Krush 3.30 後楽園ホール:初代ミドル級王座決定Tインタビュー。神保克哉「松倉信太郎を倒すまでがストーリー」×YOHAN「神保選手は迷いが見える」、谷川聖哉「やっとアスリートになった気がする」×ブハリ亜輝留「色んなタイプとのガチスパーで急成長した」
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Krush.159(3月30日(土)後楽園ホール)の初代Krushミドル級王座決定トーナメント準決勝・神保克哉 vs. YOHAN、谷川聖哉 vs. ブハリ亜輝留の2試合4選手のインタビューがK-1 GROUPから届いた。
第8試合 初代Krushミドル級(75kg)王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
YOHAN(韓国/T.K.F/元KROSS×OVERクルーザー級王者)※ZEEK GYMから所属変更
K-1 GROUPでは先にK-1でミドル級王座が設立され、昨年6月の初代王者決定トーナメントでは決勝でハッサン・トイが松倉信太郎を1R KOし優勝したが、12月の大阪での初防衛戦では松倉がリベンジ勝利しK-1ミドル級王者となった。
今回、Krushでもミドル級王座が創設され、4選手によるトーナメントが開幕する。3月大会で準決勝2試合を実施し、決勝は6月23日のKrush後楽園大会を予定している。
神保は元々70kgの選手だったが、近年は75kg近辺での試合が続き、率先して階級設立を提唱してきた選手だった。だが満を持して開催された昨年6月のK-1の王座決定トーナメントでは、一回戦でリー・ホイに延長判定負けしてしまう。試合はそれ以来9か月ぶりとなる。Krush王座決定トーナメント準決勝の相手・YOHANとは、17年2月のK-1のプレリムで戦い、神保が左ボディで1R KO勝ちしている(当時のYOHANは雄人のリングネームだった)。
YOHANは22年6月に鈴木健太郎に判定勝ちしたが、9月にダニロ・ザノリニに判定負け。昨年3月のK-1で松倉との試合が組まれたが、YOHANは頸椎ヘルニアで全治2カ月と診断され欠場していた。
第7試合 初代Krushミドル級(75kg)王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
ブハリ亜輝留[アキル](ウィラサクレック・フェアテックス幕張)
谷川は17年のキックデビュー当初から90kgのクルーザー級以上で戦い、22年4月のK-1の無差別級トーナメントでは準優勝の好成績を残したが、今回は中学生当時以来だという75kgまで絞る。
亜輝留は21年5月に神保にKO負けしているが、22年6月から昨年9月まで、EITO、ジュリオ・セザール・モリ、吉野友規、大石昌輝相手に4連勝(2KO)中だ。
神保克哉「松倉信太郎を倒すまでがストーリー」
―― 試合が近づいてきて、トーナメントへの気持ちも高まっているのでは?
神保 そうですね。K-1ミドル級王座を獲れなかったので、Krushの王座の話が来た時はうれしかったんですよ。「K-1、分かってるな」みたいな。
―― 改めて、今回のトーナメント4人の顔触れについてはいかがですか?
神保 勝ってる相手が2人(YOHAN、ブハリ亜輝留)いて、やったことない相手が1人なので、そんなに警戒はしてないかなという感じですね、正直。
―― 谷川聖哉選手が階級を下げて参加することが話題になっていますが、神保選手も驚きましたか?
神保 驚いたというか……何か、変な感じがしましたね。
―― 変な感じ?
神保 クルーザー級でチャンピオンを目指すと言っていたのに階級を落としてきたので、「そんなに甘くないよ」というところを見せたいですよね。
―― それは、決勝戦で直接当たって示したい?
神保 そうですね。やれるんだったらやりたいというのはありますね。
―― 今回、準決勝で対戦するYOHAN選手には7年前に勝利しています。
神保 まだ70kgでやってた時ですね。もう7年も前なので、試合のこともそんなに覚えてないし、「若かったな」というぐらいですね。
―― では、一度勝っているということは今回は関係ない?
神保 ないですね。あと、その試合後から彼とはけっこう一緒にスパーリングしていたんですよ。だから彼は俺の手が分かっているので、そこは正直警戒していますね。
―― 会見ではYOHAN選手が「神保選手とはチング(友達)だ」と言っていましたよね。プライベートでも交流があるんですか?
