修斗 1.27 後楽園ホール:岡田遼、1R KO勝ちで環太平洋バンタム級王座奪取。清水清隆が扇久保博正の世界フライ級王座挑戦へ
SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR 開幕戦 Supported by ONE Championship
2019年1月27日(日)後楽園ホール
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
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レポート&写真:井原芳徳
第11試合 メインイベント 修斗環太平洋バンタム級チャンピオンシップ 5分3R
×祖根寿麻(ZOOMER/環太平洋王者、世界1位/61.2kg)※初防衛戦
○岡田 遼(パラエストラ千葉/環太平洋5位、世界8位/61.0kg)
1R 4’58” KO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
祖根は昨年1月に魚井フルスイングとの王座決定戦で判定勝ちし、今回が初防衛戦。その間に8月のRIZINでは元谷友貴の相手に抜擢されたが、2R裸絞めで敗れている。岡田は11月の後楽園で当時パンクラス1位の藤井伸樹に判定勝ちし、今回の王座戦につなげた。
1R、スタンドの打撃戦が続く中で、岡田が右足で軸足を刈って祖根を崩し、そこから金網に押し込む。時折、祖根が跳ね返すが、大半は岡田が押し込み続ける展開だ。中盤過ぎに離れると、岡田は左ミドル、ローを当てて、やや優位をキープする。終了間際、右の二段式の飛び膝で詰めて祖根を金網際まで下がらせると、着地してすぐ左フックをクリーンヒット。ダウンした祖根にパウンドを連打したところで片岡レフェリーがストップし、場内は大歓声に包まれた。
岡田は「パラエストラ千葉所属、鶴屋浩の弟子、第8代修斗環太平洋バンタム級王者の岡田遼です。祖根選手とは色々言い合ったけど、俺のほうがベルトを巻くのにふさわしい。なぜなら俺が修斗を愛しているから」と、前回の藤井戦に続き「修斗を愛してるから」のフレーズをアピール。そして「修斗にはもう1本ベルトがあります。憧れの2人(松根良太と扇久保博正)が巻いたベルトをもう1回、鶴屋さんの元に取り返すのが僕の最後の仕事です。岡田遼が環太平洋王座を保持しながら(佐藤将光が保持する)世界のベルトを取りに行きます」と宣言した。
第10試合 セミファイナル フライ級 5分3R
×前田吉朗(パンクラス大阪稲垣組/世界2位、元パンクラス・フェザー級王者、元DEEPバンタム級王者/56.4kg)
○清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A/世界4位、元パンクラス・フライ級王者/56.7kg)
1R 4’37” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
パンクラスの軽量級の歴史を語るなら外すことができない2人が、修斗のケージで初対決する。前田は17年7月のキム・ヨンハン戦、18年6月のオニボウズ戦、清水は18年7月の内藤頌貴戦、9月の覇彌斗戦と、どちらも揃って2連勝中。前田は清水の所属する東京・練馬のTRIBEに頻繁に出稽古しており、手の内は知っている同士だ。
1R、前田がサウスポーに構え、ノーガードに度々しつつ、ジャンプのフェイントも絡めながら、一気に飛び込んで左ストレート、左ミドル、飛び膝を放ち、やや優位に進める。トリッキーなスタイルに対し、清水は落ち着いてかわし続けていると、前田はギアを上げて圧力を強めて来たが、清水は右フックをクリーンヒット。前田をダウンさせると、上から鉄槌を連打を連打したところでレフェリーがストップした。
