パンクラス 6.4 ニューピアホール(レポ):王者・鶴屋怜がRTU参戦中のフライ級、1位の伊藤盛一郎が秋葉太樹を1Rで仕留め年内王座奪取宣言。林源平、キャリア10年でウェルター級王者に。パラエストラCNWの19歳 藤田大、ミドル級ネオブラ覇者 佐藤龍汰朗が衝撃勝利
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PANCRASE 334 / NEOBLOOD! 4
2023年6月4日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
王者・鶴屋怜がRTU参戦中のフライ級、1位の伊藤盛一郎が秋葉太樹を1Rで仕留め年内王座奪取宣言
第7試合 コーメイン フライ級 5分3R
○伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/1位、元ZST王者)
×秋葉太樹(パンクラス大阪稲垣組/4位)
1R 4’39” 裸絞め
Road To UFC(RTU)参戦中の鶴屋怜が王座に君臨するフライ級で重要な試合が組まれた。(上写真は5月27日のRTU一回戦の勝利報告で登場した鶴屋。「まだ油断できないので、しっかり勝って優勝したいと思うので応援お願いいたします」と話した。)
伊藤は長年ZSTの主力選手として活躍し、RIZINにも並行して参戦。20年8月のRIZINでは神龍誠に敗れたが、21年10月のRIZINで橋本薫汰に2R裸絞めで勝利した。より上を目指す試合機会が乏しい中、昨年12月の横浜大会でパンクラスに初参戦すると、フライ級2位の上田将竜に2R裸絞めで一本勝ちしてランクインし、現在1位だ。
秋葉は小川徹、鶴屋といった後にパンクラス王者となる選手に連敗し、昨年7月には韓国のRoad FCで地元選手に判定負けし3連敗中。昨年から大阪の稲垣組に移籍し、12月大会で谷村泰嘉との試合が組まれたが、秋葉の怪我で中止となった。4月30日の大会で再度この試合が組まれたが、今度は谷村の怪我で中止となる。すると6月の今大会で、谷村よりも実績で大きく上回る伊藤との試合が組まれた。
試合は伊藤がレベル差を見せる展開に。1R、開始すぐに伊藤が片足タックルからテイクダウンを狙う。秋葉は耐えて突き放すと、伊藤は再びタックルを仕掛けて倒す。伊藤が素早くバックを取りに行くと、秋葉は振り落として上になる。金網際で寝た状態の伊藤に対し、秋葉は立った状態からパウンドを落とす。
だが伊藤は下からの蹴り上げを放ち続けて追撃を封じ、秋葉の腕をつかんで腕十字を仕掛ける。極まらなかったが、伊藤はその動きからリバースに成功し、サイドポジションで押さえる。そして伊藤はZST出身選手らしく休むことなく、逆サイド、上四方と素早く動きつつ、アームロックを仕掛ける。
秋葉は動いてなんとか防御すると、上から押さえた伊藤がパスガードを狙ったところで、伊藤の足をつかんで膝十字を狙う。しかし伊藤は体を起こして防御し、指を振って「効いていない」というジェスチャーをして余裕を見せてから、パウンドを連打する。
秋葉は足を抜いて脱出するとすぐにマウントを奪い、パウンドラッシュで秋葉を追い詰める。最後は秋葉に背中を向けさせると、伊藤はバックマウントで捕獲し、裸絞めをガッチリと極めタップを奪った。
マイクを持った伊藤は「グランドスラム、ZST所属の伊藤盛一郎です。前回初参戦で上田選手に勝ってパンクラス・フライ級1位になって、たまたまだとかラッキーだとかと思われていると思ったたので、今回1位の実力を見せる準備をしてきました。しっかりフィニッシュして勝ったんでまあいいかなと思います。パンクラスに来たからにはベルトを目指して頑張っているんで。チャンピオン(=鶴屋)もUFC目指して頑張っていて、頑張ってほしいんですけど、僕は今年中にベルトにチャレンジできるように頑張ります。また次出る機会を楽しみにしてください」とアピールした。
鶴屋が10~12月に決勝予定のRTUで優勝しUFCとの契約を勝ち取れば、ベルトを返上する可能性も高いが、暫定王座が設けられるパターンも考えられる。いずれにせよ鶴屋が留守の間、パンクラス・フライ級は伊藤を軸に動くことに変わりない。
林源平、村山暁洋に判定勝ちしウェルター級王者に
第8試合 メインイベント パンクラス第15代ウェルター級王者決定戦 5分5R
×村山暁洋(暁道場/1位・元王者、元修斗環太平洋王者)
○林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/2位)
判定0-3 (45-50/45-50/45-50)
※林が王者に
菊入正行がベラトールに継続参戦するために返上したウェルター級のベルトを懸け、上位ランカー2選手による王座決定戦が行われた。
村山は43歳。修斗で活躍後、12年からパンクラスを主戦場とし、16年に鈴木槙吾に勝利し第9代ウェルター級王者となり、三浦広光に敗れ初防衛に失敗した。20年の菊入との初対決では勝利したが21年の暫定王者決定戦での再戦では判定負け。昨年4月に新鋭・木下憂朔にわずか108秒でKOされたが、12月の横浜武道館での長岡弘樹とのベテラン対決では判定勝ちした。
