ONE 11.19 シンガポール:ロシアの新星・イザガクマエフと対戦、青木真也「勝ちたくて勝負に徹底的にこだわるから、勝敗を越えたものが作れる。勝負を捨てちゃったら、ただの演劇になっちゃう」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム錦糸町
最強のムエタイで最高の“美Body”を目指す!初心者の方、女性の方、大歓迎。見学無料!
ONE Championship「ONE 163」(11月19日(土)シンガポール・インドアスタジアム)でONE MMAライト級4位のザイード・イザガクマエフと対戦する同級5位・元王者の青木真也のインタビューが、ONEから届いた。大会の模様はABEMA PPVにて19日19時より全試合独占生中継される。(写真:(C) ONE Championship ※記者会見の写真を除く)
―― ここまで試合が決まってからトレーニングの調子はどうですか。
「調子は良くないよ。昔ほど量も出来なくなってくるし。いかに休みを上手く入れてどう調整して整えていくか。若くはないですよ。その意味では。」
―― ザイード・イザガクマエフとの試合は青木選手にとって重要な試合ですか。
「もちろんやり甲斐がありますよ。これはあんまり言うと嫌なのかもしれないけど。もう一個、二つ候補を言われて。もう一つは割とレジェンドマッチ寄りなカードと。もう一つはこの(ザイードとの)カードを言われて、これやるって言ったもん。だってやっぱりフレッシュで、現場に入れて最前線でやれるっていうほど喜びあることないから。その意味では有難い楽しみですよ。本当に有難いと思っている。」
―― チャトリ会長によると青木選手はどんな対戦相手にもノーと言わない。
「いや、ノーと言わないのかノーと言わせないのか、どっちだ?っていうのはあるんだけど。10年ちょっと、11年付き合ってきて、本当に一回もノーと言ったことはないですよ。何で試合組まないの?とか、何試合組んでね、って言ったことはありますけど。来た試合は一回もノーって言ったことはないなぁ。でも、それはアスクレンとかとやっているわけだから。ノーと言わないっていうのもあります。それ以上にONEに関して言うと、アスクレンとやらしてもらったりとか、クリスチャン・リーとやらしてもらったりとか。ゲイリー・トノンもそうですし。ケイド・ルオトロもそうだし、強いやつとやらしてもらったので、本当に楽しい豊かな人生にしてもらいましたよ。そこは本当に感謝しています。」
―― ザイード・イザガクマエフはONE参戦当時から青木選手との対戦を熱望していましたが、彼の印象はどうですか。
「力強い昔ながらのロシア人じゃないですか。昔ながらのロシア人だと思いますけどね。」
―― ザイードがずっと青木選手をターゲットとしているのは何でだと思いますか。
「単純に名前が上がるからでしょ。あの中国人(=ジャン・リーポン)が俺とやりたいって言って来るのも、結局20年やって来てPRIDEやって、DREAMやって、ONEやって、ONEではチャンピオンにならしてもらって。今の現役のチャンピオンでクリスチャン・リーがいますけど、それを除いて、もしかしたらそれ以上に名前というかレジェンド感というのは歴史の積み上げがあるからやりたいって思うんじゃないですか。」
―― ザイードは青木選手が戦わずして逃げていると言っていますが。
「それは別にやる時にやればいいし、ノーと言わない通り、組まれたらやるし。それはだってONEがあんまり試合のオファーをくれないっていうだけですよね。僕は試合をやれって言われたらいつでもやりますよ。」
―― 青木選手の中でザイードが危険だと思うポイントは。
「やっぱり上から攻めるのは強いと思いますよ。上から攻めるのに対して、僕は逆に上を取るのか、もしくは下からやるのかは試合をしてみないと分からないけど。何かとにかくやり甲斐があると思うんですよね。」
―― 青木選手の能力を総動員して戦うということですか。
「能力を総動員だし全部頭を使ってやるのが面白そうで、やり甲斐があると思います。」
―― そうしたらスタンスは変わらないと思いますが、今までアプローチの仕方は変わりますか。
「いや一緒一緒。全部一緒。全部一緒でぶつけるだけ。まあどう出るかは分からないですよ。」
―― 具体的な対策はありますか。
「相手の出方が分からないですよね。中国人の時みたくホールディングして来るのか、もしくはちょっと動きがあるのか出方が分からないので、やってみないと本当に分からないです。そんなの現場のセッションだからお互い向き合ってみないと分からないよっていうことを毎回思うんですけど。向き合ってみてその日の空気、相手の体調、雰囲気、風、全部読んでやんないと分からないですよね。それが面白さだと思うし。」
―― 常にご自身をアップデートしてはしていると思いますけど、引き出しの数はどんどん増えていきますか。
