INNOVATION 7.15 新宿フェイス:岩浪悠弥「僕らのホーム=INNOVATIONを盛り上げたい」、与座優貴「茶番劇は必要ありません」、6選手直前インタビュー
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INNOVATION「Join Forces-14」(7月15日(月/祝)新宿フェイス)に出場する岩浪悠弥、和斗、宮元啓介、直也、与座優貴、イモト・ボルケーノの6選手のインタビューがINNOVATIONから届いた。
第9試合 INOVATIONスーパーバンタム級(55.34kg)王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
岩浪悠弥(橋本道場/INNOVATIONスーパーバンタム級1位、同バンタム級王者、元同フライ級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者)
和斗(井上道場/INNOVATIONスーパーバンタム級2位)
第8試合 INNOVATIONフェザー級王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
宮元啓介(橋本道場/WPMF世界スーパーバンタム級王者、元WBCムエタイインターナショナルスーパーバンタム級王者、元WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者)
直也(Versus/INNOVATIONフェザー級3位)
第6試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 大将戦 65kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし
与座優貴(橋本道場/極真会館2017全世界ウェイト制軽量級優勝)
イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会/SB日本スーパーライト級7位)
“日本軽量級最強説”岩浪悠弥インタビュー
——現在、INNOVATIONバンタム級王者であり、すでに4冠王でもある岩浪選手が5冠目のタイトルマッチです。
INNOVATION王座の2階級制覇は、僕以外にもT-98選手(現INNOVATIONスーパーウェルター級王者、元同ウェルター級王者)がやりましたけど、3階級制覇は初ですからモチベーション高いです!
——それどころか、現バンタム級チャンピオンのままで1階級上のタイトルを奪取すると同時2階級王者ということになります。通常は、身体の成長に伴い階級をアップするので下の階級のベルトは返上するものですが、岩浪選手はまだバンタム級(53.52kg)でも試合可能?
はい、(身体が大きくなり)来年は厳しいかもしれませんが、バンタム級タイトルも挑戦者が現れればできる限り防衛して、このスーパーバンタム級(55.34kg)と同時王者でいられるようにしたいです。
——相手となる和斗選手は、19歳の新鋭。圧倒的実績を誇る岩浪選手とは、SNSによる勝敗予想(※1)でかなりの大差をつけて優位と見られています。
そう予想していいただけるのは嬉しいですが、和斗選手は9戦7勝2敗の好成績。しかもその2敗は、ハルト(橋本道場所属で天才児の呼び声高い安本晴翔)とリュウト(橋本道場所属、6戦5勝5KO1敗のINNOVATION新人王、中村龍登、現在活動休止中)なわけで、彼らは特別に強いから全然油断はできません。
——実に慎重な構えです。
自分が和斗選手の立場だったらと考えると、全身全霊でリングに上がるのはもちろん、ガンガン前に出てくるでしょうし、予想の倍も強いと想定しています。
——この数年、日本人選手相手に無敗どころかアンタッチャブル(クリーンヒットを許さない)な試合ぶりから“日本軽量級最強説”とまで言われる岩浪選手の強さの秘密は、その盤石な思考にあるような気がします。
日本軽量級最強説……あまりに過ぎたキャッチコピーですが、まだ対戦していない強豪選手は沢山いるので、勝ち続けて言葉に追い付けるようにします!
——和斗戦を勝利でクリアーしたとして、その後、対戦すべき、または戦いたい選手は?
橋本師範(橋本道場、橋本敏彦会長)に組んでいただく相手なら誰でもやるのみですが、最近、RISEでも活躍している鈴木真彦選手は、同じINNOVATION所属ですし、是非、INNOVATION興行でやって盛り上げたいですね! それとバンタム級に落ちるうちは、新日本キックボクシング協会のHIROYUKI選手やムエタイスタイルの小嶋勇貴選手などとできればいいなと。そうだ、INNOVATION所属のタネヨシホ選手もフライ級から上がってきますよね?
——好カードが盛り沢山です。
ヒジ打ちあり、首相撲無制限のキックボクシングであれば、いつでもどこでもやります! ついで5回戦の正統派キックボクシングで!
——RISEやK-1などヒジなし組みなし系ルールは?
それほど器用ではないので、まずは純キックボクシングを極めたいです。しかし、師範からGOサインが出ればいきます!
