パンクラス 10.20 新木場スタジオコースト:ISAO、アグオンとの接戦制しリベンジ&フェザー級王座防衛
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2019年10月20日(日)新木場スタジオコースト
レポート:井原芳徳
第7試合 パンクラス・フェザー級タイトルマッチ 5分5R
○ISAO(NEVER QUIT/王者、元ライト級王者)
×カイル・アグオン(米国/SPIKE 22/1位、元PXCバンタム級王者)
判定2-1 (大藪49-46/和田47-48/太田49-46)
※ISAOが2度目の防衛
アグオンはグアムのPXCでバンタム級王座を獲得するなどして活躍後、17年からパンクラスに参戦。同年8月の2戦目でISAOを的確なパンチで苦しめ、判定2-1で勝利している。4月大会での王座挑戦者決定戦でも判定2-1の僅差で中島太一に勝利した。その時点で暫定王者だったISAOは5月大会での王者・ナザレノ・マレガリエとの王座統一戦で判定勝ちし、正式な王者となり、ライト級との2階級制覇を達成した。
ISAOはマレガリエ戦から5カ月という比較的短いスパンでの防衛戦。10年上がり続けているパンクラスで黒星をつけられた相手は大石幸史とアグオンのみで、大石には敗れた2年後の12年4月のタイトルマッチでリベンジし、ISAOが初のベルトを獲得している。今回のリベンジ戦もベルト絡みで、今度は守る側。前回のアグオン戦の後、坂口道場からNEVER QUITに移籍しており、移籍後の進化を確かめる一戦となる。
1R、両者サウスポーに構え、右の前手でフェイントを掛け合い、隙を狙う。お互いロー、ミドル、前蹴り、ストレート等を少し当てるが、慎重な攻防が続く。3分半過ぎ、アグオンがISAOを金網に押し込むが、30秒ほどで離れる。打撃戦に戻っても差は乏しい。記者採点イーブン。1名がアグオン、2名がヒット数で少し上回ったISAOにつける。
2Rは序盤からアグオンが押し込み、1分足らずでISAOが突き放す。中盤、ISAOが片足タックルを仕掛けるが、アグオンは簡単に切る。打撃戦はISAOが圧をかける時間が続き、左ロー、右ミドルが当たり出すと、残り40秒にISAOが押し込む。アグオンはすぐ突き放すが、後手に回っている感が出てきた。記者採点はISAO。ジャッジ3名もISAO。
3RもISAOが中央から圧力をかける構図が続く。中盤、アグオンがタックルを仕掛けるが、ISAOは耐えて離れる。ISAOは押し込んでからの右フックも駆使。終盤には片足タックルを離してからの左ストレートもヒット。終盤にも押し込んで好印象を残す。記者採点はISAO。ジャッジ2者もISAOだが、1者は意外にもアグオンにつける。
4R、序盤のアグオンのタックルをISAOはがぶって耐えてから、背後に回り込む。アグオンは逃げて金網に押し込み、2分過ぎに離れる。中盤のパンチの打ち合いで、アグオンの右アッパーがヒット。ISAOはすぐ組み付いて金網に押し込む。3分半過ぎ、離れると、ISAOが右のバックハンドブローを当てる。終盤、ISAOが圧力をかけ、右インロー、左ボディを当てるが、アグオンも左ストレートを返す。記者採点もジャッジ3名も打撃戦で上回ったISAO。
5R、序盤からISAOが金網に押し込むが、1分ほどで梅木レフェリーが膠着ブレイク。劣勢のアグオンは圧力を強め、左ストレートのヒットを増やす。中盤、ISAOがタックルを仕掛けるが、アグオンは切って押し込む。数秒ISAOがマットに尻をつけ、すぐ立つが、押し込まれる状態が続く。残り30秒、ISAOが足を掛けて倒そうとするが、アグオンは耐え、再び押し込む。このラウンドはアグオンが取るが、逆転につなげる攻撃は出せない。
記者採点は合計49-47でISAO。和田良覚ジャッジのみ1Rと3Rにアグオンにつけ、アグオンの勝利としたが、他の2者はISAOを支持し、ISAOの判定勝ち、リベンジ成功、王座防衛となった。ISAOは勝ったが右目を腫らしており、アグオンのパンチ力の強さと激闘を物語っていた。
ISAOは「一回目も苦しい戦いで絶対こうなると思いました。たくさんの方に応援していただき、励みになりました。自分はキング・オブ・パンクラシストなので、絶対何がなんでも勝って防衛する気持ちで戦いました。まだまだどんどん上がっていくので応援お願いします。また見に来てください」とアピールした。なお、ISAOはファイトマネーのほかに、25万円の国際戦WINボーナスを獲得している。
第6試合 バンタム級 5分3R
○アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ブルテリア・ボンサイ/2位)
