Fighting NEXUS 8.20 後楽園ホール(レポ):渡部修斗、MMA引退試合はピンチ乗り越え判定勝ち。岸野紘樹がライト級、宮澤雄大がストロー級王者に。荻窪祐輔、浜本雄大に判定勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
リバーサルジム久喜WINGS
未経験者でも大丈夫!様々な年代の会員さんがキック・柔術・MMA等を楽しくトレーニング!今なら入会金等無料!
株式会社ライフイン24group presents Fighting NEXUS vol.32
2023年8月20日(日) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
渡部修斗、MMA引退試合はピンチ乗り越え判定勝ち
第9試合 トリプルメインイベント1 PFCバンタム級チャンピオンシップ 5分3R
×小倉卓也(スカーフィスト/王者)
○渡部修斗(FIGHT LINX/挑戦者、元Fighting NEXUSバンタム級王者)
判定0-2 (梅木28-28/梅田28-29/出口28-29)
※渡部が王者に
今回がMMA引退試合となる渡部は、1989年2月27日生まれの34歳。元修斗王者の渡部優一氏を父に持つ。柔道、レスリングを経て、12年にMMAデビューし、ZSTの王座戦線で活躍。18年から主戦場としたNexusでは4試合に渡るトーナメントを制し初代バンタム級王者となり、翌19年に咲間“不良先輩”ヒロトを破り初防衛した(21年に返上)。20年のコロナ禍突入後はRIZINにも参戦し、田丸匠、内藤頌貴に得意の絞め技で勝利したが、井上直樹、朝倉海には1Rで敗れ、昨年4月にはNEXUS育ちの須藤拓真に判定負けした。以降はDEEPに上がり、昨年7月には内山拓真に判定勝ちしたが、今年2月の力也戦では27秒でKO負けした。1月には自身のジム・FIGHT LYNXを川崎市にオープンし、青野ひかるとの結婚式も挙げた。3月には8月のNEXUS後楽園大会での引退を表明。5月のGEN大会ではアオキング一輝に1R裸絞めで一本勝ち。その後もACF、コンバットレスリング、NEXUSでグラップリングの試合を積極的に行っている。
渡部の引退試合の相手は小倉卓也に決定した。小倉は40歳。かつて「小蒼卓也」のリングネームで修斗に上がり続け、いずれも敗れはしたが田中路教、小野島恒太、岡田遼、竹中大地、魚井フルスイングとも対戦経験がある。青森在住で19年からは札幌で山本喧一氏が主催するPFCにレギュラー参戦し王座を獲得。昨年からPFCと協力関係にあるNexusに上がり、初戦はジェイクムラタに判定負けしたが、昨年11月の後楽園で大石真丈に、今年5月のGENで小林博幸に、いずれも1R腕十字で勝利している。今回はNexusの大会で渡部相手にPFCのベルトを懸けて戦うことになった。
1R、開始すぐから渡部はタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。小倉はすぐ立ちアームロックを狙うが、渡部は対処し、立った状態からオンブになり、そのままグラウンドに引きずり込み、バックマウントをキープする。中盤以降、渡部は執拗にバックから裸絞めを狙い続け主導権を維持する。
2R、序盤こそ渡部のタックルを小倉が防御を続けたものの、中盤に渡部が倒し、バックを取り、執拗に裸絞めを狙い続け、このラウンドもポイントを取る。だが小倉も防御を続け、渡部はなかなか極めさせてもらえない。
3R、ゴングが鳴ると渡部は小倉に近づき抱き合った後、タックルを仕掛ける。だがスピードがやや遅く、小倉は対処してバックに回り込むと、オンブの状態から裸絞めを仕掛け、一気に形勢逆転する。そのままグラウンドになっても小倉はバックマウントをキープし、執拗に裸絞めを狙うが、渡部は防御して終える。ジャッジは梅木氏のみ3R目を8-10で小倉につけ28-28のドローとしたが、他の2人は28-29で渡部を支持し、渡部が判定勝ちした。
ベルトを獲得した渡部は座ったまま「酸欠で立てなくてすみません」と話し「本当はカッコ良くマジカルチョーク極めたかったんですけど、最後このざまです。でも最後チャンピオンベルト巻いて、父ちゃん、最高の息子だよね?」とアピールした。関係者に感謝の言葉を述べた後、「これからはNEXUSの運営に入ってNEXUSを盛り上げます」「NEXUS最高。これでNEXUS第一章終わります。次の試合から第二章です」等と話し、10カウントゴングを聞いた。その後は父の優一氏、チームメイトがケージに入り、渡部を称えた。
