ZST 3.15 GENスポーツパレス:ハンバーガーがモチベーション?岩本健汰、グラップリングトーナメントGTFで3連続一本勝ちし完全優勝
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マリオンアパレルPresents GTF.3 ~ZSTグラップリングトーナメント フェザー級王者決定戦~
2020年3月15日(日)東京GENスポーツパレス
レポート&写真:井原芳徳
3月15日のZST.68 横浜大さん橋ホール大会が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となり、この大会で予定されていた8選手によるグラップリング・フェザー級王座決定トーナメント「GTF.3」が、東京・大久保のGENスポーツパレスにて同日15時より無観客形式で開催された。大会の模様はライブ配信アプリ「17 Live(イチナナライブ)」にて生中継された。
大会名の「GTF.3」の「3」は「第3回」という意味で、04年の第1回では所英男、06年の第2回ではバレット・ヨシダが優勝、勝村周一朗が準優勝している。以降、GTFの名称自体はZSTのグラップリングルールの総称としても使われてきたが、過去2回のような本格的なトーナメントは封印されていた。昨年10月、勝村氏がZSTプロデューサーに就任し、「温故知新」を新たなテーマに掲げ、GTFを14年ぶりに復活させた。
ルールは打撃無し、クロスガード無し、ポイント・判定無しで一本決着のみ(延長特別ルールについては後述)。トーナメントではADCC(アブダビ・コンバット・クラブ主催サブミッション・ファイティング世界選手権)2019 日本代表で、全日本ノーギ柔術エキスパート無差別級を2連覇した岩本健汰が、3試合とも一本勝ちし圧巻の優勝を果たした。
岩本は早稲田大学の大学院で物理学を学びつつ、大学の近くの戸山公園の芝生にジョイントマットを敷いてグラップリングの練習していることでも知られ、トーナメントの「副賞」のマクドナルドのハンバーガーに目をキラキラさせる一面も。文武両道でありつつも、飄々した面もあり、選手のキャラクターを重視するZSTで今後どう料理されていくかも楽しみだ。
第1試合 GTF3 1回戦 GTFルール フェザー級 7分1R
○寒河江寿泰(トイカツ道場/今成柔術/NAGA世界柔術2019ノーギ・エキスパート・フェザー級優勝・無差別級準優勝)
×石橋佳大(DURO GYM/元修斗環太平洋バンタム級王者)
6’11” 腕ひしぎ十字固め
寒河江が開始すぐ、師匠の今成正和のように座り、下から執拗に足関節技、腕十字を狙い続ける。石橋も防御を続け、パスガードを狙い続けたが、残り1分と合図が聞こえた直後、寒河江が腕十字を極め一本勝ちした。
第2試合 GTF3 1回戦 GTFルール フェザー級 7分1R
○樋口翔己(パラエストラ吉祥寺/JBJJF全日本ノーギ柔術2016・2018エキスパート・ライト級優勝)
×ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/FightingNexus/ZSTバンタム級王者)
2’24” 裸絞め
ムラタが倒しながらギロチンを仕掛け、そのまま上に。樋口はギロチンを外すと、下から腕十字を狙う。ムラタが振りほどこうとした隙に、動いて背後に回る。すると樋口は両足をムラタの腕に絡めながら、喉元をキャメルクラッチのように引っ張る変則のチョークを極める。腕を動かせないムラタは足をバタつかせてタップした。
第3試合 GTF3 1回戦 GTFルール フェザー級 7分1R
○岩本健汰(IGLOO柔術/ADCC 2019 アジア・オセアニア予選優勝、JBJJF全日本ノーギ柔術2018・2019エキスパート・オープンクラス優勝、2019ライト級優勝)
×竹内 稔(Carpe Diem Mita/ADCC 2019 アジア・オセアニア予選3位)
0’40” ヒールホールド
岩本のセコンドにはロータス世田谷で共に練習する青木真也がつく。スタンドの攻防の後、岩本が引き込むようにして下になると、素早くヒールホールドを極め、2分足らずでタップを奪った。
第4試合 GTF3 1回戦 GTFルール フェザー級 7分1R
×鍵山士門(Physical Space/IBJJF柔術ソウルオープン2018・2019黒帯ライトフェザー級優勝)
○小野隆史(FREEDOM@OZ/JBJJF全日本ノーギ柔術2019エキスパート・フェザー級優勝)
延長
小野が下から足関を狙い続けるが、お互いフィニッシュに持ち込めず延長へ。
