武尊、ONEとの契約を正式表明「K-1代表、日本代表としてONEに殴り込む」「次のONE日本大会があるときは、所属関係なく上がれる環境を」

　ONE Championshipのチャトリ・シットヨートンCEOとK-1 3階級制覇王者の武尊が5月9日、東京で記者会見を行い、武尊のONEとの契約について発表した。

ONEのチャトリCEO（左）は何度も大谷翔平の名前を出して武尊の世界挑戦を称えたが、武尊「『大谷選手のように』じゃなく、これからは“世界の武尊”としてやっていく」と主張した

武尊、K-1離れONEとの契約までの道のり

　武尊は昨年6月のTHE MATCH 2022で那須川天心に判定負け。試合8日後の記者会見で一時休養とK-1スーパー・フェザー級王座の返上を発表する共に「一回心と体を最高の状態にして、その時に改めて会見させてもらいます。またみんながワクワクして心躍らせるような、格闘技界が最高に盛り上がるお話ができたらと思います」とも話した。8月に右膝の手術を終え、11月に入りSNSで「契約満了に伴い10月31日付でK-1及びKRESTとの契約を解除させて頂きました」と報告し「これからは一格闘家の武尊として　国や団体の垣根なく挑戦して　格闘技界が更にたくさんの人に夢やパワーを与えられる業界になるように　残りの人生、全力で戦います」と記した。

　3月29日の会見で武尊は、「MTGP Impact in Paris（インパクト・イン・パリ）（6月24日（土/日本時間）フランス・パリ）」にて、ベイリー・サグデン（英国）とISKA K-1ルール世界ライト級（61kg）王座決定戦を行うことを発表した。またABEMAは武尊と「専属PPVファイター契約」を結び、この試合をABEMA PPV ONLINE LIVEにて独占有料生配信すること、今後武尊にファイトマネー以外に1試合最低1億円の報酬を支払うことも発表された。ONEはABEMAの格闘技コンテンツの一つ。武尊はその会見で「（ONEムエタイ・フライ級王者）ロッタン（・ジットムアンノン）戦の実現に向けて動いている最中ですけど、まずはこの試合だけに集中します。勝って世界に僕の名前を売ることで現実的になると思います」とコメントしていた。
　その後、武尊はONEと契約を結び、渡米中の4月29日、ONEのチャトリCEOが自身のフェイスブックにて、武尊と複数試合の独占契約を結んだことを発表した。チャトリ氏は5月5日（現地時間）の初の米国大会を終えると、シンガポールに戻る前に来日し、9日、武尊と共に会見を行った。

武尊「K-1代表としてONEに殴り込む」

　武尊は「この度ONE Championshipと契約させていただきました。6月の試合で勝ってから発表しようと思ったんですけど、自分の口からしっかりファンの皆さんに報告したくて、この場を設けていただきました。現役のキャリアも最終章に入っていると思うんですけど、一番強い時期に世界に挑戦したいと思っていたので、世界最強の選手がたくさん集まっているONEで試合をしたい気持ちがありました。K-1チャンピオンとしての誇りを持っていますので、K-1代表としてONEに殴り込みに行こうと思います。世界で日本人選手が活躍できる環境をこれをきっかけに作りたいです。復帰戦でまず勝って、ONEで活躍します」「日本代表としてONEに殴り込みます。日本対世界の対抗戦をやりたいので、そういう大会につながればと思います」とコメント。ONEを選んだ理由を聞かれると「立ち技ですとONEに強い選手がたくさん集まっていますし、世界での大会を成功させていて、ファイトマネーや選手への待遇も、選手へのリスペクトを感じる団体です。一番はONEに戦いたい選手がいたことが決め手です」と答えた。

【LIVE】#武尊 選手記者会見

ー武尊、参戦理由を明かす

現役キャリアも最終章に入っている
と思うが今が一番強いし、
このタイミングで世界に挑戦したい

K-1チャンピオンの誇りを持っているので
K-1代表としてONEに殴り込みたい#ABEMA @takerusegawa@ONECHAMPJP

— ABEMA格闘 (@Abema_Fight) May 9, 2023

武尊「『大谷選手のように』じゃなく、これからは“世界の武尊”になれるように」

　ONEのチャトリCEOは「私の母は日本人です。母からは『いつになったらONEが日本で成功するんだ』と聞かれます。ようやく私と日本の格闘技が栄光の日々を過ごせるようになると期待しています。日本でナンバーワンになるまであきらめません」と日本でのONE人気向上に向けての強い意欲を示した。コロナ禍以降途絶えていた日本での本戦シリーズの大会について「できれば今年中にやりたいです」と話した。

　さらにチャトリ氏は「魔裟斗や天心のことは大好きです」と話しつつ「魔裟斗や天心は日本のリーグ以外では戦っていませんでした。大谷翔平は世界で戦っています。武尊は大谷のような偉業を成し遂げようとしています」と武尊を称え、英語と日本語の両方で「ロッタンは天心に勝った。みんな知っている。ONEには（ホームタウンディシジョンは）絶対ない」と熱弁した。その後もチャトリ氏は魔裟斗・天心・大谷の名前を何度も出しつつ武尊を絶賛。チャトリ氏と生では初対面の武尊はチャトリ氏の印象を聞かれ「口は荒いとは思いますが、選手へのリスペクトを感じます」と少しだけ苦笑してコメントしつつ、会見の締めの挨拶では「『大谷翔平のように』じゃなく、これからは“世界の武尊”になれるようにやっていきます」と主張した。

（追記：なお、武尊は会見当日夜のツイートで「今日の会見で納得いかなかったのは魔裟斗さんも天心くんも場所が日本だったというだけで世界と戦って結果を残してきている選手。そこへのリスペクトは持って欲しい。その上で2人を越えれるような試合をONEでやっていく」とチャトリ氏に苦言を呈している）

武尊「次のONE日本大会があるときは、所属関係なく上がれる環境を」

【LIVE】#武尊 選手記者会見

ー#ロッタン 選手と試合をするなら…？

まずは6月の試合を終えてからだが、
ムエタイルールの可能性もゼロではないと思う#ABEMA @takerusegawa@ONECHAMPJP

— ABEMA格闘 (@Abema_Fight) May 9, 2023

　また、武尊はロッタンと戦う場合のルールについて「6月の試合が終わってから決まって来る」としつつ、「ムエタイルールでの対戦可能性はゼロではない？」という質問には「まあそうだと思います」と答え、否定しなかった。これまで武尊はTHE MATCHのような団体の垣根を超えた戦いを希望しており、ONEとの独占契約はその障壁となりかねないが、武尊は「ONEと契約したことでその垣根が壊れると思います。次のONEの日本大会があるときは、所属関係なくONEの選手と戦える環境を、チャトリさんにお願いして作ってもらおうと思います」と説明した。