DEEP JEWELS 9.10 ニューピアホール(レポ):村上彩、アム・ザ・ロケットとの寝技勝負制しミクロ級王者に。パク・シウ、HIMEを圧倒し判定勝ち。須田萌里・桐生祐子が勝利
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skyticket Presents DEEP JEWELS 42 ~ 10th Anniversary ~
2023年9月10日(日)東京・ニューピアホール
レポート:井原芳徳 写真提供:DEEP事務局
村上彩、アム・ザ・ロケットとの寝技勝負制しミクロ級王者に
第11試合 メインイベント DEEP JEWELSミクロ級(44kg)タイトルマッチ 5分3R
×アム・ザ・ロケット(タイ/フリー/王者)※初防衛戦
○村上 彩(フリー/挑戦者)
判定0-5 (橋本28-29/長瀬28-29/福田28-29/嶋田28-29/石川28-29)
※村上が王者に
DEEP JEWELSは前身がJEWELSで、13年8月31日の大会から佐伯繁DEEP代表プロデュースのDEEP JEWELSに生まれ変わった。今回はその10周年を記念する大会となる。開会式時のVTRで過去の10年の試合映像のダイジェストが流される。
アムはムエタイでWMC、WPMFの世界ミニフライ級(47.63kg)王座を獲得し、14年にMMAデビュー。19年にRIZINに上がり浜崎朱加に1R腕十字で敗れ、山本美憂に判定負けした。20年2月のDEEP JEWELS初代ミクロ級王座決定トーナメント一回戦で佐藤絵実に1R腕十字で一本勝ちしたが、5月の古瀬美月との決勝がコロナ禍の影響で延期となり、古瀬が産休に入り、アムは戦わずしてミクロ級王者に認定された。今年5月大会での3年ぶりの復帰戦では伊澤星花で対戦し1R一本負けした。ミクロ級より5kg重い49kg契約と、体格差が大きく、伊澤が強すぎることも相まって、ブランクを経てのアムの変化が見定めにくい内容だった。
村上は柔術をベースとし、20年にMMAデビューしプロ戦績7戦6勝1敗。昨年9月に須田萌里相手に初黒星を喫したが、その後は12月ににっせー、今年4月にサダエ☆マヌーフに判定勝ちした。その3試合とも1階級上のアトム級で、適性階級のミクロ級ではより強さを発揮することだろう。
1R、アムが右ミドルを放つと、村上は蹴り足をつかんで前に出て倒しにかかるが、村上がアムの首元へ組み替えると、アムが右脇を差して倒して上になる。村上が足を取ると、アムも足を取り返そうとするが、村上は対処してアキレス腱固めを狙い続ける。だがアムは対処し、膠着状態に。終盤、村上は足関を解除し、ハーフで押さえ、左のパウンドと肘を少し落として終える。記者採点は村上。アムが足関を防御した際に体を起こしてパウンドを少し当てていたため、ジャッジはアムに付けた模様だ。
2R、村上が序盤から胴タックルで倒して上になる。だがアムは足を登らせ、村上に攻めさせない。だが中盤、村上は突き放してハーフで押さえてから、足を抜いてマウントポジションを狙う。アムが脱出しようと動くと、村上はバックに移りつつ、腕十字を狙う。しかしアムは対処して外し上に。足の取り合いとなるが、終盤、村上は体を起こしてパウンドを落として好印象を残す。記者採点は村上。
3R、パンチの打ち合いの後、アムが首相撲からムエタイ式の崩しで村上を倒すが、膝を放つと、村上が蹴り足にタックルを仕掛けて倒す。村上は金網際で上になり、足を登らせるアムに対処し、コツコツとパウンドを当てる。終盤、村上が押さえ続け、最後は村上が足を取るが、極められず終了する。記者採点は村上。合計27-30で村上。
村上はプロ8戦目で王座奪取に成功。ベルトを巻きマイクを持った村上は「今まで練習を頑張って、結果が出て良かったです。タイトルマッチが始まるまで、チャンピオンになるって自分にプレッシャーをかけ、有言実行できるよう頑張ってきました。これから上の階級とか、RIZINにも出れるようになりたいんで、もっと強くなりたいです。これからも応援よろしくお願いします」とアピールした。
パク・シウ、HIMEを圧倒し判定勝ち
