ONE Championshipの新星・平田樹、ランカーとの対戦に意欲「スタンプ戦に勝機はある。王者アンジェラには5回に1回は勝てる」
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プロデビューからわずか3試合。日本の格闘技界のスターダムに一気に駆け上がった平田樹。昨年6月のONEデビュー戦で、アンジェリーナ・サバナルを僅か3分以内で極めると、大抜擢された10月の日本大会で、ONEの実力者でスター選手のリカ・イシゲに打撃で圧倒した後、腕ひしぎ十字固めで完勝。今年2月のナイロン・クローリー戦は、打撃やグラウンドの目まぐるしい攻防戦の中アグレッシブに攻め続け、3RのTKO勝利。プロになって間もない20歳の平田が試合途中の第2R後に見せた“勝利の舞い”。これには、世界中の格闘技ファンが度肝を抜かれ、大興奮した。コロナ収束後に再開したONEチャンピオンシップで最もその活躍が期待される一人。平田に電話取材した。(記事提供:ONE Championship)
コロナ禍で多くの格闘技選手が私生活や練習環境の変化を強いられているが、平田はむしろ充実した毎日を送っているという。「出かけられない不自由さはあるけど、ストレスはありません。家族が食卓を囲む機会が増えたことが嬉しい。この前は私と兄で回鍋肉(ホイコウロー)を作ったし、家族団らんでよく会話をしています。自分の試合が先になってしまったのはマイナスだけど、ちゃんと練習をして準備をしています。今はミット打ちやシャドウに加えてフィジカル・コンディショニングを中心に。対戦相手の研究はONEのアプリやSNSの動画を見て、戦うイメージを作っていますね」と、語った。
海外では、ムエタイとキックボクシングの立ち技部門を制し、総合格闘技に挑戦するONEの女子四天王の一人、スタンプ・フェアテックスが、将来の対戦相手の候補として平田の名前を挙げており(上記記事参照)、その事について平田に尋ねると、「もし自分がスタンプと戦うなら、今すぐに勝てるとは言い切れないです。でも、彼女の打撃を掻い潜ってグラウンドに持ち込むことができれば、勝機はあります。(Instagramのライブで)内藤大樹選手に“ローキックから崩す”とアドバイスを貰ったが、ムエタイをやっている人なのでその通りだと思った。(内藤の所属ジム「BELLWOOD」がある)愛知に行って、練習したいです」と、既にスタンプ戦を意識し準備している様子だ。
これだけの注目を集める平田だが、発表された公式ランキングにその名前は入っていない。「まだ3戦しかしていないので。でも、将来的には3位以内に入りたい。だから上位ランカーと試合をやって、自分の実力を知りたい。最近は(ランキング2位の)メン・ボー選手の映像をよく観ています。彼女は打撃も寝技も強い。もし戦うなら、お互い打ち合う展開になると思いますね」と語った。
アトム級の頂点に君臨する絶対王者アンジェラ・リーについては、「アンジェラはこの階級で断トツに強い。次は、デニス・ザンボアンガがタイトル挑戦すると思うけど、アンジェラが勝つと思う。仮にスタンプとやっても、寝技でアンジェラが勝つ。アンジェラは寝技も打撃もできるし、体格もフィジカルも強い」と、王者の強さを冷静に分析する。その一方で、もしアンジェラと“五番勝負”が実現したらと尋ねると、「自分とアンジェラが5回戦ったら、1回は勝てるかも。その時は作戦を練って、最後の最後で勝つ。勝ちたいです」と、強い野心をのぞかせた。
最後に格闘家としての自分の理想の姿を尋ねると、「デビュー戦よりは打撃が上達したと思います。でも、まだ柔道の部分が多すぎる。もっと“総合格闘技”ができるようになりたい。全部が出来ないと。この前の試合はレスリングのタックルが出来たけど、もっと色々な競技の技術を吸収して完成度を上げたいです。そして、アンジェラ・リー、ション・ジンナン、スタンプのような“男勝り”な戦いを見せて、今まで見た事も無いような女子の日本人選手になりたいです」と語った。総合格闘技を本格的に始めてから一気に“グローバルステージ”のONEで活躍する20歳の平田。その芽はまだ柔らかく、大輪を咲かせる可能性は大いにある。