ILFJラウェイ 9.13 後楽園ホール:渡慶次幸平、ミャンマー人との再戦はドロー。真虎斗 a.k.a BASTA×テレカ∞が好勝負に
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格闘技医学会
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LETHWEI IN JAPAN 9 ~鼓動~ KODO
2018年9月13日(木) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
【ラウェイルール概要(一般的なキックボクシングルールと異なる点)】
・グローブは装着せず、バンデージのみで試合を行う
・頭突き、投げ技、手の平以外による首絞めも認められる。
・故意ではなく流れの中で蹴りが金的に当たった場合は有効打となり試合は続行される。
・1Rで3回ダウン、または、試合を通し合計4回のダウンでTKO負け。
・ダウンカウントは1カウント2秒で計測
・判定決着無し。時間切れの場合は引き分け。ダウン数やダメージは無関係。
・インターバルは2分
・試合中に1度だけ、選手又はセコンドがレフェリーに「タイム」を要請すれば、2分間の休息が許される。最終Rはタイムを行使できない。タイムは1ダウンとカウントされる。
第6試合 73kg契約 3分5R
△ソー・ミン・アウン[Saw Min Aung](ミャンマー/ラウェイ34戦12勝4敗18分/69.95kg)
△渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺/73.00kg)
時間切れ
渡慶次は2月大会でラウェイ5戦目にして念願の初白星をもぎ取り、6月大会でも勝利。2大会連続でメインイベンターを務める。8月19日のミャンマーでの試合は5R引き分けに終わっている。顔を派手に腫らしたが、1か月足らずで次の試合に臨む。
今回の相手、ソー・ミン・アウンとは昨年12月にミャンマーで対戦し、渡慶次が1R目、ソー・ミン・アウンが4R目にタイムを取る激戦となり、5R引き分けに終わっている。
1R、渡慶次はサウスポーからの左ミドル、ローを当てているが、ソー・ミン・アウンは時折前に詰め、スピードのあるパンチの連打を放ち、渡慶次が少しぐらつく場面が数度。ソー・ミン・アウンは前蹴りで渡慶次を吹き飛ばす場面もある。
2Rになると、渡慶次の左ローが効き目を発揮。ソー・ミン・アウンはサウスポーにスイッチするが、渡慶次は右ローを当てて両足にダメージを与える。パンチや左ハイも織り交ぜてじわじわと追い詰める。
3Rも渡慶次が蹴りを当てるが、ややヒットが減り、ソー・ミン・アウンもパンチとミドルを少しずつ返し、ほぼ五分の状態に戻る
4R、渡慶次は口が開き、少し疲れが目立ち始める。8月の試合の疲れが残っていたか?渡慶次は左ローを連打するが、スピードもパワーも落ち、なかなか決定打を与えることができない。
5Rも渡慶次が攻勢を維持し、終盤には左ハイでぐらつかせるが、ソー・ミン・アウンも底力を見せ、右フックで渡慶次をぐらつかせる。渡慶次は最後まで前に出るが倒しきれず時間切れ。再戦もドローとなった。
第5試合 62kg契約 3分5R
△タゥク・シャー[Tauk Shar](ミャンマー/ラウェイ15戦9勝6分/61.90kg)
△清水俊一(総合格闘技宇留野道場/61.40kg)
時間切れ
清水は2月大会でトゥン・ルイン・モーと引き分けて以来2度目のラウェイ挑戦だ。
1R、タゥク・シャーはロープを背に距離を取り続け、清水も慎重で、お見合いが続く。2分経過時にレフェリーが両者に注意する。再開後もお互い慎重だ。タゥク・シャーは左足の動きが少しぎこちない。2Rになるとタゥク・シャーも蹴りを少し出すようになるが、空振りが多く、清水もステップで動くが攻めあぐねる。
3Rも同様で、終盤、清水は足元へのタックルを繰り返して打開を図るが、タゥク・シャーに膝を合わせられてしまう。結局、4R以降もお互い攻めあぐね終了。両者とも悔しさをにじませた表情でリングを降りた。
第4試合 64kg契約 3分5R
○トゥン・ルイン・モー[Tun Lwin Moe](ミャンマー/ラウェイ31戦18勝13分/63.5kg)
×一休そうじゅん(ゴリラジム/64.20kg→64.00kg)
3R 終了時 TKO (ドクターストップ)
MMA選手の一休は6月大会の般若HASHIMOTO戦でラウェイに初挑戦し、開始早々のラッシュで肘を当て般若の額を切り裂き、わずか21秒でTKO勝ち。今回は本場ミャンマーの無敗の強豪が相手で「今回が本番」と気を引き締めてリングに上がる。