第10試合 49kg契約 5分3R
○パク・シウ(韓国/KRAZY BEE/RIZIN女子スーパーアトム級GP’22準優勝)
×HIME(毛利道場)
判定3-0 (橋本30-27/石川30-27/長瀬30-27)
シウは21年大晦日のRIZINでRENAに判定勝ちして名を上げ、昨年4月のDEEP大阪大会で古賀愛蘭に判定勝ちすると、RIZIN女子スーパーアトム級GPでは浅倉カンナ、浜崎朱加に完勝して大晦日の決勝に進み、伊澤星花に判定2-1で惜敗した。それから9か月を経て戦列復帰し、DEEP JEWELSに戻ってくる。
HIMEは21年3月にプロデビューし、ケイト・ロータスと藤田翔子に連勝後、本野美樹には敗れたものの、22年3月に49kgまで体重を落として大島沙緒里と対戦し判定勝ち。9月には同じく49kg契約で桐生祐子をわずか37秒でKOした。今年2月大会ではストロー級で新鋭・万智と対戦したが1R一本負け。以前からRIZIN参戦を熱望しており、半年ぶりの試合で用意されたシウは、厳しい相手ではあるが存在をアピールするには最高の相手となる。
とはいえ試合ではシウが下馬評通りの強さで差を示すことに。1R、開始すぐからシウが中央に立ってプレッシャーをかける。シウはスイッチを繰り返し、オーソドックスになれば右カーフを当てる。中盤、シウがHIMEを金網に押し込み続ける。HIMEは倒されないが防戦一方に。終盤、シウは足を掛けて倒し、金網際で押さえる。立たれても立ち際に左膝を当てる。記者採点はシウ。
2R、シウが変わらずスタンドでプレッシャーをかけ続ける。お互いカウンター狙いで攻撃が少ないが、随所でシウが左右のパンチを当てる。中盤、ようやくHIMEが前に出るが、シウはタックルを仕掛けて金網に押し込む。終盤、膠着ブレイクがかかり、シウはスイッチしつつ左ミドル、右カーフを的確に当てる。最後はシウが押し込んで終える。記者採点はシウ。
3Rもこれまでと同様の構図で、シウが押し込み、主導権を維持する。体格で勝るHIMEは簡単に倒されないものの、防戦一方なことは変わらない。シウは押し込みながらパンチ、肘、肩パンチを細かく当てる。終盤、シウがパンチを連打すると、離れたHIMEもパンチを振って前に出るが、シウは片足タックルで対応して、またも押し込む。レフェリーはすぐに膠着ブレイクをかけるが、シウが打合いの展開で左フックを当て、最後もタックルで倒して押さえて終了する。記者採点はシウ。合計30-27でシウ。ジャッジ3者も同じ採点で、シウが完勝した。
マイクを持ったシウは「1年半ぶりのDEEP JEWELSの試合でした。試合はいつもワクワクします。試合の準備はいつも大変ですが、私が努力してそれを見せられるステージがあることが本当に幸せです。私の目標はチャンピオンです。もうすぐです。見守ってください」と日本語でアピールし、続けて韓国語でもアピールした。
須田萌里、TKO負けからの再起戦はケイト・ロータスに判定勝ち
第9試合 49kg契約 5分2R
○須田萌里(SCORPION GYM)
×ケイト・ロータス(KING GYM KOBE)
判定3-0 (嶋田20-18/石川○19-19/橋本20-18)
須田は昨年11月のDEEP JEWELSで本野美樹と49kg契約で対戦し判定負け。今年3月のDEEPでは1つ下のアトム級に戻し、桐生祐子に2R裸絞めで一本勝ち。5月のDEEP JEWELSでは49kgに戻し、パク・ジョンウンと対戦したが、1R終盤に右ストレートをもらってダウンすると、パウンドの連打を浴びTKO負けしている。
ロータスは今年2月大会で青野ひかるに寝技で攻め込まれ判定負けしたが、5月大会では彩綺を寝技で圧倒し判定勝ちしている。伊澤星花のいるK-Clannで練習し、着実に力をつけている。
1R、序盤から須田がグラウンドに引き込み、腕十字を仕掛ける。ロータスは間一髪で防御し、須田は一旦腕十字を解除したが、その後も下から執拗に腕や足を取ろうとする。中盤には須田がスイープして上になり、ハーフで押さえる。須田は肩固め、アキレス腱固め、ヒールフックを狙う。ロータスは回転して防御する。ロータスは上から時折パウンドを当てるが、防戦となる時間が長い内容に。記者採点は須田。