——55kg前後というとどうしても対ムエタイが鬼門となります?
約3年前に貴・センチャイジム選手に負けて(判定1-2)以来、日本人には負けていませんが(貴・センチャイジムにも2018年7月22日にKO勝ち)、タイ人には3敗しています。僕的にキックボクシングとムエタイは、ほぼ同じものですし、レベルからしてこの階級は「世界の頂点=ムエタイ」ですから、避けて通れるものではありません。大目標として追い続けます! その前に国内選手のトップすべてに勝って(日本軽量級最強)説を証明してから打倒ムエタイに集中できたら最高ですね!
——それと岩浪選手といえば、20戦目までKO勝利がゼロだったところ、2017年8月19日、若月勇磨戦の鮮やかなワンパンチノックアウト以来、KOまたはダウン奪取が頻発するようになりました。
バンタム級に上げてから急に倒せるようになりました。今のところ53kg契約以上の試合では、全部ダウンを獲れています。これまで練習では「パンチ重いよ」と言っていただいていたので、やっと倒すコツが掴めてきた感じです。それまでジム仲間から「どうせ判定でしょ?」とバカにされっぱなしだったので、これからドンドン見返してやります!
——最終的に目指すものは?
小さな頃、弱い自分を変えたくて空手を始めて「強くなりたい!」と願ってここまできました。複数のチャンピオンベルトを巻かせていただき、これからも大きな舞台に立って有名になる機会があるかもしれません。それは望むところですし、どこまでも昇って師範や応援していただいている皆さんに喜んでいただきたいと思います。けれど、“強い”を追い求める芯だけは絶対にブラさず一番大切にしていきます。だからもっともっと強くなりたい! 後は自然な流れに任せます。
——清廉な岩浪選手の印象がより深くなりました。
それとINNOVATION、僕らのホームを盛り上げたいです! INNOVATIONって、橋本道場だけに限らず強くて個性のある良い選手がいっぱいいますから、すごく可能性がある団体だと思います。今は、メジャーなイベントに上がる為のステップアップになりがちで、それが悪いわけではないけど……そう、加藤竜二先輩がTOMONORI選手を後ろ回し蹴りで倒して、町田光先輩が竜誠(現在のリングネームは芦澤竜誠)選手をKOした5年以上前(2013年12月23日)の新宿FACE、チャンピオンカーニバル(正式名称:Innovation champion carnival)、あの会場がパンパンでとてつもない熱気に満ちた神興行、あれを今回みたいな好カードが集まって、選手がベストを尽くせば、再現、いや、超えるものが創れると思うんです! それを僕が先頭切ってやります! まずは、和斗戦、見ていてください!
“予州より狙う王座”和斗インタビュー
——今回、INNOVATIONバンタム級王者、岩浪悠弥選手の同時二階級制覇がかかったスーパーバンタム級王座決定戦で相対する大勝負となりました。
和斗 しっかりと対策して倒す練習をしてきました!
——防御力は国内随一の岩浪選手を倒す攻略法とは?
和斗 それは……。
(インタビュー取材に割り込んできた)井上道場、井上由久会長(※1) 言えないです、それは!
——具体的なお話はトップシークレットで当然ですが、今回の和斗選手の戦いで何に注目してほしいのかなどお聞きしたく。
井上 ここは丹念に組み上げてきた部分なので、ヒントになることも勘弁してください。そうですね、はじめから分かり切っていることですが、あれだけのテクニックと実績があるチャンピオンですから、こちらから倒しに行かねば始まりません。岩浪選手のガードの堅さは重々承知の上で、それを崩して倒しきる仕掛けを用意しています。
——和斗選手、いかがでしょうか?
和斗 前の試合(2019年5月19日、ギャラクシー黒川戦、判定3-0勝ち)も先生(井上会長)に教えていただいた作戦通りに動いて狙い通りの勝ち方ができたので、今回もそれを貫くのみです!
——和斗選手は、同王座の前王者、安本晴翔選手と昨年12月16日に同タイトルを争い敗れはしましたが、高いガードと鋭いハイキックに勝利への断固たる決意が感じられました。
和斗 あの時から二倍は強くなっています!
——改めて和斗選手の戦いで注目点は?
