UFC 4.9 フロリダ(レポ):ヴォルカノフスキー、チャンソンに完勝。スターリング、ヤンとの大接戦制す。チマエフ、バーンズに苦戦も判定勝ちで11連勝
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UFC 273: Volkanovski vs The Korean Zombie
2022年4月9日(土)米国フロリダ州ジャクソンビル:VyStarベテランズ・メモリアル・アリーナ
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント UFCフェザー級タイトルマッチ 5分5R
○アレキサンダー・ヴォルカノフスキー[ボルカノフスキー](王者)
×ジョン・チャンソン(4位)
4R 0’45” TKO (レフェリーストップ:右フック)
※ヴォルカノフスキーが3度目の防衛
ヴォルカノフスキーは昨年9月にブライアン・オルテガに判定勝ちし王座2度目の防衛に成功し、MMA 20連勝、UFC 10連勝とした。チャンソンは日本のGLADIATOR、DEEP、戦極で小見川道大、石渡伸太郎らに勝ったことがあり、11年からUFCに参戦。19年にヘナート・モイカノ、フランク・エドガーを1Rで粉砕し、20年10月にオルテガに判定負けしたが、昨年6月にダン・イゲに判定勝ちし、今回の王座初挑戦につなげた。体力や打たれ強さに定評があり、UFCでは「ザ・コリアン・ゾンビ」の愛称が定着している。
1R、ヴォルカノフスキーがスタンドの打撃戦で、随所で左右のフックを的確に当て、スイッチしつつ左右のローも絡め、やや優位な立ち上がり。終盤、ヴォルカノフスキーが左インローでチャンソンのバランスを少し崩させると、金網に押し込み、テイクダウンを狙う。離れると、最後にヴォルカノフスキーが左右のフックを連続でヒットし、ローも絡め、チャンソンをダウン寸前の状態に追い込む。記者採点はヴォルカノフスキー。
2R、ヴォルカノフスキーは左インローを的確にヒット。チャンソンの右のカーフキックもしっかりブロックする。ヴォルカノフスキーが細かくパンチを当て続けると、中盤の右ストレートでチャンソンはひるむ。ヴォルカノフスキーは打撃で深追いせず、タックルを仕掛けて倒し、金網際で押さえ、パウンドをヒットし、手堅く削る戦い。終盤、スタンドとグラウンドを行き来しつつ、ヴォルカノフスキーはパンチ、パウンドを着実に当て、主導権を維持する。記者採点はヴォルカノフスキー。10-8でも不思議ではない優勢だ。
3R、チャンソンが前に出てパンチを振るい巻き返しを図るが、ヴォルカノフスキーは距離を取り対処し、ジャブ、インローを的確に当てる。中盤、チャンソンのパンチに合わせ、ヴォルカノフスキーがタックルを仕掛けて押し込む。終盤、離れても、ヴォルカノフスキーがパンチとローを的確にヒット。最後、左右のフックの連打でダウンさせてから、パウンドラッシュで追い詰める。ハーブ・ディーン・レフェリーはストップしようか迷うが止めない。記者採点は10-8でヴォルカノフスキー。チャンソンの腫れた右まぶたにドクターチェックが入るが試合は続行する。
すると4R、ヴォルカノフスキーが左インロー、左ジャブを当ててから、右フックを2連続でクリーンヒット。チャンソンが千鳥足で後退したところで、ディーン・レフェリーはヴォルカノフスキーにしがみついて試合をストップ。ヴォルカノフスキーの完勝だった。
第11試合 セミメインイベント UFCバンタム級王座統一戦 5分5R
○アルジャメイン・スターリング(王者)
×ピョートル・ヤン(暫定王者)
判定2-1 (48-47/47-48/48-47)
※スターリングが王座統一、初防衛