神保 まあ、そうですね。ただ、普段から殴り合ってたので、対戦することには問題はないです。
―― YOHAN選手は神保選手との試合がK-1グループ第1戦で、その後もそこまで勝ててはいません。そこはどう見ていますか?
神保 うまいなっていうのは伝わるんですけど、K-1向きじゃないかなと思うんですよね。ポイントアウトみたいな戦い方というか、当てて逃げて当てて逃げて……という感じなので。今回はそういう戦い方はしてくるなよと言いたいです。
―― 前回に続いて、自分がもう一回お手本を見せてやるという気持ちもあるのでは?
神保 間違いないですね。だから向こうも俺にリベンジしたいんだったら殺す気で来てほしいし、俺もボコボコにしてやるつもりでいます。
―― 先ほど決勝の相手として谷川選手の名前も出ましたが、ブハリ選手も神保選手へのリベンジを狙っています。
神保 だから、どっちが上がってきて決勝で対戦することになっても面白いと思いますよ。ブハリ選手がリベンジしたいと思って上がってくるんだったら、俺も叩き潰すだけなので。ただ全体を通して、ストーリー的には俺が優勝しないと、その先が絶対につまらなくなると思います。
―― ほう。
神保 優勝してKrushチャンピオンになって、自分はそこで終わりじゃないんで。今のK-1ミドル級のチャンピオン、松倉信太郎を倒すまでが自分の中のストーリーだと思ってますね。他の選手にはそういうストーリーがないと思うんですよ。自分は今までこのミドル級という階級を作るために戦ってきて、でもいざ階級ができたら、その過程で倒した相手が、今チャンピオンになってるじゃないですか。言っちゃえば、俺が勝ってるのに俺がチャンピオンじゃないという状況なんですよね。
―― 確かに。
神保 それが自分の中ですごくイヤなのでリベンジしたいというのもあるし……いや、リベンジじゃないか(笑)。もう一回勝ってベルトを奪いたいなというのがあるんで。そこまでのストーリーは俺が一番ありますよね。だから、俺が優勝しなきゃダメなトーナメントなんですよ。優勝してKrushのチャンピオンになって、K-1チャンピオンと戦ってK-1チャンピオンになって、ストーリーが完結するんで。
―― そこまで思い描けていると。ベルトといえば、2月大会では元ジムメイトの伊藤健人選手のセコンドについていましたね。伊藤選手がタイトルを奪取して、いい刺激になったのでは?
神保 いやあ、メッチャ刺激をもらいましたね、正直。K-1ジム目黒で一緒に練習していた時は、健人君について「本当にチャンピオンになれるのかな?」と思ってた部分もあったので。でも彼は諦めないでずっと続けてチャンピオンになったじゃないですか。諦めない心も大事なんだなというのがすごく伝わりました。「おお、すげえな!」って思ったし、パワーももらいました。
―― しかも1R早々に見事なKOでしたからね。
神保 はい。諦めないってマジ大事なんだなって思いました。あの人は周りから「もうやめろ」ってさんざん言われてたのも俺は知ってるんで。その中でチャンピオンになったっていうのはマジですごいなと思いましたし、続かなきゃと思いました。
―― 2試合勝ってベルトを獲るのに、最終的に必要なものとは何でしょう?
神保 気合いです!
―― ですよね(笑)。
神保 俺はこれだけでやってきましたからね。これで階級も作ったんで。俺ぐらいじゃないですか? 7連勝して、チャンピオンにはなってないけど階級は作ったみたいな(笑)。7連勝してんのにチャンピオンになれてないっていうのもイヤなんで、ここは絶対獲ります。「無冠の帝王」みたいな感じになっちゃってるんで、ここで獲りたいというのは強く思ってます。
―― ベルトを巻いている自分もイメージしていますか?
