CROSS 11.4 ホテル金沢:あばれ祭りがリニューアルし新大会に。RISE公式戦で地元の詠隆章が中島将志との接戦制す
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DSG presents CROSS 12
2018年11月4日(日) 石川・ホテル金沢
記事提供:CROSS実行委員会
北陸から世界へを旗印に、11月4日(日)、石川県金沢市駅前のホテル金沢で『DSG presents CROSS』がスタートした。この大会の前身は2007年に金沢でスタートした『SAMURAI あばれ祭』。すでに11回を大会を積み重ねてきたノウハウを元に、主催者である藤田雅幸はあばれ祭りのメガイベントとしてCROSSを始めたという。
「ちょうど11年前、自分がまだ現役だった頃、地元の応援団にも試合を見てもらいたいのに見てもらえない状況が長く続きました。そこでたくさんの応援の力を借り、第1回あばれ祭を開催したわけです」(藤田代表)
CROSSの名付け親はRISEの伊藤隆代表で、「いろいろな団体がクロスしていけるような舞台になってほしい」という願いをもとに名付けたという。その看板に偽りはなく、第一回大会ではRISE、新空手、そしてあばれ祭が三つ巴でクロス。超満員の大観衆が見つめる中、熱戦が繰り広げられた。
メインイベント(第12試合) RISEランキング戦 ミドル級3分3R(延長1R)
○詠(ながみ)隆章(LA GYM JAPAN/RISEミドル級4位/69.5㎏)
×中島将志(新潟誠道館/RISEミドル級5位/70.0㎏)
延長判定2-1 10-9 9-10 10-9 ※本戦は3者とも30-30〕
ともにRISING ROOKIES CUPミドル級優勝という実績を引っさげ、RISEミドル級のランキングに名を連ねる詠隆章と中島将志がメインイベントで激突した。詠は金沢のLA GYM JAPAN、中島は新潟の新潟誠道館所属のため、北陸エリアの石川VS新潟の対抗戦という図式だ。意外にも今回が初対決だという。
詠がボディフックでボディにダメージを与えにいけば、中島は打ち下ろしのローで下半身を削りにかかる。試合は我慢比べの様相を呈したが、ともに引く気は一切なし。中島がカウンターのヒザ蹴りやミドルで好印象を残せば、詠もボディフックやストレートで応戦する。
試合は当たり前のように延長戦へ。中島はカウンターのヒザ蹴りをボディにクリーンヒット。一方の詠はフックを顔面とボディに打ち分ける。中盤は詠が試合のリズムを握りかけたが、ラウンド終了間際には中島が右の連打を決めて意地を見せた。
判定は2-1で詠。第三者から見れば「もう1ラウンド見たかった」という本音を吐きたくなるような激しいシーソーゲームだった。勝負の分かれ目を聞くと、詠は「とにかく諦めない気持ちだったと思う」と述べた。
「本当に苦しい闘いだったけど、勝てて良かった。こんなにいい試合ができたので、対戦相手である中島選手にも感謝したい」
対する中島も伊藤代表や久保坂代表の評価が高かったので上機嫌。「もっと体力をつけ、パンチをもらわないようにガードを強化して再戦に臨みたい」
CROSSの旗揚げ第一戦のメインイベントは北陸エリアの可能性を感じさせるのに十分すぎるほどのインパクトを残したといえるだろう。
セミファイナル(第11試合) RISE公式戦 スーパーフェザー級3分3R(延長1R)
○瑠夏(新潟誠道館/RISEスーパーフェザー級7位/60.0㎏)
×皇貴(チームドラゴン/RISEフェザー級8位/60.0㎏)
3R39秒 KO
東京での試合でも中盤まではやられっぱなしながら終盤に一気に逆転という試合を見せる瑠夏が地元・北陸エリアでの試合でもアッと驚くような逆転劇を見せた。瑠夏と対峙したのは皇貴。9月21日のRISE EVOL.1ではメインを務めたチームドラゴン期待の星だ。
1Rから積極的に攻め合う両者。″不退王″の異名を持つ皇貴は金沢でも下がらず、真っ向から勝負に挑む。序盤から勝負の振り子は効果的にローで瑠夏の下半身を削っていった皇貴に傾く。
2Rになっても、試合の流れは変わらない。皇貴は間合いを詰めてのローだけではなく、カウンターのヒザ蹴りやボディストレートでボディにも集中砲火を浴びせる。瑠夏のセコンドからは「集中」という指示が飛び始めた。
しかし、3R、瑠夏が放った右ストレートがクリーンヒットするや、皇貴はそのままダウン。試合終了のゴングを聞いた。
