UNRIVALED 11.3 東京(レポ):新グラップリング大会で柔術の米倉大貴・福島聖也・須藤拓真が足関で快勝。水垣偉弥・清水清隆・石井逸人、ポイント差守り勝利
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
UNRIVALED 1(アンライバルド ワン)
2021年11月3日(水/祝) 東京都板橋区特設会場
レポート&写真:井原芳徳
UNRIVALED(アンライバルド)は打撃技無し・組み技オンリーのグラップリング大会。勝村周一朗代表のGROUNDSLAMと、岩本健汰ら強豪グラップラー・柔術家が多数在籍するIGLOOの共催で、昨年12月に試験大会が行われ、今年5月の初のアマ大会を経て、今回、初のプロ大会が開催された(午前からはアマ大会も開催)。昨年からのコロナ下で増えた、無観客・配信特化型の大会で、東京都内の撮影スタジオが会場に使われた。
初のプロ大会には元UFCランカーの水垣偉弥、元ONE&修斗環太平洋王者の朴光哲、元修斗世界王者の門脇英基、元パンクラス王者の清水清隆といったMMAで活躍した選手たちをはじめ、先日のRoad To ONEでも高いレスリング能力を発揮したロータス世田谷所属の河名マスト(レスリングU-23世界選手権2017優勝)といったMMA界の有望株も出場。柔術・グラップリングで活躍する選手では本間祐輔、米倉大貴らも参戦し、いわゆるUWFスタイルのプロレス団体・GLEAT所属の飯塚優も出場と、多彩な顔ぶれとなった。
試合は15分一本勝負。レスリング、柔道、サンボ、ブラジリアン柔術など、多様な組み技格闘技がイーブンになるルールを追及し、スタンドでの攻防を重視している。テイクダウン・マウント・サイドポジション・バックマウント・スイープはいずれも2点で、押さえこまれた状態から脱出すれば1点が入る。引き込みはマイナス2点。関節技や絞め技でのタップやレフェリーストップだけでなく、投げ技で背中から着地した場合も一本となる。(詳細は公式サイト参照)
柔術に近いポイント形式だが、柔術のように不十分なポジションキープや、サブミッションで追い詰めた場合に入る「アドバンテージ」の制度は無い。
プロ全12試合が行われたが、柔術家は、引き込みの失点覚悟で、寝技で先手を取ってのサブミッションでの一本勝ちに賭ける選手が多く、多様で高度な技でも見る者を驚かせた。
対照的にMMA選手はサブミッションの防御を続け、スタンド勝負やトップキープにこだわり、テイクダウンや相手の引き込みのマイナスポイント分の点差を守って、時間切れまで逃げ切る選手が多かった。一本勝ちのような華やかさは無いが、普段のMMAでのファイトスタイルを5分3Rと同じ15分間貫いても、結果的に「勝ち」につながる可能性が高い。その点は斬新であり、また、好き嫌いが分かれるだろう。
第12試合 フェザー級(65.8kg) 15分
×門脇英基(URUSHI DOJO/元修斗世界フェザー級王者)
○米倉大貴(IGLOO/ZSTグラップリング60kgトーナメント2020優勝、JBJJF全日本ノーギ選手権2021エキスパート・ライトフェザー級優勝)
4’11” ヒールフック
ZSTグラップリングでも圧倒的な強さを見せつけた米倉が、45歳のベテラン・門脇を終始寝技で攻め続ける試合に。
開始すぐから米倉は足元に飛びついて足関を狙う展開を繰り返すが、門脇は転がって防御を続ける。米倉は引き込みによる-2点が2度入る。しかしグラウンドで主導権を握り、バックを取り2点取返し-2点に戻すと、最後はヒールフックを極めタップを奪った。
米倉は「門脇選手の防御が上手くて、内ヒールを防御されたので、最後は外ヒールを極めました。今回は重い階級だったので、適正体重でやりたいです」とコメントした、
第11試合 フェザー級(65.8kg) 15分
○水垣偉弥(Belva/元UFCバンタム級5位、元ケージフォース同級王者)
×本間祐輔(パラエストラ札幌/柔術世界選手権黒帯ルースター級2008・2009準優勝・2011 3位、世界ノーギ選手権2015黒帯ルースター級準優勝)
ポイント2対0
お互いタックルでテイクダウンを狙い、3分に水垣がタックルでテイクダウンを奪い2点を取る。ハーフで押さえ、パスガードを狙うが、本間は防御を続ける。中盤過ぎ、いったん水垣が立つが、すぐ上に戻る。水垣は執拗にパスを狙うが、防御され膠着したまま終了。結局テイクダウン差で水垣が勝利した。
第10試合 道着ルール フェザー級(65.8kg) 15分
○野村優眞(PATO STUDIO/JBJJF全日本柔術選手権2021茶帯ライトフェザー優勝)
×宮川太暉(フリー/柔道全日本ジュニア体重別2012男子55kg級優勝)
9’45” すくい投げ
柔道式の高い構えの宮川に対し、低い構えの野村が胴タックルを仕掛けて倒し2点を奪取。さらにマウントで2点を奪うが、場外に出てブレイクがかかる。宮川が投げを狙うが、野村は耐えて逆に倒して上になり2点を加える。さらにハーフからマウントに移り2点を加算。スイープ等でもポイントを重ね中盤時点で12-0と大差をつける。宮川は足を掛けて倒しで2点を奪い返すが、野村は背中からは着地せず一本にはならない。すると同じように宮川が再び足を掛けて投げを狙うと、野村はそのまま押し倒し、背中から着地させて一本勝ちとなった。テイクダウンによる一本勝ちは野村1人だけだった。
第9試合 道着ルール ウェルター級(77.1kg) 15分
×萩原匡平(ストライプル取手/全日本サンボ選手権2021 71kg級優勝)
○福島聖也(CARPE DIEM ASHIYA/JBJJF全日本柔術選手権2021紫帯ライト級優勝)