神保 最近、夢に出てくるようになったんですよ。あんまり意識してるつもりはなかったんですけど、それでも夢に出てきたんで、自分の中ではイメージがあるんだなと思いました。
―― 潜在意識ではよほど意識してたんですね。
神保 間違いないです(笑)。ベルトはメチャクチャほしいですからね。しかも、Krushのベルトがずっとほしかったんですよ。スーパー・ウェルター級ではタイトルマッチまで行ったけど獲れなかったんで。やっぱ、Krushって今のK-1の原点じゃないですか。格闘技の聖地・後楽園でそのベルトを巻きたいっていうのが自分の中にずっとあったんで。
―― 以前のタイトルマッチを振り返ると、ベルトが懸かることで固くなったり、プレッシャーがかかったりはしませんでしたか?
神保 K-1ミドル級のトーナメントの時は、考えすぎちゃう部分がありましたね。でも今はとにかく勝ちがほしいんで、ベルトのことはそんなに意識しないようにしてます。今は連敗しちゃってるんで、まずは勝ちたいです。
―― では最後に、この試合への“決意”を改めて教えていただけますか?
神保 これが終わりじゃないんで。自分がこのトーナメントで勝ってKrushのチャンピオンになって、K-1のチャンピオンにも絶対なるんで。まずKrushを獲ってから、マイクで改めてそのことを話したいと思います。
―― 分かりました。ありがとうございました!
YOHAN「神保選手は迷いが見える」
―― 今回対戦する神保克哉選手とは7年前、K-1グループ初参戦で対戦していますが、その試合で印象に残っていることは?
YOHAN 初のKO負けだったので、それがすごく記憶に残ってますね。その前まで負けなしで、K-1に選ばれたんですけど、正直レベルの高さを感じました。「これが最高峰の団体なんだな」と思って。
―― カード発表会見の際、神保選手のことを「チング(友達)」と表現されていたのが印象的でした。その試合後に交流が生まれたわけですね?
YOHAN そうですね、何回か練習することがあって「練習仲間」という感じにはなってました。同い年のファイターとして、絆みたいなものもあるのかもしれないですね。
―― その神保選手との対戦は問題ないものですか?
YOHAN ないですね。練習してた時も、「もしまた試合が決まったら盛り上げようぜ」という感じだったので、今回実際に決まって、お互いにそんな気持ちなんだと思います。
―― むしろリベンジしたいという気持ちの方が強い?
YOHAN そうですね。7年間ずっとその思いを持ち続けてきたかっていったら、正直分かんないですけど、当時やられた時には「やり返してやりたい!」っていう気持ちが強かったので、その時の自分との約束を守りたいなという気持ちですね。
―― 前回の対戦から7年経って、今の神保選手の印象は?
YOHAN いち選手としては、トップレベルのファイターだなと思ってます。どこが弱いとかどこが強いとかではなくて、トップだなと。ただすごいんですけど、「神保克哉」としては最近連敗中ということもあって、ちょっと迷いが見える気はします。
―― 試合の中で警戒したい点は?
YOHAN けっこう流れで持っていくスタイルなので、その流れに乗せられないようにしたいです。自分のペースでやればいけるんじゃないかと思ってますけどね。その上で、スパン!とKOで決めたいです。何もさせず、スパン!と。
―― では、打ち合いに持ち込みたいというわけではない?
YOHAN 相手は打ち合いに持ち込みたいだろうから、そうなる場面も出てくるとは思いますけど、それも相手の土俵なので、そこに付き合わされないようにしたいです。ただ「ぶつかりにいくぜ!」ではなくて、自分のペースを崩さず決められる場面に持っていけたらなと思っています。
―― この7年間で、自分が一番成長したところとは?
YOHAN 体も変わったし、経験値もその頃とは比べものにならないぐらいですけど、一番はマインドじゃないですかね。練習も強い人と積極的にやるようになりましたし、一回一回の練習を試合みたいな気持ちで取り組むようになりました。
―― 今回は4人参加のトーナメントの準決勝ですが、改めて他の3人の顔触れについてはどう思っていますか?
YOHAN みんな実績も実力も本物なので、簡単なトーナメントではないなと思ってます。そこに選ばれたこともうれしいですし、生半可なことじゃ勝てないなと思ってます。
―― K-1グループ参戦後は、思うように勝ててはいないかと思います。それだけに、このトーナメントにかける気持ちが強いのでは?