×春日井 寒天 たけし(志村道場/4位、HEAT王者)
判定3-0 (大藪29-28/和田29-28/太田29-28)
ヤマニハは7月大会でTSUNEにTKO勝ち。春日井は5月大会で福島秀和に判定勝ちした後、7月のHEATで赤尾セイジに裸絞めで勝利し、HEATバンタム級王者に返り咲いている。両者とも過去に名古屋で一緒に練習していた時代があるが、パンクラス同級王者・ハファエル・シウバに近づくには、仲間も蹴落とさないといけない。
1R、ヤマニハがカーフキックも織り交ぜつつローを当て、足を止めての打ち合いで左ストレートを当て、春日井をダウンさせる。ヤマニハは上になり、ハーフガードから首を抱えつつマウントへ。春日井がもがくとバックを取る。終盤、春日井が体をひねって上になるが、ヤマニハが密着して終える。記者採点もジャッジもヤマニハ。
2R、春日井が圧を強め右ハイ、左フックを当てる。中盤、ヤマニハがローを当ててから、圧をかけ返すと、打ち合いでの右ストレートでダウンを奪い、またも上に。終盤、ヤマニハがサイド、バックと移行し、裸絞めを極めかけるが、春日井は防御する。記者採点もジャッジもヤマニハ。
3R、後の無い春日井は前に詰め、タックルでテイクダウンを奪う。ヤマニハはハーフから鉄槌を連打するが、ヤマニハは脱出して立つと、組み付いて倒して上を取り返す。ヤマニハはまたもバックを奪うが、春日井は長時間許さず、体をひねって上になり、ガムシャラにパウンドを連打する。だが再びヤマニハは脱出する。終盤、春日井は必死にパンチを振り回し、上になるが、最後もヤマニハが上になって終える。記者採点は春日井。合計29-28でヤマニハ。ジャッジ3者も同様で、2Rまでを取ったヤマニハが逃げ切る形で勝利した。
第5試合 女子バンタム級 5分3R
×東 陽子(和術慧舟會AKZA/1位)
○タチアネ・フォンテス[Tatiane Fontes](ブラジル/ウォリアーズ・フォンテス)
判定1-2 (大藪28-29/和田29-28/太田28-29)
フォンテスは初来日の28歳でMMA 4戦3勝1敗。東は4連勝中で、今年は韓国勢相手に2連勝中。ブラジルの選手とは初対決。他の階級の女子同様、王座奪取に向けてブラジル勢との戦いは避けて通れない道となる。
1R、フォンテスは広いケージの中で回って距離を取りながらパンチをヒット。東が組んでくるが、フォンテスは耐え、逆にタックルで倒す。フォンテスが背後に回り、東はアームロックを狙いつつ、体をずらして上になる。立ち上がって東が足を掛けて倒すが、すぐフォンテスは立って押し込む。終盤にも東が腰投げを狙うものの、フォンテスが最後は上になって終える。記者採点もジャッジ3名もフォンテス。
2Rもフォンテスが東の圧力をかわす時間が続く。お互いあまり攻撃が出なかったが、3分過ぎ、東の右ミドルと右のボディ狙いの前蹴りが連続で当たると、フォンテスがスリップし、東が上になる。東が攻めあぐねると、フォンテスが膝十字を狙って反撃する、東は防御し、パウンドを時折当てて終える。記者採点もジャッジ3名も東。
五分で迎えたた3R、東が右の前蹴り、パンチの連打で攻め、組み付いて投げを狙う。だがフォンテスは潰し、カウンターでバックマウントを取ることに成功する。だがバランスを崩し、東は脱出する。以降はスタンドで東が前に出続けるが、パンチの空振りが多く、フォンテスが回りながらパンチを的確に当てる。僅差だが、記者採点はフォンテス。合計28-29でフォンテス。ジャッジは3Rが割れたが、フォンテスが2票を獲得し判定勝ち。東の連勝が4でストップした。
第4試合 女子フライ級 5分3R
○ライカ(RIGHT THING ACADEMY/3位)
×アニー・カロリネ[Anne Karoline](ブラジル/ナジャ・ファイトチーム)
判定2-1 (荒牧29-28/和田28-29/太田29-28)
ライカは4戦連続でブラジルの選手との対戦。カロリネは初来日の27歳で、TapologyのデータによるとMMAプロ戦績は6勝7敗。ブラジリアン柔術の茶帯を持つ。
1R、1分過ぎからライカが金網にカロリネを押し込む。だが離れると、カロリネがパンチの連打からタックルで倒して、金網に押さえつける形で上になる。カロリネが右のパウンドを連打すると、隙を突いてライカが脱出する。だがすぐカロリネは倒し、素早くバックに回り込み、裸絞めを狙い続けて終える。記者採点もジャッジもカロリネ。
