青木真也、ONE Championship公式インタビュー届く。今年の2戦、ノースカット、クリスチャン、秋山成勲、ONE 10周年、グラップリング、そしてプロレスまで縦横無尽に語る
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ONE Championshipライト級2位の青木真也のインタビュー記事がONEから届いた。青木は今年1月のジェームズ・ナカシマ戦、4月のエドゥアルド・フォラヤン戦を振り返り、新型コロナウイルス感染で青木戦を欠場したセージ・ノースカットからの挑発、クリスチャン・リーを頂点とするライト級タイトル戦線、ゴードン・ライアンの欠場で流れたグラップリングマッチ、今年10周年を迎えるONE、青木が要求する秋山成勲戦、そして並行しているプロレスと、多様な話題について客観的な視点も大事にしながら語っている。(写真:(C) ONE Championship)
――今年2021年の前半、ONEでは既に2試合をしました。振り返ってみていかがでしょうか。
青木「振り返ってみて、1月が割と肝というか岐路というか。難しいところではあったけれど、そこを乗り越えたことによって開けて来たなという感じでした。あそこがもし転がっていたら、また違った話だったとは思うんですけど。 4月は相手が変わったりと色々あった中で、なんとか転がって来たというか。でもコロナのこの状況だから。何がどう起こるか分からないですよね。
1月は相手的にも厳しい試合だったし、一個階級を下げてきたということもあって、不安な要素も多かったし。自分自身も久しぶりのONEの試合だったから。言い方は良くないかもしれないけれど、ちょっと潰しに来ているのかなと感じなかったわけでもないですね。そういう意味でちょっと敏感というか、神経質になった部分はありますね。」
――4月のフォラヤン戦後にセージ・ノースカット選手とのTwitterでのやりとりが話題になりました。
青木「あれは、要は自分が試合に穴を開けたわけじゃないですか。自分の都合で試合を欠場して、穴を開けて、それなのに『じゃあやってやるよ』って、何言っているんですかね?ということで、お前ちょっと都合良すぎるでしょという意味でした。」
――セージ・ノースカット選手は、青木選手との対戦を怖がっていたと思いますか?
青木「全然、別に。何かどうでもよくて、話題になれば良い。面白ければ良いというのがあるから、あんまり考えていないなぁ。また組まれたらやるんだろうし、組まれなかったらやらないんだろうし。」
――青木選手自身の方が長いキャリアを積んでいて、ライト級ランキング上位にもランクインしている青木選手にとって、セージ・ノースカットに対してはもう少し試合を重ねてから挑んで来いよ、のような気持ちはありますか?
青木「彼は別に北米で名前があるし、UFCでやって来た部分があるから。ONEではまだキャリアが浅いかもしれないけれど、そんなにそこは気にしていないかな。
やっぱり皆んな、すぐにタイトルマッチをやりたいとか言うじゃないですか。でも、それって都合が良いというか、理屈が合ってないじゃんって思うんですよ。巡り合わせもあるけど、自分からやりたいっていうには、ある程度説得力のある成績を残さないと言えない。だから、僕はすぐタイトルマッチをやりたいっていうのは、図々しくて言えないですよね。」
――すぐにタイトルマッチというと、少し前に、クリスチャン・リーとエディ・アルバレスの間で論争がありました。両方の選手と過去に対戦している青木選手は、何かご意見はありますか。
青木「クリスチャン・リーはチャンピオンだし、若いし、これからまだまだ将来はあるんだけど。エディ・アルバレスからやりたいとは言えないと思う。だって勝っていないんだもん。でも、クリスチャン・リーからすると、エディ・アルバレスには名前があるから、やっつけて自分の価値を上げたいから『じゃあ、お前やってやるよ』っていうクリスチャン・リーからの言葉はOKでも、エディ・アルバレスからやりたい、というのは都合良いなって思いますね。」
――ご自身のタイトルマッチに対する考えはいかがですか?
青木「やるからには上に行きたいって言うのが、選手というものだと思います。僕の考えだと、今の状態で(タイトルマッチを)やりたいって言うことは出来ると思うんですね。でも、そこでやりたいって言うと僕の中で説得力がないというか。だから、オク・レユンとかとやって、勝てば説得力があると思うけど、今の状態で都合良くやりたいとは図々しくて。そこまで僕は図々しくないかな。」
――前回の試合後インタビューで「若い選手とやりたい」というコメントは、そのような意味も含めてのお話ですか?
青木「もう一回、ちゃんと説得力のある試合をして、それで選ばれてチャンピオンシップって言われるんであれば良いけど。何かとりあえず、ガチャガチャ回すというか、クジ回すみたいな感じでタイトルマッチっていうのは、あんまり好きなやり方じゃないんだよ。ズルイって思っちゃう。」
――現状のONEライト級戦線についてはどう思いますか?
青木「現状は、クリスチャン・リーが飛び抜けているから。だって全員に勝っちゃったんだもん。クリスチャンが抜けているから、挑戦者不在。だから、もしも上手くガチャガチャが回れば、誰に回ってくるか分からないからこそ、皆んな(タイトルマッチを)やりたいって言うんじゃない?でも、クリスチャン・リー以外は横一線であることは確か。
みんなぶっ飛ばされていて、よく(タイトルマッチやりたいって)言えるなって思っちゃう。だって、皆な負けてるじゃんって。僕も負けているんだけど、それでもちゃんと説得力あることをして、それで選ばれるんだったら良いけど。インパクトとか、説得力を残さないと話にならないなと思います。」
――以前発表されていたゴードン・ライアン選手とのグラップリングマッチは、相手が健康上の理由でしばらく競技から遠ざかることになりました。ONEで“グラップラー”と呼ばれる他の選手の中で、グラップリングマッチで戦ってみたいと思う選手はいますか?
