BOM 6.1 横浜文化体育館:日本人初のルンピニー&ラジャダムナン統一王者 名高・エイワスポーツジム、これまでのキャリアとムエタイ観を語る
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BOM -The Battle Of Muaythai- season II vol.2(6月1日(土)横浜文化体育館)に出場する名高・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム/ルンピニー・ラジャダムナン・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者)の直前インタビューがBOMプロモーションから届いた。前回4月のBOMでタイの2大タイトル獲得の快挙を成し遂げた名高。4歳から極真空手を習い、その後キックボクシングと出会う。インタビューではムエタイの本場タイのベルトを目指そうと思ったきっかけ、ジュニア時代の活躍を振り返ると共に、自身のムエタイ・キックボクシング観、今後の目標についても語っている。
セミファイナル タイ国スポーツ協会ナーイ・カノム・トム・ライトフライ級王座決定戦 3分5R
名高・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム/ルンピニー・ラジャダムナン・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者、元WBCムエタイ世界同級王者)
ゲンカー・ヌンポンテープ(タイ)
——昨年12月9日、17歳でラジャダムナンスタジアム認定王者となり、続く4月14日、18歳でルンピニースタジアム認定王者となって、ムエタイ二大殿堂タイトルを統一。全世界の「最強格闘技ムエタイ」を目指すファイターの頂点に立つという大偉業を成し遂げました。
名高:ありがとうございます! けど、ここからが“始まり”です。
——階級は、最軽量級のミニフライ級(105ポンド、47.62kg)とはいえ、「ルンピニースタジアム認定タイトル獲得」「ルンピニー、ラジャダムナンスタジアム認定王座統一」と日本人初を17歳、18歳で成し遂げるという快挙は、圧倒的です。
名高:「世界初」をやりたいのでまだまだです。ルンピニーとラジャの統一チャンピオンは、ユセフがやりましたし。まだラジャを二階級制覇した外国人王者はいないので、今は、それを最大の目標にしています。(※2018年2月、ラジャダムナンスタジアム認定ミドル級に続きルンピニースタジアム認定同級王座を奪取したベルギーのユセフ・ボーネンは、外国人王者史上初の二大殿堂統一王者となった。)
——日本では、フライ級(50.8kg)がほぼ最軽量となるだけになかなか日本での試合の機会がありません。
名高:そうですね。プロで30戦していますけれど、日本人と試合したのは、星野梨衣智戦(2016年4月3日、45kg契約、判定2-0勝ち)と平松侑戦(2016年12月4日、ピン級、3RKO勝ち)2戦だけです。
——もっと日本で日本人選手と試合をしたい?
名高:はい! でも、先月(4月29日)、石井一成選手とエキジビションマッチをやらせていただいた時、体格差とパワーの違いを感じたので、ちゃんと身体を作って純正のフライ級にして臨みます。
——日本では「知る人ぞ知る偉人」といった具合ですが、タイでは今年4月の「ルンピニースタジアム月間MVP選手」に選出され、これも外国人選手史上初のこと。向こうの知名度は高いのでは?
名高:繁華街に行くと知らないファンの方から「ナダカー!」とよく話しかけられます。
——そんな名高選手のここまでの経歴を改めてお聞きします。生まれも育ちも神奈川県横須賀市?
名高:はい、ずっと横須賀です。
——家族構成は?
名高:兄が一人の二人兄弟です。
——スポーツや格闘技との出会いは?
名高:4歳から極真空手を習いました。父がけっこう格闘技好きだったからだと思います。一緒にテレビでK-1とかを見ていました。(ジョルジオ・)ペトロシアンや(アンディ・)サワー、ブアカーオ(・ポー・プラムック)、魔裟斗とかの試合を見ていいた記憶があります。
——空手はかなりやり込んだ?
名高:週4回通って9歳まで続けました。緑帯にラインが入った3級までいただいて。
——試合は?
