RIZIN 8.11 トヨタアリーナ東京:榊原信行CEO「秋元強真のキャリアを大事に作り上げる。見たい対戦カードがたくさんある」「パッチーはセコンドにも本当の体重を言っていなかった」

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RIZIN.54 8月11日 トヨタアリーナ東京大会終了後の、榊原信行RIZIN CEOによる大会総括談話をお届けする。
榊原 お疲れ様でした。RIZINが始まってからはもう少し試合数が多くて、全10試合というのは少ないのかな、これで足りるのかなと主催者的には色々あったんですけど、PRIDEの時代を振り返ると国立競技場(=2002年8月のDinamite!)も全8試合、そして今日の全10試合、もうお腹いっぱいだと思います。これくらいのスピード感でテンポよくいろんなドラマを会場に来ていただいたファン、PPVで見ていただいたファンに届けられるというのが、スイートスポットのような感じのした大会でした。主催者としては手応えのあるというか、満足のいく素晴らしい全10試合だったなと思います。
契約体重というルールがあって、これからも試合やマッチアップをしていくことにはなるんですけども、残念なのはパッチー・ミックスとアリベク・ガジャマトフの体重超過。本当は決して容認できるものではないので、我々がどこまで選手に事前の体重コントロールが今どうなっているかを実際のところチェックして、「もっと落とせ」とか僕らがしっかりコントロールしてアドバイスすることはできるんですけど、現実的なところで言えば、パッチー・ミックスなんて前日僕が聞いた時も「あと5kgぐらい」と。水抜きをして云々かんぬんで十分クリアできると言っていました。ですが、確認するとセコンドにも本当の数字が言っていなかったりとか、ギャビ・ガルシアを彷彿させてしまいました(苦笑)。
本当、これ冷めますよね。しっかり体重を作って、片方勝ってもノーコンテストという形になるのは本当に冷めるので、プロの意識をもっとしっかり選手たちに、そして関係者に強く訴えかけて、絶対にオーバーできないという脅迫観念をしっかり持ってもらえるように働きかけていきたいと。今回大会の中で一番主催者として次に向け改善しなくちゃいけないところはそういう点かなと思っております。
始まる前からこのトヨタアリーナにあれだけの観客・ファンのみんなが詰めかけてくれているエネルギーが、選手の背中を本当に押すんだなと思いました。この舞台に上がってこのリングで果たし合いをする以上は、半端なことはできないんだという覚悟を全選手から感じることができたことを嬉しく思います。
前半特に6試合、平本丈も素晴らしかったですし、後藤(丈治)も素晴らしかったですし、伊藤裕樹に至っては公開(計量)の時に「KOで倒せ」と言った言葉をそのまま体現してみせるという、あっぱれな結果だったと思います。忘れてはいけない武田(光司)も、あんなに武田が綺麗に摩嶋(一整)から一本取って勝つというのは全く想像していなかったので、本当に武田の進化も見て取れるなと思いました。
ヘビー級GPに関しては、順当ということではないんですけども、やっぱりエドポロキングの化け物ぶりというか、怪物ぶり、進化ぶりが際立ちました。試合前にコーナーで立っている時の肩や胸の筋肉のつき方も含めて、この1年数ヶ月しっかり精進してきたんだなということを感じましたし、試合はもちろん自分の体格を活かして圧倒的に上田(幹雄)選手をぐうの音も出ないほど打撃で勝つ姿も見せてくれたことは、今後の彼が言う通り、RIZINのヘビー級を日本で育ち日本語も流暢に話すエドポロが引っ張っていくような存在になってくれる可能性がすごく感じられたものでした。11月のスダリオ(剛)との一戦が楽しみになったなと思いました。
パッチー(・ミックス)と佐藤将光の試合に関して言うと、いずれにしても先ほどもお話ししたみたいに、ベストコンディションではないパッチー・ミックス。彼自身、秋元強真に出鼻をくじかれた中でバンタム(級)に戻して、今一度世界のトップアスリートに返り咲くという大目標は掲げたんですが、なかなか思うような形でのトレーニングというか準備が整っていなかったのかなと思いますし、ここで歩みを止めずに、もう一回奮起して戻ってきてくれることを期待したいと思いました。