ライト級王者決定戦・岸野“JUSTICE”紘樹がジェイク・ウィルキンスに判定勝ち
第11試合 トリプルメインイベント3 Fighting NEXUS初代ライト級王者決定戦 5分3R
×ジェイク・ウィルキンス[Jake Wilkins](LIBERTAS学芸大ジム)※フリーから所属変更
○岸野“JUSTICE”紘樹(トイカツ道場)
判定0-3 (大藪28-29/小池28-29/梅田28-29)
※岸野が王者に
昨年11月のNEXUS初の後楽園大会以来となる2度目の後楽園大会が開催され、今回は3つのタイトルマッチがトリプルメインイベントとして並んだ。前回11月大会では柔術黒帯・横山武司が山本空良に判定勝ちしフェザー級王者となり、その後RIZINでも一本勝ちしており、横山らに続く新鋭登場が期待される。
ウィルキンスは父が米国人、母が日本人で東京育ち。米国在住時にアマチュアMMA大会で経験を積み、帰国後はKRAZY BEE等で練習し、21年から参戦しているNEXUSでは4戦3勝1敗。最近の試合は昨年11月の後楽園大会で、キム・ハンオル(韓国)に1R TKO勝ちすると、タイトルマッチを希望していた。
岸野は12年にデビューし、GRACHAN、DEEP、ZSTと主戦場を転々とし、20年からNEXUSを主戦場としNEXUSで4戦3勝1敗。昨年5月に宇土冬真に2R TKO勝ちし、5月に泰斗に延長判定勝ちし2連勝中だ。
ウィルキンスはセコンドに来日中のジェロム・レ・バンナを引き連れ登場する。1R、両者サウスポーで構え、ウィルキンスが左フックを当て先手を取るが、次第に勢いが落ちると、岸野も左ストレート、膝蹴りを返す。中盤過ぎには岸野が左フックでダウンを奪う。ウィルキンスはすぐ立つが、終盤、岸野がテイクダウンを奪い、長時間トップキープしてパウンドを当て、主導権を維持する。記者採点は岸野。
2R、ウィルキンスが小外刈りで岸野を倒すと、岸野はすぐに返して上になる。ウィルキンスはギロチンで迎撃するが、極まりは浅く、岸野が抜いてトップキープする。岸野はハーフを維持し、コツコツとパウンドを当てる。終盤、岸野がマウントを狙うと、ウィルキンスは脱出するが、スタミナの消耗が激しく、反撃に持ち込めない。記者採点は岸野。
3R、岸野がタックルで倒すと、またもウィルキンスはギロチンを仕掛けるが、これも岸野が抜いて、金網際で押さえる。中盤以降も岸野はトップキープし、コツコツパウンドを当てる。終盤になっても変わらず、最後は鉄槌を連打して終了する。記者採点は岸野。合計27-30で岸野。ジャッジ3者も岸野を支持し、岸野が判定勝ちでベルトを手にした。
ストロー級王者決定戦・宮澤雄大が木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅に判定勝ち
第10試合 トリプルメインイベント2 Fighting NEXUS初代ストロー級王者決定戦 5分3R
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(トイカツ道場/修斗世界同級8位)
○宮澤雄大(K-PLACE/パンクラス同級4位)
判定0-3 (梅田27-30/小池27-30/大藪28-29)
※宮澤が王者に
木内はパンクラス2012年ネオブラッド・トーナメント・フライ級優勝者で同級の元ランカー。ZSTを経て16年から修斗に上がり、澤田龍人、本田良介、黒澤亮平、新井丈には敗れたが、ランキング戦線で活躍した。昨年11月の後楽園大会からNEXUSに上がり、楠美貴嗣に1Rで勝利すると「ストロー級のベルト欲しいです」とアピール。今年5月のGEN大会でも宮國要に1R一本勝ちしている。
宮澤はパンクラスのランカーで、21年12月には北方大地のパンクラス・ストロー級王座に挑戦し敗れている。続く昨年9月のパンクラスの若林耕平戦でも敗れると、今年2月にNEXUSに初参戦し、小林了平に判定勝ちしている。
