パンクラス 10.25 新木場スタジオコースト:元修斗世界王者・松本光史、元DEEP王者・上迫博仁との打撃戦制し判定勝ち。現パンクラス王者・久米鷹介に「待ってろ」
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2020年10月25日(日)東京・新木場スタジオコースト
レポート&写真:井原芳徳
パンクラスは8月23日のスタジオコースト大会を、大会当日の新型コロナウイルスの抗原検査で陽性の選手がいたことから開催直前に中止。6日後、その選手のPCR検査は陰性で、感染の可能性が低かったことを発表したが、9月27日の大会は万全を期すため、無観客で開催された。今回から観客を入れての開催を再開した。
ただし試合体重に関しては前回同様、コロナの感染リスク軽減のため、通常の1階級上のリミットとなり、計量も前日ではなく当日に行われた。
第10試合 メインイベント ライト級 5分3R
×上迫博仁(チームクラウド/和術慧舟會HEARTS/元DEEPフェザー級王者)
○松本光史(M PLATIC/元修斗ライト級世界王者)
判定0-3 (山崎28-29/大藪28-29/梅木28-29)
昨年RIZINに参戦した上迫は、年末のベラトールさいたま大会で矢地祐介にTKO負けして以来の試合。
松本は18年5月にRIZINでダロン・クルックシャンクに一本負け。昨年10月にONE Championshipでパンクラス王者の久米鷹介に敗れると、打倒・久米を目指し2月にパンクラス参戦を表明した。
両者ともパンクラスではノーランカーだが、RIZINやONEの大舞台も経験した元王者。コロナの影響で2人とも試合が延び続けたものの、結果的にタイトルマッチやRIZINやONEに引けを取らない重要な試合が舞い込み、パンクラスのメインにふさわしい好勝負を繰り広げる。
1Rは終始スタンドの攻防。上迫は時折サウスポーにも切り替えつつ、細かくステップして、距離を取り、右ストレート、左ジャブをヒット。松本も左ボディストレート、右ローを返す。終盤、上迫は右のカーフキックもヒット。ヒット数は大差の無い接戦で、ジャッジは3者とも上迫を支持する。
2Rもスタンドの攻防で接戦が続く。上迫の右のカーフキックで松本の足が流れるが、松本はすぐ持ち直し、カーフキックをお返しすると、上迫の足も流れる。すると松本のパンチのヒットが増え、上迫は右まぶたを切り印象を悪くする。ジャッジ3者とも松本を支持し、ポイント合計は五分になる。
3Rもスタンドの打撃戦が続き、接戦が続く。中盤、パンチの打ち合いとなり、お互いヒットする。その後、松本が押し込み、タックルで倒しかける。上迫はテイクダウンを免れるが、鼻血を出し、防戦が続き、印象を悪くする。結局、3Rはジャッジ3者とも松本を支持し、松本の判定勝ちとなった。敗れたものの上迫も持ち味を見せ、最後までどっちに転ぶかわからない好勝負だった。
松本は「修斗のベルトを捨ててキングの首を狩りに来ました。待ってろ。試合が3回延びたのにオファーをくれたパンクラスに感謝します。これからパンクラスを盛り上げて行きます」とアピールした。
第9試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
○春日井 寒天 たけし(志村道場/4位、HEAT王者)
×TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We/9位)
判定2-1 (山崎29-28/梅木28-29/大藪29-28)
8月23日の大会が中止となり2カ月先にスライドされたカード。春日井は昨年10月大会で当時2位のアラン“ヒロ”ヤマニハに判定負けして以来の試合。TSUNEは18年7月以降、瀧澤謙太、金太郎、ヤマニハ相手に3連敗中。一気にランキング上位進出か、圏外落ちか、明暗差の大きい一戦が用意された。
1R、TSUNEがサウスポーで圧をかけ、春日井が回って距離を取り、お互いなかなか攻撃が出ない状態が続く。時折春日井が右インローを当て、終了間際、TSUNEがタックルで倒して上になるが、その先の攻めは無い。ジャッジは割れ1者がTSUNEを支持、2者が春日井を支持する。
2Rも春日井が右インローを執拗に当てるが、今度は中盤の段階でTSUNEがテイクダウンに成功する。トップキープの後、一旦立たれてからも押し込み続ける。だが最後、春日井がテイクダウンを奪い返すと、素早くバックを奪い、裸絞めを狙って好印象を残し、ポイントを取る。
3Rも同じように、TSUNEが中盤にテイクダウンに成功する。今度はトップキープを最後まで続けるが、その先の攻めでフィニッシュには近づけず終了。1ポイントを取り返すに留まり、春日井の勝利となった。
第8試合 フェザー級 5分3R