メインに関して言うと、弱冠20歳の秋元強真が、そういう意味では横綱相撲というか、全くクレベル(・コイケ)のペース、クレベルが求める試合展開にさせずに勝利を手にしました。どのタイミングで (左)拳をやったのか分からないですが、その怪我の影響もあったのかもしれませんが、判定ということは多分秋元選手も悔しがっているんじゃないかなと思いますけども、今年2度目のRIZINのメインでしっかり役割を果たしてくれたことを心強く思うし、嬉しく思います。近い将来、シェイドゥラエフ対AJ(・マッキー)の勝者と本人(秋元)は大晦日と言いましたが、怪我の状況次第では無理にそこじゃなくてもいいのかなと思っています。朝倉海も解説席で言いましたけど、秋元強真で見たい対戦カードがたくさんあるので、もちろんRIZINの押しも押されるなメインイベンターの1人だと思いますが、ファンのみんなに怒られないように、無理をして秋元に頼って興行を回すということのないよう、全体のバランスを取っていけたらいいなと。大事に彼のキャリアをしっかり作り出していく役割になれたらいいなと思いました。
いずれにしてもトヨタアリーナは素晴らしいアリーナでしたし、この観客数、今回本当に完売になってファンのみんなには心から感謝したいと思いますけども、このキャパで観ていただくのがベストなんじゃないかなと思わせるものでした。これ以上大きくなるとイベントとしてのスケール感や臨場感とかいろいろ出てくると思いますけど、この関東圏の中で新しくできるアリーナの中では本当にこのトヨタアリーナはひょっとするとナンバーワンかもしれません。今年またお邪魔する千葉のLaLa arena TOKYO-BAYがどのくらい格闘技に向いているのかはしっかり見たいと思いますが、アリーナの持っている機能も素晴らしかったですし、格闘技側がそれを活かせる感じが作れましたので、本当にまた帰ってきたいと思いました。取り急ぎ私からは以上です。
―― 先ほど秋元選手とクレベル選手が来られましたけども、クレベル選手は顔がかなりボコボコで、対して秋元選手は顔がかなり綺麗な状態でした。あれだけの試合になるというのは、事前に予想できていましたか?
榊原 本当、秋元選手の調子が素晴らしくいいと、コンディションがすごくいいということも聞いていましたし、朝倉海や朝倉未来の受け売りというか彼らの事前情報だと、「とてつもない進化をまた遂げているんで、多分ワンサイドになると思う」というようなことは2人からも聞いていたので。事前にYouTubeの番組企画の中で秋元と一緒になった時も、20歳とは思えないくらい落ち着いていますしね。人間としての成長もすごく、接していても感じる今日この頃なので、ひょっとすると本当に圧勝するのかなという風に、なんとなくイメージはしていましたけどね。
―― 今日は本当にKOが多かったですが、フライ級では伊藤選手が素晴らしい勝ち方で神龍誠選手へ熱烈なラブコールを送っていました。ここは例えば次は神龍選手対伊藤選手なのか、あるいはトニー・ララミー選手もいる中で大晦日決戦なのか、どのような展望をお持ちでしょうか?
榊原 そこもしっかり考えていきたいんですけど、順番でいくとまずはララミーと神龍がやるべきでしょうね。その勝った方と伊藤裕樹が大晦日にやるとか、そんな流れで行けたらいいかなと今は思っていますけどね。
―― バンタム級も、ミックス選手が計量をクリアして勝っていたら、もしかしたらサバテロ選手というのもあったかもしれないんですが。
榊原 そうだね。そういう意味では本当に佐藤将光とミックスの試合がぼやけちゃいましたよね。そこできっちり計量クリアして、この試合に勝った人が次に駒を進めるというような形になっていけたらいいかなと漠然と思っていましたけどね。そこはないと思うんですけど(ラマザン・)テミロフにああいう形で勝った後藤丈治がやっぱりちょっと頭一つリードかなという感じもするので、そういう中で井上直樹選手とどう絡ませるのか、その先に(サバテロと)誰が対峙するのかという展開もまた考えていけたらいいなと思ってます。
―― もう一つ伺いたいんですが、今日の全10試合は大体終了時間が5時間くらいでした。となると、次の超RIZIN(@京セラドーム大阪)が9試合で、大体こんな感じになるという想定でしょうか?会場もかなり広くて花道も長いと思うのですが。
榊原 そうですね、5時間ぐらいだと思いますね。おっしゃる通り本当に花道が長いんで、1試合の入場の時間が今日より遥かに長くなるというのが1つと、オープニングも含めて「超RIZIN」なので少し演出的なところも含めて趣向を凝らしていくので。トータルで考えると、現状9試合で考えた時にトータル5時間ぐらいでイメージはしています。
―― 秋元選手が左拳を負傷となると、大晦日のフェザー級タイトルマッチはAJ対シェイドゥラエフの結果や、ライト級の状況も含めて決まっていくことになるんでしょうか?
