K-1甲子園2023 9.3 新宿フェイス: 最激戦区-55kgは大阪の高1・新井真惺が優勝。北海道の新星・上野奏貴、変幻自在な蹴り技でKO勝ちし-60kg制す。福岡の野中大翔が豪快KO勝ちで-65kg優勝
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K-1甲子園2023 ~ 高校生日本一決定トーナメント~
K-1カレッジ2023 ~ 大学生日本一決定トーナメント~
2023年9月3日(日)東京・新宿フェイス
レポート&写真:井原芳徳
K-1甲子園2023 ~ 高校生日本一決定トーナメント~
K-1甲子園は高校生世代の男子選手によるトーナメント。FEG体制時代の2007年から始まり、体制変更の狭間で休止した年もあったが、ほぼ毎年1回全国大会が行われ、HIROYA、野杁正明、小川翔、平本蓮、軍司泰斗、椿原龍矢らが過去に優勝し、プロでの活躍につなげた。新生K-1の人気を押し上げた武尊もK-1甲子園の関西地区予選での敗退をきっかけに上京を決意した過去がある。優勝者に限らず多数のK-1ファイターが経験した大会で、今のK-1の選手層の厚さのベースの一つとなっている。
15年から2階級制、16年から3階級制に。東日本、西日本に分けての予選で好成績を残した選手たちが、全日本大会に集まる形式で定着している。試合時間は決勝のみ3分1R(延長1分30秒)、それ以外の試合は2分1R(延長1分)。決勝以外はヘッドギアをつけて戦う。試合時間が短いため、最初から積極的に攻めることが大事となる。
-55kg 最激戦区は大阪の高1・新井真惺が優勝
準決勝
×早田吏喜[りき](大阪/STYLE高等学院2年/キックボクシングジム3K/2022準優勝)
○永谷[ながや]龍希(神奈川/横浜修悠館高校2年/K-1ジム五反田/2023東日本3位)
判定3-0
-55kgは3階級で最多の16人がエントリー(1選手欠場)。早田は昨年全日本大会準優勝者でプロのKrushも3戦経験しており、二回戦では東日本予選優勝の高見海凪をサウスポーからの左ローで追い詰め判定勝ちした。対する永谷は一回戦で右ストレート一撃でKO勝ちしインパクトを残した。
準決勝でも永谷が序盤に右ストレートを立て続けにクリーンヒットして先手を取る。中盤から早田は左ロー、左ストレートを返すようになるが、終盤は攻撃数が伸びず。序盤の好印象で永谷が判定勝ちした。
準決勝
×小野寺隼(栃木/宇都宮短期大学附属高校3年/K-1ジム大宮/2023東日本2位)
○新井真惺[まさと](大阪/大阪府立北かわち皐が丘高校1年/K-1ジム心斎橋/2023西日本優勝)
判定0-3
小野寺は武尊のようにプレッシャーをかけてパンチを連打するのが得意なタイプ。対する新井は手足の長さを活かし、山本真弘のように細かいフェイントをかけ距離を取りながら、多様な蹴りを叩き込むスタイル。
対照的な両者の準決勝は、開始すぐから小野寺が前に出て距離を潰してパンチを連打する構図に。新井は持ち味を封じられるが、接近戦で細かくストレート、膝、ミドルを返し、手数では劣らない。新井の蹴りのタイミングで小野寺が右ストレートを当て、のけぞらせる場面も。記者の印象としては小野寺がやや優勢に見えたが、ジャッジは新井の細かく当て続けた攻撃を評価したようで、3者とも新井を支持し、新井が決勝に進んだ。他の試合含め両者レベルが高く、プロでの再戦を見たいと思わせる一戦だった。
決勝
×永谷[ながや]龍希(神奈川/横浜修悠館高校2年/K-1ジム五反田/2023東日本3位)
○新井真惺[まさと](大阪/北かわち皐が丘高校1年/K-1ジム心斎橋/2023西日本優勝)
判定0-3
