スック・ワンキントーン 10.22 後楽園ホール(レポ):石井一成の甥・寿来、老沼隆斗を縦肘一撃でKO。112戦目 健太、タイ人選手に1R KO勝ち。9戦目 小林司、7戦目 辻井和奏が無敗で王座獲得。笠原直希×赤土公亮、期待の17歳対決はドロー
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2023年10月22日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
石井一成の甥・寿来、老沼隆斗を縦肘一撃でKO
第12試合 メインイベント スック・ワンキントーン・フライ級タイトルマッチ 3分5R
○ジュライ・ウォーワンチャイ[石井寿来](ウォーワンチャイプロモーション/王者、WMC日本同級王者)
×老沼隆斗(STRUGGLE/1位、元REBELS-REDスーパーフライ級王者)
3R 1’02” TKO (右肘打ち)
※ジュライが初防衛
石井一成の甥である寿来は18歳。昨年6月のスック・ワンキントーン・フライ級王者決定戦で悠斗に判定勝ちして王座獲得し今回初防衛戦だ。以降はBOMで試合を重ね、7月には1階級上のスーパーフライ級でソンチャイノーイに判定2-0で敗れている。
老沼は24歳。3月のスック・ワンキントーン後楽園大会のメインイベントでノーンガティンを右上段後ろ回し蹴りでKOしインパクトを残した。6月の新宿大会では阿部晴翔との再戦となり今回も圧勝し、王座挑戦権を獲得した。
1R、長身の寿来がサウスポー、老沼がオーソドックスで構え、お互いミドル、ローを当てるが、まだ均衡状態。最後は首相撲になるが、膝の攻防は乏しいまま終わる。
2R、寿来は圧力を強めて攻撃を増やすが、老沼は蹴りの打ち合いでしっかり最後に当てる。中盤には寿来の右ジャブに老沼が左フックをかぶせて、寿来をひるませる。終盤、寿来は左膝、左ボディストレートを当てるが、老沼は左右のローをお返し。最後も左フックを当てる。寿来はテクニックで対応する老沼をなかなか崩せない。
3R、それでも寿来は大会名通り「アグレッシブ」に前に出る。すると老沼のバックステップのスピードも次第に落ち、寿来の伸びのあるワンツーが老沼の顔面をとらえるように。さらに老沼の右ミドルをすくってから下がらせ、左フックと肘の連打で襲い掛かる。すると再び寿来が老沼の右ミドルを右手で払ってから、老沼をロープ際まで下がらせると、寿来は右ジャブのフェイントからの右の縦肘をヒットし、老沼はダウンする。寝転んだ状態の老沼は左まぶたも深くカットし大出血しており、レフェリーがすぐさまストップ。寿来のTKO勝ちとなり、王座初防衛に成功した。
健太、1R KO勝ちでSライト級王座挑戦権獲得「もう1回ベルトを巻きたい」
第11試合 スック・ワンキントーン・スーパーライト級次期挑戦者決定戦 3分3R
○健太(E.S.G/元WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者、元NJKFウェルター級&スーパーウェルター級王者、元Krushスーパー・ウェルター級王者)
×セーンアティット・ワイズディー(タイ/Y’ZD GYM/スック・ワンキントーン・スーパーライト級2位、元ラジャダムナン認定フェザー級6位、元ルンピニー同級5位)
1R 2’14” KO (右フック)
112戦目の36歳・健太は、WBCムエタイ日本、NJKF、Krushでウェルター級以上の王座を5本獲得してきたが、スーパーライト級では初のベルトを狙う。最近の健太はBOM、ホーストカップ等に出場。7月のNO KICK NO LIFEでは、5年前に引き分けたタップロンと再戦し、1R右ハイキックでKO勝ち。2戦連続でタイ人と戦う。セーンアティットは昨年4月のスック・ワンキントーンで内田雅之に判定勝ちしている34歳。
1R、健太がプレッシャーをかけ、細かくフェイントを駆使しつつ、右フックを振るうが、セーンアティットはかわす。健太がローを放てば、セーンアティットは蹴り足をすくって倒す。セーンアティットの攻撃自体も少なく、まだ勝負はこれからという感じもあったが、中盤過ぎ、セーンアティットが左ミドルを空振りした直後、健太が右ローをヒットし、左手のフェイントをかけつつ右フックをクリーンヒット。セーンアティットがダウンする。セーンアティットは立とうとしたが後ろに倒れ、すぐさまレフェリーがストップした。
健太は「しばらく元チャンピオンと言われ、長らくベルトを巻いていないですけど、もう1回ベルトを巻きたいので、その姿を見に来てください」とアピールした。