YOHAN かなり強いですね。ここで勝っちゃえば、全部チャラだなと思うので。しかも2つ勝てばベルトも獲れちゃうので、他の選手たちよりはハングリーさで勝ってると思います。
―― もう一つのブロックでは谷川聖哉選手が階級を下げて参戦することが話題になっています。そこはどう思っていますか?
YOHAN そこは気にしてないです。今は目の前の敵、神保選手だけを意識しているので。
―― トーナメント2試合を勝ち抜いてベルトを獲るために、一番大事なこととは?
YOHAN 集中力じゃないですかね。今まではその点があまりよくなかったと思うので。ちょっと、格闘技をナメてたかもしれないんで。今はバッチリ向き合ってるので、そこは大丈夫かなと。
―― ちなみに、所属の「T.K.F」というのは?
YOHAN 自分が中心になって組んだチームです。今は千葉のレンジャージムでお仕事をさせてもらっている縁で、そこで自分のトレーニングもさせてもらっていて、タイ人のトレーナーにミットを持ってもらっています。あとは出稽古が多いですね。JAPAN TOP TEAMさんとかシルバーウルフさんなどでトップの選手たちとスパーリングして、お勉強させてもらっています。
―― では最後に、この試合に向けての“決意”を改めて教えていただけますか?
YOHAN このトーナメントは僕にお任せください!
―― 分かりました。ありがとうございました!
谷川聖哉「やっとアスリートになった気がする」
―― クルーザー級から落としてのトーナメント参戦が発表された時は多くの人が驚いていましたが、その後、減量はいかがですか?
谷川 もう順調に、いい感じでできてます。今はもう、直前で落とす最後のひと絞りの分だけ残してる感じですね。絶好調です。
―― そんなに調子いいんですね。では、その減量の中でも練習はしっかりやれてると。
谷川 そうですね。今までで一番いいんじゃないかってぐらいに動けてますし、ケガもなくてメチャクチャ調子がいいです。体も軽くて楽ですし。
―― 動けるようになると戦い方も変わってきそうですが、それもできてきている?
谷川 はい。今までの自分は重量級の中では体格が小さかったので、一発もらったらヤバいという意識があって、どうしてもディフェンスに気持ちが行ってしまってたんですよ。K-1、Krushは倒す競技なのに、頭がディフェンス中心になってしまって。でも今は攻撃に特化した動きができるようになってきたので、やっとK-1、Krushらしい試合ができるような戦い方になった感じですね。
―― そうなってくると、攻撃のバリエーションが問われることになると思うんですが、そこはいかがでしょう?
谷川 今までは相手が自分より10センチ以上大きいのは当たり前という想定でやってきてたんですけど、ミドル級だとそこまではないから打ち合いもできますし、本当に攻撃に意識を持っていけるようになったのは大きいですね。それに、体が軽くなったので攻撃にもキレが出てきて、「90kgの時より攻撃の威力は上がってるよ」ってトレーナーとかにも言われるんですよ。そういう意味では、倒したいという気持ちが今までにも増して強くなってます。
―― 積極的に打ち合いに持ち込みたいぐらい?
谷川 そうできたらいいですね。バチバチに打ち合いたいです。
―― では本当に、試合の組み立て自体も今までとは変わってきそうですね。
谷川 もともと僕はパンチより蹴りが得意なんですけど、パンチから蹴りへのつなぎとか、空手で培っていた技術も使えるようになりますし、今まで規格外のパワーの持ち主とやってきた経験も生きると思いますし、それほどのパワーの持ち主はミドル級には見当たらないので、全局面でいい形に持っていけるんじゃないかと思います。
―― 今言われた「経験が生きる」という話ですが、一番生きるのはどういう点ですか?
谷川 今回特に、相手のブハリ亜輝留選手が自分のパワーをアピールしているので、そのイメージをするという点で、経験が生きてくるかなと思います。
―― ブハリ選手はこの階級ではパワーがウリですが、「俺が戦ってきた相手はそんなもんじゃないぞ」と。
谷川 そうですね。昔から「デカいヤツに打ち勝っていく」というのを身上にしていたので、ミドル級の中での少しの違いは全く問題にならないですからね。だからブハリ選手がそこをアピールするのは、ちょっと違うんじゃないかなと思いますね。
―― 今の練習の中で、「こう倒したい」という具体的なイメージはありますか?
