QUINTET 4.11 両国国技館:桜庭和志の新グラップリング大会。ストラウス、ジョーンズ、ヘルドが活躍のPOLARISチームが優勝
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QUINTET.1 -Grappling Team Survival Match –
2018年4月11日(水) 両国国技館
レポート&写真:井原芳徳
「グレイシー・ハンター」「IQレスラー」の異名を取り、独創的なサブミッションで97年からのPRIDE草創期にトップ戦線で活躍した桜庭和志による新しいチーム対抗グラップリング大会「QUINTET」。旗揚げ大会には桜庭をはじめ石井慧、ジョシュ・バーネット、所英男、宇野薫、小見川道大といった日本のMMAファンにもお馴染みのベテラン勢をはじめ、現在の世界のグラップリングシーンで活躍するダン・ストラウス(英国)、グレイグ・ジョーンズ(オーストラリア)、UFC・ベラトールに参戦経験のあるマーチン・ヘルド(ポーランド)ら、世界8か国から選手が参加。ストラウス、ジョーンズ、ヘルドが2本ずつ奪取する活躍を見せ、POLARISチームを優勝に導いた。
ルールは記事最後のQUINTETルール概要をご覧いただきたいが、主な特徴は、打撃技無し・絞め技と関節技のみのグラップリングルールによる、5対5のチーム同士による勝ち抜き戦。4チームが参加し、1日で一回戦と決勝が行われる。試合場はレスリングマット。1試合8分一本勝負(20kg以上の体重差のある場合は4分)。
グラップリング競技やブラジリアン柔術に馴染みの薄いMMAファンを意識し、一本決着を促すルールとなっており、判定やポジショニング等のポイント差による決着は無く、引き分けの場合は両者退場し次の選手が登場する。なお、1回戦を勝ち上がったチームは、決勝戦では1回戦で戦わなかった選手から優先的にオーダーを組まなくてはならない。
大会前には中井祐樹審判委員長らによるルール説明があり、試合中もフィニッシュ直後には、AbemaTVの中継席に座った中井氏による理論的な技術解説も行われ、より深く楽しむための工夫がなされていた。
一回戦
○HALEO Dream Team(中村大介、桜庭和志、所英男、マルコス・ソウザ、ジョシュ・バーネット)計426.95kg
×JUDO Dream Team(小見川道大、出花崇太郎(キャプテン☆アフリカ)、キム・ヒョンジュ、ユン・ドンシク、石井慧)計416.65kg
(1) △中村(時間切れ)小見川△ 小見川がギロチン、中村がアームロック、チョークを狙い、お互いなかなか極まらなかったが、終了間際に中村の腕十字が極まる。しかし伸び切ったタイミングは8分ジャストで、引き分けに終わった。
(2) △桜庭(時間切れ)出花△ 出花は昨年のプロ修斗新人王。高校時代、石井と柔道の団体戦で同じチームになった過去があり、柔術でも活躍した。序盤から出花が下からの腕十字でチャンスを作るが、桜庭は間一髪で逃れる。その後も出花が果敢に腕十字等を狙い、ポジションを目まぐるしく動かし、桜庭は防戦が続き、時間切れとなった。
(3) ○所(0’14” 腕ひしぎ十字固め)キム× 所がキムの片腕をつかみながら下に転がり、足関を狙う動きから、腕十字に移行して極めタップアウト。見事な秒殺で場内は沸きあがった。
(4) ×所(0’46” エゼキエルチョーク)ユン○ 開始すぐ、20kg以上重いユンが倒して上になると、袖車の形で極め所は失神。しばらくして目覚めた所は何が起こったかわからない様子だった。
(5) ○ソウザ(4’18” 腕ひしぎ十字固め)ユン 柔術の強豪・ソウザが序盤からバックを取り、チョーク、腕十字を狙って主導権。マウントに移行し、肩固めを狙った後、腕十字を極めタップを奪った。
(6) △ソウザ(時間切れ)石井△ 体重差20kg以上あるため、試合時間は4分。石井が体格差を活かし、足を掛けて倒し、下からのソウザの寝技も潰し、終盤にはサイドに回って極めを狙うが、ソウザがしのぎ切り時間切れ。JUDOチームの大将・石井が消え、HALEOチームの勝利となった。石井は念願だった練習仲間のジョシュとの試合にたどり着くことができなかった。
一回戦
○POLARIS Dream Team(グレイグ・ジョーンズ、マーチン・ヘルド、グレゴー・グレイシー、宇野薫、ダン・ストラウス)計420.3kg
×SAMBO Dream Team(ミンダウガス・ベルツビカス、セルゲイ・グレチコ、ビクトル・トマセビッチ、テオドラス・オークストリス、マリウス・ザロムスキー)計417.2kg
(1) ○ジョーンズ(1’58” 膝十字固め)ベルツビカス×
(2) △ジョーンズ(時間切れ)グレチコ△
(3) ○ヘルド(2’36” 膝十字固め)トマセビッチ×
(4) ○ヘルド(0’45” 膝固め)オークストリス×
(5) △ヘルド(時間切れ)ザロムスキー△
※上写真はジョーンズ、下写真はヘルドが技を仕掛けている場面
決勝
×HALEO Dream Team(ジョシュ・バーネット、中村大介、所英男、桜庭和志、マルコス・ソウザ)計426.95kg
○POLARIS Dream Team(グレゴー・グレイシー、ダン・ストラウス、宇野薫、グレイグ・ジョーンズ、マーチン・ヘルド)計420.3kg