1R、宮澤はタックルを仕掛けるが、木内が引き込み気味に倒れ足を登らせると、すぐ振りほどき、猪木アリ状態にし、梅木レフェリーはブレイクする。その後も同じ構図となり、レフェリーはブレイク。すると中盤からはスタンド勝負となり、木内がサウスポーからの左ハイを当て続けるが、宮澤も左フックを当て続ける。最後は宮澤がタックルで倒し上になって終える。記者採点は宮澤だが割れる可能性はある。
2R、木内も左ミドルで随所で当てるが、宮澤が前に出続け、左右のフックを的確に多く当て続け、主導権を維持する。終了間際にはタックルで倒して差を印象付ける。記者採点は宮澤。
3R、宮澤が前に出続け、パンチを随所で当て優勢を維持する。ヒットは減るが、対する木内も回って距離を取るだけで、攻撃が減る。このラウンドも最後に宮澤がタックルで倒して終える。記者採点は宮澤。合計27-30で宮澤。ジャッジ3者も宮澤を支持し、宮澤が判定勝ちでベルトを手に入れた。
荻窪祐輔、NEXUS王者の浜本“キャット”雄大を追い詰め判定勝ち
第8試合 MMA フライ級(ノンタイトル戦) 5分2R(延長1R)
×浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/Fighting NEXUS同級王者、元WPMF日本スーパーバンタム級(55.33kg)王者)
○荻窪祐輔(K-PLACE)
判定0-3 (大藪18-20/梅木18-20/山崎18-20)
浜本は元キックボクサーで20年にMMAデビュー。昨年はNEXUSで4戦全勝し、11月に平井総一朗に2R TKO勝ちしNEXUSフライ級王者となった。5月のRIZINでは初来日のラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)の相手を務め1R TKO負けしている。
荻窪はパンクラス2014年ネオブラッド・トーナメント・スーパーフライ級優勝者。17年のパンクラスでのDEEPとの対抗戦では安谷屋智弘に判定勝ちし、フライ級のランキングにも入っていた。昨年9月のパンクラスでの萩原幸太郎戦で約2年ぶりに復帰し3R TKO負け。今年5月のNEXUSで小林優に判定勝ちし、2戦目ではノンタイトル戦ながら現王者との試合が組まれた。
1R、スタンドでお互い慎重に探り合う状態が続き、終盤にようやくお互い攻撃が増える。荻窪が左フックをクリーンヒットする場面もあったが、浜本もパンチを返し、左右のローを当て、ヒット数ではやや上で終える。記者採点は僅差だが荻窪。
2R、荻窪は開始すぐからタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。荻窪は足関を仕掛け、防御されれば固執せずサイドで押さえる。肩固めとパウンドでプレッシャーをかけてから、バックマウントを奪い4の字ロックで捕獲する。荻窪はバックからパウンドを当て続け、裸絞めを狙い、最後は三角絞めを狙って終える。記者採点は8-10で荻窪。合計17-20で荻窪。ジャッジ3者も荻窪を支持し、荻窪が王者に完勝した。
第7試合 MMA 88kg契約 5分2R(延長1R)
×廣野雄大(パンクラスイズム横浜)
○ましん(BULE DOG GYM)
1R 0’58” KO (右フック)
ましんはレスリングの東日本学生選手権グレコローマン87kg級で優勝経験もある24歳で今回がMMAプロデビュー戦。1R、スタンドでフェイントをかけ合う状態が続くが、お互い右フックを振るうと、ましんのパンチがクリーンヒット。廣野はダウンし、ましんがパウンドで追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした。
第6試合 MMA バンタム級 5分2R(延長1R)
―森永ユキト(ストライプル新百合ヶ丘)
―中桐涼輔(トイカツ道場)
1R 0’22” 無効試合
中桐は計量オーバーにより勝ってもノーコンテストとなる。だが開始すぐ、タックルに来た森永をギロチンチョークで捕獲すると、引き込んでマウント状態からガッチリと極めてタップを奪い、ノーコンテストとなった。
第5試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○岩松哲也(リベルダージ)
×千春(FREEDOM@OZ)
1R 0’49” 反則
1R、岩松がタックルから抱えて倒すが、千春が反則となる後頭部への打撃を連打し一時中断する。ドクターチェックの結果、岩松はストップがかかり反則勝ちとなった。岩松はセコンドに肩を抱えられて退場した。