両者3試合勝利して臨んだ決勝戦。永谷が序盤から積極的に攻めてパンチを振るうが、中盤に勢いが落ちると、新井は永谷をコーナーに詰めて詰めて膝蹴りをボディに効かせて反撃する。永谷はスタミナの消耗が激しい。終盤は新井が右ストレートをクリーンヒットし、パンチと膝で攻め続け、差を広げ判定勝ちした。
新井は「3回戦(準決勝)は距離を潰されて殴り合いになって、対応に遅れました」と反省しつつ「決勝は3回戦ほど苦戦せず落ち着いて戦えて良かったです」と振り返った。今後は「Krushのベルトを獲りにいきたい」とのこと。目標の選手について聞かれると「同じジムの黒田斗真選手です。誰よりも努力して頑張っていて、その背中を見たらホンマにやらんといけないってなるので、誰にも負けへんくらい練習していきたいです」と話した。プロの軽量級戦線で黒田に続く存在になるか?進化に期待したい。
-60kg 北海道の新星・上野奏貴、変幻自在な蹴り技でKO勝ちし優勝
準決勝
×荒井幸太郎(神奈川/厚木商業高校2年/ドラゴンテイル)
○上野奏貴[かなた](北海道/恵庭北高校2年/K-1ジム大宮/2023東日本3位)
8選手によって争われた-60kg。荒井は一回戦で東日本予選準優勝の安藤大樹に勝利。上野は既にプロで2勝している上野空大[くうと]の弟で、空手のJFKO全日本ジュニア大会優勝経験もある注目株。準決勝では上野が右インローを効かせると、中盤からパンチと膝を何発も当て続けて荒井を圧倒し判定勝ちした。
準決勝
×植益大地(大阪/STYLE高等学院1年/キックボクシングジム3K)
○須田煌大(神奈川/神奈川総合産業高校1年/K-1ジム相模大野)
判定0-3
須田は一回戦で西日本予選優勝者の細濱辰に判定勝ち。準決勝では植益の左ミドルの強打をもらう場面もあったが、執拗に右ローを当て続けて植益を下がらせ好印象を残し判定勝ちした。
決勝
○上野奏貴[かなた](北海道/恵庭北高校2年/K-1ジム大宮/2023東日本3位)
×須田煌大(神奈川/神奈川総合産業高校1年/K-1ジム相模大野)
KO
上野が左ミドル、三日月蹴り、膝蹴り、右ロー等のヒットをじわじわと増やして須田を追い詰める。終盤、上野が右上段後ろ廻し蹴り、顔面への右膝蹴り、右ハイキック、顔面狙いの左前蹴りを立て続けにヒットし、コーナーに詰めてのパンチを連打したところで梅木レフェリーがスタンディングダウンを須田に宣告する。最後は上野がパンチラッシュからの右上段後ろ廻し蹴りを当てたところで、レフェリーがストップ。圧巻の勝利だった。今大会のPR大使を務めた大久保琉唯も大会後の総括で「上野選手は東日本予選では勝てなかったけど、あれから伸びていて、決勝でKOできたのが良かったです」と高く評価していた。
上野は「初戦から決勝の気持ちで出し切るつもりで戦いました」「決勝は練習した蹴り技や大技がそのまま出せました」と試合を振り返った。現在は兄の空大と共に北海道とK-1ジム大宮で練習し「兄と一緒に北海道を代表して盛り上げる選手になりたいです」と話した。「プロで戦える体と気持ちがまだまだなので、もっと準備して、戦えるようになったらプロに上がりたいです」と話しており、より研ぎ澄まされた空手スタイルがプロの舞台で披露される日を楽しみに待ちたい。
-65kg 福岡の野中大翔がKO勝ちで優勝
準決勝
○金子隆樹(大阪/長尾高校1年/Rebornキックボクシングジム/2023西日本3位)
×中原優芯[ゆうしん](宮崎/日本大学高校2年/ダイアタイガージム/2023西日本2位)
判定3-0
-65kgは10選手が参加(1選手欠場)。西日本予選のベスト4勢が、東日本予選のベスト4勢を全員撃破し、全日本のベスト4に勝ち残る。東日本予選のベスト4のうち3選手は札幌の一信会館総本部所属の選手達だった。
金子は二回戦で東日本予選優勝者の猪瀬尚希に判定勝ちした。準決勝では金子が右ミドルとローを効かせ、終盤にパンチラッシュでダウンを奪い判定勝ちした。