小林司、リク・シッソーに判定勝ちし9戦無敗でライト級王者に
第10試合 スック・ワンキントーン・ライト級タイトルマッチ 3分5R
×リク・シッソー(トースームエタイジム/王者、元WMC日本スーパーフェザー級王者)
○小林 司(SPORTS 24/2位)
判定0-3 (ソンマイ47-49/ナルンチョン47-49/ソンデート47-50)
リクは22歳。昨年4月大会で健太に、6月の新宿大会でシンダムに勝利した後、10月の後楽園でテーパプット・シンコウムエタイジム(タイ/元BBTVスーパーフェザー級王者)とのスック・ワンキントーン世界ライト級王座決定戦に臨んだが、1Rから攻め込まれ、2Rに肘をもらいTKO負け。今回は自身の持つ世界のつかないスック・ワンキントーン王座の防衛戦を行う。挑戦者の小林は8戦7勝1分の25歳。6月の新宿大会で津橋雅祥に判定勝ちし、王座挑戦権を得た。
1R、リクがオーソドックス、小林がサウスポーで構え、お互い時折ミドルを当てるが、まだほとんど攻めない。
2R、リクが前に出てパンチを振るうが、小林が右肘打ちを合わせると、リクは左眉をカットし、ドクターチェックを受ける。再開後も接近戦で小林が右肘でリクを脅かす。
3R、リクが左の前手でパンチを振るうが、小林は右フックをクロスさせて当ててダウンを奪う。
4R、リクは前に出るが、小林は距離を取り続けつつ、随所で右フック、左ミドル、テンカオを的確に当て、スキル差を印象付ける。
5R、リクは序盤こそ右フックを立て続けに当て、右ハイも絡め必死に反撃するものの、中盤以降は回る小林の左テンカオをもらい続け、反撃に持ち込めず終了。小林が判定勝ちした。
辻井和奏、KOKOZを蹴り技で攻略し7戦無敗で女子フライ級王者に
第9試合 スック・ワンキントーン女子フライ級王座決定戦 3分3R
×KOKOZ(TRY HARD GYM/元スック・ワンキントーン女子ミニフライ級&スーパーフライ級王者)
○辻井和奏[わかな](BRING IT ONパラエストラAKK/タイ・イサーン&ラーナー・フライ級王者)
判定1-2 (アラビア28-29/ナルンチョン29-28/ソンマイ28-29)
※辻井が王者に
KOKOZは1つ下のミニフライ級、1つ上のスーパーフライ級のスック・ワンキントーン王座獲得実績があり、今回は3階級制覇を目指しての戦い。最近では5月のRISEでのRISE QUEENバンタム級(55kg)王座決定トーナメント準決勝で村上悠佳と対戦し判定負け。7月上旬からタイ・バンコクで練習漬けの日々を送りつつ、8月26日にはルンピニースタジアムで117ポンド(53.07kg)でタイ人選手と戦い判定1-2で惜敗している。
辻井は6戦5勝1分の19歳の新鋭。6月のスック・ワンキントーン新宿大会では有里を開始すぐから圧倒し、左ハイキック、右の前蹴りでダウンを重ねわずか95秒でTKO勝ちした。168cmの長身を活かした蹴り技が持ち味だ。なお、辻井の妹・和花は、同日昼に新宿フェイスで松本徐倫のKROSS×OVERキック女子アトム級王座に挑戦し判定勝ちしている。
1R、和奏がサウスポーでプレッシャーをかけ、右前蹴りを絡めつつ、左ミドルを当てる。KOKOZも回りつつ、右ミドルを返す。若干和奏の蹴り数が上回る状態が続く。終盤、KOKOZが右フックを当てるが、和奏が左テンカオを当てて終える。記者採点はイーブン。
2R、和奏が変わらず前に出て、左ミドルを当て続け、中盤には組んで左膝も当て攻勢を印象付ける。終盤には左の奥足狙いのローも当てる。KOKOZも最後はパンチをまとめるが、攻撃数の差を埋めるほどにはならない。記者採点は和奏。
3R、和奏がペースを崩さず前に出て左ミドルを当て続け、組めば左膝を当て、フェイントを絡め左テンカオも当てる。終盤には左奥ローを当て、KOKOZをひるませ、しっかり差を印象付ける。記者採点は和奏。合計28-30で和奏。ジャッジは意外にも割れたが、2者が和奏を支持し、和奏が判定勝ちした。
7戦無敗で国内王座を獲得した和奏は「これから頑張って世界一になりたいです」とアピール。最後は妹の和花と共に記念撮影した。
笠原弘希&友希の弟・直希×赤土公彦の息子・公亮、注目の17歳対決は好勝負の末ドロー
第3試合 55kg契約 3分3R
△笠原直希(シーザージム)
△赤土公亮[あかつち こうすけ](D-BLAZE)
判定1-0 (ナルンチョン29-28/ノッパデッソーン29-29/ソンマイ29-29)