和斗 アグレッシブに攻めまくります。
井上 右のパンチが強いです。肘にもいいものがあって、回転バック肘打ちでKO勝ちしたこともあります。
——なるほど。
井上 しかし、技以上に良いところは、身体能力の高さとハートの強さです。この子は19歳になったばかりですが、毎日、学校ととび職の仕事をこなしながら、黙々と練習を積み重ねてきました。その努力と練り上げた根性が、いかな橋本道場のエリートチャンピオンだろうが打倒すと信じています!
——岩浪選手の高い壁を乗り越えることができた先の展望は?
和斗 まずは、その先のことを考えるよりも岩浪選手を倒してベルトを巻いて親孝行……いや、先生孝行をすることです!
井上 うちには、昔、大麻純一ってMA日本ウェルター級1位までいった選手がおったんですけど、マイナーなタイトルはともかく、堂々たるキックボクシングの王座には届きませんでした。尊敬する橋本道場さんとも幾度も戦ってきましたが、1度だけ大麻が坂本章選手に引き分けたのみで勝ったことがありません。だからこそ、今回は渾身の勝負なんです!
和斗 小学生の頃から指導していいただいた先生と道場の為にも必ずベルトを巻いてみせます!
※1 井上由久会長 愛媛県の井上道場会長の井上氏は、K-1初期のヘビー級全盛時代に参戦し活躍したファイターで、現在、事業家として幅広く活動している。
“空を斬り裂くサイクロン”宮元啓介
——ホームであるJAPAN KICKBOXING INNOVATION興行で同団体タイトルマッチとなったこの一戦、すでに5冠王でベルトを超えた存在感のある“空を斬り裂くサイクロン”としてはいかがなものでしょう?
今、橋本道場でINNOVATION再興計画というか、改めて我が屋を建て直そうみたいな感じでうちの主力がINNOVATION王座を獲りにいってるじゃないですか?
——確かに今回、宮元選手がフェザー級の王座決定戦、橋本悟選手がスーパーライト級の王座決定戦、バンタム級王者の岩浪悠弥選手がスーパーバンタム級の同時二階級制覇狙いの王座決定戦と3つのタイトルマッチがあります。更に今後を予測するにフライ級では、アマ28冠王の15歳“平成最後の怪物”花岡竜がおり、スーパーフライ級に白幡裕星、スーパーフェザー級で安本晴翔選手、ライト級で町田光選手、ウェルター級で与座優貴とチャンピオン有力候補が軒並びで、ほぼ全てのベルトを独占しかねません。
そうやっていっぱい獲っちゃおうって(笑)。するとINNOVATIONの試合レベルが上がって、活性化するってわけです。
——橋本道場発進のINNOVATION富国強兵計画といったところでしょうか?
まずは自分が率先して盛り上げますよ!
——今回の相手は、RIZINにも出場した鳥取県のVERSUS所属、直也選手です。
生で試合を見たことないんですよね。何試合かYouTubeでチェックしましたけど、ぶっちゃけコレってものがないです。パンチもキックも首(組技からのヒジ打ちとヒザ蹴り)もまんべんなくできるけど得意技がわからない。特に警戒する部分はないかなと。
——厳しい評価です。
あ、油断はしていないですよ。勝負は何があるかわからない。これまで色々経験してきましたから。
——それにしても余裕しゃくしゃく?
フェザー級(57.15kg)で減量が楽だし、この階級で3、4試合しているけど負けなしです。それとタイトルマッチだけに5回戦。3ラウンドより5ラウンドが好きなんですよ。スタミナには自信あります。自分の場合、3回戦の方が疲れるんで。
——負ける要素が見当たらない?
いつもやってる練習がエグいですからね。
——どうエグい?
相手の対策を含めたテクニック系はもちろんしますが、最後に追い込みをかける“息上げ”が半端ないです。キツすぎて、皆、死んでます(笑)。
——それだけの練習をもう10年以上継続されているからこその宮元選手だと思います。2012年9月22日、19歳の日下部竜也戦、2016年10月9日、23歳のチューチャイ・ゲーオサムリット戦が宮元選手のベストバウトとして印象深いですが、10代と20代前半の自分と現在26歳の自分が戦った場合、どんなものでしょう?
