UFC 9.16 ラスベガス(レポ):アレクサ・グラッソ、シェフチェンコとの再戦はシーソーゲームの末に引き分け女子フライ級王座初防衛
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UFC Fight Night (Noche UFC) : Grasso vs. Shevchenko 2
2023年9月16日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-モバイルアリーナ
レポート:井原芳徳
第11試合 メインイベント UFC女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
△アレクサ・グラッソ(王者)
△ワレンチナ・シェフチェンコ(1位)
判定1-1 (48-47/47-48/47-47)
※グラッソが初防衛
今大会の開催日の9月16日は米国の隣のメキシコの独立記念日にあたり、メキシコ色の強い大会となり、「UFC Fight Night」をスペイン語訳した「Noche UFC」が大会名となった。ファイトナイトシリーズでタイトルマッチが組まれることは珍しいが、今回はUFC初のメキシコ生まれの女子王者・グラッソの王座防衛戦をメインイベントに据え、メキシコ出身の選手が多数出場した。米国以外の開催だとその国の選手がたくさん出ることが恒例だが、演出はその国のカラーを出さないのがUFC流のため、ここまでカラーをはっきり打ち出す大会は異例だ。なお、UFCが世界最大のプロレス団体・WWEと経営統合し「TKOホールディングス」を設立してから初のUFCのイベントとなる。
グラッソは15年にInvictaで魅津希に判定勝ち。16年からUFCに上がり、当初は勝ち負けを繰り返す状態だったが、20年8月から昨年10月までキム・ジヨン、ビビアン・アラウジョら相手に4連勝した。今年3月、シェフチェンコの女子フライ級王座に挑戦。3Rまでやや劣勢だったが、4R終盤、シェフチェンコがバックスピンキックを空振りした直後、オンブになって裸絞めを極めタップを奪い逆転勝ち。シェフチェンコの8度目の防衛を阻止し新王者となった。そして半年後、リターンマッチが同じラスベガスで組まれた。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 16: (R-L) Valentina Shevchenko of Kyrgyzstan and Alexa Grasso of Mexico (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、グラッソがオーソドックス、シェフチェンコがサウスポーで構え、お互い慎重な打撃戦が続く。シェフチェンコが一発左ミドルを強打すると、中盤、グラッソはサウスポーにスイッチするが、まだお互い慎重だ。終盤、シェフチェンコが両差しからテイクダウンに成功し、ハーフガードで押さえる。シェフチェンコはマウント、バックマウントと動くと、バランスが崩れ、スタンドに戻るが、好印象を残すことに成功する。記者採点もジャッジ3者もシェフチェンコ。
2R、序盤にパンチが交錯すると、グラッソの右ストレートが炸裂しシェフチェンコはダウンする。シェフチェンコはすぐ立つが、金網際での組んだ展開で、グラッソは右の膝蹴りとクリンチアッパーを連打する。中盤、離れるとグラッソは前進するが、シェフチェンコがタックルを合わせて倒して上になる。終盤、シェフチェンコがパウンドを少し落とすと、猪木アリ状態になる。30秒ほどしてシェフチェンコはガードの中に戻るが、グラッソは防御して終える。記者採点もジャッジ3者もグラッソ。
3R、サウスポーの見合いが続いた後、シェフチェンコがタックルでまたもテイクダウンを奪い、ハーフガードで押さえる。パスガードに成功すると、グラッソがもがいて立ち上がるが、シェフチェンコはこの動きの対応してギロチンチョークを仕掛け、引き込みながら一回転してマウントポジションを奪い、ギロチンの状態をキープする。次第に極まりは浅くなり、シェフチェンコはギロチンを解除するが、もがくグラッソに対応し、今度はバックマウントに移り、足4の字でがっちりと捕獲する。場内にはメキシコ人のグラッソへの声援が飛ぶが、シェフチェンコはグラッソを逃がさず、パウンドを当てつつ裸絞めを狙い続け主同県を維持する。記者採点もジャッジ3者もシェフチェンコ。
4R、スタンドの打撃戦が続き、中盤にシェフチェンコがタックルを仕掛けるが、今度はグラッソが切って、金網に押し込む。グラッソは右脇を差した状態から動いて背後に回り込むと、抱え上げて倒し、すぐさまバックから腕十字を取りに行くが、シェフチェンコは腕のクラッチが切れた瞬間に体を一回転させてトップを取り返す。だがグラッソは金網を背にして立ち上がり、スタンドに戻す。終盤、打撃戦の後、残り30秒にシェフチェンコが両差しからテイクダウンに成功する。グラッソはすぐ立ち、シェフチェンコは背後からしがみつき、グラッソは潜り込んで足を取ってヒールフックを狙うが、極まりきらず終了する。記者採点は僅差のため迷ったが、腕十字とヒールフックで2度サブミッションにトライしたグラッソ。ジャッジは割れ1者がグラッソ、2者がシェフチェンコに付ける。グラッソは左まぶたを最後にカットし出血したのが印象が悪かったか?