名高:それが稽古は好きだったんですけれど、正直、試合が恐くってやっていないんです。
——それが約10年後、こんなことになるとは。キックボクシングとの出会いは?
名高:地元のサークル的なところに9歳で入会しました。最初は「空手のプラスになれば」といった感じでしたけれど、パンチやキックの攻防がどんどん楽しくなっていって、試合にも出るようになって。
——しばらくは、地元サークルに?
名高:11歳で今のエイワスポーツジムに入会しました。父がエイワのプロ選手でチャンピオンだった藤田ゼンさんと知り合いだったので、その縁がきっかけで。ジムには、試合をしたこともある朝陽(・PKセンチャイムエタイジム/品川朝陽)もいたし、練習仲間やトレーナー、練習設備など充実していて、何より中川夏生会長があらゆる面で完璧にバックアップしていただけるので、ここまで本当に練習と試合に集中することができました。
——アマで17冠王となりますが、その快進撃はここから?
名高:エイワに入るまでは、4、5戦のキャリアでした。初タイトルが小6で獲ったBigBang28kg級で、相手は、6月1日に同じリングに上がる大田一航選手でした。一航選手には、その2か月前に負けていたので、すごく嬉しかったことを覚えています。
——プロを意識したのは?
名高:中学生の間にプロとしてムエタイ一本で生きていこうと決めました。
——その後、無数に行き来することとなるタイに初めて行かれたのは?
名高:先ほど話した最初のベルトを獲った後の小6です。
——まずはムエタイ観戦やジム見学?
名高:初めて見るジムは、床はコンクリートむき出しでボコボコしていて、そんな環境でも自分と同年代の選手がプロとして物凄い練習量をこなしているのを目の当たりにして圧倒されました。ラジャダムナンスタジアムの試合は、ギャンブラーの熱気と声援が凄くて。けど、その雰囲気が好きで「ここで試合をしたい」ってすぐに思いました。それとその時、試合もしました。
——小6の初渡タイで初試合?
名高:1ラウンド2分でしたけれど5ラウンドでヒジ打ちも(通常のアマでは頭部への攻撃など制限されるが)ヒザ蹴り、首相撲も無制限。足の防具を付けない生脚で、相手も大きくて何もできなくて負けました。「パンチで突っ込んでいけば倒せる」と思っていたのですが、蹴りもパンチもフェイントが攻撃でも防御でも凄くて、突然ギアが上げてペースがもっていかれるなど衝撃的でした。けど、そんな駆け引きが楽しくて「これだ!」と確信できるものがありました。
——中学時代の夏休みや場合によっては高校に行かずにタイに移住するなどムエタイに懸ける若者もこのところ多くなっていますが、名高選手も?
名高:自分は、タイのジムに住み込み合宿したことはないんです。試合数日前に行って調整でジムを使わせていただくことはありますけど、ホームのエイワでしっかりと練習を仕切って試合に臨むやり方です。
——日本で中学時代は、アマで戦い無数のベルトを巻くことになりますが、同期前後で今もプロで活躍する選手は?
名高:RISEでチャンピオンになった田丸辰選手や一航選手、朝陽とかですね。
——総合アマ戦績は覚えておられますか?
名高:100戦ちょうどで81勝14敗5分です。
——タイでの試合は、少年だったとしてもプロのスペックだったりしますが、その意味でプロ戦績は?
名高:自分の場合、中学を卒業しての初休み、ラジャダムナンスタジアムの試合からプロにカウントしています。それでここまで30戦25勝(13KO)5敗です。
——そのうちタイ戦績は?
名高:20戦ぐらいです。ラジャが主戦場でルンピニースタジアムには、これまで2回出ています。
——中学からは、ムエタイに専念とのことですが、学校や仕事は?
名高:高校は通信制に進学して心置きなくムエタイに専念することができました。今は卒業して、ジムでジュニアクラスの指導をしながらプロ選手としてこれ一本で生活しています。
——「ムエタイとキックボクシングは似て異なる」という意見もありますが、名高選手は?