「減っている。減らしている。もう、いっぱい選択をするようになったら、若い子の方が選択する体力もあるし強いから、とにかくシンプルにシンプルにいかに無駄なことを排除していくかっていうスタイルですよね。」
―― 感情が溢れている青木選手を良く見ますが、勝利にこだわる感情はどういうものですか。
「それは、僕ほど “勝ちたい”と思ってやっているやつはいないですよ。これは文化的に理解されないかもしれないけど、やっぱりみんな勝ちたくて勝負に徹底的にこだわるから、勝敗を越えたものが作れると思うんですよ。そこで勝負を捨てちゃったら、ただの演劇になっちゃうわけじゃないですか。その演劇をやりたいわけじゃなくて、僕は勝負に徹底的にこだわることによって、そこで起こる自分の伝えたいことだったり、物語、ストーリーをお客さんに伝えたいんですよね。」
―― ザイード・イザガクマエフ戦を受けることは青木選手のキャリアの中でも良いチャレンジになると思いますか。
「楽しいと言うか快楽と言うか刺激だと思いますよ。39、40近くなってきて選手を続けていると、皆なんかこう変わった人というか、社会的にあれな人の巣窟ではあるんですけど。やっぱり皆に共通して言えるのは、刺激ジャンキーだから、これ以上の刺激はないっていう意味で、やっぱりやりがいがあって楽しみですよ。」
―― ザイードは青木選手と11歳差で、幼い時から青木選手のことを見ていた。だからこそ対戦を熱望してきたと思います。青木選手は若い選手に伝承していきたいと以前言っていましたが、国は違えど何か伝えたいことはありますか。
「別に選手に伝えたいマインドはなくて。格闘技選手に自分のやってきた思い、自分のやってきたことを伝えたい思いはあんまりないんですよ。それは何でかっていうと、結局やっていることが違うんだから伝わらないんですよね。線でやっている人と点でやっている人で伝わらなくて。じゃあどこに伝えたいかっていうと、社会で頑張っている人たちに青木的なイズムというか猪木イズム。古舘伊知郎のインタビューの『闘魂は連鎖する』じゃないけど、その自分の考え方みたいなものを残していけたら幸いだなと思うくらいかな。」
―― ザイードは倒す価値のある選手ですか。
「いや、何だろな。究極、相手じゃなくて自分がどれだけ一生懸命やれるかなっていうとこの目線が大きいですね。」
―― そういう意味では青木選手が今まで築いてきた事、これから築いていくストーリーの中では勝ちたいということでしょうか。
「いや、勝ちたいな。それは思います。また何かパシッと勝ちたいなという気持ちと。もうちょっと競技生活を続けたいなと思いますよね。」
―― どんなものを残したいですか。
「残したい、ね。これが不思議とないんだよね。全くないんだよ。自分の資産、レガシーみたいな。残したいもの全くない。本当に好きにしてくれって感じですね。」
―― この試合は、どんな展開になると思いますか。
「我慢比べじゃないですか。何かこう我慢比べで負けないような試合をしたいと思いますけどね。」
―― この試合がONE通算20戦目になりますが、青木選手のこれまでのキャリアを振り返ってどう思いますか。
「まあ色々なことがあったなと思うし、何か俺がこれをやって来たんだということ以上によく手を替え品を替えここまで辿り着いたなっていう気持ちの方が多いですね。 」
―― 戦いのない人生をイメージ出来ますか。
「戦いのない人生をイメージ出来ないからまだやっているんだろ。 皆、勘違いしているけど、辞められる方が偉いからね。結局、辞められないんだよね。それを40歳に近づいたこんなオジサンに、いつ辞めますか?って引退みたいな話を聞くのが野暮で、辞められないからやってんだよっていうことに気付いた方がいいんじゃないか。」
―― 今まで青木真也として、どこの団体でもやって来たと思いますが、キャリアを終える時に皆に青木真也はどんな人間だったと記憶を残していきたいですか。
「それはめんどくさいやつだったなと思って辞めたいでしょ。僕のイメージしているキャリアの最後は、動かなくなるまでやりたいくらい好きなんですよ。それをやっていくと理屈的に、ONEのレベルで出来なくなっても僕は続けると思うんですよ。だからどんなやつだろうなって思ってもらいたいですかっていうのは、どんなやつだったんですかって、思ってもらえないような辞め方をすると思うんだよね。ずっと皆が見ていないところまでやっちゃうと思うから。なので人知れず辞めていくと思います。」
―― 俺が青木を引退させてやると豪語するザイードについて一言。
「ずっと言っているように辞める時は自分で辞めるのでご心配いただかなくて結構です。」
―― 最後に一言お願いします。
「この試合はおっしゃる通りに青木の試合だと思っていて、この日本向けの試合で組まれたってことは結局、他の奴らが二足三文というか役立たずだから、このマッチアップが組まれているわけで。その意味で僕の試合だと思っているので、一応しっかりやりたいなって思っています。」