準決勝
×安部篤輝(大阪/ルネサンス大阪高校1年/Tiger Gym/2023西日本3位)
○野中大翔[だいと](福岡/玄洋高校3年/Weed Gym/2023西日本優勝)
TKO
野中は九州で行われているキック大会・大和で2戦の経験のある選手。左ジャブを突いてプレッシャーをかけ、右ストレート等をヒット。安部も右ロー、左ミドルを絡めつつ、パンチを返していたが、右フックを当てた際、右肩を脱臼してしまい、レフェリーがストップした。
決勝
×金子隆樹(大阪/長尾高校1年/Rebornキックボクシングジム/2023西日本3位)
○野中大翔[だいと](福岡/玄洋高校3年/Weed Gym/2023西日本優勝)
KO
開始すぐから激しいパンチの打ち合いに。金子はミドル、膝蹴りも絡めていたが、接近戦で野中が細かくパンチを当て続けると、金子は口が開き苦しそうに。金子はそれでも前に出るが、クリンチが増えレフェリーから警告を受ける。すると中盤過ぎ、金子が左右のパンチを振り回しガードが甘くなったところで、野中の右ストレートがさく裂し、金子はダウンする。ダウンした金子はフラフラで、最後は野中がパンチラッシュでコーナーに詰めたところで梅木レフェリーがストップした。金子は消耗が激しく、周囲に支えられリングを降りた。
野中は「決勝は判定だと周りの方が明確な差がわからないと思ったので倒せて良かったです」と振り返った。今後については「Krush・K-1のチャンピオンになりたいです」と話した。同じWeed Gym所属の末松晄と共に東京のパワーオブドリームに出稽古しており、「K-1時代の平本蓮選手のファイトスタイルが好き」とも話しており、今後プロの舞台でどう進化してくか注目だ。
K-1カレッジ2023 ~ 大学生日本一決定トーナメント~
K-1カレッジは2016年からスタートした、大学生世代のトーナメント(専門学校生でも参加可能)。試合時間は甲子園と同じだ。
55kg決勝(7選手参加)
○中野星耶[せいや](大阪/大阪工業技術専門学校2年/ALL-WIN GYM)
×小川叶翔[かなと](東京/東京医療保健大学1年/K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定2-1
中野が前に出続けるが、なかなかパンチにつなげられず。小川も回り続けるものの、随所でパンチ、ローを返す。最後お互い攻撃を増やすと、中野が左ミドルを増やして終える。接戦のため判定は割れたが、積極性で勝った中野が判定勝ちした。
60kg決勝(9選手参加)
×宮崎頼悟[らいご](東京/日本大学2年/K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
○松島遥心[はると](東京/日本大学1年/K-1ジム総本部)
延長 判定0-3
本戦 判定1-1
60kgは9選手中4選手が日本大学の選手。決勝は日大勢同士の戦いに。サウスポーの松島に対し、宮崎が右ミドル、ストレートを中盤に当てる。終盤の打ち合いではほぼ互角となり延長へ。パンチの打ち合いが続き、接戦だったが、わずかに左ストレート、右ジャブの強打で目立った松島が勝利した。
65kg決勝(3選手参加)
○石川龍之介(大阪/関西外国語大学4年/K-1ジム心斎橋)
×高橋秀駿(東京/中央大学2年/GRES 8Mile GYM)
判定3-0
石川が中盤に左ボディを連打し、コーナーに詰め右ストレートをヒット。高橋も右フックを返す場面もあるが、攻撃が続かず、石川が最後もパンチをまとめ差をつけ判定勝ちした。
K-1甲子園&カレッジ2023応援サポーター・小浜桃奈さんが空手仕込みの蹴り技披露。菅原美優は9.10 横アリ向け「金子晃大君と一緒に勝つ」と抱負