×田村一聖(KRAZY BEE/7位、元王者)
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&mosh)
2R 0’42” KO (右フック)
田村は昨年9月に杉山和史に1R KO勝ちして以来の試合。8月大会の試合が中止となり、アキラに相手が変わった。アキラは7月大会でISAOに判定負けして以来の試合。
1R、サウスポーのアキラに、田村が右ストレートを当ててひるませる。その後もパンチを振り回し、右ミドルを放つが、アキラは蹴り足をつかんで倒して上になる。中盤以降はアキラが金網に押さえ込んでトップをキープするが、その先には持ち込めない。
2R、田村の右のインローで、アキラは足が流れるが、すぐ詰めると左ストレートをヒット。田村がひるむと、右のフックを振って追いかける。耐えた田村も右フックで応戦しようとするが、アキラが右フックをカウンターでクリーンヒットし、田村がダウンするとすぐさまレフェリーがストップした。
第7試合 フェザー級 5分3R
×田中半蔵(FUN’S/8位)
○透暉鷹[ときたか](ISHITSUNA MMA/修斗2019年同級新人王)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
田中は昨年11月にコンバ王子に判定勝ちして以来の約1年ぶりの試合。7月大会で小森真誉に裸絞めで一本勝ちしている透暉鷹と対戦した。
1R、透暉鷹が中盤にタックルから押し込むと、テイクダウンを狙いつつ、腕十字や裸絞めのチャンスを再三伺う。終盤、田中がタックルで押し込むが、透暉鷹は耐える。
2Rも透暉鷹がグラウンドでバックコントロールして攻勢。中盤過ぎ、ようやく田中が脱出して上になるが、ここでもトップキープ以降の展開に持ち込めない。3Rも同様に透暉鷹が長時間バックキープして主導権を維持し完勝した。
第6試合 フェザー級 5分3R
×滝田J太郎(和術慧舟會/KINGCRAFT)
○Ryo(RINGS/元THE OUTSIDER 70-75kg王者)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
Ryoはパンクラス初参戦の35歳で、今回がプロデビュー戦。7月のパンクラスにリングスの前田日明代表と共に観戦に訪れていた。16年のTHE OUTSIDER 65-70kg級タイトルマッチで朝倉未来と対戦し、Ryoがギロチンを極め、主催者のタオル投入でTKO勝ちとなったが、その後ノーコンテンストに結果が変わった過去もある。今回のセコンドには前田氏がつく。
滝田は現在47歳のベテラン。08年にパンクラスでマルロン・サンドロと王座を争い判定負けし、11年には佐藤将光にも裸絞めで一本勝ちした実績もある。パンクラスには2年前に堀江圭功にTKO負けして以来の登場。今年2月のFighting NEXUSでは木村豊に判定勝ちしている
1Rは序盤からグラウンドの展開に。Ryoが先にギロチン、腕十字を狙うが、極まりは浅い。逆に滝田がRyoの腕を足で絡めながら、裸絞めを極め寸前まで持ち込み、好印象を残す。
2R、Ryoが果敢に腕十字などを狙うが、またも滝田がRyoの腕に足を絡め、裸絞めを狙う。これはRyoは対処して上をキープ。終盤には腕十字を狙い挽回し、ポイントを五分に戻す。
3R、滝田が足を掛けて倒そうとするが、逆にRyoが倒しサイドをキープ。Ryohaバックコントロールを続け、終盤はハーフで押さえ続け、滝田の反撃を封じ終了。3Rもポイントを取り、Ryoがパンクラスでのプロデビュー戦を白星で飾った。
勝利者インタビューでRyoは「今回お膳立ていただいたのに、こんな試合になってしまい、まだ弱いですけど、強くなって前田イズムを継承したいです」と話した。試合前にパンクラスの酒井正和代表から「パンクラス、甘くないよ」と言われていたことに対しては「パンクラスが世界標準と認められるよう、その意思に報いたいです」と返答した。
第5試合 バンタム級 5分3R
○平岡将英(KRAZY BEE/12位、2019年ネオブラッドトーナメント同級優勝)
×関原 翔(リバーサル東京スタンドアウト)
1R 1’07” TKO (ドクターストップ:右まぶたのカット)
1R、お互いパンチと蹴りを出し、まだ静かな展開だったが、パンチが交錯し、平岡の右ストレートがヒット。そのまま金網に押し込むと、関原は右まぶたをカットしており、最初のドクターチェックでストップがかかった。勝利者インタビューで平岡は「パンチで倒そうと思っていて、右ストレートでアゴを狙ったんですけど、切れたので良かったです」と話した。
第4試合 ウェルター級 5分3R
×近藤有己(パンクラスイズム横浜/元ミドル級・ライトヘビー級・無差別級王者)