第3試合では注目の17歳対決が組まれた。シュートボクシングの王者・笠原弘希&友希の弟・直希は昨年4月のRISEでの那須川龍心戦でプロデビューし7戦5勝2敗。SBが主戦場だが、6月のスック・ワンキントーンでムエタイに初挑戦し、2RにSHUから右フックでダウンを奪い判定勝ち。8月のSB大森大会のメインでも遠藤凌夢をジャブと前蹴りを駆使して翻弄し判定勝ちし、テクニック向上を印象付けた。
赤土は80年代後半に全日本キックとMAキックの王者だった赤土公彦の息子。押川童子丸のリングネームだった押川典史会長率いるD-BLAZEに所属。3月のスック・ワンキントーンでのデビュー戦で勝利すると、7月の作田智大との2戦目でも、本場のタイの経験豊富な選手のような隙の無いシャープな動きで観客を驚かせていた。
1R、赤土はサウスポーで左ローを散らしつつミドルを度々当てる。直希も右ロー、ミドルを当てつつ、右ストレートも絡める。首相撲も互角で、どちらも譲らない攻防を繰り広げる。記者採点はイーブン。
2Rも同様の攻防で、中盤、直希の右インローが効き目を発揮し、やや赤土の勢いが落ちる。直希は蹴り足をつかんで倒す場面もあり、右ストレートも絡める。終盤、赤土も左ミドルのヒットを増やし、巻き返して終えるが、劣勢の印象をどこまで埋められたかきになるところだ。記者採点は直希としたがイーブンもありうる。
3Rも似た構図だが、首相撲の場面が増え、お互い膝を当て譲らない展開が続く。だが終盤、赤土の膝を当てる形の左ミドルが度々ヒット。直希もパンチを返すが、口が開きしんどそうだ。記者採点は赤土。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者が直希につけたが、2者はイーブンでドローとなった。今後、上位戦線での再戦を期待したくなる内容で、両者とも階級や進む路線が変わったとしても、日本を代表する選手となる予感のする戦いぶりだった。
在日タイ人対決はBEN侍・YZ’Dが勝利
第8試合 58kg契約 3分3R
×オート・AXGYM(タイ/AXGYM/元ラジャダムナン認定バンタム級6位)
○BEN侍[ベンザムライ]・YZ’D(タイ/Y’ZD GYM/元スック・ワンキントーン・ライト級王者)
判定0-3 (ソンマイ28-29/ノッパデッソーン28-29/アラビア28-29)
在日タイ人トレーナー同士のムエタイが組まれるのがスック・ワンキーントンならでは。両者とも激しく技を存分に出し合う攻防で観客を沸かせる。
1R、長身で22歳と若いオートが、30歳のBEN侍に対し、左右のミドルを強打して先手を取るが、終盤、BEN侍も左ミドルを増やし、いい形で終える。
2R、オートが右ミドルを強打し続けるが、BEN侍も蹴りをつかんだり離れ際に右ストレートを返す。膝の攻防は変わらず五分。終盤、BEN侍は手数を上げ、組んで右肘も当て、しっかり巻き返し、いい印象を作って終える。
3R、同様の攻防が続き、BEN侍はある程度パンチや膝を当てると、中盤からは距離を取って流しモードに。オートは前に出るが攻撃できず終了。BEN侍がタイ式で逃げ切る形で判定勝ちした。
第7試合 55kg契約 3分3R
○石川直樹(teamLIT/元スック・ワンキントーン・スーパーフライ級王者、元ジャパンキック&新日本フライ級王者)
×SHU(D-BLAZE/スック・ワンキントーン・バンタム級4位)
判定3-0 (29-28/29-28/30-28)
第6試合 72kg契約 3分3R
○津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)
×康輝(キング・ムエ)
判定3-0 (29-28/29-28/30-28)
第5試合 65kg契約 3分3R
×畠山育朗(Pegasus project)
○YUHEI(ONE LINK)
判定1-2 (28-29/29-28/28-29)
第4試合 68.5kg契約 3分3R
×KAZU(GTジム/元WMC日本&KOSウェルター級王者)
○ウアン・フェニックスジム(タイ/PHOENIX)
判定0-3 (28-30/28-30/28-30)
第2試合 スーパーフライ級 3分3R
×高梨凌太(フジマキックムエタイジム)
○磯貝雅則(STRUGGLE)
判定0-2 (28-29/28-28/28-29)
第1試合 60.5kg契約 3分3R
○岩谷将平(フジマキックムエタイジム/元スック・ワンキントーン・サマックレン50kg・60kg王者)
×大河内佑飛(RIKIX)
1R 2’18” TKO (3ダウン:右バックハンドブロー)