谷川 僕は「これで倒す」と決めちゃうと、そればっかりになってしまうんですよ。もともとパンチでも蹴りでも、どんな技でも倒せるという自信があるので、気付いたら相手が勝手に倒れてるという感じにしたいですね。
―― さて、いよいよあと2つ勝てばチャンピオンという状況ですが。
谷川 今までたくさんチャンスをいただいてきて生かせていないですし、階級を変えて、ここで獲れないと本当に意味がないんですよね。本当に正念場なので、頑張ります。
―― ただ、今までで一番ベルトに近づいていることになるわけですよね。
谷川 それはありますね。KRESTに移籍してきてから、食事とかも先輩たちに教わって気をつけているつもりだったんですけど、今回減量して、今までのは本当に「つもり」だけだったんだなと思うぐらい、体の調子が本当にいいんですよ。自分もやっとアスリートになった気がして、寝る時間とかも全部意識を変えていて、それが一番体に出ているので、あとは本当にベルトを獲るだけなんですよ。そのために階級を落としたわけですし。だからその覚悟を見てほしいですね。
―― では、ここでタイトルを獲った先のイメージも広がっているのでは?
谷川 K-1が「開国」を宣言して、世界と戦っていけるようになったので、もう日本人同士でどうのこうのじゃないと思うんですよ。やっぱりミドル級も強い外国人がたくさんいますし、その中でも強い日本人がいなければ「K-1」じゃないと思うので、まず自分がその第一人者としてKrushのタイトルを獲って、K-1で強い外国人と当ててもらえばまた先も見えてくると思ってます。そのためにも、この準決勝と6月の決勝は圧倒的な差を見せつけて勝ちたいですね。そのためにも今回、「ああ、谷川はやっぱり階級を変えて正解だったな」と思われるような試合をしたいと思います。
―― 「開国」という意味では、K-1のリングや他のリングで他団体との対抗戦も活発化しています。そこには興味は?
谷川 ミドル級に転向しましたけど、この体で90キロとかヘビー級の選手ともやれると思ってるんですよ。だから重量級でK-1側の選手がいないとなったら僕が出てもいいと思ってます。ただ、もう日本国内には敵はいないと思っていて、「対世界」には意識はないので、正直、あまり考えてはいないですね。今はこの階級で世界一になるというのが一番です。
―― では最後に、今回の試合に向けての“決意”を改めて教えていただけますか?
谷川 階級を変えて一発目で、もちろんこのトーナメントにはKrushのベルトが懸かってるんですけど、この先、誰が日本人代表として世界と戦っていけるかというのを見せる戦いだとも思っているので、より「キックボクサー」として進化した谷川聖哉を見せたいと思います。
―― 分かりました。ありがとうございました!
ブハリ亜輝留「色んなタイプとのガチスパーで急成長した」
―― 今回、王座決定トーナメントにエントリーされて、準決勝の相手が谷川聖哉選手と最初に聞いた時にはどう思いましたか?
ブハリ 谷川選手に関しては「ああ、階級落としてくるんだな」と思ったんですけど、それよりも「あ、トーナメントなのか」というのが一番だったんですよ。自分はミドル級で日本人をけっこう倒してきたし、もう相手も残っていないので、神保克哉選手との王座決定戦を希望していたんですね。だからトーナメントと聞いて「そうかー……」と思って。でも相手が谷川選手と聞いて、クルーザー級や無差別級で試合しているのはずっと見ていたので、「そんな選手が75キロに落として試合できるんだ」と思って、モチベーションが上がりました。
―― もちろん今まで、谷川選手のことを対戦相手として認識したことはなかったですよね?
ブハリ そうですね。全然違う階級の選手と思っていたので、「外国人の大きい選手たちの中で頑張ってほしいな」ぐらいにしか考えてなかったです。
―― カード発表会見では4人が揃って、減量途中の谷川選手とも顔を合わせましたよね。そこで思ったことは?
