K-1 9.20 横浜アリーナ(レポ1/2):「今日、怪物だったですよね?」野杁正明、安保瑠輝也らを3連続KOしウェルター級王者に
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K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~よこはまつり~
2021年9月20日(月/祝) 横浜アリーナ
レポート&写真:井原芳徳
※ワンマッチは別記事でお伝えします。
K-1 WORLD GP第2代ウェルター級(67.5kg)王座決定トーナメント、野杁と瑠輝也が圧巻の勝ち上がりで決勝へ
昨年に続き今年も開催される「よこはまつり」と銘打たれた横浜大会。久保優太が返上したウェルター級王座を懸けた8選手参加のトーナメントが大会の主軸となった。コロナ禍の影響で海外から選手が招へいできず、日本在住選手のみの参加で、本命・野杁正明、対抗・安保瑠輝也と予想されていたが、両者が期待通りのファイトを繰り広げる。
第1試合 一回戦(1) 3分3R(延長1R)
×小嶋瑠久(PURGE TOKYO)
○寧仁太・アリ(ガーナ/K-1ジム総本部チームペガサス)
判定0-3 (西村29-30/梅木28-30/太田28-30)
小嶋はプロデビュー後、ウェルター級で5連勝した時期もあったが、2年前からスーパー・ライト級で戦っていた。PURGE TOKYOに移籍して初戦の4月のKrushでは斉藤雄太にKO勝ちし、ウェルター級に戻してトーナメントに上がる。
対するアリはガーナ人の父と日本人の母を持ち、19年にプロデビューし、今年6月に元Krushウェルター級王者の山際和希に勝利しプロ5戦5勝(4KO)で、トーナメントのダークホースとして期待される。
1R、アリが中盤、右ストレートでひるませ、全般に手数多く攻める。小嶋もボディやジャブからのワンツーで右フックを度々当て、スリリングな状況を作り続ける。記者採点はアリ。
2Rもアリが左の顔面狙いの膝蹴りで小嶋をひるませる。小嶋も後ろ上段回転蹴り、右ローを多用し、引かないファイトを繰り広げるが、アリは崩れない。記者採点はアリ。
3R、アリは右フックや左膝を度々当てる。小嶋は耐え、右ローを効かせ、終盤には右ストレートを当てアリを下がらせ好印象を残すが、アリは最後は持ち直し終了する。記者採点はイーブン。合計28-30でアリ。アリが3者から支持され準決勝に進んだ。敗れた小嶋も本来階級が下ながら、多様な技と激闘で好印象を残した。
第2試合 一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者、元Krushウェルター級王者、元WBCムエタイ日本スーパーライト級王者)
×FUMIYA(ポゴナ・クラブジム)
1R 2’12” KO (2ダウン:右ストレート)
野杁は17年にゲーオを破り第2代スーパー・ライト級王者となり、1度防衛すると18年夏からウェルター級に階級アップ。19年3月にジョーダン・ピケオーに負けたが、以降はヴィトー・トファネリ、プライチュンポンら外国人相手に5連勝し、安定した強さを見せつけている。
FUMIYAは16戦8勝(8KO)8敗で勝った試合は全てKO勝ち。6月のKrushで絢太に1R KO勝ちし、8月29日のビッグバンでは元Krushウェルター級王者・山際和希を1R KOしたばかりだ。元々リザーブファイトにエントリーしていたが、加藤虎於奈が新型コロナウイルスの影響で欠場したため、FUMIYAが本戦に繰り上がった。
1R、開始すぐに野杁が右フックでFUMIYAをひるませる。FUMIYAはバックブロー、バックスピンを多用するが、野杁はブロック。野杁はFUMIYAをロープに詰め、右膝蹴りを空振りした後、離れたところから伸びのある左ストレートを当ててダウンを奪う。FUMIYAは足に来ており、野杁がコーナーに詰めてパンチを連打し、最後は右フックでマットに沈めると、首を掻っ切るポーズで勝ち誇った。
