UFC 4.7 ニューヨーク:ハビブ・ヌルマゴメドフ、26戦全勝で悲願のUFCライト級王者に。「アイアキンタこそが本物のギャングスターだ」。ナマユナス、ヨアンナを返り討ち
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UFC 223: Khabib vs. Iaquinta
2018年4月7日(土/現地時間) 米国ニューヨーク州ブルックリン・バークレイズセンター
レポート:井原芳徳
中継:UFC.TV、FOXスポーツ&エンターテイメント 4/14(土)22時~
第9試合 メインイベント UFCライト級王座決定戦 5分5R
○ハビブ・ヌルマゴメドフ(2位)
×アル・アイアキンタ(11位)
判定3-0 (50-44/50-44/50-43)
※ヌルマゴメドフが王者に
元々、コナー・マクレガーからはく奪される同王座を賭け、トニー・ファーガソン(暫定王者・1位)とヌルマゴメドフで王座決定戦を行う予定だったが、ファーガソンが膝の靭帯の断裂で欠場し、1日(現地時間)に1階級下の王者・マックス・ホロウェイの代役出場が発表されていた。しかしホロウェイも前日計量直前に体調不良でドクターストップ。代わって同大会に出場予定だったアイアキンタがヌルマゴメドフと対戦することになった。
UFCではタイトルマッチでは階級リミットジャストまで体重を落とさないとけないが、通常の試合では1ポンド(450g)までの体重超過が認められている。アイアキンタも計量で0.2ポンドオーバーしているため、ヌルマゴメドフが勝った場合のみ新王者として認められる。
今大会前の5日にはマクレガーによる選手乗車バス襲撃事件が起こり、選手の怪我等により3試合が消滅。アイアキンタのメインへの繰り上げでポール・フェルダーの試合も消え、全部で4試合が直前に無くなる異例の興行となる。
ヌルマゴメドフはコンバットサンボ、レスリングをベースとし、08年にMMAデビューし、25戦全勝。12年からUFCでも9連勝の快進撃を続け、チアゴ・タバレス、パット・ヒーリー、ハファエル・ドス・アンジョス、エジソン・バルボーザらを撃破してきた。元々戦う予定だったファーガソンとはお互いの怪我と自身の減量失敗で、これまでにも3度試合が流れていた。
アイアキンタは今大会の地元ニューヨーク出身の30歳。12年のTUF 15決勝でキエーザに敗れたが、翌13年からUFCに上がり、ミッチ・クラークに敗れた以外はホルヘ・マスヴィダル、ケビン・リー、ディエゴ・サンチェスら相手に8勝し、現在5連勝中。試合は昨年4月にサンチェスに1R KO勝ちして以来となる。
1R、アイアキンタが腰を低めに構え、ノーステップでじわじわ圧力をかけてパンチを狙うが、ヌルマゴメドフは2度目の低空タックルでテイクダウンに成功。素早く動いてバックに回ろうとすると立たれるが、そのまましがみついて抱え上げて、グラウンドに戻す。アイアキンタは下からアームロックを狙うが、ヌルマゴメドフは難なく対処。四つん這いから立とうとするアイアキンタを右手で抱え、背後から制しつつ金網に押し込みながら、左のアッパーをコツコツと叩きこむ。その後も体勢が変わりながらもヌルマゴメドフがレスリング力の差を発揮してコントロールを続ける。記者採点は10-9でヌルマゴメドフ。
2Rもヌルマゴメドフが2度目の片足タックルからテイクダウンに成功。金網際でハーフ、バックからコントロールを続ける。中盤にはバックマウントでガッチリと捕獲してチョークを狙い、難しいとみるとすぐパウンドに切り替える。アイアキンタはもがくが、脱出できないまま終了。記者採点は10-8でヌルマゴメドフ。
Khabib flattens out Iaquinta and starts landing hard shots, but @AlIaquinta gets out of it and survives the round! #UFC223 pic.twitter.com/RdADBUetuN
— UFC (@ufc) 2018年4月8日
3R、アイアキンタはノーステップで前に出てパンチを狙うが、ヌルマゴメドフは左に回って左手のガードを下げながらジャブを当て続けると、アイアキンタは鼻血を出すように。その構図のまま時間は過ぎる。記者採点は10-9でヌルマゴメドフ。
4R、最初こそヌルマゴメドフはタックルを仕掛けるが、切られると打撃戦を続け、3R同様に左ジャブ主体に。2分過ぎのタックルに失敗すると、左ジャブの連打に戻る。アイアキンタは鼻血を出しながらも前に出続け、時折左ジャブや左右のフックをお返し。終盤には右フックでヌルマゴメドフがのけぞる場面も。3Rまでより接戦となり、ジャッジの評価は割れそうだが、記者採点は10-9でヒット数では上のヌルマゴメドフにつけた。
5Rもスタンドの打撃戦が続く中で、4R終盤の流れで、アイアキンタが細かくパンチを当て、場内から歓声が起こる。中盤、ヌルマゴメドフはタックルでのテイクダウンに失敗したが、そこからそのままパンチの手数を上げると、残ったエネルギーを使い切らんとばかりに前に出てテイクダウン。2Rまで同様に金網に押し込んでアイアキンタをコントロールし、バックマウントを奪い、チョークを狙う。ヌルマゴメドフはパウンドにも切り替えながら必死に一本を狙うが、アイアキンタは耐え抜き終了。ヌルマゴメドフは急なオファーで5R戦い抜いたアイアキンタに抱き着き、健闘を称える。