ブハリ 最初見た時に、すごくヒョロッとなったなと思って、「ずいぶん小さくなったな」というのが正直な感想でした。写真撮影で実際に並んだ時に見てみたら、僕よりかなり小さくて、「もうこんなに減量してるんだな」と思いましたね。
―― その時点では、「対戦相手」として見たと思うんですが。
ブハリ はい。谷川選手はこれまで体の大きい外国人選手を相手に戦ってきて、ちょっと体格的に厳しいと感じて階級を落としてきたと思うんですけど、あの時に自分の体と見比べて、結局このミドル級でも同じことになるんじゃないかなと思いました。特に僕相手だったら、同じことになるんじゃないかなと。
―― ではそこで対戦について自信が増した?
ブハリ そうですね、もともと自信はあったんですけど、体を見比べて自分の自信も増しましたし、会見を見てくれたトレーナーとかも「客観的に見ても、体格差はかなりあるね」と言ってくれたので。もちろん谷川選手はあれだけ大きくて強い選手たちと戦ってきて、それこそ先日のK-1でもすごく強かったリュウ・ツァー選手とも戦ってたわけじゃないですか。その経験と実力にはすごくリスペクトしてますし、今まで自分が戦ってきた中では一番の実力者だと思ってるんですけど、今話したように自信はすごくありますし、いつも通りの自分の戦い方で、正面から小細工なく戦って、倒すことができると思ってます。
―― 警戒しないといけない点は?
ブハリ やっぱり、今言ったように重量級の強豪選手たちと戦ってきた経験じゃないですかね。その点でも今まで戦ってきた相手の中で一番だろうと思うし、そこは警戒というよりも敬意を払っていますね。技もバランスよくできるタイプだと思いますけど、自分は前回の大石昌輝戦で見せたように空手の蹴り技への対応はかなり得意なので効かされることはないですし、パンチでも負けるイメージは全く湧かないですね。谷川選手はいい選手ですけど、どこかを警戒するというよりは、いつもの自分の動きをやればという感じですかね。
―― 体重を落としてくることで、動きが変わってきそうな点についてはどうですか?
ブハリ そこに関してはむしろ心配なんですよね。
―― 心配?
ブハリ はい。身近な選手を見ても世界の選手を見ても、階級を大幅に落として成功した選手って、見たことないんですよ。ボクシングでもMMAでもキックでも。それこそ、僕の先輩の植村真弥選手も90キロから75キロに落として、パワーとか、もともとのいいところが全部なくなったように見えたんで。むしろ僕は強い選手と戦いたいので、ベストな状態の谷川選手と戦いたいと思いますね。減量で弱った谷川選手と戦っても、意味はないので。
―― ここで勝つと決勝の王座決定戦ですが、会見でも一度負けている神保克哉選手との対戦を望んでいましたね。
ブハリ そうですね。僕はプロで2回負けていて、もう1人のジュリオ・セザール・モリ選手にはリベンジしたんですけど、神保選手にはまだできていないので。僕にとって、神保選手にリベンジすることは、Krushのベルトを獲ることと同じかそれ以上に大事なことなので、神保選手には絶対ここで上がってきてもらって、リベンジした上でベルトを獲りたいですね。
―― 決勝で再戦が実現するとしたら、以前に神保選手に負けた時の自分とは違う?
ブハリ 自分でも思うし、これまでの自分の試合を見てくれれば分かると思うんですけど、前回の対戦の時はまだプロ4戦目とかだったし、あの時は必死にやってるつもりだったんですけど、今思えば練習の方法とかも全然甘かったし、今は練習も試合も何から何まで別人というぐらいですね。だから神保選手に勝つ自信は大いにあります。
―― あと2つ勝てばチャンピオンです。改めて、タイトルについては?
ブハリ そうですね、ついに。キックボクシングって団体がたくさんあるので、ベルトもたくさんありますけど、Krushのチャンピオンベルトは日本で一番のベルトだと思っていて、ボクシングで言う日本チャンピオンみたいなものだと思っているので、絶対に獲ります。僕は世界一のファイターになることを目指しているんですけど、今年31歳になるので、今年中には絶対にチャンピオンになって世界に行きたいと思っています。だからこのベルトは至上命題だと思っています。しかも記念すべき初代王座なので。
―― その意味では、今回トーナメントに参戦する4人の中で、自分が突出しているという自信がある?