昨年3月、スターリングが当時の王者・ヤンに挑戦し、劣勢が続いたが、ヤンがグラウンド状態での顔面への膝蹴りの反則を犯し、スターリングが続行不能となり、ヤンが反則負けとなっていた。10月にリターンマッチが計画されたが、スターリングが首の手術からの回復が遅れ、暫定王座決定戦が組まれ、ヤンはコーリー・サンドヘイゲンに判定勝ちしている。
1R、ヤンがプレッシャーをかけ、スターリングが何度もスイッチして回って距離を取る構図が続き、なかなかお互い目立つ攻撃が出ない。スターリングは右ミドルを当て、何度かタックルを仕掛けるが、ヤンは切り、圧力を落さず、時折パンチを当て、積極性を印象付ける。記者採点はヤン。ジャッジは割れ、2者が右ミドルを当てタックルもトライしたスターリングにつける。
2R、ヤンは変らず圧を掛けて前に出るが、スターリングが2度目のタックルでテイクダウンに成功する。スターリングはトップキープに行かず金網際でバックを取り、足を4の字でガッチリ組んでヤンを捕獲する。中盤過ぎ、スターリングは裸絞めを狙いつつ、マウントに移り、パウンドを落とす。終盤、バックマウントに戻る。スターリングの足のロックは強固で、ヤンは防戦一方だ。記者採点はスターリング。
3R、ヤンは前に出続けるが、今度もスターリングが2度目のタックルで倒し、バックマウントをキープする。ヤンは防戦一方。同じ体勢が続き、膠着状態には陥っているが、スターリングも時折首元に腕を回したり、パウンドを当てるため、ブレイクはかからずラウンドが終わる。記者採点はスターリング。
4R、スターリングがタックルを仕掛けると、ヤンは切りつつ背後に回ろうとするが、スターリングはスタンドに戻す。ヤンがサウスポーのスターリングに左ローを当てると、スターリングは蹴り足をすくってタックルを仕掛けるが、ヤンは耐えて離れる。ヤンが再び左ローを放つと、今度は蹴り足をすくったスターリングが、テイクダウンにこだわらず、素早くバックに回ろうとし、下に落ちても三角絞めを狙う。ヤンは防御し、ピンチを乗り越える形で上になることに成功する。スターリングが変わらず下から仕掛けるが、ヤンは対処し、ハーフからパウンドを落とし、好印象を作って終える。記者採点はコントロールの時間の長かったヤン。合計でイーブンに。
5R、スターリングがタックルを仕掛け、ヤンが対処を続けるるが、スターリングがコントロールし返す展開から始まる。中盤、ヤンは近距離で飛び膝を放つと、当たりは軽かったが、組んできたスターリングを潰して背後に回る。疲れていてパワーが入りきらず、スタンドに戻るも、次のスターリングのタックルも潰して、背後に回ってコントロールを続け、最後はバックマウントも短時間取り、好印象で終える。記者採点はヤン。合計48-47でヤン。2~4Rのジャッジは記者と同じだったが、結局割れた1Rが決め手となる形で、1Rにスターリングを支持した2者が合計点でスターリングを支持し、スターリングの王座統一および防衛となった。
スターリングは次期挑戦者に元王者で2位のT.J.ディラショーを指名した。ヤンは「ラウンドを3つ取ったと思った。またやらせてほしい」と3度目の対戦に意欲を示した。
第10試合 ウェルター級 5分3R
×ギルバート・バーンズ(2位)
○ハムザト・チマエフ(11位)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
バーンズは昨年2月、カマル・ウスマンのウェルター級王座に挑戦し敗れたが、7月の再起戦ではスティーブン・トンプソンに判定勝ちした。チマエフはロシアのチェチェン共和国出身でスウェーデン在住。MMA 10戦全勝、UFC 4戦全勝で、全ての試合でフィニッシュし、最近3試合は1Rで勝利している。