前田はすぐ立ち上がって不満をぶちまけたが、鼻血を出しており、清水の連打のまとめ方を見れば、ストップは妥当だろう。最後は前田も周囲に説得されて納得し、清水と握手して退場。清水も「前田吉朗、最高だよ」とマイクで称えた。
そして清水は「チャンピオンいますか?いたら出て来て下さい」と、世界フライ級王者の扇久保博正をケージに呼び寄せる。清水は扇久保に対し「天下を取りそこなった男、よく来たな」と、UFCからオファーされずRIZINでは堀口恭司に負けた扇久保を傲慢な態度で皮肉るが、「もう1つ言いたいことがある。よろしくお願いします」と一転して謙虚に対戦要求。今回の試合の勝者と王座防衛戦を行うことを公言していた扇久保は「5月5日、やりましょう」と、5月5日に後楽園ホールで行われるプロ修斗30周年記念興行での対戦を約束した。
第9試合 フェザー級 5分3R
○斎藤 裕(パラエストラ小岩/世界王者/65.7kg)
×マーカス・ヘルド[Markus Held](ドイツ/ゲルマン・トップチーム/ドイツ王者/65.1kg)
2R 3’29” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ヘルドは全日本アマ修斗選手権で準優勝したことがあり、12月22日に修斗フェザー級・ドイツ王者となった選手。戦績10戦6勝(6一本)4敗だが、世界王者・斎藤との実力差は歴然だった。
1R、開始すぐから斎藤が左ストレートでヘルドをダウンさせると、金網際でトップキープするが、ヘルドが下から密着し、なかなか攻められない。斎藤はそれでも少しずつ解いて、パウンド、肘を当てるようになり、最後はパウンドを連打して、レフェリーストップ寸前まで追い詰める。
2Rも斎藤が序盤から上になり、簡単にサイドを奪取する。最後は鉄槌を連打したところでレフェリーがストップした。
第8試合 フェザー級 5分3R
×山本健斗デリカット(総合格闘技道場コブラ会/世界3位、環太平洋3位/65.4kg)
○阪本洋平(T-BLOOD/GRACHAN王者、元同ライト級王者/65.7kg)
1R 3’06” KO (タオル投入:山本の左足の負傷)
山本は昨年6月、TOMAとの環太平洋王座決定戦では敗れたものの、10月の新宿のメインでは新鋭・工藤諒司からパンチで再三ダウンを奪い判定勝ちしている。
修斗初参戦の阪本は大阪出身の32歳。MMA戦績19戦13勝(9KO)3敗3分。07年にパンクラスでプロデビューし、10~11年は試合から遠ざかっていたが、川尻達也のT-BLOODに移籍して復活。ここ4年は年1回の試合ペースではあるが、9年間無敗・11戦連続負け無し・6連勝中だ。13年から上がっているGRACHANでは5勝1分で、ここ3試合では宇良健吾、大澤茂樹、原井徹をKOしている。昨年末の会見で「修斗で誰とやりたいとかは無い。修斗の世界のベルトが欲しい」と参戦動機を話していた。
試合はあっけない形で終える。山本がサウスポーに構え、圧力をかけ続け、重みのある左ミドルを当て続けて主導権を握る。だが左インローを当てた直後、悲鳴をあげて後ろに倒れ込み、阪本が上からパウンドを連打したところで、山本陣営からタオルが投入された。山本は左膝にサポーターをつけており、元々痛めていたところを悪化させた模様だ。
マイクを持った坂本は大阪弁で「今日、怪我しとって、負けるべき人間やと思ってて、負けたら辞めよう思っとったけど、まだ続けろいうことやと思うので、また頑張ります」と、複雑な心境をのぞかせながら話した。