○小林 裕(フリー)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
1R、小林が金網に押し込み、テイクダウンを狙い続け、首相撲から左肘をヒットするなど好印象を残す。離れると近藤も終盤に右フックを返す。2R、小林が押し込み、中盤には一度テイクダウンを奪い、左膝を当て主導権。だが近藤もパンチを当て、小林は鼻血を出す。3Rも小林が押し込むが、打撃戦主体に。近藤もパンチを当てるが、それまでの失点を埋められず、小林が判定勝ちした。
第3試合 ストロー級 5分3R
○宮澤雄大(K-PLACE/6位)
×井島裕彰(GUTSMAN/7位)
2R 0’47” TKO (レフェリーストップ:左ストレート)
1R、宮澤が上になるが、井島は下から足関を狙って対処。その後スタンドに戻るが、お互い攻撃が少ないまま終わる。2R、宮澤が序盤から右ストレートを効かせると、ひるんだ井島にパンチを連打し、最後は左ストレートでダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。
第2試合 バンタム級 5分3R
×神田T800周一(パラエストラ広島/2015年ネオブラッドトーナメント同級優勝)
○ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/ Fighting Nexus/ZSTバンタム級王者)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
神田は18年2月の林大陽戦以来約2年ぶりのパンクラス登場。ムラタとは15年3月のネオブラで対戦し、神田が判定勝ちしている。
1R、ムラタが金網際でオンブになり、そのままグラウンドに持ち込み、バックを取る場面もあったが、神田はスタンドに戻し、最後に左フックを強打して好印象を残す。ジャッジは割れ、2者はムラタ、1者は神田を支持する。2Rも同じようにムラタが攻める。何度か脱出を許すが、主導権を維持する。ジャッジはこのラウンドも2者がムラタ、1者が神田に。
3R、神田が序盤に左膝を顔面に当てるが、ムラタも左フックを当て返し、金網際で執拗に組み付く。終盤、神田もアームロックを狙うが極めきれず。3Rのポイントを取ったムラタが判定勝ちした。
第1試合 バンタム級 5分3R
○河村泰博(和術慧舟會AKZA)
×RYUKI(フリー/中国英雄伝説キック-60kg級2017年アジア王者)
1R 1’52” 三角絞め
キックボクサーのRYUKIはMMA初挑戦だったが、河村が序盤から飛びついて組み付き引き込むと、三角絞めを極めタップアウト。試合後のインタビューで「MMAなめんなと思った」と話し、ランカーとの対戦を熱望した。
【プレリミナリー】
第7試合 第26回ネオブラッドトーナメント バンタム級 準決勝 5分3R
×MG眞介(パラエストラ東大阪)
○井村 塁(Nexusense)
1R 3’33” アームロック
第6試合 第26回ネオブラッドトーナメント フライ級 準決勝 5分3R
○山中憲次(FREEDOM@OZ)
×前田浩平(GRABAKA)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第5試合 第26回ネオブラッドトーナメント フライ級 準決勝 5分3R
○聡-S DATE(Team DATE)
×梅川毒一郎(総合格闘技道場コブラ会)
2R 3’20” KO (バックハンドブロー)
第4試合 ミドル級 5分3R
○岩﨑大河(大道塾/パラエストラ東京/空道北斗旗全日本体力別選手権2017 2018優勝・無差別選手権2019準優勝)
×川和 真(禅道会 新宿道場)
1R 1’47” 裸絞め
第3試合 フライ級 5分3R
×赤崎清志朗(香取道場)
○橋本薫汰(K-PLACE)
1R 2’26” 裸絞め
第2試合 ストロー級 5分3R
○山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)
×大塚智貴(CAVE)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第1試合 女子ストロー級 5分3R
○華蓮DATE(Team DATE)
×青木文菜(リバーサルジム横浜グランドスラム/日本空手協会2014年少年世界空手道選手権大会女子形19歳~21歳2位)
1R 4’22” 裸絞め
今大会の本戦のメインイベントとセミファイナルでは、俳優の坂東工さんがリングアナウンサーを務めた。また、本戦終了後、2年前にパンクラスの会場で行われた合同コンパの企画で成立したカップルが結婚することになったという報告が、ケージの中で行われた。