1R、チマエフがプレッシャーをかけ、右のパンチを振ってから組み付き、タックルを仕掛けて金網に押し込む。バーンズは背中をつけず耐えるが、チマエフはコントロールを続ける。猪木アリ状態となると、チマエフはスタンドに戻す。バーンズが右のカーフキックを当てると、チマエフは少しふらつく。チマエフは右ストレートを振りつつ、左ボディにも散らし、打撃スキルでは好印象を作る。チマエフがサウスポーにスイッチし、パンチの相打ちのようになると、チマエフのほうがスリップする場面も。だが終盤、長身のチマエフがサウスポーからの右ジャブを当てると、バーンズはダウン。チマエフは上からパウンドラッシュを仕掛けるが、バーンズは防御する。最後はスタンドに戻って終える。記者採点はチマエフ。バーンズが柔術世界選手権黒帯準優勝の寝技スキル、MMAキャリアの差を示すが、チマエフが最後に持って行くラウンドに。
2R、バーンズから低空タックルを仕掛けるが、チマエフは切る。サウスポーのチマエフに、バーンズは右フック、ミドル、カーフをを当てて挽回する。すると中盤、バーンズの左フックが炸裂し、チマエフがひるみ、バーンズがパンチラッシュで追い詰める。バーンズはタックルを仕掛け、切られると、すぐさま寝転び、腕十字を狙う、柔術的な動きを展開。下からチマエフの胸を蹴飛ばし、上になろうとする場面も。終盤、バーンズは動きを切らさずパンチを振るう。チマエフは疲れが見え、動きが落ちると、バーンズの右フックをもらってスリップ。バーンズが思わず放った右のサッカーボールキックはかすめる程度で、最後はチマエフが上になった状態で終わる。記者採点はバーンズ。
3R、チマエフは初経験のラウンドへ。チマエフからプレッシャーをかけるが、パンチにはつなげられず。バーンズがタックルを仕掛け、倒しかけるが、チマエフは耐えてスタンドに戻す。するとバーンズは顔面の出血が増え、疲れが目立つようになり、チマエフのパンチの連打で倒れそうになりつつも何とか耐える。消耗戦の中でお互いパンチを振るい、威力は低下しているが、手数と圧力でチマエフが好印象だ。終盤、バーンズは前に出て、ようやくパンチを積極的に振るうように。だがチマエフも前に出て、最後は蹴りとパンチをまとめて終える。記者採点はチマエフ。合計29-28でチマエフ。ジャッジ3者もチマエフを支持し、チマエフが勝利したが、キャリア初のピンチを味わう試合となった。とはいえ2位のバーンズに勝ったことで、王座も射程圏に入った。
第9試合 女子ストロー級 5分3R
○マッケンジー・ダーン(5位)
×テシア・トーレス(7位)
判定2-1 (28-29/29-28/29-28)
第8試合 ライト級 5分3R
×ヴィンス・ピシェル
○マーク・マドセン
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
第7試合 ウェルター級 5分3R
○イアン・ギャリー
×ダリアン・ウイークス
判定3-0 (29–28/30–27/30–27)
第6試合 ミドル級 5分3R
○アンソニー・ヘルナンデス
×ジョシュ・フレムド
判定3-0 (30–27/30–27/29–28)
第5試合 女子バンタム級 5分3R
×アスペン・ラッド(4位)
○ラケル・ペニントン(7位)
判定0-3(28-29/28-29/28-29)
第4試合 ウェルター級 5分3R
×ミッキー・ガル
○マイク・マロット
1R 3″41″ TKO
第3試合 ヘビー級 5分3R
○アレクセイ・オレイニク
×ジャレッド・バンデラ
1R 3’39” 袈裟固め
第2試合 女子ストロー級 5分3R
○ピエラ・ホドリゲス
×ケイ・ハンセン
判定3-0(29-28/29-28/29-28)
※ハンセンは計量2.5ポンドオーバー。ホドリゲスにファイトマネーの20%を譲渡
第1試合 バンタム級 5分3R
○フリオ・アルセ
×ダニエル・サントス
判定3-0(30-27/30-27/29-28)
※アルセは計量0.5ポンドオーバー。サントスにファイトマネーの20%を譲渡