なお、第8試合の後の告知タイムには、ONE 3.31 両国国技館大会に出場する青木真也が登場した。修斗はONE Championshipと3年間のパートナーシップ契約を結んだばかりで、会場にはONEのフラッグが大きく掲げられ、大会中にも両国大会の紹介映像が流されていた。青木は「疎遠になっていたリングに上がることになって若干固くなっています」と前置きすると「ONE Chanpionship 3月31日、両国大会を行わせていただきます。日本格闘技界、RIZINもDEEPも修斗も一丸になって作っていきたいです。競技でもアスリートでもレスラーでもなく、青木真也の存在を賭けた戦いを3月31日に見せます」とアピールした。
第7試合 ライト級 5分3R
○川名雄生(Y&K MMA ACADEMY/世界2位、環太平洋王者/70.3kg)
×岡野裕城(マッハ道場/世界9位/70.0kg)
判定3-0 (岡田29-28/横山30-28/片岡30-27)
1R、川名が右フックを振るいながらタックルを仕掛け押し込むが、岡野は耐えてブレイクがかかる。その後も同じ展開でブレイクがかかるが、川名が左のオーバーハンドフックを当て、最後はタックルで倒して終える。
2Rも川名が再三押し込み、離れた展開でも左右のフックを当てて優位を維持する。またも終盤に倒して上になって終える。
3Rも川名がパンチから押し込んで倒し序盤から優勢。離れればパンチを当て、押し込みを繰り返し終了。記者採点は30-27で川名。終始主導権を握っていた川名が判定勝ちしたものの、チャンピオンとしての存在感を示す試合とはならなかった。
第6試合 バンタム級 5分3R
○魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS/世界4位、環太平洋6位/60.8kg)
×藤井伸樹(ALLIANCE/パンクラス3位/61.1kg)
判定3-0 (岡田30-28/片岡30-28/松村30-27)
1R、魚井がサウスポーから左のオーバーハンドフックを狙い、終盤には左ミドル、左ハイを効かせる。藤井は片足タックルでしぶとく組み付いて倒す場面もあったが、その先につなげられず、口から出血しているため印象が悪い。記者採点は10-9で魚井。
2R、中盤まで魚井が打撃でやや優位だが、藤井が中盤以降はタックルでしぶとくしがみつき、主導権を維持する。だが終盤、魚井が脱出すると、左インローで藤井をぐらつかせ挽回する。記者採点は10-9で魚井。
3R、藤井がしつこく押し込んで倒そうとするが、魚井は金網を背にして時折肘を当てながら耐え、ブレイクを誘う。離れれば魚井が左ミドルをヒット。藤井は再び押し込むが、これもブレイク。最後も藤井の押し込みを魚井がしのいで終える。記者採点は10-10。計30-28で魚井。ジャッジも3者とも順当に魚井を支持し判定勝ち。藤井はパンクラスから修斗に主戦場を移すも2連敗となってしまった。
第5試合 フェザー級 5分3R
○仲山貴志(総合格闘技津田沼道場/世界7位/65.6kg)
×青井 人(BLOWS/世界8位/65.4kg)
1R 2’16” 一本 (裸絞め)
1R、スタンドの攻防と、グラウンドが繰り返され、お互い上になるが、下から関節技を狙い、上の選手がスタンドに戻す。青井が下から三角絞めを仕掛けるが、仲山が振りほどくと、半身で落ちた青井の背後に仲山がすかさず周り、首を抱えて裸絞めを極めてタップアウトした。仲山は「修斗の65kgのベルト、昔、(先輩の)田村(彰敏)さんが持っていました。俺も欲しいです」とアピールした。
第4試合 ストロー級 5分3R
○黒澤亮平(パラエストラ松戸/元修斗ストロー級世界王者/51.9kg)※飛鳥拳 改め
×児玉勇也(とらの子レスリングクラブ/トイカツ道場/52.2kg)
2R 3’30” 一本 (裸絞め)
飛鳥拳が本名に戻し2年半ぶりに復帰。児玉はアマ修斗で全日本3位になったことがあり、プロではZSTを主戦場とし、プロ修斗には初登場だ。
1R、スタンドの打撃戦で、黒澤が左右のロー、児玉がパンチのコンビネーションで印象を残すが、大差は無い。黒澤が金網際で組んでオンブになって裸絞めを狙うが児玉は対処する。終盤、黒澤が右ストレートで少し児玉を下がらせる。記者採点は10-9で黒澤。