榊原 そうですね。秋元の回復がどういう骨折でどのくらいリカバリーにかかるのかにもよると思いますけども、準備が整ったから大晦日に行けるということに安易に進まない方がいいかなと今は思っていますけどね。AJとシェイドゥラエフの結果にもよると思いますが、シェイドゥラエフとAJの勝者がこれで来年1月1日から(PFLとMVPが合併した)MVP MMAのフェザー級王者になるんでですね。今週僕がアメリカに飛んで、向こうのジョン(・マーティンCEO)としっかり話をしてきますんで。9月の勝者が次、MVP MMAの中でいつ出番が来るのかにもよると思うんで、ひょっとするとシェイドゥラエフの試合も大晦日にあるのかないのか、まだ確定ではないかなと思っています。
―― もう1点、LANDMARKシリーズだった千葉大会がナンバーシリーズ(RIZIN.55)になりましたが、千葉には有名な格闘技ジムがいくつかあるかと思います。ナンバーシリーズに変更になった理由は何でしょうか?
榊原 千葉の大会は今、出たい・出したい選手が列をなしている状態です。あとは、やっぱりここでしっかりタイトルマッチを組んでいける状況も作れるなというところもあったので、LANDMARKという枠でやるよりはナンバーシリーズにしようと。それに見合うだけの、今日に負けないくらいのラインナップがずらっと並べられると思います。
―― 今日前半戦の中で細川一颯選手がプロ初MMAということで、残念な負け方だったんですけれども、CEOとしての見方としてはどう可能性を示せたのか、あるいはもっと下から揉まれてきた方がいいのか、どのような所感でしょうか?
榊原 僕はなんかもっと見たいなと思いましたね。距離感も掴めない中でファーストコンタクトで綺麗に右をヒットさせられたのが運が悪かったというか。それは直樹がすごいということなのかもしれないですが、それであれだけまぶたを腫らしてしまったことで、その後の展開が大きく変わったと思います。気持ちも強いですし、十分RIZINの中でこの後もキャリアを積み上げていってもらえるポテンシャルは細川選手から感じ取ることができました。
―― 逆に勝った直樹選手は試合後に「フェザー級(66kg)でフェザー級の相手とやりたい」と言っていたんですが、今後のマッチメイクとしてはそんな感じになっていきそうですか?
榊原 そうですね。今回も細川選手としっかり話をして66kgも作れないことはなかったと思いますけど、いずれにしても次の直樹選手の試合はフェザーの階級でしっかりキャリアがある選手とやる局面になっていくのかなと思います。
―― 昨日残念ながら体重超過が2人出て急遽試合順を変更しましたけども、それは思惑通りに進みましたか?
榊原 これも結果なんでね、今の試合順に変えたことによって今日の結果が出たのかもしれませんし、良かったんじゃないですかね。見やすくするというか、ヘビー級を上に上げて。体重超過の試合を2つ並べるよりいいかなと思いました。
―― そのヘビー級ですが、去年まで厳しい意見も仰っていたと思いますが、今回全体的にいかがでしたか?