名高:まったく違います。けど、それぞれに魅力があると思います。ムエタイは、高度な技術のせめぎあいでギャンブルも相まって駆け引きが楽しめる感じで、キックは、ローキックを散りばめたコンビネーションが多くて、前に出て打ち合う熱い試合が好まれるといったところでしょうか。
——名高選手は、キックボクシングはしない?
名高:そんなことはありません。ただ、やる場合は、ムエタイ選手としてムエタイの技術を駆使して戦うということです。
——ご自身のムエタイスタイルは?
名高:フィームー(万能型)です。パンチも得意ですが相手の出方を見て戦術を変化させるといったタイプ。ですが、従来の型にとらわれず自分のオリジナルスタイルが築ければなと思っています。他にはない存在になりたいです。
——そんな中でもお手本にされている選手などおられますか?
名高:同じサウスポーで最新のMVP選手のタワンチャイ(・PKセンチャイムエタイジム)です。
——ムエタイの判定ポイントは、非常に難解で外国人に理解されにくいと言われていますが、ここまでムエタイを極めた名高選手は、その配分を理解されている?
名高:昔は、観戦していても勝ったと思った方が負けたりしていましたが、今では何となく分かります。ギャンブラーはシビアで、一見どっちかわからないような試合でも判定結果が発表される前に支払いを始めていたりするくらい明確なものがありますし、そこの理解が大切だったりもします。
——昨年12月9日、BOMの横浜大さん橋ホールで行われたラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級タイトルマッチで、王者、ハーキュリ・ペッシームに見事勝利されたのも、単純な巧さ、強さだけではなく、そういった戦略も大きいのでは?
名高:そうですね。そのあたり、タイ人トレーナーや中川会長が綿密な作戦を指示していただけるので。ハーキュリは、ルンピニーのタイトルも保持していた(同タイトルはこの試合の直前に返上)事実上の統一王者で、身長もずいぶんと大きい(173cm)強敵でしたが、なんとか勝つことができました。今年のルンピニータイトルマッチも同じく強力なバックアップ陣を信頼して勝ち抜くことができました。
——そんなムエタイヤングマスターの名高選手、次回、地元のビッグイベントでタイ国スポーツ協会ナーイ・カノム・トム・ライトフライ級王座を賭けてゲンカー・ヌンポンテープと戦います。
名高:タイトルマッチも光栄ですが、ライトフライ級(48.98kg)という階級が自分の中での大きなテーマです。相手は、50kg契約で試合もして勝っているのを見たことがあります。一筋縄ではいかないでしょう。
——そんな相手にどう勝ちますか?
名高:無理に倒そうとすると空回りするので、いつものように流れの中で戦術を考えながら、それでいていくところはしっかりとパンチでも蹴りでも倒しにいって、KOは狙いつつ、最低限完勝します。
——これでまたベルトが増えれば、プロで7冠王となります。
名高:光栄なことですが、自分としてはタイトルよりも「階級アップへの挑戦」がテーマとして大きいです。
——現在の体格は?
名高:身長164cmの通常体重54kgです。背も伸びているし、骨格も発達してきているので、順調に大きくなっています。来年から再来年にかけてフライ級からスーパーフライ級が適正階級になればいいなと。
——その上での目標は?
名高:今、ラジャで自分の1階級上(ライトフライ級)のチャンピオンがペーウプラオ(・ムアイデッド789)という気持ちが強くて試合が面白い人気選手なんです。大変な強敵なのは承知していますが、そんなスーパーチャンピオンに勝っての外国人初ラジャ二階級制覇が当面の目標です。
——ムエタイの軽量級は“神の階級”とまで呼ばれ、日本人はおろか外国人選手も不可侵の聖域でした。それがここまで活躍できる日本人選手が現れようとは驚きの他ありません。
名高:そこまでの道と練習環境を作っていいただいた中川会長に感謝です。このご恩は、自分が指導させていただいているジュニア選手たちにお返ししたいです。
——ジュニア選手たちに?