林は33歳。13年のデビュー時からパンクラスに上がり続け、20年のライト級暫定王者決定戦では雑賀 ヤン坊 達也に1R KO負け。以降も葛西和希と金田一孝介に連敗したが、昨年9月からウェルター級に戻し、中村勇太に判定勝ちすると、12月大会では押忍マン洸太に1R逆転TKO勝ちしている。
1R、両者中央付近で右に回り、フェイントをかけてパンチや蹴りを出すが、距離が遠い状態が続く。林が右ボディフック、ローを当てるが、村山は組み付き、金網に押し込む。だがテイクダウンを奪えず、最後、林が離れて、右ローを一発当てて終える。
2R、組んで来た村山を突き放し、林が前に出て右ロー、ボディフックを随所で当て、主導権を維持する。長いラウンドのため、深追いせずじっくり消耗させようとしているようにも見える。
3Rも林が前に出て、右ローを当てつつ、左ハイ、右フックを絡める。変わらず慎重だが主導権を維持する。
4R、3ポイント差をつけられ後の無い村山は、前に出てパンチを振るって組んで来たが、林は難なく突き放す。林は時折ロー、パンチを当てるが、変わらず深追いせず、着実にポイントを取る。
5R、村山が組む場面がこれまでより増えるが、林はテイクダウンを許さず、随所でパンチやローを当て優位を維持し、最後は抱え上げてから倒して終了する。記者採点もジャッジ3者も5Rとも林につけ、林が判定勝ちでベルトを腰に巻いた。
マイクを持った林は「このベルトを目指して10年続けたので滅茶苦茶うれしいです。ここから先は王者としてふさわしい試合をしていきます」とアピールした。
パラエストラ千葉ネットワークの19歳・藤田大、今成ロールからの膝十字でウェルター級ランカーから一本
第6試合 ウェルター級 5分3R
×押忍マン洸太(DESTINY JIU-JITSU/4位)
○藤田 大[ひろし](パラエストラ千葉)
2R 0’29” アンクルロック
押忍マンはメインでウェルター級王座に挑んだ林に12月にKO負けし、連勝が3で止まって以来の試合。対する藤田は柔術がベースで、昨年8月のJBJJF全日本オープンアダルト茶帯ミドル級優勝者。MMAは大阪でのGLADIATORで昨年デビューし2戦1勝1敗の19歳。
1R、開始すぐに藤田がタックルを仕掛け、押忍マンは潰すが、下になった藤田が腕十字を狙う。だが押忍マンがグラウンド状態で藤田に蹴りを連打してしまい、高本レフェリーから減点1を宣告される。グラウンドから再開するが、押忍マンが立ち上がる。藤田のタックルに合わせて押忍マンが膝蹴りを放ち、藤田はもらうが、そのままテイクダウンに成功する。藤田がバックマウントからパウンドを当て裸絞めを狙うなど、寝技で圧倒する。
すると2R、藤田は開始すぐに今成ロールの要領で寝転がって押忍マンの足をつかむと、そのままグラウンドに引き込み、膝十字を仕掛けつつ、アンクルロックを極める。押忍マンは悲鳴を上げつつタップし、藤田の一本勝ちとなった。(※公式記録の決まり手は膝十字固めとなっている)
マイクを持った藤田は「途中膝食らって記憶失ったんですけど勝ったんですか?」と話して観客を笑わせ、拍手を浴びると「ありがとうございます」と四方に頭を何度も下げ、最後は「これからも精進して頑張ります」と話した。極めの強さ、19歳とは思えない野性的な風貌、“天然”な性格で、今後人気を高めそうだ。
佐藤龍汰朗、高木健太のローをブロックし足を破壊。ミドル級王座挑戦を熱望
第5試合 ミドル級 5分3R
○佐藤龍汰朗(坂口道場一族/1位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
×高木健太(ファイティスジムMSC/元HEATウェルター級王者)
1R 0’08” TKO (レフェリーストップ:右足の骨折)
佐藤は3月大会でのネオブラッドトーナメント・ミドル級決勝で1R勝利し優勝。トーナメント自体、2選手のみの参加の上、ミドル級自体の選手層が薄いため、この1勝でミドル級1位となっている。とはいえ早速MMA 33戦16勝17敗のベテラン高木との試合が組まれたことで、1位としての真価が問われる。内藤由良がロッキー川村2に勝利してミドル級王者になったのが昨年3月。まだ防衛戦を行っていないため、この一戦は王座挑戦者決定戦相当の試合といえよう。
だが試合はあっという間の、そして衝撃的な決着に。1R開始すぐ、サウスポーの佐藤に対し、高木が右のインローを放つ。だが、佐藤が右足を上げてブロックする動きで反応すると、高木のスネが佐藤の膝に直撃する。高木の骨の折れた音が場内に響く。高木の右足がマットに着地すると、高木は踏ん張れず右足に体重がかかり、スネが大きく曲がる。倒れた高木はスネが曲がった状態のまま悲鳴を上げる。小池レフェリーがすぐさまストップし、佐藤のTKO勝ちとなった。