延長特別ルールとして、赤コーナーの選手、青コーナーの選手の順で、レスリングのようにバックか腕十字の体勢を選んだ状態から試合を開始し、一本を早く取った選手が勝ちとなるルールが採用される。両者極められなかった場合は、早く脱出したほうが勝ちとなる。
赤の鍵山は腕十字の状態を選ぶが、小野はすぐエスケープする。小野はバックを選ぶが、両足でしっかり捕獲した状態をキープ。小野は極められなかったが、鍵山のエスケープを長時間封じたため勝利となった。
第5試合 GTF3 リザーブマッチ GTFルール フェザー級 7分1R
○河村泰博(新潟イエローマンズ)
×長谷佑馬(10th Planet Jiu-Jitsu)
1’51” フロントチョーク
第6試合 GTF3 準決勝 GTFルール フェザー級 7分1R
○寒河江寿泰(トイカツ道場/今成柔術/NAGA世界柔術2019ノーギ・エキスパート・フェザー級優勝・無差別級準優勝)
×樋口翔己(パラエストラ吉祥寺/JBJJF全日本ノーギ柔術2016・2018エキスパート・ライト級優勝)
2’04” ヒールホールド
一回戦同様、寒河江は最初から座って下に。樋口も対処を続けたが、寒河江がヒールホールドを極めタップを奪った。
第7試合 GTF3 準決勝 GTFルール フェザー級 7分1R
○岩本健汰(IGLOO柔術/ADCC 2019 日本代表)
×小野隆史(FREEDOM@OZ/全日本ノーギ選手権2019エキスパート・フェザー級優勝)
5’37” 腕ひしぎ十字固め
岩本が序盤から片足タックルで倒し、トップ、サイド、マウント、バックと着実に優位なポジションに移行。長時間コントロールを続け、裸絞めを狙う。最後は5分過ぎ、バックから三角絞めを仕掛けつつ腕十字を極めた。
第8試合 スペシャルワンマッチ GTFルール 73kg契約 7分1R
△高須将大(ストライプル茨城)
△石井宏幸(頂柔術)
時間切れ
第9試合 GTF3 決勝戦 GTFルール フェザー級 10分1R
×寒河江寿泰(トイカツ道場/今成柔術/NAGA世界柔術2019ノーギ・エキスパート・フェザー級優勝・無差別級準優勝)
○岩本健汰(IGLOO柔術/ADCC 2019 日本代表)
6’33” 裸絞め
※岩本が王者に
寒河江は初戦と準決勝同様、足関を狙うが、岩本も足関の攻防に応ると、寒河江のお株を奪うように度々極めのチャンスを作る。しかしその展開に固執せず、上になって押さえてサイドポジションをキープすると、準決勝同様に一方的な展開に。
一旦、寒河江に立たれた後も、岩本はすぐ倒し、足関を狙う。岩本は寒河江の左足に自分の足を絡めて捕獲したまま、寒河江の右腕を右手で絡め取りつつバックを取る。その時、既にもう片方の腕では寒河江の首元を押さえている。最後は両足で寒河江の胴をロックした状態で、裸絞めを極めタップを奪った。
岩本にはGTF.3のチャンピオンベルトと共に、新大久保駅前のマクドナルドで大会スタッフが買ったハンバーガーがプレゼントされた。勝村プロデューサーによると「大会前にスタッフの食事にハンバーガーを用意していたら、会場入りした岩本君がハンバーガーを見ながら目をキラキラさせていたんですよ。『勝ったらあげるよ』と言ったら、『これのために頑張ります』って言いだしたので、用意しました」とのことだ。
放送席で優勝者インタビューを受けながらハンバーガーを食べ、周囲を和ませた岩本。「ここでつまづいたら次のレベルは難しいので、優勝以外は無いと思っていました。青木さんや北岡(悟)さんと練習させてもらっている限りは負けられないです」と話し、今後については「まずはもう1回ADCCに出て、世界大会で一回戦を突破とか、ある程度の傷跡を残したいです」とコメント。17 Liveの視聴者からMMA挑戦について質問されたが「ちょっと考えてはいるんですけど、目先はグラップリングなので、まずはそこに全てを賭けようと思います」を答えた。
防衛戦については「海外の選手とやりたい」とコメント。中継の解説を務めた勝村氏は「これだけダントツの強さを見せられたら、海外の強豪を呼びたい。ADCC一回戦突破とか言わず、もっと上の結果を残してもらいたい。ZSTとしても岩本君がもっと活躍できるよう、強い選手を呼べるよう頑張りたい」とバックアップを約束した。
勝村氏は大会後の総括で「(コロナウイルスの影響で)みんなストレスが溜まって、何が正解かわからない状態で、格闘技の試合が見られないことで悲しいを思いをしている人達に試合を届けられたのもうれしいですし、逆にこういう試みをしたことで、初めて17 Liveで格闘技を見た人もいるでしょうから、新たなきっかけ作れたと思いますし、色んな希望が見えたんじゃないかと思います」「僕も力をもらいました」とコメントした。