UFC 9.10 シドニー(レポ):ショーン・ストリックランド、アデサニヤを打撃で攻略しミドル級王者に。マネル・ケイプが判定勝ちし4連勝
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UFC 293: Adesanya vs. Strickland
2023年9月10日(日)オーストラリア・ニューサウスウェールズ州シドニー五輪公園:クドス・バンク・アリーナ
レポート:井原芳徳
ショーン・ストリックランド、アデサニヤを打撃で攻略しミドル級王者に
第12試合 メインイベント UFCミドル級チャンピオンシップ 5分5R
×イズラエル・アデサニヤ(王者)※初防衛戦
○ショーン・ストリックランド(5位)
判定0-3 (46-49/46-49/46-49)
※ストリックランドが王者に
アデサニヤは昨年11月、キック大会のGLORYで2度敗れた相手、アレックス・ペレイラにミドル級王座を奪われ、6度目の防衛に失敗したが、今年4月のリターンマッチで2R KO勝ちし、リベンジと王座奪還を果たした。オーストラリアの隣のニュージーランドに住んでおり、実質ホームでの初防衛戦に臨んだ。
ストリックランドは14年からUFCに上がり、18年から昨年2月まで6連勝していたが、7月にペレイラ、12月にジャレッド・キャノニア相手に連敗。だが今年に入って1月にナッソーディン・イマボフに判定勝ちし、7月にアブス・マゴメドフに2R TKO勝ちした。

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: (L-R) Sean Strickland battles Israel Adesanya of Nigeria in the UFC middleweight championship fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
下馬評では当然アデサニヤが圧倒的上だったが、王座初挑戦のストリックランドが番狂わせを起こすことに。1R、ストリックランドがプレッシャーをかけ、アデサニヤがサウスポー主体で時折スイッチしながら、金網際で回って距離を取る構図が続く。ストリックランドは物怖じしない様子で前に出続け、左ジャブとインローのコンビネーションを決め、アデサニヤの蹴り足をすくう場面もあり、終盤には右ストレートを当てるように。
お互い攻撃が少ない状態が続くが、残り30秒、ストリックランドのワンツーでの右ストレートがアゴにクリーンヒットし、アデサニヤはダウンする。ストリックランドはこのチャンスを逃さず、押さえながら左のパウンドを高速で連打し追い詰める。アデサニヤはすぐ立って離れて終える。記者採点はストリックランド。
2R、ストリックランドがプレッシャーをかけ、アデサニヤは回って距離を取る、1R同様の構図が続く。お互い攻撃は少ないが、アデサニヤは1Rよりも金網よりも離れた位置を保つようになり、左ミドル、ジャブのヒットを増やし、若干だが巻き返した感がある。ストリックランドは攻撃が減る。記者採点はアデサニヤ。
3R、ストリックランドが変わらず前に出る構図。中盤、アデサニヤがパンチと蹴りをまとめる場面もあるが、当たりは軽い。終盤、ストリックランドは攻めあぐねるものの、変わらず前に出て試合を作り、左フックを強打する場面もあり、若干好印象で進める。記者採点は迷ったがストリックランド。
4R、ストリックランドは圧を強め、アデサニヤに金網を背負わせ、中盤には立て続けに左フックを当てる。終盤もお互い有効打は乏しいが、ストリックランドは細かくパンチや前蹴りを当てる。アデサニヤは防御主体で逃げ回っている感がぬぐえない。記者採点はストリックランド。
5Rも同様の構図で、ストリックランドが随所で左前蹴りや右フックを当て、アデサニヤが攻められない状態が続く。ストリックランドは最後まで圧力を切らさず、アデサニヤを封じて終える。記者採点はストリックランド。合計46-49でストリックランド。ジャッジ3者も同じ採点で、ストリックランドが王座奪取を果たした。試合前は舌戦を繰り広げた両者だが、裁定が下された後は抱き合い、敗れたアデサニヤもストリックランドの腕を高く上げて称え、ストリックランドも頭を下げた。

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: Sean Strickland reacts after a unanimous-decision victory over Israel Adesanya of Nigeria in the UFC middleweight championship fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
ボルコフ、地元のトゥイバサを圧倒
第11試合 コーメインイベント ヘビー級 5分3R
×タイ・トゥイバサ(6位)
○アレクサンドル・ボルコフ[ヴォルコフ](7位)
2R 4’37” 袖車
オーストラリアのスター選手・トゥイバサは一時は5連勝したが、最近はシリル・ガーヌ、 セルゲイ・パブロビッチに連続KO負け中。極真空手がベースのロシア人・ヴォルコフは昨年3月にトム・アスピナルに一本負けしたが、その後はジャルジーニョ・ホーゼンストライク、アレクサンドル・ロマノフと1R KOし勢いに乗る。