第3試合 一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○安保瑠輝也(CLUB es/team ALL-WIN/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者)※team ALL-WINから所属表記変更
×アラン・ソアレス(ブラジル/ブラジリアンタイ/FIGHT DRAGON&GOLD RUSH -67kg王者)
1R 0’31” KO (2ダウン:左フック)
瑠輝也は19年6月にゲーオ・ウィラサクレックに勝利しスーパー・ライト級王者となり、同年末の再戦でも勝利し初防衛。昨年9月、3度目の防衛戦で山崎秀晃に1R KO負けする。今年からウェルター級に階級を上げて再始動すると、7月17日の福岡大会で幸輝に1R KO勝ちした。
対するソアレスはK-1 JAPAN GROUP初参戦の32歳でキック戦績16戦13勝(4KO)3敗。ダニロ・ザノリニ率いるブラジリアンタイに所属し、パンチを得意とする。最近では7月11日のホーストカップで康輝と70kg契約で対戦し3R TKO勝ちしている。
試合は安保が圧倒。1R、開始すぐ、安保が得意とする二段蹴りで左ハイをクリーンヒットしダウンを奪う。ソアレスは立つがダメージが大きく、安保が左ミドルと左フックを軽く連打しただけでソアレスは再びダウンし終了。安保が無傷で準決勝に進んだ。
第4試合 一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/Krushウェルター級王者)
×マキ・ドゥワンソンポン(タイ/真樹ジムAICHI)
2R 3’00” KO (2ダウン:パンチ連打)
松岡は19年8月に魁成に敗れた後、昨年11月に復帰し、4月のKrushで虎於奈に勝利しKrushウェルター級王座を奪取。対するドゥワンソンポンは3月の東京ガーデンシアター大会でK-1に初参戦し、近藤魁成に敗れている。なお、近藤はその試合で痛めた拳が完治せず、今回のトーナメントにエントリーしなかった。
1R、お互い見合う時間は長いが、その中で松岡が右ミドル、右ストレートなどをまとめてやや好印象。ドゥワンソンポンも随所で左右のミドルを返す。記者採点はイーブンだが松岡でも不思議ではない。
2R、ミドルの応酬が続くが、松岡が右アッパー、左ジャブを効かせると、右膝、右ハイで追い詰めてから、ロープに詰めてのパンチの連打でダウンを奪う。最後もパンチを打ち続け、終了ゴングと同時に棒立ちにさせたところでレフェリーがストップ。松岡のKO勝ちとなった。
リザーブファイト 3分3R(延長1R)
×ダルビッシュ黒木[くろぎ](KING EXCEED/2018年RISE WEST -63kg 九州最強決定トーナメント~Road to RIZIN~優勝)
○大久和輝[だいく かずき](チーム上光) ※伊原道場本部から所属変更
1R 2’45” KO (2ダウン:右フック)
第12試合 準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×寧仁太・アリ(ガーナ/K-1ジム総本部チームペガサス)
○野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者、元Krushウェルター級王者、元WBCムエタイ日本スーパーライト級王者)
1R 1’32” KO (2ダウン:左ボディフック)
1R、ローの応酬の後、野杁が左の三日月蹴りを強打すると、アリの動きが止まり、野杁が左ボディ、左フックの連打でダウンを奪取。アリは立ち上がるがダメージが大きく、野杁が左ボディ、左フックの連打で再びダウンを奪い、今回もあっさりと試合を終わらせた。
笑顔でリングを降りた野杁は、中継席の魔裟斗氏に「今回優勝しますからね」と伝えて退場した。
第13試合 準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○安保瑠輝也(CLUB es/team ALL-WIN/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者)
×松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/Krushウェルター級王者)