青木「結局僕は、MMAの中のグラップラーだから。グラップリングって言ったらまだ専門家じゃないと思う。今回みたいにやる人がいなければやるけど、別に(グラップリングマッチを)進んでやりたいと思うことじゃないですね。だって寿司屋なのにラーメン屋やる必要ないじゃないですか。」
――青木選手はONEに所属して9年目。ONEは今年10周年を迎えます。10周年記念イベントの話がありますが、どんなカードが相応しいと思いますか?
青木「ONEの第1回大会のメインは、フォラヤンが背負っているんですよね。レアンドロ・イッサも出ていたのかな。その中で、10周年とかやるんだったら、(ONEが)大きくなってから来たスターもいると思うんだけど、最初からやって来た人、この時代を背負って来た人達、この時に看板背負って来た選手で、意味のある、歴史のあるものが出来たら良いんじゃないかなって思います。
このスーパースターと、このスーパースターがやったら美味いだろうみたいな。トロとステーキとウニを一気に食べるってことじゃなくて、もうちょっと意味がある、強弱がある、緩急がある、わびさびがあることがやれたら良いんじゃないのって思います。もちろん、これが黄金カードだ!って言うのもあって良いと思うけど、その場面でキーポイントになった試合、選手がいると思うから、そういう選手を入れたら良いと思いますけどね。」
――ご自身は、ONEで試合をして9年目。これまでを振り返っていかがですか?
青木「やっぱり、僕、第1回大会を会場で生で観ているんですけど。その時に、東南アジアの格闘技に息吹や気運、期待感みたいなものを感じて、『これ、案外面白いじゃん』って思ったんですよね。まだ整備もされていなくて、模索しているような段階のあのONEが。もっと会場が小さい所でやってたりと、紆余曲折があって、大きくなって来て。そういうのは、10年前に見ていた時は全然想像が付かなかったけれど。10年前の最初の大会はやっぱり息吹がありましたよ。それは未だに忘れていないです。」
第1回目の大会は、ゾロバベル・モレイラのサポートで行った。メインマッチは、ライト級でエドゥアルド・フォラヤンとクォン・アソルがメインだった。第1回の大会でフォラヤンの試合を見ていた時に、もしかしたらこういうフィリピンの選手とか強くなって来るのかなと言うのを(当時受けたインタビュー)コメントで言っていたんですよ。フィリピンとか台頭して来るよって言っていて。それを言っていた奴が3年後、4年後に俺がぶっ飛ばされる訳だから。そう言う意味で、自分の見立ては間違えていなかったって思いますよ。だって、第1回大会で言ってるんだもん。こう言うやつ来たら俺たち日本人やられるよって言ってたら、まさか言ってたやつがやられるんだから。目は間違えていなかったなって思います。それが印象に残っているかな。」
――秋山成勲選手との試合は?
青木「秋山は、トムとジェリー的に、お互いにきゃっきゃやっていると、話題になる。その意味で、お互いにきゃっきゃやっていたいというのはある。国内でやってみたいなって思います。シンガポール大会のワンシーンと言うよりも、日本で最初から作ってやりたいなって思います。でも、2人にとって良いことだと思いますよ。
この(青木と秋山の)ストーリーラインって(海外のファンには)伝わりづらいかもしれない。物語は、2005年、2006年くらいまでに遡るし。昔から(秋山選手に対戦呼びかけを)していたし。日本の格闘技の歴史上で言うと、桜庭・秋山まで遡るし、海外のファンに分かってもらおうと思うと、難しいかもしれない。
その意味では、秋山も僕もこの試合で活路があると思う。お互いに好きでも嫌いでもないし、あのヤローと思っているわけでもないし、でも試合になったらきゃっきゃするというのは、今の格闘技選手にはない感覚なのかもしれないし、何がプロかと言うと難しいけれど、お互いにプロっぽさがあると思う。会った時はお互いに挨拶し合うし。でも、ちょっとやる時はバチバチやるっていうのもいいんじゃないかな。 」
――青木選手はプロレスでも活躍されていますが、MMAとどう行き来していますか?
青木「プロレスってすごく面白くて、最後のゴールが決まっているんですよ。そのゴールに向かってどう逆算していくか。それって、格闘技も同じだけど、最後はノックアウトする、首を絞めるというのがある。それをどう逆算していくか。もっと言えば、試合に向けてプロモーションや練習をするのも、どう試合に向けて逆算していくか。 当然その中にこうしたらいけない、こうなったら相手とおかしくなる、という約束事がいっぱいあって、それを守ってやっていくのが単純にゲームとして面白いんですよね。
だから、ゴルフに近いと思う。ゴルフって自分の飛距離とか、正確さとか、何個か柵を作って、積み上げて組み立てていく。それにちょっと似た面白さかと思う。だから、プロレスは好奇の目で見られるけど、ゴルフと一緒。文章を書くのも一緒で、理屈を詰めていくというもの。 特に、選手として年齢を重ねてきたので、格闘技では試合における制限が多い。わかりやすく言うと、打たれ弱くなっているとか。どこを汚しているとか、疲れやすくなっているとか。若い時よりも伸びないから、制限がつく。プロレスで言うと、技が使えなくなるのと一緒。この技が使えないという制限がつくと、より面白くなる。 だから、チェスというかRPGゲームのようなものだと思ってもらえるとわかりやすいかなと思いますね。」