5R、シェフチェンコは右ジャブを当て、グラッソはまたも左まぶたから出血するが、右ジャブを返す。中盤、お互いパンチを出すが、強打は無く、均衡状態が続く。だが終盤、シェフチェンコがまたも組み付いて右脇を差しながら抱え上げて倒そうとしたが、グラッソはすり抜けてシェフチェンコの背後に回り、バックマウントを取ることに成功する。グラッソはパウンドを当て、足4の字で捕獲し、パウンドを当てつつ裸絞めを狙い、最後はフェイスロックの状態で終える。記者採点はグラッソ。ジャッジ3者ともグラッソに付け、1者は10-8とする。記者採点の合計は48-47でグラッソ。4R目が割れたこともあり、ジャッジの採点は三者三様となり、王者のグラッソのドロー防衛となった。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 16: (R-L) Valentina Shevchenko of Kyrgyzstan and Alexa Grasso of Mexico (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
メキシコの歴史的な模様のあしらわれた特製のチャンピオンベルトを巻いたグラッソは「皆さん、本当にありがとう。ビバ・メヒコ。私は多くのダメージを与えたし、パンチもより強くなりました。私が勝者です」とアピールした。シェフチェンコは「3対2で私の勝ちだと思いましたが、ジャッジはプレッシャーを感じたのでしょう。なぜなら今日はメキシコ独立記念日で、彼女はメキシコの選手だからです」と、アウェーの状況を皮肉ると、観客からのブーイングを浴びた。好勝負となったため、3度目の対戦はいずれありそうだ。

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 16: Alexa Grasso of Mexico reacts after retaining her title with a draw against Valentina Shevchenko of Kyrgyzstan in the UFC flyweight championship fight during the Noche UFC event at T-Mobile Arena on September 16, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
第10試合 コーメインイベント ウェルター級 5分3R
×ケビン・ホランド(3位)
○ジャック・デラ・マダレナ(4位)
判定1-2 (28-29/29-28/29-28)

LAS VEGAS, NEVADA – SEPTEMBER 16: (L-R) Jack Della Maddalena of Australia punches Kevin Holland in a welterweight fight during the Noche UFC event at T-Mobile Arena on September 16, 2023 in Las Vegas, Nevada. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
第9試合 バンタム級 5分3R
○ラウル・ロザスJr.
×テレンス・ミッチェル
1R 0’54” TKO
第8試合 ライト級 5分3R
○ダニエル・ゼルフーバー
×クリストス・ジアゴス
2R 3’26” アナコンダチョーク
第7試合 フェザー級 5分3R
×フェルナンド・パディーヤ
○カイル・ネルソン
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
第6試合 女子ストロー級 5分3R
○ルーピー・ゴディネス
×エリース・リード
2R 3’37” 裸絞め
第5試合 ミドル級 5分3R
○ロマン・コピィロフ
×ジョシュ・フレムド
2R 4’44” KO
第4試合 フライ級 5分3R
―エドガー・チャイレス
―ダニエル・ラセルダ
1R 3’47” 無効試合
第3試合 女子フライ級 5分3R
○トレイシー・コルテス(14位)
×ジャスミン・ジャスダビシアス(15位)
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)
第2試合 ライト級 5分3R
×アレックス・レイエス
○チャーリー・キャンベル
1R 3’38” TKO
第1試合 女子ストロー級 5分3R
○ヨセフィン・ノットソン
×マーニック・マン
判定3-0 (30-24/30-25/30-27)