3R 2’37” KO (2ダウン:左ボディフック)
1R、安保が序盤から左ミドルを強打するが、松岡も右ミドルをお返し。安保は右フックを空振りする場面もあったが、中盤、左ジャブからの右の打ち下ろすストレートでダウンを奪う。だが松岡もその後は右ミドルを返し持ち直す。記者採点は10-8で安保。
2R、安保は時折右ストレートを当てるが、空振りも多い。松岡も圧をかけ続け、時折パンチが交錯する場面で場内を沸かせ、時折右ミドルを返す。記者採点はイーブン。
3Rも松岡が右ミドルをヒット。安保は右ストレート、ローを時折当てるものの、松岡が圧をかけ続け、なかなか流れがつかめない。だが中盤、ノーモーションで左フックをクリーンヒットしひるませると、再び左フックを当ててダウンを奪取。最後は左ボディで松岡をマットに沈め、野杁に待つ決勝に進んだ。
野杁、右カーフ、左ボディ、三日月で瑠輝也を料理「今日、怪物だったですよね?魔裟斗さん」
第21試合 決勝 3分3R(延長1R)
○野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者、元Krushウェルター級王者、元WBCムエタイ日本スーパーライト級王者)
×安保瑠輝也(CLUB es/team ALL-WIN/元K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)王者)
3R 2’51” KO (3ダウン:左ミドルキック)
※野杁が優勝。ウェルター級王者に
決勝は下馬評通りの組み合わせとなったが、キャリアで勝る野杁が数枚上のファイトを展開することに。1R、野杁は圧をかけ続け執拗に右のロー、カーフキックをヒット。瑠輝也は回りつつ、左サイドキック、右飛び膝、左ボディと右ストレートの連打、バックスピンキック等多様な技を返す。
2Rも野杁は前に出続け、瑠輝也は右の飛び膝、二段蹴りの左ハイを放つ。野杁は少し強打をもらう場面もあるが、多くはギリギリでブロックしたりかわしたりする。野杁は執拗に右のカーフを当てると、瑠輝也は少し嫌がるものの、まだひるまない。
3R、瑠輝也は胴廻し回転蹴りを出すが、ブロックした野杁は上から見下ろし挑発。瑠輝也は左前蹴り、右飛び膝を出すが、野杁はこれもブロックしたり外し続け、圧をかけ続ける。すると中盤、右のカーフキックが効き目を発揮し、瑠輝也はサウスポーにスイッチするように。
野杁はこのチャンスを逃さず距離を縮めるとパンチを増やし倒しにかかる。打ち合いで少し被弾するも、コーナーに詰め、左ボディフックをクリーンヒット。瑠輝也はついに崩れ落ちダウンする。瑠輝也は立ち上がるがダメージが大きく、野杁が左の三日月蹴りで再びダウンを奪取。決勝は3ダウン制のため続行するが、瑠輝也は立ったものの既に限界。最後も野杁が左の三日月でダウンを奪って見事フィニッシュ。うずくまる瑠輝也を野杁は見下ろしながら吠えて勝ち誇った。
見事優勝とK-1 2階級制覇を果たした野杁は「僕以外7選手がいたからこそトーナメントが開催できました。ありがとうございます。外国人がいない中で勝っても世界一と言えないかもしれませんが、世界のトップの力を持ってる瑠輝也と僕で決勝ができて良かったです。瑠輝也はここから強くなって必ず這い上がって来ると思いますが、何回やっても甘くないと思わせる内容で勝ちます。いずれ世界の強豪選手と防衛戦をやりたいです」とマイクでコメント。さらに「今日、怪物だったですよね?魔裟斗さん」と中継席の魔裟斗氏に呼びかけると、魔裟斗氏は「怪物だったよ」と笑顔で答えた。最後は家族を呼び込み記念撮影を行った。
なお、野杁は足の黒いテーピングについて「筋断裂してしまって。今月頭に医者から間に合わないと言われて。歩けなくて練習できなかったです。あと2割ぐらい切れていたらダメでした。走れるようになったのは1週間ぐらい前です。試合でも瑠輝也戦の2R目か3R目に痛んで、パンチに力が入らなくなりました」と明かしている。
K-1 9.20 横浜アリーナ(レポ2/2):石井慧、初のK-1は延長判定勝ち。カリミアンは京太郎から白星。武尊頂点のSフェザーは芦澤竜誠、村越優汰、朝久裕貴が勝利