極真会館 11.22-24 武蔵野の森 総合スポーツプラザ:主要選手インタビュー(1) 鎌田翔平「世界柔道の大野将平選手に感銘を受けた」、髙橋佑汰「一番の課題は“心”」
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国際空手道連盟極真会館(館長・松井章奎)「第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会」(11月22日(金)23日(土/祝)24日(日)東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ)に出場する主要7選手のインタビューが、極真会館発行の雑誌「ワールド空手」から届いた。この大会は4年に一度開催される極真会館の最高峰のトーナメントで、世界各国・各地域から選抜された166名が3日間にわたって優勝を争う。3回に分けてお届けする第1弾では準決勝で対戦の可能性のある鎌田翔平(東京城西支部)、髙橋佑汰(東京城北支部)のインタビューをお届けする。(トーナメント組み合わせは極真会館公式サイトのPDFファイル参照)
鎌田翔平
――世界大会がいよいよ迫ってきました。鎌田選手はスマートフォンに世界大会当日までのカウンターを表示しているんですよね。
鎌田 はい。毎日カウントダウンしていっています。表示を見るたびに緊張感が高まるのですが、一方で楽しみにしている自分もいて、心情的には半分半分といった感じです。
――これまで日本代表選手の強化稽古が数回にわたって行われました。
鎌田 日本代表選手が集結して身が引き締まりました。空手は個人競技ではあるのですが、やはり日本代表としての意識が高まり、日本選手全体で頂点を目指し、チーム一丸となって頑張ろうという闘志が湧いてきます。本番の試合では一人一人の戦いが皆に勇気を与えることになります。こういう雰囲気は4年に一度しか味わえないものですし、いよいよ始まるんだという気持ちになりました。
――ここまでの調整はいかがでしょうか。
鎌田 幸いにもケガなく順調にきていますし、仕上がりは良い状態で、手応えも感じています。
――この世界大会に向けて特に高めてきたところは。
鎌田 やはり自分の持ち味である技術です。大幅に変えたわけではないのですが、かなり相手をコントロールできるようになってきた感覚はあります。昨年の全日本以降、細かいルールの調整もありましたし、しっかりと対応できるように修正してきました。そういう意味では昨年とは違う自分を見せられると思っています。
――鎌田選手は今年32歳になりましたが、自分の伸び代というものについてどのように考えていますか。
鎌田 確かに年齢的に疲労の抜けが遅くなったり、ケアやメンテナンスに以前よりも時間を割くようになりましたが、逆に技の精度は上がっていますし純粋に以前より強くなっているという感覚はあります。
――4年前の前回世界大会(3回戦敗退)で現役を引退することも考えていたと聞きましたが、諦めず現役を続行したこの4年間はいかがでしたか。
鎌田 振り返ってみれば早かったです。前回の敗戦後から現役を続けようと決断したときは、正直言って先が見えない状態でした。翌年の全日本ウェイト制や無差別全日本で結果が出なければ、そこで終わりしようと思っていましたから。
――やはり鎌田選手にとって世界大会翌年に施行されたルール改定はどんな影響を与えたでしょうか。
鎌田 改定ルールにおける組手やその方向性は、自分が以前から目指していた空手に近いものでした。だからこそ、自分の技術を伸ばすことができたと思っていますし、それが大会の結果にもつながっているのだと思います。
――とても濃密な4年間だったのではないですか。
鎌田 濃密だったからこそあっという間の日々でした。自分の今後の空手人生を考えたときに、この4年間があるのとないのとでは、まったく違っていたと思います。逆に言えば、前回の世界大会で負けたことも自分にとってプラスになったと言えるのではないかと思っています。
――この4年間に全日本ウェイト制、無差別全日本、世界ウェイト制で優勝し3冠となりました。唯一結果を出していないのが無差別世界大会になります。
鎌田 4年に1度の世界大会ですから、毎年の全日本とは雰囲気がまるで違いますし、外国人選手からは世界大会に賭ける気持ちが強く感じられます。大会前日のルールミーティングには選手全員が集まるのですが、初出場のときはまるで猛獣の檻の中に入れられた気分で、本当に極真空手最高峰の大会なんだという実感が沸いてきました。当然、自分にとって一番大事な大会ですし、後悔することなくすべてをぶつける覚悟です。初出場した8年前も自分のすべてを出し切りたいと思いましたし、4年前はここで出し切って終えると決めて臨んだ大会でしたが、残念ながらいずれも不完全燃焼でした。今回は、肉体的にも環境的にも最後の大会になると思うので、本当に自分のすべてを出し尽くさなければいけません。
――年齢を重ねるたびに立場も責任も重くなっていきますが、鎌田選手を長年支えてきた原動力は何でしたか。
鎌田 これまで戦ってきた最大の原動力は、極真の歴史に名を残したいという思いです。自分が好きになって注力したものが空手であり、いわば空手は人生のすべてでもあります。だから最高の場で結果を出し、名前を残したい。4年前に引退することも考えたと言いましたが、あのような最後では名は残らない。自分の人生はこれでいいのか、多くの人たちの期待を裏切って、終えてしまっていいのかと、諦めきれない自分がいました。
――もはやキャリアと実績を考えれば、特定の選手と戦いたいといった気持ちはあまりないと思いますが、対戦相手についてはどのように思っていますか?