記者採点は10-9でヌルマゴメドフで、合計50-44でヌルマゴメドフ。ジャッジ2者も同じで、1者は50-43とつける大差で、ヌルマゴメドフが王座を獲得した。インタビューでは「11月にマジソンスクエアガーデンでジョルジュ・サン・ピエールとやりたい」と話し、「アイアキンタこそがブルックリンの本物のギャングスターだ。彼はチキンじゃない。彼はここに来て俺と戦った。コナーはバスと戦いたいのか?俺はギャングスターとやりたいんだ。30分の休憩をもらって水を少し飲めば誰とでもやる」と、マクレガーへの皮肉も忘れなかった。
– GSP fight in November
– Iaquinta's a real gangster
– Where's the chickenThat's a lot of information to digest, @TeamKhabib #UFC223 pic.twitter.com/N9wS1fpkJy
— UFC (@ufc) 2018年4月8日
第8試合 セミメインイベント UFC女子ストロー級タイトルマッチ 5分5R
○ローズ・ナマユナス(王者)
×ヨアンナ・イェンジェイチック(1位、元王者)
判定3-0 (49-46/49-46/49-46)
※ナマユナスが初防衛
両者は昨年11月のニューヨークMSG大会で対戦。ナマユナスがフェイントを駆使して、右フックでダウンを奪い、その後もパンチとパウンドで攻め続け1R TKO勝ちし、ヨアンナの6度目の防衛を阻止し、UFC 7戦目で王者となった。両者その後の試合を挟まず再戦となる。
1R、ヨアンナが前戦に比べて積極的に左ジャブを振り、細かくステップするが、ナマユナスは距離を取りながら左右に動いて的を絞らせず、時折スピードのある左のジャブを振りながら前に詰めて、真っ直ぐ下がってしまうヨアンナに右のパンチを叩き込み好印象を残す。終盤のパンチの打ち合いでも左のパンチを連打し、ヨアンナを少しふらつかせる。記者採点10-9でナマユナス。
2Rも同様な構図で、ナマユナスが随所で的確にパンチを当てて続けて好印象。ヨアンナも相打ちになりながらもパンチを当てるが、自分がぐらついてしまう。記者採点10-9でナマユナス。
Left hook from the champion lands. #UFC223 pic.twitter.com/WEL9RVRRa5
— UFC (@ufc) 2018年4月8日
3Rも基本的に同じ構図ではあるが、少しずつナマユナスの動きが落ちて来た印象。5R戦の経験が豊富なヨアンナが変わらないテンポで動き続け、右ストレート、左インローを随所で当て、終盤には左右の連打をまとめることに成功。記者採点9-10でヨアンナだが、評価が割れても不思議ではない程度の差だ。
4R、ヨアンナはいつものように声を出しながら、左のインローのヒットを増やしていくと、ナマユナスは左足を引きずるような動きに。パンチの打ち合いになっても力が入りきらず、終盤にはローをもらうと足が流れるように。記者採点は9-10でヨアンナでトータル五分に。
5R、序盤こそナマユナスが意を決したように前に出るが、ヨアンナは距離を取りつつ、左の前蹴り、左インローを返す。ナマユナスはひるまず前に出て、右アッパーを叩き込むと場内は沸き上がる。お互いパンチを交錯させ、均衡状態が続くが、残り25秒、ナマユナスが胴タックルから右足を引っかけてテイクダウンに成功。ヨアンナが尻立ちで金網まで下がりながら立とうと動き続け、ナマユナスが押さえ込んで試合を終える。記者採点は10-9でナマユナスで、トータル49-48でナマユナス。
ジャッジは3名とも49-46でナマユナス。ヨアンナが取ったのは4Rだけだったようだ。ナマユナスが返り討ちに成功したが、最後までわからない内容で、ヨアンナの執念も光る一戦だった。
第7試合 フェザー級 5分3R
○ヘナート・モイカノ [Renato Moicano](9位)
×カルヴィン・ケーター(13位)
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)
第6試合 フェザー級 5分3R
○ザビット・マゴメドシャリポフ [Zabit Magomedsharipov]
×カイル・ボフニャク [Kyle Bochniak]
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)
第5試合 ライト級 5分3R
×ジョー・ローゾン
○クリス・グリッツマーカー [Chris Gruetzemacher]
2R 5’00” TKO (コーナーストップ:右肘打ちによる右まぶたのカット)
第4試合 女子ストロー級 5分3R
○カロリーナ・コバルケビッチ(4位)
×フェリス・ヘリッグ(8位)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
第3試合 ライト級 5分3R
×エヴァン・ダナム(14位)
○オリビエ・オービンメルシエ [Olivier Aubin-Mercier]
1R 0’53” TKO
第2試合 女子ストロー級 5分3R
×ベック・ローリングス
○アシュリー・エヴァンスミス [Ashlee Evans-Smith]
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第1試合 ライトヘビー級 5分3R
○デビン・クラーク
×マイケル・ロドリゲス
判定3-0 (29-28/30-27/30-27)