ブハリ あります。今までの試合でも練習でもスパーリングでも、それだけの実力があるということを感じています。
―― 今はどんな相手とスパーリングしているんですか?
ブハリ 先ほど話したように、2021年に神保選手とジュリオ・セザール選手に連敗した時に練習法から変えることにしたんです。それまではマススパーぐらいしかやってなくて、ちゃんとしたガチスパーってやってなかったんですよ。ちゃんとやらなきゃいけないなということで、いろんな選手を探して、来てもらったりしたんですね。最初は、当時パンクラス・ウェルター級のチャンピオンで、今はベラトールと契約している菊入正行選手とやっていました。彼はキックボクシングの元学生王者で、打撃もすごく強いので。最近は同じジムのリカルド・ブラボ選手とか、今回は昨年6月に対戦させてもらった吉野友規選手にも来てもらっています。あと、ひと階級下でK-1 GROUPに参戦している森田奈男樹選手とか。そんな感じでMMA、キック、空手といろんなタイプの選手とやらせてもらってますね。今4連勝中で2年ぐらい負けてないんですけど、それはそのガチスパーで急成長したおかげという感触がありますね。
―― 強い選手ばかりですもんね。
ブハリ 正直、試合より練習の方がキツいんですよ(笑)。だから自信はすごくあります。
―― では最後に、今回の試合への“決意”を改めて教えていただけますか?
ブハリ 今回は僕がKrushミドル級の初代王者になると同時に、まだ唯一負けを取り返せていない神保克哉選手にリベンジを果たす大事なトーナメントです。しかも準決勝の相手は上の階級から下げてきた実力者の谷川選手なので、この壁を超えられたら自分がもっと強くなれるんだろうなと思ってすごく楽しみなので、リベンジとベルトが最終目標ではあるんですけど、今は谷川選手を倒すことが何より楽しみで、そこに全力を捧げているので、必ずKOで勝てると思います。
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
第9試合 メインイベント Krushスーパー・バンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
璃明武[りあむ](K-1ジム総本部チームペガサス/王者)※2度目の防衛戦
倉田永輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者)
第8試合 初代Krushミドル級(75kg)王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
YOHAN(韓国/T.K.F/元KROSS×OVERクルーザー級王者)※ZEEK GYMから所属変更
第7試合 初代Krushミドル級(75kg)王座決定トーナメント・準決勝 3分3R(延長1R)
谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
ブハリ亜輝留[アキル](ウィラサクレック・フェアテックス幕張)
第6試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元Krushバンタム級王者)
健介(Jay’s Box)
第5試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
安尾瑠輝[りゅうき](K-1ジム心斎橋チームレパード/DEEP☆KICK -51kg王者)
矢島直弥(TSK japan/元WPMF日本&蹴拳ムエタイ・フライ級王者)
第4試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
鵜澤悠也(RIKI GYM/DREAM KHAOSバンタム級トーナメント2020優勝)
黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
勝輝(K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
“狂拳”迅(WIZARDキックボクシングジム)
第2試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
山浦力也(北斗会館/K-1甲子園2018 -60kg優勝)
蘭丸(team AKATSUKI)
第1試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
哲志(K‐1ジム五反田チームキングス)
大利賢佑(team ALL-WIN)
プレリミナリーファイト第2試合 フライ級(51kg) 3分3R
菊地海斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
加藤一虎[かずとら](POWER OF DREAM)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
内田竜斗(チーム・タイガーホーク/K-1カレッジ2021 -55kg優勝)
太田 黎[れい](真闘会/K-1カレッジ2022 -55kg優勝)
概要
大会名 Krush.159
日時 2024年3月30日(土)開場・17:00 プレリミナリーファイト開始・17:15 本戦開始・18:00
会場 後楽園ホール
中継 ABEMA(生放送)、U-NEXT(生放送|2,189円/月)
チケット料金 SRS席 20,000円 RS席 15,000円 S席 10,000円 A席 7,000円(完売) ※当日券500円アップ ※小学生からチケットが必要
チケット販売 K-1.CLUB グッドルーザー 出場選手・所属ジム
お問い合わせ グッドルーザー 03-6450-5470 https://www.k-1.co.jp/krush/