鎌田 やはり一戦一戦、目の前の相手に集中することが大事だと思っています。誰が来ようが、どんな試合になろうが、どんな勝ち方をしようが、最後まで勝ち残って表彰台の一番高いところに上がる。理想は、全試合一本勝ちできたらと思います。
――全試合一本勝ちは、世界大会では誰も成し遂げていません。
鎌田 あくまでも夢ではありますが、可能性がゼロでないならば狙っていきたい。9月に行われた柔道の世界選手権で大野将平選手が注目されながらも全試合一本勝ちで優勝しました。それを見て、とても感銘を受けたんです。相手からは研究され、各方面からのプレッシャーもある中で、理想的な内容で結果を出すことは本当にすごいことです。
――勝つだけではなく、勝ち方にこだわる。
鎌田 はい。柔道でできるのならば空手でもできないはずがない。一本で勝つのは自分の空手の信条であり生涯をかけて追求するものだと思っているので、それを実行しつつ最後は「一番」が獲りたい。自分の子供の頃からの夢を実現させたいという思いもありますが、例えば今の少年部の子供たちが見て、格好いいな、いつかはああなりたいなと思われるような勝ち方をしたいし、極真空手をより魅力あるものとして子供たちに見せたいという気持ちが強いです。
――他に、鎌田翔平選手のここを見てほしいというようなところはありますか?
鎌田 やはり改定ルールにおける技術の攻防です。普段稽古していて、また実際に試合を経験して感じるのは、極真会館の改定ルールは他の競技にはない新しい格闘スタイルを作り上げる可能性を秘めているということです。一瞬でも気を抜けば勝負が決してしまうというスリリングな試合展開は空手や格闘技を知らない人が見ても面白いと思いますし、自分がその魅力を引き出せるような技術を披露できたらと思っています。
――これまで重ねてきた稽古や経験を総動員しての勝負になりますね。
鎌田 世界大会はすべてが揃わないと絶対に勝ち抜けない場所です。また今回は、木山監督が優勝した第8回大会以来、日本が王座を奪回する最大のチャンスだと自分も思っています。優勝候補と言われる選手はたくさんいますが、自分がその期待に応え、責任を全うできるように頑張ります。
Profile
鎌田翔平 かまだ・しょうへい
1987年5月28日、富山県高岡市出身
2009年千葉県大会優勝
2010年第42回全日本大会8位
2012年第29回全日本ウェイト制軽重量級2位
2013年第5回全世界ウェイト制軽重量級2位
2014年第31回全日本ウェイト制重量級優勝
2014年第45回全日本大会3位
2016年第33回全日本ウェイト制重量級優勝
2016年第48回全日本大会優勝
2017年第6回世界ウェイト制重量級優勝
2017年第49回全日本大会2位
2018年第50回全日本大会2位
東京城西支部、参段
身長186cm、体重95kg、32歳
髙橋佑汰
――髙橋選手にとって大一番となる世界大会が迫ってきました。
髙橋 もう世界大会か、というのが正直な気持ちです。4年に一度の大会ですし、この大会に向けてここまで4年間準備をしてきました。すべての出場選手の世界大会に賭ける思いは、オリンピック競技も含め他のどんな競技にも負けていないと思います。失敗したら次の4年後と、そう簡単に気持ちを切り替えることはできませんし、今回は特に悔いのないように頑張らなければという思いが強いです。
――前回大会後の4年間、髙橋選手は全日本大会で優勝し、またケガなどで苦しんできました。振り返ってみていかがでしょうか。
髙橋 あっという間の4年間でした。前回の世界大会の後、正直に言えば4年後を目指して選手生活を送っていたのではなく“今を生きる”というか、先のことを考えるよりも今を全力で生き抜く思いで過ごしてきました。振り返れば(2017年の)全日本大会で優勝できましたが、若いときには考えられないような怪我をしたり、全日本空手道連盟の方々との交流で貴重な経験をさせていただいたり、また分支部長として道場を新しくオープンしたり、家族が増えたり……これらすべてのことが今の自分の財産になっています。
――公私含め様々な経験を積んだ4年間だったと。