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: (L-R) Alexander Volkov of Russia punches Tai Tuivasa of Australia in a heavyweight fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、身長201センチのボルコフに対し、あんこ体型のトゥイバサが前に出てパンチを振うが、ボルコフは落ち着いてかわす。中盤にはボルコフが詰めて来たトゥイバサに対し、パンチを連打してから左ミドルにつなげる。終盤、詰めて来たトゥイバサに、ボルコフが右ストレートを当てると、トゥイバサは腰が落ち、ボルコフはさらにパンチをまとめる。最後はパンチラッシュでトゥイバサを追い詰めて終える。記者採点はボルコフ。
2R、ボルコフは距離を取り、前に出るトゥイバサに的確にパンチを当てる。場内は地元のトゥイバサへの声援のボルテージが徐々に上がるが、ボルコフは容赦なく攻め、中盤、右ストレートを当ててダウンを奪う。それでもトゥイバサは立つが、右ローをすくわれて倒れる。ボルコフは上からパウンドで追い詰めマウントポジションを奪う。終盤にはバックマウントとも行き来し、じっくりトゥイバサを追い詰めると、マウントから袖車(柔術用語ではエゼキエルチョーク)を極めタップを奪った。
マネル・ケイプが判定勝ちし4連勝。UFC初戦のフェリペ・ドス・サントスが大健闘
第10試合 フライ級 5分3R
○マネル・ケイプ(10位、元RIZINバンタム級王者)
×フェリペ・ドス・サントス
判定3-0 (30–27/29–28/29–28)
ケイプは昨年12月、ダビッド・ドヴォルザークに判定勝ちし3連勝中。その後、元フライ級王者で2位のデイブソン・フィゲイレードとの試合も計画されたが実現せず、今大会でニュージーランド出身の5位・カイ・カラフランスとの試合が決まったが、カラフランスが怪我で欠場した。
代役のドス・サントスはMMA 7戦全勝のブラジル人でシュートボクセ所属。8月22日にUFCのトライアウトであるデイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズに出る予定だったが、今回急きょオーストラリアでランカー相手にUFCデビューすることになり、敗れはしたものの素質の高さを印象付ける。

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: (L-R) Manel Kape of Angola punches Felipe dos Santos of Brazil in a flyweight fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、長身のドス・サントスはサウスポーのケイプに対し、右ストレートを当て、二段蹴りも絡め、積極的に攻めるが、ケイプが左フックを当ててダウンを奪う。だがドス・サントスは下になってから足を登らせ、ケイプはスタンドに戻す。中盤、ケイプの左ミドルをドス・サントスがすくって倒すが、すぐにケイプは倒して上になり、スタンドに戻す。終盤、ケイプは構えを時折スイッチするように。首相撲になれば、離れ際にドス・サントスが右肘を振う。ケイプも回転肘を当てる。ドス・サントスも回転肘を当て返してから、さらに右ストレートを出し、技のつなぎがスムーズだ。記者採点はダウンを奪ったケイプ。
2R、スタンドの打撃戦が続き、ケイプはスイッチを繰り返し、ドス・サントスは動じず右ストレートや右ミドルを随所で当てる。ケイプは手数は劣るが、随所で左のジャブやボディを当てる。終盤、ケイプは左フックでドス・サントスをひるませ、右カーフも当てる。次第にケイプが左右のボディ、顔面へのパンチのヒットを増やし、差をしっかり印象付けて終える。記者採点はケイプ。
3Rもスタンドの打撃戦が続き、お互い時折パンチを当てる。次第にヒットが増え、お互いひるむ場面のあるスリリングな展開に。中盤にはケイプの右フックでドス・サントスの腰が落ちる。終盤、後の無いドス・サントスが圧を強めるが、ケイプは距離を取り、最後はタックルで倒してパウンドを連打し、反撃を封じ終了する。記者採点はケイプ。合計30-27でケイプ。ジャッジ3者もケイプを支持し、ケイプが判定勝ちした。ケイプはこれで4連勝となった。
試合後のインタビューでケイプは、客席のカラフランスに対し「カラ、次はお前を倒す」と挑発し、カラフランスも立ち上がって、舌を出して首を切るポーズで受け答えた。なお、この試合がファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれている
第9試合 ヘビー級 5分3R
○ジャスティン・タファ
×オーステン・レーン
1R 1’22” KO (左フック→グラウンドパンチ)

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: (L-R) Justin Tafa of New Zealand punches Austen Lane in a heavyweight fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
第8試合 ライトヘビー級 5分3R
○タイソン・ペドロ
×アントン・トゥルカリ
1R 2’12” KO (右ストレート→グラウンドパンチ)

SYDNEY, AUSTRALIA – SEPTEMBER 10: (L-R) Tyson Pedro of Australia kicks Anton Turkalj of Sweden in a light heavyweight fight during the UFC 293 event at Qudos Bank Arena on September 10, 2023 in Sydney, Australia. (Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)
第7試合 ライトヘビー級 5分3R
○カーロス・アルバーグ
×チョン・ダウン
3R 4’49” 裸絞め
第6試合 フェザー級 5分3R
×ジャック・ジェンキンス
○チェペ・マリスカル
2R 3’19” TKO (レフェリーストップ:投げによる右腕の負傷)
第5試合 ライト級 5分3R
○ジェイミー・ムラーキー
×ジョン・マクデッシ
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第4試合 ライト級 5分3R
○ナスラット・ハクパラスト
×ランドン・キニョネス
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第3試合 ウェルター級 5分3R
×マイク・ダイヤモンド
○チャーリー・ラドキ
判定0-3 (27-29/27-29/27-29)
第2試合 フェザー級 5分3R
×シェーン・ヤング
○ガブリエル・ミランダ
1R 0’59” 裸絞め
※ヤングは計量3.75ポンド(1.7kg)オーバー。ミランダにファイトマネーの30%を譲渡
第1試合 ウェルター級 5分3R
○ケビン・ジュセ
×キーファー・クロスビー
1R 4’49” 裸絞め