試合後行われた会見で瑠夏は饒舌だった。「今日は僕も北陸でも頑張っている選手たちの活躍を目の当たりにして刺激を受けました。地方の選手は(大都市の選手に比べてハンディがある分)這い上がるストーリーができている。地方でも格闘技ができるという力を伝えられたらうれしい。まずは僕ひとりでも這い上がっていかないといけない」
対する皇貴は「(結果的に最後に)パンチで行ってしまったところが敗因」と言葉少なだった。
第10試合 RISE公式戦 スーパーフェザー級3分3R
○オノリュウ(チームオノリュウ/60.0㎏)
×斉藤遼太(拳獅会/59.8㎏)
3-0 29-28 29-28 30-28
一昨年8年ぶりに地元北陸のリングで復帰。その後2連勝中のオノリュウ。東京を拠点に活動していた時代はRISEの黎明期を支えた選手のひとりだ。今回は昨年のJAPAN CUP62㎏以下級で優勝している斉藤遼太に胸を貸した。オノリュウが43歳ならば、斉藤は22歳。つまり年齢差ほぼ2倍という世代交代マッチが北陸でも実現したわけだ。
最初に試合の流れを握ったのは若い斉藤の方だった。強いプレッシャーからパンチの連打、あるいはローからストレートをつないでオノリュウを追い込んでいく。ラウンド終了間際、防戦一方となったオノリュウはコーナーに追い込まれていた。
そんなオノリュウも2Rになると、力強い左ミドルや右ストレートで反撃を開始する。狙ったチャンスは逃さない。終盤にはパンチの連打でついに先制のダウンを奪う。
3R終盤、斉藤は怒濤の反撃を見せるが、後の祭り。結局、3-0の判定でオノリュウが判定勝ちを収めた。
試合後、顔を腫らしたオノリュウは年齢のことは意識していないと気丈に語った。
「やることをやっていれば、(40歳を過ぎても)動ける。気をつけていれば、ケガもしづらい。練習も若いのと一緒にやるようにしています」
オノリュウは″北陸の帝王″として、これからも年に一度のペースでリングに上がり続けるのか。
第9試合 RISE公式戦 -68㎏契約3分3R
○長田真一(LA GYM JAPAN)
×山本ジエゴ(TIBURONES KICK BOXING TEAM/67.8㎏)
3R1分30秒 KO
日系ブラジル人の声援を受け、山本ジエゴは1Rからロングフックを中心に積極的に攻撃を仕掛ける。それに対して長田真一はワンツーからのローでじわじわと反撃を開始。2Rになると、連打で試合の主導権を握る。3Rになっても、長田の勢いは止まらない。今大会の出場選手の中では最年長(44歳)ながら、ラウンドが進むにつれ、スピードが加速するパフォーマンスは素晴らしいの一言。3Rには連打のラッシュで戦意喪失気味の山本からダウンを奪い、勝ち名乗りを受けた。
あばれ祭りからの連続出場で表彰も受けた長田は言う。「僕は35歳でキックと藤田代表と出会い、人生が変わりました。試合をするのはその恩返しです。まだキャリアも浅くて未熟なんですけど、諦めなければ夢は叶うというところを背中で訴えていきたい」
◆RISE 伊藤隆代表の話
「前回のあばれ祭りから1年、格闘技を競技としてしっかりと定着させるための選手たちの頑張りが感じられた大会でした。10試合以降はRISEらしく、素晴らしい試合が続きました。
とくにメインでは詠(ながみ)隆章選手と中島将志選手が東京で闘っている時以上の試合をやってもらえたと思います。今日が分岐点となって、これからの試合が一層楽しみになってきました。
セミファイナルで勝った瑠夏選手、そして負けた皇貴選手はともにアグレッシブで気持ちの伝わる試合をしてくれたと思います。まさに手に汗を握る闘いでした。
オノリュウ選手はRISEの創世期から出ている選手です。若い選手とのマッチメークはどうなのかなと思いましたが、普段の節制や格闘技に対する考えが見えた素晴らしい一戦だったと思います。
MVPを選出するならば、私は瑠夏選手を推したいです。彼は東京でも最初は押されるけど最後は勝つような試合をします。ほかにベストファイター賞を詠選手、中島選手、皇貴選手、オノリュウ選手に贈りたいです。
今後CROSSは選手育成をさらに強化していけば、北陸から世界、あるいはRISEのタイトルを狙える選手も出てくるんじゃないかと思いました」
◆全日本新空手道連盟 久保坂左近代表の話