2R、黒澤が右ローを当て続けていると、児玉は足を引きずるように。児玉も左フックを当てて黒澤を出血させるが、黒澤が右ストレートで児玉をダウンさせると、パウンドで追い詰め、最後はバックマウントで捕獲してから裸絞めを極めて快勝した。
マイクを持った黒澤は「お久しぶりです。飛鳥拳改め黒澤亮平です。今日、いいスタートを切れたので、これからの試合に期待してください」とアピールした。
第3試合 バンタム級 5分3R
×金物屋の秀(SHOOTO GYM K’z FACTORY/60.9kg)
○齋藤 翼(総合格闘技津田沼道場・FIGHT FARM/61.2kg)
判定0-3 (横山28-30/片岡27-30/岡田27-30)
1R、齋藤がサウスポーからの左ロー主体で攻める。金物屋が首投げで倒し、失敗して下になるが、三角を狙い挽回する。齋藤はスタンドに戻し、ローなどの蹴りを当て続け優位に試合を進める。2Rも齋藤がスタンドの打撃でローを効かせて優位を維持し、終盤には左のテンカオも当てて追い詰める。。3Rは金物屋も打撃戦で持ち直したものの、齋藤のほうがロー、左ハイ等を的確に当てて好印象を残し、3Rともポイントを取る内容で完勝した。
第2試合 女子バンタム級 5分2R
×セラ(ニュージーランド/PUREBRED/60.8kg)
○チェルシー(米国/リバーサルジム立川ALPHA/61.0kg)
判定0-3 (松根17-20/横山16-20/片岡18-20)
1R、チェルシーがテイクダウンを奪い、肩固めを狙い、側転パスガードをしてから押さえ込んで肘を連打し、終盤にはバックから裸絞めを狙って追い詰める。10-8にもなりそうな攻めだ。2Rもマウントパンチで追い詰め完勝した。
第1試合 ストロー級 5分2R
×牧ヶ谷篤(和術慧舟會群馬支部/52.0kg)
○田上こゆる(BLOWS/2018年全日本アマ修斗選手権ストロー級優勝/51.4kg)
判定0-3 (横山18-20/豊永18-20/松根17-20)
田上(たのうえ)は2002年2月5日生まれの16歳。10月の全日本アマ修斗で優勝し今回がプロデビュー戦だ。
1R、田上がスタンドでパンチと蹴りを当て続け優位に進める。牧ケ谷がタックルでテイクダウンを狙った際、田上は2度金網をつかんでしまい、終盤も田上に組まれ続けてしまうが、打撃で攻め込んだためポイントは取ったか。
2R、田上が右ローを効かせ好印象を残す。39歳と親子ほど年齢差のある牧ケ谷も、耐えてタックルを繰り返し、左ジャブ、右ローを返し、最後まで粘り続け、新鋭の完勝を許さなかった。
本戦第1試合前にはONEでストロー級王座を獲得し修斗との2冠になった猿田洋祐が登場し、ONEでの勝利報告を行なった。猿田には2019年の修斗MVPもこの場で贈呈された。
オープニングファイト第2試合 アマチュア修斗トライアウトルール 女子50kg契約 3分2R
○杉本めぐみ(AACC/49.4kg)※杉本恵 改め
×木越めぐみ(SHOOTO GYM K’z FACTORY/47.9kg)
判定3-0 (20-18h/20-18/20-18)
杉本は阿部裕幸AACC代表との結婚と出産を経て6年ぶりにMMAに復帰した。木越はAbemaTV「格闘代理戦争3rdシーズン」に出演した選手だ。1R、杉本が上からパウンドを落とし、木越が下から腕十字や三角を狙う展開が繰り返される。パウンドを着実に当てた杉本が評価されるラウンドに。杉本が一回り大きいため、パウンドが届きやすい。2Rは杉本が肩固めを狙い続ける展開で終わり、杉本が両ラウンドともポイントを取り判定勝ちした。
オープニングファイト第1試合 キッズ修斗 44kg契約 3分1R
○中池武寛(パラエストラ小岩/小学5年)
×中山陽心(心技館/小学6年)
2’22” 一本 (腕ひしぎ十字固め)