経験だけじゃなく、パワーやスタミナが段違いで今が最強です。ただ、若いからこその「恐いもの知らず」の気持ちはいつしか薄まってしまったので、ベテランならではのかけひきとイケイケのノーフィアー(恐れ知らず)な勢いを上手くミックスして更に進化したいなとテーマづけてもいます。
——また、師匠である橋本敏彦会長は、Twitterで「(宮元選手が)いつもより沢山回ると言ってます」と書き込まれていましたが、代名詞の回転技や飛び技は?
回り系も飛び系も大技も小技も色々用意しているのでお楽しみに! まだ見せていない空手の技アレンジがあるっちゃーあるので、ビックリもあるかもしれませんよ!
——ムエタイ世界王者(前出のチューチャイ)を三日月蹴りでKOする空手家でもある宮元選手だけに期待大です。閑話休題で、宮元選手のSNSは、昨年、お生まれになった赤ちゃんでいっぱいですね。
今は、子供が人生のすべてになっちゃっています(笑)。手間はかかりますが、こんなに我が子が可愛いだなんて!(デレ)
——そんなパパファイターは、何を目標にいつまで闘い続けるのでしょうか?
現役を何歳まで、何戦までとは決めていません。次が51戦目ですが、100戦やっても、40歳を超えようと、強さが落ちなければやれる限りやるし。そうですね。今回のテーマは、やはり「恐いもの知らずを取り戻す」で、そこで新たな自分が生まれて進化は続くんです。そして、その時、どれほどの高みに辿りついて、どんな風景が見られるのか? 僕にもわかりませんがドキドキワクワクします!
“伯耆国から来る下剋上”直也
——タイトルマッチで大変な強敵、5冠王の“空を斬り裂くサイクロン”宮元啓介選手とタイトルマッチで戦うこととなりました。
強い! 皆が知ってる大物ですからね。ここで宮元選手に勝つことができれば、これまでの無駄な黒星は全部帳消しになるくらいの大金星ですから、全身全霊で勝ちにいきます!
——どのような作戦で?
普通にキックボクシングしたら敵わないことはよく分かっています。色々と考えていますが簡単に言うとこれまでのスタイルを変えていかないと。
——これまでのスタイルとは?
ここ数戦はキレイに戦おうとし過ぎてしまって、自分の良さが出ていなかったので、そこを出していこうと。
——“自分の良さ”とは?
「荒さ」と「気持ち」ですね。
——(2017年8月19日の試合に向けた)以前のインタビューでは、ギラギラした具合で「アグレッシブに手数を出してガンガン倒しに行くファイタースタタイル」と言われていました。
格下の勝てる相手との勝負で負けてしまったりした悔しさが溜まって、持ち味のハングリーさが薄まっていました。そこを取り戻して、かつ新たに変わってみせます!
——昨年8月12日には、RIZINの大舞台で試合(Ryuki戦、3R判定負け)を経験しました。
それまで経験したことのない大規模な演出とか凄かったです。もう一度あの舞台にだって上がりたい。その為には、ここで勝つことが必要です!
——モチベーションは高まるばかりの様子です。
ここから名のある選手を喰いまくって、RIZINやRISE、KNOCK OUTとか大きな舞台に上がりまくってみせます!
“令和最初の怪物”与座優貴
——「極真世界王者のキックボクシング転向」は、どうしても注目されるところですが、目下3戦3勝と順調に全勝街道を進んでいます。
相手選手を全員格上と思ってリングに上がらせていただいておりますが、「もう3戦」より「まだ3戦」の感じが強いです。
——キックボクサーとして馴染みはいかがでしょう?
1戦1戦大幅に成長で来ている感触があります。
——プロデビューが今年3月31日、5月19日、6月9日と相当なハイペースで試合をされています(平均的なキックボクサーの年間試合数は3~4試合)。
空手時代は、4か月から半年に1度、1日に5試合以上戦うトーナメントがありましたから、自分的に急ペースではないです。毎月試合くらいが練習のモチベーションや緊張感も維持できるので良い具合です。
——極真世界王者の肩書は、キックボクシングと別競技にしても強大なわけですが、その自意識は?