2R、またも須田は引き込み、腕十字を仕掛ける。ロータスが脱出し、猪木アリ状態になると、すぐに福田レフェリーはブレイクをかける。須田はがぶった状態から膝を連打し、首を抱えてギロチンを狙いながら倒し、ハーフで押さえる。ロータスが脱出しかけると、須田は腕十字で迎撃する。ロータスは防御し、時折スペースを作ってパウンドを当てるが威力は弱い。だが終盤、ロータスは立つと、寝転んだままの須田に右のパウンドを強打する。だが単発止まりで、猪木アリ状態が続くが、レフェリーはブレイクせずに終了する。記者採点は須田。合計20-18で須田。ジャッジ3者とも須田を支持し、須田の判定勝ちとなった。だがジャッジ1者が19-19とし、ロータスのパウンドを評価していた。打撃が重視されがちな現状のMMAではありうる採点だろう。
桐生祐子、青野ひかる下し連敗脱出
第8試合 ストロー級 5分2R
×青野ひかる(FIGHT LYNX)
○桐生祐子(Four Rhombus)
判定0-3 (18-19/18-19/19-19○)
青野は21年のDEEP JEWELSアトム級王座決定トーナメントで決勝まで進んだが、大島沙緒里に判定負け。昨年3月には須田萌里に1R腕十字で一本負けし2連敗となったが、今年2月大会ではケイト・ロータスに判定勝ち。前回まで49kg以下での試合を続けていたが、今回はストロー級に上げて戦う。桐生は21年12月の現役復帰以降3連勝していたが、最近2試合はHIMEと須田に連敗している。
1R、青野が序盤からテイクダウンを奪うが、桐生は体をひねって脱出する。青野は桐生を金網に押し込み、中盤過ぎに離れると、タックルでテイクダウンを奪う。終盤、青野はもがく桐生を押さえ続け、主導腱を維持する。記者採点は青野。
2R、青野はタックルを繰り返すが、勢いが落ち、桐生が切るようになると、左右のストレートを当て続けて攻勢に。青野のやや苦し紛れのタックルを切ってから、桐生がサイドバックから鉄槌を連打し、 バックを奪ってパウンドを連打する。まだ十分にダメージを与えきれていなかったが、桐生は裸絞めを狙う。一旦裸絞め狙いを解除し、バックで押さえ続ける。だが終盤はバランスが悪くなりパウンドの追撃が減ってしまう。残り30秒に青野が脱出し、サイドで押さえ、最後はニンジャチョークを狙うが、外されて終わる。記者採点は桐生。合計19-19で、マスト判定は2Rに大差をつけた桐生。ジャッジ3者とも桐生を支持し、桐生が判定勝ちした。
第7試合 フライ級 5分2R
○NØRI(PRAVAJRA/パンクラス女子フライ級3位)
×斎藤百瑚[ももこ](EXFIGHT)
判定2-1 (橋本19-18/石川18-19/嶋田19-18)
1R、NØRIがサウスポーで回って距離を取りつつ、右ロー、左ミドル、首相撲からの膝蹴りを随所でヒット。残り1分、斎藤がタックルで倒し、上からパウンドを当てるが、長時間続かず、最後は立ったNØRIを金網に押し込んで終える。お互い打撃を当てたため、ジャッジは割れた模様だ。
2R、斎藤が倒して金網際で上になりハーフで押さえる。だが中盤、膝立ちのNØRIの顔面に右膝を当てる反則を犯してしまい、福田レフェリーから減点1を宣告されると共に、ブレイクがかかる。だが斎藤はまたも押し込んで倒し上になり、パウンドを連打する。NØRIはヒールフックを狙うが、斎藤は対処しながらパウンドを当て続けて終える。判定は割れ、2者がNØRIを支持し、NØRIの判定勝ちに。斎藤は反則の減点1で差がつけられてしまった。
第6試合 ミクロ級 5分2R
×山崎桃子(坂口道場一族)
○古林礼名(GSB多治見)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)
1R、古林が金網に押し込み、中盤に脇を差した状態から倒し、サイドで押さえる。終盤にはマウントを取り、バックに移る。これはすぐ振り落とされるが、古林は引き続き金網に押し込んで主導権を維持する。