1R、両者とも少し遠目の距離でフェイントを掛け合い、時折詰めて右主体でパンチを放つ。トゥン・ルイン・モーのパンチをもらい、そうじゅんは時折スリップする。
2Rに入ると、トゥン・ルイン・モーの圧力のかける時間が次第に長くなり、パンチと頭突きも細かく当たり続ける。終了間際、真っすぐ下がったそうじゅんに対し、トゥン・ルイン・モーが左ハイを空振りさせた後、バランスを崩したそうじゅんの顔面に右膝をヒット。そうじゅんはダウンし、鼻から出血するが、ゴングに救われる。そうじゅんはセコンドに抱えられて陣営に戻る。
3Rになってもそうじゅんはダメージが尾を引き、トゥン・ルイン・モーが前に出てパンチ、左膝を当て続け、中盤過ぎにそうじゅんはダウン。陣営はタイムを使用する。だが再開後もダメージは抜けず、トゥン・ルイン・モーが攻め続け3分経過。インターバル中のドクターチェックでそうじゅんにストップがかかり、トゥン・ルイン・モーの勝利となった。試合後はそうじゅんのスポンサーの高須クリニックの高須克弥氏が両者にメダルを贈呈した。
第3試合 72kg契約 3分5R
△シャン・コー[Shan Ko](ミャンマー/ラウェイ149戦16勝7敗26分/71.6kg)
△ウィル・チョープ(米国/74.55kg)
時間切れ
チョープは14年にUFCに上がり、現UFCフェザー級王者のマックス・ホロウェイに2R TKO負け。パンクラスで1勝2敗、修斗で1敗している。対戦相手のシャン・コーは、昨年2月大会に参戦し、奥田啓介に3R終了時TKO勝ちしている選手。
1R、長身のチョープが左に回ってシャン・コーの圧力をかわし、前蹴りやジャブを当てる。シャン・コーは途中圧力を強めてパンチを連打したが、チョープは耐える。2Rもシャン・コーが前に出る時間が長く、コツコツと右ローを当てていたが、終盤はチョープが首相撲で捕まえて膝、頭突きを連打し少し攻勢になる。
3R、シャン・コーの右ローが効いてきた様子で、チョープは足取りが重くなるが、組み際の右肘や組んでの頭突き、膝で抵抗する。
4R、チョープは手の平で殴る場面があるが、ルールでは反則となるためレフェリーから注意される。長身を活かし、アゴを突き上げるような右の蹴りを当て、場内を沸かせる。
5R、開始前にチョープは雄たけびをあげて観客を煽り、積極的に肘、膝を当て続けるが、シャン・コーは歯を食いしばって耐え続け時間切れに終わった。
第2試合 女子60kg契約 3分4R
△ブロニカ[Ve Ro Ni Ka](ミャンマー/ラウェイ5戦2勝1敗2分/58.20kg)
△熊谷麻理奈(ウィラサクレック・フェアテックス・ムエタイジム札幌/59.90kg)
時間切れ
熊谷は12年の全日本ボクシング選手権で準優勝。ウィラサクレック所属のためムエタイが主体だが、MMAにも挑戦している。ブロニカはミャンマーのボクシング国家指定強化選手だった。
1R、長身の熊谷が左に回ってブロニカの圧力とパンチをかわしながら、前蹴り、ミドルを当て続け、ハイキックやストレートにもつなげて、終盤にはパンチの連打でブロニカを追い詰める。
2Rも熊谷が積極的に蹴り、パンチ、肘を当てるが、ブロニカも耐えて接近戦で頭突きとパンチを細かく返し続ける。3Rはブロニカの手数が若干上回るほどに。4Rもブロニカが押し気味だが、熊谷も蹴りを返し続け、時間切れとなった。休憩時間の熊谷は多くの男性客から記念撮影を求められており、今回の健闘で認知度が上がりそうだ。
第1試合 61.5kg契約 3分4R
△真虎斗 a.k.a BASTA(TEAM BASTA/61.5kg)
△テレカ∞[インフィニティ](NEXT LEVEL渋谷/61.5kg)
時間切れ
MMAの真虎斗は昨年9月にミャンマー人と対戦し引き分けて以来のラウェイ。キックボクシングのテレカは初挑戦。
1R、キックボクシング的な展開の中で、テレカは組んだ状態で、頭を押し付けるようにしながら頭突きを連打。真虎斗は鼻柱から出血する。だが真虎斗も右アッパーで一瞬テレカをダウンさせ、コンビネーションでパンチを駆使して持ち直す。2Rは真虎斗が前に出てパンチ、右ローを当て、テレカが回りながら膝、肘を返す展開が続く。
3R、しばらくテレカが膝、肘で攻勢だったが、真虎斗が右のフックを効かせると、右アッパーでテレカをダウンさせる。テレカ陣営はタイムを使用する。再開後、回復したテレカは飛び膝を多用し、驚異的な巻き返しを見せるが、真虎斗のパンチで最後もひるんでしまう。
4R、真虎斗の右フックでテレカはダウンするが、その後は飛び膝の連打で巻き返し、観客を沸かせる。真虎斗も耐え抜き時間切れドロー。日本人対決で第1試合ながら、今大会で一番の好勝負となった。
次回大会は11月14日(木) に後楽園ホールで開催される。