マイクを持った佐藤は「高木選手、1階級上での試合を受けてくれてありがとうございます」と話し「希望が通るなら僕の上にはチャンピオンしかいないんで、僕も同じ横浜出身なんで、12月、横浜武道館でやってくれないですかね、内藤さん。ここでアンサーもらおうとは思っていないんで、できればお願いします。海外行く前に最後の挑戦者として僕を使ってください」とアピールした。
第4試合 ライト級 5分3R
×吉村天弥(和術慧舟會HEARTS/9位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
○神谷大智(BRAVE)
3R 2’30” 反則 (グラウンド状態での顔面への蹴り)
吉村も佐藤同様、3月の2選手参加のネオブラ・ライト級で優勝している。この試合がプロデビュー戦で、対する神谷も2戦2勝とキャリアが浅い同士の試合となる。
1R、吉村がサウスポーの神谷に右ミドルを強打するが、神谷はタックルから押し込んで、反り投げ気味に倒すと、トップキープしてパウンドを当て好印象を残す。
2R、神谷がタックルでテイクダウンを繰り返し、随所でパウンドを当て優位を維持する。吉村は下からの三角絞めを狙いつつ鉄槌を当てるが、神谷は脱出し、最後もパウンドを当てる。
3R、神谷はタックルを仕掛けるがバテており、吉村は切ってスタンドに戻す。吉村はパンチを当て、神谷のタックルを潰して、金網際で押さえながらパウンドと膝を当て、一気に逆転のチャンスをつかむ。だが神谷は中腰で、マットに片手をついた状態と離した状態を繰り返している。神谷がマットに手をついたグラウンド状態で、吉村が反則となる膝蹴りを連打したため、梅田レフェリーはストップ。神谷はダメージが大きく、吉村は悔しい反則負けとなってしまった。
第3試合 プレリミナリー バンタム級 5分3R
×板谷一樹(トライフォース東中野)
○谷内晴柾[やち はるまさ](池袋BLUE DOG GYM)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
谷内が右のカーフキックを効かせ、1Rにはバックから裸絞めを狙い、2Rもテイクダウンを奪い、トータルで上回る試合運び。3Rもパンチで前に出る板谷に、右のカーフを効かせ反撃を封じ判定勝ちした。
第2試合 プレリミナリー ライト級 5分3R
×石田陸也(DOBUITA)
○望月貴史(BRAVE)
2R 2’44” 裸絞め
石田は下からの関節技や絞め技を繰り返すが、望月は防御を続ける。1Rは上から望月がパウンドをヒット。2Rはギロチンから脱出すると、すぐにバックを取り、裸絞めを極めタップを奪った。
第1試合 プレリミナリー フェザー級 5分3R
○岡田拓真(リバーサルジム横浜グランドスラム)
×上田智大(パラエストラ広島)
1R 2’22” 裸絞め
岡田は昨年5月のアマチュアパンクラス優勝者で今回がプロデビュー戦。1R、岡田が上田を金網に押し込み、右の肩パンチを連打する。反り投げで倒し、上田の立ち際にオンブになると、裸絞めを極めてタップアウト。コーメインの試合を控えた伊藤盛一郎が岡田をかついで喜ぶと、岡田は涙を流した。
第29回ネオブラッドトーナメント
第7試合 第29回ネオブラッドトーナメント フェザー級 準決勝 5分3R
×前田村生[むらお](UP START)
○髙田寛也(パラエストラ札幌)
2R 2’19” 裸絞め
第6試合 第29回ネオブラッドトーナメント バンタム級 2回戦 5分3R
×高木徳三(NATURAL 9)
○小原とうや(パラエストラ柏)
1R 3’59” アームロック
第5試合 第29回ネオブラッドトーナメント バンタム級 2回戦 5分3R
×寺本雄輝(パラエストラ西東京)
○菅 歩夢[かん あゆむ](宇留野道場)
1R 1’02” TKO (レフェリーストップ:右カーフキック→グラウンドパンチ)
第4試合 第29回ネオブラッドトーナメント バンタム級 2回戦 5分3R
×上野惇平(ハイブリッドレスリング八戸)
○漆間將生[うるしま しょうい](KRAZY BEE)
1R 4’25” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
第3試合 第29回ネオブラッドトーナメント フライ級 準決勝 5分3R
○山崎聖哉(BRAVE)
×梅原規祥(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)
第2試合 第29回ネオブラッドトーナメント フライ級 準決勝 5分3R
×大野友哉(パラエストラ千葉)
○眞藤源太(KING CRAFT)
1R 4’18” 三角絞め
第1試合 第29回ネオブラッドトーナメント ストロー級 準決勝 5分3R
×米山唯人[ゆいと](サツキジム横浜)
○寺岡拓永[たくえい](ROAD MMA GYM)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)