM)
×彩綺(フリー)
1R 0’49” 腕ひしぎ十字固め
須田は19歳。柔術家の父の影響で小学生時代から始めたブラジリアン柔術が最大の武器で、今年3月のDEEPではアトム級で桐生祐子に2R裸絞めで一本勝ち。5月のDEEP JEWELSでは49kgに戻し、パク・ジョンウンに1R TKO負けしたが、9月大会ではケイト・ロータスに判定勝ちした。
彩綺は昨年11月のブレイキングダウンで土木ネキこと坂本瑠華に勝利。5月のDEEP JEWELSのプロデビュー戦ではロータスに判定負け。9月大会では竹林愛留と激しい打撃戦を繰り広げ1R TKO勝ちしている。
須田は柔術仕込みの寝技、彩綺はムエタイ仕込みの打撃技が強みだが、試合は須田の強味が存分に発揮されることに。1R、開始すぐに須田が彩綺を金網に押し込むと、飛びついて引き込み、下から腕十字を極める。彩綺は耐えたが、最後はレフェリーがストップ。須田が無傷で完勝した。
大会終了後のインタビューで須田は「BLACK COMBATとの対抗戦でベルトを向こうに持って行かれましたけど、自分もベルトを巻きたいんで、来年はベルトに絡んでいきたいです」と今後についてコメントし、韓国での試合についても「組まれたら全然やりたいです」と前向きな姿勢を示した。また「関西が強いの見せようって一緒に言ってたんで、みんな勝てて良かったです」と、メインの松田、1つ前の栗山の勝利も喜んだ。
栗山葵、RIZINに続き今回も左フックで1RKO勝利
第8試合 フライ級 5分2R
○栗山 葵(SMOKER GYM)
×斎藤百瑚(EXFIGHT)
1R 2’51” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
栗山はDEEP JEWELSを主戦場とし続け、今年2月には敗れたものの中井りんの相手も務めた。6月のRIZIN札幌大会では熊谷麻理奈を左のオーバーハンドフック一撃でKOしインパクトを残した。
斎藤は昨年9月のDEEP JEWELSのアマチュアで万智に判定勝ちした実績がある。今年9月のDEEP JEWELSでは万智より1階級上のフライ級でプロデビューし、パンクラスのフライ級3位のNØRIに判定負けしたが、グランドのNØRIの顔面に膝を当てる反則で減点1を喫しており、試合内容は接戦だった。NØRIは昨年7月のパンクラスで栗山と引き分けている。
試合は栗山が今回も左の強打を見せつけることに。1R、栗山がサウスポーからの左インローを的確に当て続け、次第に左フックも絡めると、じわじわヒットが増え、中盤、左フック一撃で斎藤をダウンさせる。斎藤のダメージは大きく、栗山がパウンドで追撃したところですぐにレフェリーがストップした。
第7試合 バンタム級 5分2R
○熊谷麻理奈(Trister Gym)
×Te-a[ティーエー](AACC)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
1R、熊谷のパンチのタイミングで、Te-aはタックルを仕掛け、一瞬倒し、立たれても金網に押し込む。離れても同じようにTe-aはタックルから押し込む展開を繰り返すが、なかなか倒せない。熊谷は離れた展開で右ストレートをクリーンヒットして好印象を作る。熊谷は右ローキックも随所で当て、Te-aの勢いも削る。
2R、熊谷はタックルを切り続け、金網を背にしたり、がぶったりしながら、鉄槌や膝蹴りを当て続ける。離れれば右ロー、カーフも当て、打撃で印象を作り続け終了。2Rともポイントを取り判定勝ちした。
第6試合 ミクロ級 5分2R
○山崎桃子(坂口道場一族)
×こゆき(Kyoto SEIKENKAI)
2R 4’27” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、両者金網際で組んでテイクダウンを狙う攻防が続くが、山崎が随所でこゆきの顔面とボディに右の膝蹴りを当て、やや好印象で進める。
2R、開始すぐに山崎がタックルで倒して、金網際でトップキープする。一旦こゆきに立たれても山崎が倒し、自軍付近でコントロールを続け、ハーフで肩固めを狙い続けると、終盤にはマウントを奪い、パウンドラッシュでしっかりフィニッシュした。
第5試合 フライ級 5分2R
○奥富夕夏(リバーサルジム新宿Me,We)
×谷山 瞳(パラエストラ柏)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
1R、スタンドの攻防の後、中盤に奥富がタックルを仕掛けると、金網際でコントロールしながらバックを取り、裸絞めを狙う。奥富はポジションが動いてもコントロールしてパウンドを当て続け谷山を圧倒する。
2R、奥富が左フックを2連打すると、谷山がタックルを仕掛けて倒し、バックを狙う。だが奥富は対処して脱出すると、右ローで足払いの要領で倒してバックを奪う。奥富はバックコントロールを続け、終盤は脱出され下になるも、足関で谷山を脅かす。多様な局面で奥富がスキルの高さを見せつけ判定勝ちした。
第4試合 バンタム級 5分2R
○MANA(blooM)
×細谷ちーこ(ABLAZE八王子)
判定3-0 (○19-19/19-18/○19-19)
1R、MANAがテイクダウンを奪うと、細谷も下から腕十字や足関を狙うが、MANAは対処してパウンドを当てる。終盤、MANAはパウンドを当てつつ、腕十字、アームロック等を狙いながら、細谷を追い詰める。
2R、MANAのタックルを切り続けた細谷は、がぶりながらバックに回り、バックマウントから裸絞めを狙う。細谷はマウントとバックを行き来しながらパウンドも当て追い詰める。だが終盤、MANAは脱出すると、首投げから倒して一瞬マウントを奪う場面も。1RはMANA、2Rは細谷がポイントを取ったが、1R終盤にフィニッシュに近い状態まで細谷を追い詰めたMANAがマスト判定で支持された。
第3試合 無差別級 5分2R
○超弁慶(ガムランナック)
×ぽちゃんZ(パラエストラ東京/レグルス池袋)
判定3-0 (19-18/19-18/20-18)
第2試合 グラップリング 54kg契約 5分1R
○横瀬優愛[ゆあ](BELVA)
×あきび(ABLAZE八王子)
3’25 裸絞め
第1試合 ミクロ級 5分2R
○ジャカ季美香(SONIC SQUAD)
×チャッキールビ(大阪SEIKENKAI)
判定3-0 (○19-19/○19-19/○19-19)
オープニングファイト アマチュアSPルール 50kg契約 3分2R
○サラ(FIGHT BASE都立大)
×横瀬美愛(BELVA)
判定3-0