髙橋 やはり空手は人生そのもの。そのすべてが空手家としての自分の糧になっています。川本(英児)師範はじめ東京城北支部の皆さん、道場の生徒や保護者の方々、そして家族。自分一人では絶対にここまで来れませんでしたし、関わるすべての人の理解や支えがあって今があります。本当に感謝の思いしかありません。世界大会で優勝することが、応援してくださる方々への最大の恩返しになると思っています。
――大事な世界大会に向け、昨年全日本からの一年間はどのように過ごしてきましたか。
髙橋 すべてにおいて成長を止めずに来た自信はあります。まず、失敗を繰り返さないことを肝に銘じてきました。例えば昨年の全日本では1回戦のローマン・メシチェリアコフ選手との試合で苦戦し、なんとか勝つことはできましたが、この試合を反省材料にして、組手を変えなければいけないと感じました。今回は昨年と同じような動きは絶対にしないと自分の中で決めていますし、常に新しい自分を模索しながら、成長を止めないように考えて稽古を続けてきました。
――どのあたりをスキルアップしてきたでしょうか。
髙橋 技術や体力面はもちろん底上げしてきましたが、一番こだわってきたのは“心”です。心に余裕をもって戦わなければ勝てない。自分よりも体格が大きい外国人選手と対戦したときなど、心に迷いがあると自分の組手ができなかったり、また焦りが生じたり、調子が悪くなったり、悪循環に陥ってしまいます。それは、まさに心の問題で、自分に自信を持ち、心に余裕を持てれば稽古の動きをそのまま試合で出すことができます。ですから、この一年はできるだけリラックスした状態を保ちながら戦うことを念頭に稽古を続けてきました。
――心の部分を成長させるのは難しいことだと思います。
髙橋 やはり稽古量も必要ですし、普段の生活から「自分はできる」という気持ちで前向きに過ごすことも大事でしょう。稽古や試合の中で自分が良い動きができているときの心の状態と、あっさり負けるときの心の状態というのは明らかに違うので、その変化を自覚しながら、弱気なときはなぜ自分はこういう気持ちになってしまったのか?ということを考え、良いときの心の状態を維持して、誰と稽古をしてもその状態が崩れないように心がけています。
――結局は自分との勝負になる。
髙橋 やはり武道ですから。自分の調子を言い訳にしてはいけないし、武道である以上、どんな状態でも戦えなければいけません。つまり一番の課題は“心”。何事も心ひとつで変えられるんだと信じ、この一年、日々を過ごしてきました。誰と戦ったとしても心を乱さなければ、自ずと結果は出ると思っています。
――誰と戦ってもということですが、この選手と戦いたいという気持ちはありますか。
髙橋 以前はありましたが、今はあまりありません。強いて言うのであれば、過去に負けたキリル・コチュネフ選手やアンドレイ・ルジン選手。また勝ったものの内容の悪かったアショット・ザリヤン選手や先のメシチュリアコフ選手でしょうか。誰が来ても、最終的には自分との勝負ですから。
――ファンの人や関係者は、髙橋選手のライバルと言われている、昨年の全日本チャンピオン・上田幹雄選手との初対決を見たいと思っているはずです。
髙橋 こればかりは何とも言えませんし、状況は常に変化します。例えば優勝した2年前の全日本大会も、仮に自分が違うブロックにいたとしたら、結果はどうなっていたか、また同じように戦えていたかどうかも分かりません。そういう意味では、あのときの自分はまだ弱さがありました。大事なのは、誰と戦っても勝つという気持ち。相性が良いから勝つ、悪いから負ける、ということでは絶対に世界一にはなれません。
――では、どんな戦いがしたいと思っているのでしょうか。
髙橋 かつての自分がそうだったように、世界大会の舞台に立ちたいと思っている子供たちが全国にいます。自分たちはプロではないけれども、見ている人たちに感動や勇気を与えられるような試合がしたいと思っています。例えば少年部だったらいつか自分も世界大会に出たいとか、一般部であれば明日から仕事を頑張ろうとか、そういった何かしら良い影響を与えたい。自分が世界大会の舞台に2回も立つなんて、小学生で空手を始めたときは1ミリも考えていませんでした。道場を運営している指導者として、最初は弱い普通の道場生だった自分でも、稽古を続けたことで変われたんだということを、生徒たちに伝えたい。ですから自分にとって世界大会を戦うことは、指導の一環でもあるんです。次の世代の子供たちに、武道や極真空手の素晴らしさを身をもって伝えていきたいと思っています。