「今日の大会を振り返ってみて、北陸の選手のパワーを感じました。会場も盛り上がっていましたし、選手たちも声援に応えるようにいい試合をしていたと思います。前半には新空手提供の4試合を組んでいただきました。アマチュアにもかかわらず、このような豪華な舞台を用意してくださったことに感謝いたします。
アマチュアの選手たち、とりわけ今後プロを目指す選手たちにとってはすごくいい経験になったと思います。また新空手から見たらメインとセミに出場した新潟誠道館の中島将志選手と瑠夏選手は新空手出身らしく、ファイティング・スピリット溢れる試合をしてくれたことが印象に残っています。新空手出身の選手がRISEという舞台で成果を発揮する。これこそCROSSの醍醐味でしょう。
MVPは中島選手ですかね。彼のことはアマチュアの頃からずっと見ているのですが、プロになってからすごく成長した。今日は瑠夏選手も良かったけど、中島選手のプロとしての面構えが素敵だなぁと思いました」
◆CROSSプロモーション 藤田雅幸代表の話
「今回は日本海側初のなるRISE公式戦と新空手の試合をさせていただきました。そしてRISEの伊藤代表からも指摘がありましたように反省点はしっかり改善して、もっともっと素晴らしい大会になるように、しっかりとクロスしていきたい。
僕の中には「北陸ではなぜキックの大会がないのか?」という思いがずっとありました。おかげで現役時代には、せっかくプロで試合をしていても、地元の応援団に見てもらえないという状況が長く続きました。
そうしたフラストレーションを払拭するために、ちょうど12年前、たくさんの応援の力を借りてあばれ祭の第1回大会を開催させていただきました。
僕はもともと空手の選手。当初は金沢にはキックのジムや練習場所がないばかりか、教えていただける指導者もいませんでした。
現在はご縁があって、東京から選手に来ていただいたり、新潟や富山のジムや選手とともに去年から3カ月に1回の割合でCROSSの合同練習会をしっかりやるようになりました。後者の目的は北陸全体のレベルを上げること。当初はなかなか集まりませんでしたが、次第に人も集まるようになってきました。
詠選手はもともとウチの大会で頑張っていた選手ですが、復活して、いい試合をしてくれました。MVPはメインを務めてくれた詠選手と中島選手に贈りたいと思います。オノリュウ選手の年齢差をはねのけるような逆転勝利にも感動しました。
また、あばれ祭から数えると10回連続出場の長田選手が表彰されました。僕は仲間たちと一緒に大会を作ってきたという思いが強い。続けていくことが一番大事。やり続けることも武器だと思う。北陸でもCROSSをやると決めた以上、10年先、20年先続くような伝統ある大会にしていきたいと思います」
第8試合 RISE公式戦 ヘビー級(無差別)3分3R
○森口聖也(ASYLUM GYM 矢郷道場/94.2㎏)
×ロブソン・オダ・オリベイラ(小田柔術/103.8㎏)
3R1分12秒 KO
第7試合 RISE公式戦 -75㎏契約3分3R
×中川達彦(花鳥風月/74.9㎏)
○本馬竜二(ASYLUM GYM 矢郷道場/73.3㎏)
KO 1R1分24秒
第6試合 RISE公式戦 スーパーライト級3分3R
△森川悠飛(LA GYM JAPAN/65.0㎏)
△吉瀧光(KING LEO/64.9㎏)
1-1 29-29 28-29 30-29
第5試合 RISE公式戦 スーパーフェザー級3分3R
×矢郷力愛(ASYLUM GYM 矢郷道場/59.1㎏)
○竹下裕基(日本拳法 石川支部/60.0㎏)
KO 1R0分54秒
第4試合 新空手K-4 小学生 1分2R
○藤田琉樺(LA GYM JAPAN/INSPIRIT)※下写真
×大谷 秀珂(KSS健生館)
3-0 判定
第3試合 新空手K-2 -65㎏契約2分2R
△酢谷哲平(LA GYM JAPAN)
△木村晟也(拳心會館)
ドロー 赤1 分け2
第2試合 新空手K-3女子 -55㎏契約 1分30秒2R
○井上めぐみ(LA GYM JAPAN)
×廣田香奈(小田柔術)
判定 3-0
第1試合 新空手K-3中学生 -42㎏契約 1分30秒2R
△林裕人(拳心會館)
△平井胤充(LA GYM JAPAN)
引き分け 赤1 分け2
オープニングファイト CROSS Aクラスルール -78㎏契約2分2R
○森口魁斗(ASYLUM GYM 矢郷道場/76.1㎏)
×オダ・チアゴ(小田柔術/77.4㎏)
判定 3-0 ※3者とも30-28