2R、ライカは開始すぐに左ジャブを当てて、そのまま押し倒してトップをキープする。ライカがパウンドを時折落とすが、与えるダメージは小さい。カロリネは隙を突いて下から執拗に腕十字、三角絞めを仕掛け続ける。ライカは防御の時間が長くなる。残り20秒、ライカがパスガードし、サイドで押さえるが、パウンドは打てずに終える。ジャッジ3者ともライカ。記者採点はカロリネ。パンクラスルールの判定基準にある「試合の決着に向かう重いインパクト」ではカロリネのサブミッションが上と判断した。
3Rはスタンド勝負が続き、お互いパンチを振るう。ライカが圧力をかけ、ボディから顔面につなぐパンチを度々当てて主導権を握る。終盤の打ち合いでカロリネも返すが、ライカは前に出続ける。記者採点はライカ。合計28-29でカロリネ。ジャッジは3Rが意外にも割れ、記者採点とは違う観点で割れることになったが、2者がライカを支持し、ライカの勝利となった。なお、ライカはファイトマネーのほかに、5万円の国際戦WINボーナスを獲得している。
第3試合 ウェルター級 5分3R
○三浦広光(SAMURAI SWORD/RINGS/元王者(第10代))
×レッツ豪太(総合格闘技道場コブラ会/元王者(第7代)、GLADIATOR王者)
1R 1’08” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
三浦は17年7月に阿部大治にTKO負けして王座陥落して以来の参戦で、6月の暫定王者決定戦で手塚裕之と戦う予定だったが、靭帯損傷により欠場し、高木が代役出場していた。現在38歳。
レッツは15年10月に鈴木槙吾に裸絞めで一本負けして以来のパンクラス参戦。以降は地元大阪のGLADIATORの常連選手として活躍し、タイトルも獲得。試合は昨年12月のGRACHANとGLADIATORの東京での合同興行でルクク・ダリに判定負けして以来となる。今回はGLADIATORのベルトを肩にかけて入場する。
1R、レッツがサウスポーに構え、三浦はオーソドックスで左ジャブを突いてじわじわ圧力をかける。すると三浦は右ストレートを放ってから近づいて左手でクリンチしつつ、さらに右のショートフックを当てると、レッツはダウン。三浦がレッツを金網に押さえ込んでのパウンドラッシュで一気にフィニッシュ。プロボクシング仕込みのパンチの破壊力の健在ぶりを示した。勝利者インタビューで三浦は「もう一回ベルト取りますんで、酒井代表、タイトルマッチを組んでください」と、手塚の持つ王座挑戦を希望した。
第2試合 ウェルター級 5分3R
×高木健太(リバーサルジム川口REDIPS/4位)
○アレキサンダー・ラカス[Aleksandar Rakas](クロアチア/クロコップ・チーム/AFSO・KFN・CFC世界王者)
2R 2’02” 裸絞め
ラカスはミルコ・クロコップ率いるクロコップ・チームを練習拠点とする石井慧推薦で初来日する29歳で、身長180cm。MMA戦績15勝(8KO)7敗で、AFSO、KFN、CFCという大会のウェルター級王座を獲得している。Tapologyのデータによると3連勝中だ。ミルコと同じデュラン・デュランの「The Wild Boys」で入場する。
1R、両者サウスポーに構え、慎重に隙を伺う。ラカスが左ローを当て続けていると、中盤、高木が左フックを合わせ、ラカスをスリップさせると、パンチとパウンドのラッシュで追い詰める。高木はスタンド勝負に自ら戻すと、終盤にも左フックでラカスをダウンさせる。
だが2R1分過ぎ、ラカスの左ハイが炸裂すると、高木がふらつき、ラカスはタックルで倒す。素早くバックに回り込むと裸絞めを極めタップを奪った。
第1試合 ライト級 3分3R
×阿部右京(OOTA DOJO)
○平 信一(綱島柔術/元ZST王者)
判定0-3 (荒牧27-29/和田28-29/大藪28-29)
【プレリミナリーファイト】
第4試合 バンタム級 3分3R
×井関 遼(GRABAKA)
○諏訪部哲平(和術慧舟會駿河道場)
判定1-2 (荒牧29-28/和田28-29/大藪27-30)
第3試合 バンタム級 3分3R
○聖王DATE(Team DATE)
×藤井 徹(RBアカデミー)
判定3-0 (荒牧30-27/太田29-28/大藪29-28)
第2試合 フライ級 3分3R
○竜己(KRAZY BEE)※岡野竜己 改め
×中嶋悠真(マッハ道場)
判定3-0 (荒牧30-27/太田29-28/大藪29-28)
第1試合 ストロー級 3分3R
○立花恵介(スーパータイガージム田中塾)
×大城正也(T-REX JIUJITSU ACADEMY)
2R 1’33” KO (スタンドパンチ)
※立花が最終計量53.6kgでストロー級(52.2kg)+1ポンド(450g)=52.65kgのリミットをオーバー。大城が承諾し、53.6kgのキャッチウェイトで試合成立