――髙橋選手が指導してきた弟子でもある小林健人選手や弟の扶汰選手が世界大会に共に出場します。
髙橋 初めての感覚で、すごく心強いです。また今回は東京城北支部で稽古している仲間から6名の選手が出場します。彼らの存在は先ほど言った心の部分で、大きな支えになります。
――ぜひ髙橋選手らしい観客を魅了する組手で世界大会を盛り上げ、目指す場所へたどり着いてもらいたいと思います。
髙橋 もちろん4年前より成長した姿を皆さんに見せたいし、自分自身でも戦っていく中でそれを感じていきたいと思います。この大会をこれまでの空手人生の集大成にするつもりで悔いのないように戦いたい。また、空手家として自分は選手として活動しているだけでなく、今は指導者としての立場にも重きを置いています。ですから自分が戦うことで極真会館で学ぶ子供たちが何かを感じてくれたら嬉しいですし、世界大会では指導者としてもしっかり自分の背中を見せて、頂点を目指したいと思います。
Profile
髙橋佑汰 たかはし・ゆうた
1993年3月5日、東京都練馬区出身
2009年国際ユースエリート-80kg級優勝
2010年第27回全日本ウェイト制中量級優勝
2014年第31回全日本ウェイト制軽重量級優勝
2014年第46回全日本大会7位
2015年第11回世界大会ベスト16・技能賞
2016年第33回全日本ウェイト制重量級2位
2016年第48回全日本大会2位
2017年第6回世界ウェイト制軽重量級2位
2017年第49回全日本大会優勝
2018年第50回全日本大会6位
東京城北支部、弐段
身長180cm、体重95kg、26歳
出場予定選手(日本選手)
【第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会】
上田幹雄(神奈川横浜北支部)
鎌田翔平(東京城西支部)
荒田昇毅(千葉中央支部)
髙橋佑汰(東京城北支部)
大澤佳心(東京城西世田谷東支部)
加賀健弘(東京城西支部)
清水祐貴(東京城北支部)
西村界人(東京城北支部)
山川竜馬(東京城北支部)
星龍之介(本部直轄浅草道場)
安島喬平(茨城支部)
髙橋扶汰(東京城北支部)
竹岡拓哉(東京城西支部)
久保英和(広島支部)
小林健人(東京城北支部)
徳田寛大(大阪南支部)
樋口知春(総本部道場)
髙木 信(東京城西世田谷東支部)
長澤大和(北大阪支部)
【2019世界女子空手道選手権大会】
永吉美優(東京城西世田谷東支部)
佐藤七海(東京城西国分寺支部)
本村愛花(東京城東北千住支部)
島田慧巳(本部直轄浅草道場)
小田幸奈(広島支部)
遠藤ひとみ(神奈川横浜北支部)
※組み合わせは極真会館公式サイト参照
概要
大会名 日本赤十字社 災害義援金チャリティー 第12回オープントーナメント全世界空手道選手権大会(同時開催:2019世界女子空手道選手権大会、2019ワールドエリート空手道選手権大会(22日))
日時 2019年11月22日(金)23日(土/祝)24日(日)
会場 武蔵野の森 総合スポーツプラザ(東京都調布市西町290-11/京王線「飛田給」徒歩5分、西武多摩川線「多磨」徒歩20分)
チケット料金
11月22日(金)
A席 4,000円(当日 5,000円/3階自由席)
11月23日(土・祝)
S席 8,000円(当日 9,000円/1階指定席)
A席 5,000円(当日 6,000円/3階指定席)
11月24日(日)
S席 12,000円(当日13,000円/1階指定席)
A席 9,000円(当日10,000円/3階指定席)
B席 5,000円(当日 6,000円/4階自由席)
3日間通し券
SRS席 50,000円(前売り限定/アリーナ席指定席:パンフレット付)
チケット販売 チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、極真会館(郵送orFAX申し込み)、全国各支部・道場
お問い合わせ 国際空手道連盟極真会館(館長・松井章奎) http://www.kyokushinkaikan.org/