2R、同じように古林が押し込むと、山崎は金網を背にしながらニンジャチョークを仕掛けるが、古林は対処して外し、またもテイクダウンを奪う。中盤、膠着ブレイクがかかるが、古林はまたも押し込む。終盤も倒して立たれては押し込む展開を繰り返し、最後まで主導権を維持し判定勝ちした。、
第5試合 アトム級 5分2R
×古瀬美月(K-PLACE)
○イ・イェジ[Lee Ye Ji](韓国/Team aom)
判定0-3 (石川19-19○/橋本19-19○/嶋田19-19○)
古瀬は昨年11月に大島沙緒里に敗れたが、5月のDEEP JEWELSでは上瀬あかりに判定勝ちし、7月30日のDEEP大阪大会では浪速亭☆爆美に判定勝ちし2連勝中だ。
イェジは15年のデビュー戦でしなしさとこに敗れたが、17年の再戦では判定勝ち。19年に修斗で黒部三奈に敗れ、梅原拓未に勝利し、試合はそれから4年ぶりとなる。現在24歳。
試合はイェジが成長を印象付ける内容に。1R、イェジが右脇を差した状態で長時間古瀬を金網に押し込み主導権を握る。終盤、一旦ブレイクがかるが、再びイェジが金網に押し込む。これもブレイクとなるが、古瀬のタックルを潰してイェジが上になる。古瀬の下からの腕十字にも対処し、ハーフで押さえて終える。記者採点はイェジ。
2R、イェジがまたも長時間古瀬を金網に押し込む。一旦離れて打撃戦の後、またもイェジが押し込み、首相撲で膝を連打してから右フックも当てる。中盤過ぎにはイェジがタックルで倒して上になり、パウンドを落とす。終盤、古瀬は脱出し、今度は倒して上になり、ようやく反撃の流れを作る。しかし最後、イェジが脱出。古瀬は飛びつきギロチンで逆転を狙うが、外されて終了する。記者採点はイェジ。合計18-20でイェジ。ジャッジは3者とも19-19の採点で、マスト判定でイェジを支持し、イェジの判定勝ちとなった。
マイクを持ったイェジは日本語で「こんばんわ、イェジです。大変ですね。3年ぶりの試合になりました。ありがとうございました」と笑顔で話した。
第4試合 50kg契約 5分2R
×竹林愛留(総斗會三村道場)
○彩綺(フリー)
1R 2’19” TKO (ドクターストップ:口の負傷)
彩綺は昨年11月のブレイキングダウンで土木ネキこと坂本瑠華に勝利。5月のDEEP JEWELSのプロデビュー戦ではケイト・ロータスに判定負けした。竹林とのストライカー対決は序盤から激しい打撃戦に。1R、彩綺がサウスポーからの左ハイでダウンを奪い、左ミドル、ストレートで竹林を苦しめ、竹林は口から出血する。だが中盤、竹林が右ストレートを立て続けに当ててダウンを奪い返し、パンチラッシュで彩綺を追い詰める。竹林は首相撲で膝を当てるが、彩綺も組み、金網に押し込みつつ少し休む。すると竹林の口のドクターチェックが入り、ストップがかかり、彩綺のTKO勝ちとなった。打ち合いで場内を沸かせた上で、唐突な結末だったため、いずれ再戦もありそうだ。
第3試合 ミクロ級 5分2R
―ちびさい KYOKA(SAI-GYM)
―上瀬あかり(毛利道場)
ノーコンテスト
※上瀬が計量800gオーバーのため減点2。ちびさいが勝利した場合のみ公式結果に
※1R 2分半ごろに上瀬が裸絞めでタップを奪ったが、上記の規定によりノーコンテストとなった。
第2試合 ライト級 5分2R
×ぽちゃんZ(パラエストラ東京/レグルス池袋)
○細谷ちーこ(ABLAZE八王子)
2R 1’41” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第1試合 フライ級 5分2R
○奥富夕夏(リバーサルジム新宿Me,We)
×鈴木“BOSS”遥(SAI-GYM)
1R 3’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
アマチュアファイト第2試合 アマチュアSPルール ストロー級 3分2R
○サラ(FIGHT BASE都立大)
×愛温(CAVE)
判定2-1
アマチュアファイト第1試合 アマチュアSPルール 49kg契約 3分2R
×須田美咲(リバーサルジム立川ALPHA)
○槇原未来(AACC)
1R 1’13” フロントチョーク