名高:うちには、今、村井雄誠や吉成士門、瀬戸響貴といった年下の後輩たちが切磋琢磨して練習しています。彼らの手本であり目標となっていきたいなと。
リングネーム:名高・エイワスポーツジム
フリガナ:ナダカ・エイワスポーツジム
所属:エイワスポーツジム
生年月日:2001年1月8日(18歳)
出身地;神奈川県横須賀市
身長:163cm
戦績:29戦25勝(14KO)4敗
ステータス:ルンピニースタジアム認定ミニフライ級王者、ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王者、IBFムエタイ世界ミニフライ級王者、元WBCムエタイ世界ミニフライ級王者、元WMC世界ピン級王者 、元ルンピニージャパンミニフライ級王者
対戦カード
第12試合 メインイベント ラジャダムナンスタジアム認定スーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R(インターバル2分)
クンスック・シットシェプブンタム(タイ/王者)※初防衛戦
緑川 創(藤本ジム/挑戦者、WKBA世界スーパーウェルター級王者、元新日本ウェルター級王者)
第11試合 セミファイナル タイ国スポーツ協会ナーイ・カノム・トム・ライトフライ級王座決定戦 3分5R
名高・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム/ルンピニー・ラジャダムナン・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者、元WBCムエタイ世界同級王者)
ゲンカー・ヌンポンテープ(タイ)
第10試合 ライト級 3分5R
スアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ/ルンピニー認定スーパーフェザー級王者)
翔・センチャイジム(センチャイムエタイジム/INNOVATIONライト級王者、元WMC日本・MuayThaiOpen・蹴拳ムエタイ・NJKF王者)
第9試合 65kg契約 3分5R
パコーン・PKセンチャイムエタイジム(タイ/WMC世界ウェルター級王者、元ルンピニー認定ライト級王者)
松本芳道(KICK-DIET吉野町/元新日本ライト級王者)
第8試合 WBCムエタイ世界ミニフライ級王座決定戦 3分5R
ペッデート・ボーサッパッパイ(タイ)
竜哉・エイワスポーツジム(エイワスポーツジム/WMC世界ピン級王者、ムエサイアム・イサーン・ミニフライ級王者)
第7試合 LPNJ(ルンピニー日本)スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R
朝陽・PKセンチャイムエタイジム(エイワスポーツジム/MA日本フライ級王者、ムエサイアム・イサーン・バンタム級王者)
サムサー・シリラックムエタイジム(タイ)
第6試合 63kg契約 3分5R
石井達也(フリー/WMCインターコンチネンタル・スーパーライト級王者、元新日本ライト級王者)※藤本ジムから所属変更
キヨソンセン・FLYSKYGYM(タイ/FLYSKYGYM/WMCインターコンチネンタル・スーパーフェザー級王者)
第5試合 54kg契約 3分5R
HIROYUKI(藤本ジム/新日本バンタム級王者)
一航(新興ムエタイジム/NJKFバンタム級3位)
第4試合 バンタム級 3分5R
鳩(TSK japan/WMC日本バンタム級王者)
チェ・ソクヒ(韓国)
第3試合 58kg契約 3分3R
川原龍弥(北流会君津ジム/WMC日本フェザー級2位)
ヨードインシー・シリラック(タイ)
第2試合 スーパーバンタム級 3分3R
明彦(尚武会)
加藤有吾(RIKIX)
第1試合 ライト級 3分3R
将輝・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)
羅向(ZERO)
概要
大会名 BOM -The Battle Of Muaythai- season II vol.2
日時 2019年6月1日(土)14:00開場、15:00開始
会場 横浜文化体育館
チケット料金 VIP 20,000円 SRS 15,000円 RS 10,000円 S 7,000円 2F 3,000円
チケット販売 チケットぴあ、出場選手・所属ジム
お問い合わせ BOMプロモーション(エイワスポーツジム) 045-324-3855 http://bom.tokyo/