そんなプライドは全然ないです。橋本道場に入門して約半年、今も知らないことだらけで新鮮な学びの毎日ですから。キックで活かせる空手があるにせよ、首相撲の基本的な掴み方ひとつまだできていないくらいです。
——先ほどから話しぶりが非常に丁寧で言葉が謙虚なことに感心します。
謙虚ですか? そんな意識もありません。思えば、極真時代、全日本王者の安島喬平先輩などの背中を見て育ったので、自然と倣ったところはあるかもしれません。
——そう言えば、Twitterで試合前のディスりあいというかトラッシュトークのパフォーマンスを否定されていました。
そういうのは自分の場合、まったく要りません。試合内容で魅せていきたいです。
——3戦目の耀識(ヨシキ)戦では、相手からかなり挑発されました。
プロとしてそこで演じなければならないこともあるのかもしれませんが、自分は本気でイライラしてしまうので、苦手というか無理です。おでこを突き合わせての睨みとかされそうになったら本気で手が出てしまいそうで。人それぞれだとは思いますが自分に茶番劇は必要ありません。見ている人がスッキリするようなKO劇こそが自分の味だと注目してください。
——なるほど、アウトオブリングで様々なパフォーマンスが花盛りの昨今、気持ちよいほどの王道です。
けど、ひとつ言わせてください。耀識選手は、プロとして挑発パフォーマンスをしかけられましたが、試合後、泣きじゃくっている自分に「勝ったのだから胸を張って」と言葉をかけてくれた素晴らしい選手でした。プロの在り方は違っても試合後のノーサイドはしっかりとあったことは知っておいていただきたいです。
——試合直後に泣きじゃくられていた?
試合前に「倒す!」と断言しておいて判定決着で嘘をついてしまい、試合内容も全然納得いかないし、それでいながらなんとか勝つことができて「生き残れた」という安堵もありと色々な感情が渦巻いたら涙が止まりませんでした。
——なんとピュアな涙でしょう。
お恥ずかしい限りです。
——そんな与座選手は、90年代のK-1で極真世界王者のフランシスコ・フィリオ(※1)がそうであったように空手道の実績ですぐにトップステージに立つのではなく、こつこつと通常の階段を上られているところが、80年代、極真出身の名選手、竹山晴友(※2)に重なる部分があります。
恐縮ではありますが、先輩方はともかく、自分はとにかくゼロからスタートしたかったので、橋本師範(橋本道場、橋本敏彦会長)に希望通りの道を拓いていただいて感謝しております。
——フィリオや竹山のような大選手になるといった目標は?
誰に憧れてそうなりたいというのはありません。ただ、常に挑戦し続けて、その時々についてくる結果で評価していただければ。何かのチャンピオンになることがゴールではなく、懸命に努力した結果、どこまでいけるかの勝負です。
——現在、所属する橋本道場との相性が抜群に伺えます。
技術的には、空手の蹴り方を否定してキックボクシング的に矯正するといったことはなく、そこからプラスアルファを指導していただけるので、自分にとって最適です。そして、かけがえのないジムメイト。今現在、毎日、親兄弟や友人よりも長く濃い時間を過ごしているわけで、仲間というより家族です。目標はそれぞれ違っていても練習や試合前にひとつになる控室の雰囲気とか独特で大好きです。
——さて、目前に迫った7月15日は、INNOVATION×シュートボクシングの大将戦で、SB日本ランカー、イモト・ボルケーノとの一戦となりました。
試合のVTRを見せていただいていますが、これまでの相手で一番強いだろうと思いました。
——強敵として高評価?
強い相手である方が楽しいので喜ばしいことです。けど、大丈夫です。
——プロ2戦目は、目の覚めるような二段蹴りの大技KO(※3)が飛び出ましたが、4戦目はどんな試合になるでしょう?
空手で出していない技はまだ沢山あるのでお楽しみに。スパーでは出せているので、あとは本番のリング上で表現できれば。それと基本スタイルも試してみたいことがあります。空手時代はステップを使ってリズミカルに軽い動きもしていましたが、この3戦は、あえて腰を鎮めてどっしりと構えています。ヨードレックペット(※4)のイメージですね。そこを場合によってはアレンジするかもしれません。
——団対抗戦に関しては?
大将に選んでいただいて光栄です。自分はそういったプレッシャーがあっても緊張しないタイプなので、自分のできる最高の動きが発揮できるよう全力を注ぎます。
——契約体重について、空手では70kg以下の軽量級で世界王者となり、無差別級の試合も数多経験されていますが、今回は65kg契約です。
これまでスーパーライト級(63.5kg)で試合していたので楽に感じます。体重に関しては、空手で身長2m、体重100kgを相手にしてきたので何でも大丈夫です。
——流石は“令和最初の怪物”ですね。
そのキャッチコピーですが……。
——同門のアマチュア28冠王、花岡竜のプロデビュー時に打ち出された“平成最後の怪物”と対にして表現されたものですが、大仰でお気に召しませんでしたか?