1’48” ブルドッグニーバー
福島が開始すぐに引き込んで-2点となるが、すぐにスイープして2点を獲得し、ポイント0に戻す。これで上になることに成功すると、ハーフガードで相手の足を両足で挟んで、腹固めの要領で膝を極めタップを奪った。最近は萩原京平の寝技トレーナーとしても知られる岩崎正寛CARPE DIEM ASHIYA代表直伝の「ブルドッグニーバー」と呼ばれる技で、岩崎のYouTubeでも紹介されている。
https://www.youtube.com/watch?v=IJCvjtyorIY
第8試合 71.5kg契約 15分
○樋口翔己(パラエストラ八王子/JBJJF全日本ノーギ選手権2016・2018アダルトエキスパートライト級優勝、2021無差別級3位)
×小谷直之(ロデオスタイル/元ZSTライト級王者)
14’35” 腕ひしぎ十字固め
序盤から小谷がテイクダウン2点を2度繰り返し奪取。樋口はさほど逆らわず倒れて4点差をつけられるが、下からの勝負を望んでいる様子だ。中盤、小谷は引き込んでギロチンを仕掛けるが極まらず。樋口のテイクダウン2点が入る形に。ここから長時間、小谷が下で足をクロスしたまま膠着が続く。終盤、スタンドに戻り、小谷がテイクダウンで2点を入れるが、樋口がスイープで2点を取って4-6で追い上げる。すると樋口は動きを上げてスパートをかけ、最後に隙を突いて腕十字を極めてタップを奪った。
樋口は今後戦いたい相手について「またMMA系の人とやりたいですね。レスリング苦手なんで、そういう人と勝負できるようになりたいです」と話した。
第7試合 ライト級(70.3kg) 15分
○須藤拓真(X-TREAM EBINA/JBJJF全日本ノーギ選手権2021エキスパート・フェザー級優勝、JBJJF全日本柔術選手権2021紫帯フェザー級3位)
×北田俊亮(TRIBE TOKYO MMA NORTH)
3’52” ヒールフック
開始すぐから須藤が引き込んで-2点。座った状態から足関を繰り返し狙う。すると須藤は北田の左足を足4の字でガッチリ捕獲してから、ヒールフックを極めてタップを奪った。
第6試合 フェザー級(65.8kg) 15分
○清水清隆(TRIBE TOKYO MMA/元パンクラス・フライ級王者、全日本サンボ選手権2011 57kg級優勝)
×竹浦正起(CARPE DIEM MITA/JBJJF全日本柔術選手権2021黒帯ライトフェザー級3位)
ポイント0対-2
竹浦は開始すぐに座って-2点となりつつも徹底してグラウンド勝負を望む。清水が立っても座ったまま追いかける。中盤、背後に回り裸絞めを狙うが清水は脱出する。その後も清水は寝技に付き合わず、膠着状態に陥る。竹浦が寝転んで大の字になって挑発する場面も。終盤、おそらくバッティングで清水が右まぶたを切りドクターチェックが入るが再開。清水が竹浦のガードの中に入り、最後は竹浦が三角絞めを狙うが極まらず終了。結局、清水が相手の失点で勝利する形となった。
第5試合 71.5kg契約 15分
×朴 光哲(フリー/元ONE&修斗環太平洋ライト級王者)
○坂本将典(SKレスリングアカデミー/レスリング世界ベテランズ選手権2019フリースタイル70kg級優勝)
ポイント-6対8
レスリングベースの坂本が序盤から再三崩して倒し2ポイントを繰り返し奪取し、8-0に差を広げる。中盤以降、朴は引き込んで三角絞めを繰り返し狙うが失敗が続く。-2点が3回入ることに。点差は14。両者の勝ちの狙い方の違いが如実に出る内容となり、極めさせなかった坂本が勝利した。
第4試合 ライト級(70.3kg) 15分
○河名マスト(ロータス世田谷/レスリングU-23世界選手権2017優勝)
×村山大介(マスタージャパン/マニラインターナショナルGi/No-Gi 2019フェザー級優勝)
ポイント2対-2
村山から序盤から引き込み-2点。スタンドに戻り、村山はタックルからのテイクダウンを狙い続けるがポイントにはならない。上になった河名はパスガードを狙うが、村山は対処し下から仕掛けを続ける。終盤、河名がバックマウントで2点を取って突き放し勝利した。
第3試合 ウェルター級(77.1kg) 15分
×飯塚 優(GLEAT/CHAKURIKIグラップリングウェルター級トーナメント2020準優勝)
○小林潤矢(パラエストラ八王子/JBJJF全日本ノーギ選手権2018アドバンス無差別2位)
10’32” 変則浮固め
第2試合 フライ級(56.7kg) 15分
×山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We/パンクラス・ストロー級3位、レスリング国体2018フリー57kg級準優勝)
○吉永 力(TRI-FORCE BJJ/IBJJFアジア柔術選手権2019茶帯ルースター級優勝、JBJJF全日本柔術選手権同級優勝)
ヒールフック
第1試合 フェザー級(65.8kg) 15分
×寒河江寿泰(今成柔術/ZSTグラップリング65kgトーナメント2020準優勝)
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/修斗世界バンタム級6位、修斗インフィニティリーグ2020同級優勝)
ポイント-2対1
寒河江が引き込んでマイナスポイントとなるも腕十字、三角を執拗に狙って石井を追い詰める。石井は押さえこまれた状態から脱出し1点を奪う。石井はタックルを繰り返すが場外に出続ける。石井は寝技での防戦が目立ったものの、相手のマイナスポイントに救われ勝利した。