榊原 「ヘビー級最高に面白いです」と言えるほどではないですね。大味なヘビーだからということなのかもしれないですけど、もう少しいいレベルの攻防が総合格闘技なので見られるといいなと。欲を言い出すとキリがないですが、ただ本当にエドポロキングとかスダリオ剛の次の11月の(決勝)結果によっては、十分世界のヘビー級の選手たちと渡り合えるものを日本人ヘビー級選手にも感じ取ることができたので、さらに期待を持って(マッチメイカーの)チャーリー(柏木)と共に見届けて、育てていきたいなと思ってます。
―― バンタム級のことなんですけども、今日も含めて名前が上がっている選手がすべてサバテロに敗れている状況でなかなか難しいと思うんですが、サバテロ自身もまた試合をしたいという感じの選手じゃないですか。その中で今日上がった日本人選手たちが潰し合って彼とやるということも考えられますか?
榊原 考えられると思いますね。本当にバンタム級も世界が広いんで、海外の選手をもっとピックアップして磨いていくこともあると思いますけど、現状で言うと(井上)直樹と後藤あたりが、このままダイレクトにサバテロとはならないと思いますけど、次のコンテンダーとして名乗りを上げるような試合を年内1試合ぐらい組んで、その先の2人の活躍・結果によっては大晦日でタイトルマッチというのも熱が作れるのかなと期待はしてます。
―― 先ほど武田選手に言及されていましたが、今日の勝ち方を、しかも摩嶋選手相手にしたことによって、武田選手がフェザー級の中でこれまで以上に存在感を出したと思うのですが、彼の今後についてはどう考えられていますか?
榊原 今回もダメージがほぼないはずなんで、コンスタントに試合を組んであげたいですし、ひょっとすると武田が覚醒していく姿が見れるんじゃないかなと。やっぱり摩嶋にああいう形で勝てたというのはすごい自信にもなるし、武田自身のキャリアの中では今日の1勝は大きかったと思いますので。強い強いと言われながら、なかなか武田も階級も含めて結果が思うような形で重ねられずに足踏みしていた部分もあったと思いますけど、一気に登り詰めてくる可能性はあるかなと期待してますね。
―― 榊原さん以前からMVPのことはあまり良いような感じのコメントはされていなかったと思うのですが、そこがPFLとくっついて、RIZINとPFLの関係性というのは今までと変わらずという感じでしょうか?
榊原 僕らはあまりスタンスは変わってないんですよね、PFLとの向き合いの中で。ただ、PFL側も(買収・提携の件について)詳しく聞かないと分からないですが、ジョンがこれまで通りCEOとしてMVP全体も最終決定権者となれるのか、MVPのジェイク・ポールとかの意見が強いのか……。MVPとPFLの今まで作ってきたコンテンツが180度ぐらい違うんで、その中でどう折り合いをつけて彼らが1つになってやっていくのか。(UFC代表の)ダナ・ホワイト(の言葉)じゃないですけど、「チケットが売れない人気のない団体同士がくっついても結果は一緒だ」という言葉に大きく頷いちゃう僕がいるんでですね(苦笑)。くっついて何か大同団結して新しい化学反応が起きてすごいことになればいいなと思いますし、いずれにしても向こうはNetflixがバックに付いている話なんで、まずは今回渡米して彼らの今後のソフト戦略をしっかり共有してもらって、大同団結していくことで新しい日本の格闘技界の中でもプラスになるような形にできるんだったら、しっかり協力していきたいと思っています。
―― (9月10日の超RIZIN.5の)マッキーとシェイドゥラエフの試合(=PFLとRIZINのダブルタイトルマッチ)というのは、発表した通りに開催されるということで間違いないでしょうか?
榊原 開催します。それは間違いなくやりますので。
―― BreakingDown出身のジョリー選手と細川選手が2人ともKOとドクターストップという結果になってしまって、会見場にも来られなかった状況だったと思うのですが、彼らに対して何かかけたい言葉はありますか?
榊原 まだまだ腐る話でもないですし、両選手とも魅力的な選手であることは間違いないんでですね。それに格闘技に対してジョリーもそうだし細川選手もすごく真摯に向き合って、強くなるための努力を惜しまない人たちなので、また必ずカムバックしてきてほしいなと思います。