(1) △バーネット(時間切れ)グレイシー△ HALEOチーム入場時に流れたのは桜庭の入場曲のスピード2のテーマと、UWFのテーマ。POLARISチーム入場時に流れたのはグレイシー一族の入場曲だったラスト・オブ・モヒカンのテーマ。昔からのファンから歓声が起こる。ジョシュとグレゴーは20kg以上の体重差があるため、時間は4分。ジョシュが積極的にグレゴーの首元に腕を絡めて倒そうとし、グレゴーが防御を続ける。残り1分、グレゴーに指導が入り、レスリングのパーテールポジションから再開し、ジョシュが素早く動いて足関を狙うが、グレゴーが逃げて終了となった。
(2) ×中村(2’35” チョークスリーパー)ストラウス○ ストラウスが序盤から引きこんで下から腕十字を狙って主導権を握り、バックに回り込みチョークを決めてタップを奪い完勝した。
(3) ×所(3’21” フロントチョークスリーパー)ストラウス○ 試合時間は4分。所はタックルを仕掛けるが、ストラウスが切ってバックに回ってチョークを狙い、三角に移行。所はなんとかしのいだが、終盤、ストラウスがギロチンのまま引きこんで極め、所はまたも失神した。
(4) △桜庭(時間切れ)ストラウス△ ストラウスが引き込んで、リバースして、上から動いてサイドを取るが、桜庭が足関を狙い、スタンドに戻る。その後もストラウスが引き込みんでから返して上になろうとする展開を繰り返すが、桜庭が逃げ続ける。中盤以降はどちらも動きのキレが落ち、目立った攻防のないまま、時間切れに終わった。
(5) ○ソウザ(0’40” 腕ひしぎ十字固め)宇野× 決勝5試合目でようやく宇野が初登場。開始間もなく、両者が組み合ったところで、前に出て来たソウザを突き放そうとした宇野の指がソウザの右目に入り、ソウザは倒れ込み、ドクターチェックが入る。2分ほどで再開すると、ソウザはパワフルなタックルで倒し、素早く腕十字を極めタップを奪った。
(6) ×ソウザ(1’02” 膝十字固め)ジョーンズ○ ソウザはまだ右目を少ししょぼつかせた状態で、ジョーンズは開始すると、すぐ引きこんで主導権を取ろうとする。場外に出てブレイクがかかると、再び下になったジョーンズが、素早く動いて膝十字を極めタップアウト。ジョーンズがヘルド、ストラウスと共に1日で2本取る活躍でチームを優勝に導いた。
閉会式では大会主催会社のラバーランドの代表でもある桜庭がメダルをHALEOチームに贈呈。最後は桜庭がマイクを持ち「またQUINTETをやりたいです。平日になるかもしれませんが皆さん来てください」とアピールした。なお、主催者の発表した観衆は4039人だった。
QUINTETルール概要
◆禁止行為(重大な反則=失格負け)
ヒールフック
スラム及びスパイキング(頭部に直接ダメージを与えるような攻撃)
ネッククランク(頸椎のみをねじる行為)
かに挟みによるテイクダウン(スタンド)
ジャンピングクローズドガード
◆違反行為(軽微な反則=指導)
膠着を誘発するクローズドガード
ポジションをキープするだけで攻撃の意図が見られない場合
スタンドでテイクダウンを狙わずディフェンシブに動き回る行為
故意に対戦相手を試合場から転落させようとする行為
故意に試合場から逃避する行為
主審及び2名の副審全員が消極的と判断した場合
噛み付き、歯を押しつける
頭髪、体毛、鼻、耳を掴む
性器または目への攻撃または圧迫
一度に3本以下の指を掴む
意図的なあらゆる種類の外傷的打撃(パンチ、肘、膝、頭突き、キックなど)
対戦相手に触れていない状態で座る行為
「指導」を受けた選手は試合場中央で四つ這いになり、対戦相手は上から腰に両掌を置いた状態で、審判の合図により試合を再開する(レスリングのパーテールポジション)
両者「指導」の場合は試合場中央でスタンドの状態から試合を再開する
「指導」3回で「失格負け」
違反行為により、相手に相当のダメージを与えたと審判が判断した場合は、1回で「失格負け」になる場合がある
◆禁止事項
シューズの着用
ファウルカップの着用
クリーム、オイル、ジェル、または滑りやすい物質を身体に塗る
指輪やネックレス、ピアスなどの貴金属類の着用
◆試合時間
8分一本勝負(体重差が20kg以上ある場合は4分一本勝負)
◆勝敗の決着
サブミッション
失神
失格(指導3回)
試合時間内に上記の決着が付かない場合は引き分け
判定(大将同士の試合のみ)「指導」の数の少ない方が勝利。数が同じ場合はチーム全体の「指導」の数が少ない方が勝利。それも同じ場合は大将同士の試合の優劣を審判の旗判定により決定。
◆試合場
12メートル四方のレスリングマット。場内場外のエリアは設けず、試合場から転落しそうな場合は審判の判断により試合を中断し、安全な位置から両者同じ態勢のまま試合を再開する。
◆「勝ち抜き」システム=Winner stays on
勝者は対戦チームの次の相手と闘う
引き分けは両者退場
大将が負けたチームが負け
◆1dayトーナメントシステム
1回戦を勝ち上がったチームは、決勝戦では1回戦で戦わなかった選手から優先的にオーダーを組まなくてはならない。
◆体重
チーム5人の総体重は430kg以内とする(前日計量)