第4試合 キック 60kg契約 3分3R
○渡邉奎介(HIDE’S KICK)
×瀬川 琉(稲城キックボクシング道場/元新日本キックフェザー級1位)※伊原道場稲城支部から所属先名称変更
判定3-0 (小池30-25/山崎30-25/梅木30-25)
新日本キックの元ランカーの瀬川はNEXUS初参戦。瀬川の所属先・伊原道場稲城支部が新日本キックから離れると共に、稲城キックボクシング道場に名称を変えてからの初戦となる。NexusのキックルールはK-1同様につかんでからの攻撃が禁止されている。渡邉はNEXUSのアマチュアで経験を重ね、5月のプロデビュー戦で小久保裕気を1R KOし、今回が2戦目。
1R、両者サウスポーで構え、渡邉がプレッシャーをかけ、パンチをブロックの上からでも強打する。中盤、渡邉の右ミドルがローブローとなり一時中断する。再開後、渡邉が右フックをクリーンヒットし、瀬川をひるませ好印象を残す。
2R、渡邉が序盤はパンチを強打していたが、中盤に勢いが落ちると、瀬川の左ローのヒットが増え、渡邉は少しバランスが悪くなる。
3R、瀬川の左ローをもらい続けた渡邉はフラフラになる。終盤、渡邉はローの後に左ストレートも当てて追い詰めるが、直後に渡邉が左ストレートを返すとクリーンヒットし、瀬川はダウンする。終了間際にも渡邉が左フックでダウンを奪い、点差を広げ判定勝ちした。
第3試合 MMA フライ級 5分2R(延長1R)
×倉岡幸平(蒼天塾あざみ野道場)
○豪瑠[ごうる](Evermove)
3R 判定1-2 (梅田9-10/大藪9-10/出口10-9)
2R 判定0-1 (梅田18-20/大藪19-19/出口19-19)
1R、倉岡がテイクダウンを奪い、マウントを奪い、肩固めを極める。だが豪瑠は脱出すると、パンチラッシュで倉岡を追い詰め、右フックでダウンを奪い、その後も打撃で追い詰める。
2R、豪瑠がパンチを当てるが、倉岡も返し、中盤には倒して上で押さえる。だが豪瑠は脱出し、テイクダウンを奪い返し、パウンドを落とす。お互い消耗が激しく動きが雑になるが、激しく打ち合い終了する。ジャッジは1者が豪瑠を支持したが2者がイーブンで延長へ。
延長R、豪瑠もパンチを当てる場面もあったが、力が入りきらず。中盤過ぎ、倉岡がテイクダウンを奪うと、横三角絞めで捕獲したままパウンドを当て続け終了する。記者採点は倉岡。ジャッジは割れ、2者は豪瑠のスタンドの打撃を評価し、豪瑠が判定勝ちした。
第2試合 MMA フェザー級 5分2R(延長1R)
○村井和道(FIGHT BASE都立大)
×亀松寛都(POD/PFC/元PFCフライ級王者)
3R 判定3-0 (出口10-9大藪10-9/小池10-9)
2R 判定0-0 (出口19-19/大藪19-19/小池19-19)
1R、亀松はフライ級からバンタム級に階級を上げたばかりだが、さらに1階級上のフェザー級での試合ということもあり、村井に押し込まれる時間が長くなる。終盤、亀松が右フックを当てながら押し倒すが、すぐに村井が立って押し込む。
2R、亀松のタックルを村井が潰して上になり、バック、マウントを奪うなど主導権。金網に押し付けパウンドも当て攻め続けて終了する。1Rは亀松、2Rは村井がポイントを取り、19-19で延長へ。
延長R、村井が右ミドル、ストレートを当て、中盤には倒し、バックをキープする。終盤には村井がハーフで押さえ続け、勝負あったかに見えた。ところが亀松は脱出すると、オンブになり、裸絞めを仕掛け、村井が耐えて終了する。記者採点は亀松。裸絞めはキャッチとはならなかったため、ジャッジは3者とも村井につけ村井が勝ったものの、亀松の最後まであきらめないファイトも印象に残る一戦となった。
第1試合 キック 57.5kg契約 3分3R
○大島広也(TANG TANG FIGHT CLUB)
×紺野煌人(神龍ワールドジム)
判定3-0 (山崎28-26/小池28-26/梅木28-26)
紺野は高校3年生で今回がプロデビュー戦。セコンドには神龍誠がつく。空手をベースとした蹴りはシャープだが、大島のパンチをもらうとダメージが溜まる。3Rに大島が詰めてパンチを連打してスタンディングダウンを奪い、点差を広げ判定勝ちした。両者ともつかんでからの膝蹴りの反則を度々犯し、減点2ずつを喫していた。