いえ、過分なことで恐縮ですが嬉しいです!(ニコリ)
※1 フランシスコ・フィリオ 第7回全世界空手道選手権大会優勝、100人組手達成など最強の呼び声高い極真空手家のフィリオのK-1登場はセンセーショナルなニュースだったが、デビュー戦で同じく極真出身のK-1看板スター、アンディ・フグを一撃KOした衝撃は格闘技史上指折りの事件だった。その後、フィリオは、空手道も追求しながら圧倒的な存在感と実績を全盛期のK-1で振り撒いた。
※2 竹山晴友 極真空手創設者、大山倍達総裁存命時に極真会館本部から数々の実績を残し、その鬼気迫る鍛錬からシンボリックな存在でもあった竹山が、道場の先輩にあたる(空手家からキックボクサー、ボクサーとしても活躍した)大沢昇を師としてキックボクシングに転向したことは、80年代キックのビッグニュースだったが、試合は飛び級デビューや下駄を履かせた扱いを望むことなく、いち選手としてコツコツと勝ち続け(デビュー以来13連続KO勝利)、数年で当時の看板スターとなった。
※3 二段蹴りの大技KO 以下のURLで閲覧できる試合動画の5分20秒あたりから確認できる。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_2coeDUtI&t=4s
※4 ヨードレックペット 現代ムエタイの最高峰に鎮座するヨードレックペット・オー・ピティサックは、数々のタイトルや年間MVPを獲得し、2019年4月29日、KING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメントで優勝した。低身長で短リーチながら強靭な体幹とタフネス、パワーを誇るムエマッド(タイ語:ファイタータイプ)。
“SB大将”イモト・ボルケーノインタビュー
——シュートボクシング×INNOVATIONの団体対抗戦の大将として、元極真空手世界王者という強大な肩書を持つプロキックボクシング3戦3勝の与座優貴選手が相手となりました。
あんまり相手が世界チャンピオンだとか気にしてはいません。
——与座選手のことは研究されていますか?
2試合、動画を見ました。蹴りの選手だなと。
——別競技とはいえ、厚い選手層を誇る極真空手の頂点を極めたスキルに関しては?
長所は当然ありますよね。当然、自分にだってあります。短所も同様です。フルコンタクト空手で沢山の試合を経験してきたかもしれませんが、こちらは幼稚園からジムに通って柔術もしていましたし、キャリアに差を感じてはいません。プロのリングに関してなら、まだ3戦なわけですから(イモトは9戦)。
——INNOVATION初登場のイモト選手は、どんなファイターなのでしょう?
ずっと前に出続けます。やり辛いんじゃないかな?
——得意技は?
今回はジャブしか練習していません。これまでの試合で奪ったダウンは、すべて右ストレートでした。ですが、蹴りにせよ何にせよ倒れるように鍛え上げています。
——誇り高きシュートボクシング軍団の大将としていかがでしょう?
選んでいただいたことにまず感謝です。自分がしっかり勝つのは当然のこととしてチームとしての勝利ももぎ取りたいですね。
——20歳のイモト選手、今後の展望は?
本拠のシュートボクシングはもちろん、これを機に色んな団体に出てみたいです。水落洋祐(※1)選手が好きなのですが、それこそどこかで対戦できるようになりたいなと。
※1 水落洋祐 この10年以上もの間、激闘派キックボクサーの代表格を務める名王者。勝敗を超えたベストバウトを多数闘い抜き、KNOCK OUTでの活躍は特に目覚ましく“ボルケーノ(英語:火山)”の異名を持つ。イモト・ボルケーノのリングネームの由来は、もしかして……?
対戦カード
第12試合 INNOVATIONスーパーライト級王座決定戦 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 大将戦 3分5回戦(延長1R)
橋本 悟(橋本道場/INNOVATIONスーパーライト級2位、MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者)
潘 隆成(クロスポイント吉祥寺/INNOVATIONスーパーライト級1位、元WPMF日本スーパーライト級王者)
第11試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 中堅戦 67.5kg契約 3分3回戦
番長 兇侍(Hardworker/INNOVATIONウェルター級王者)
UMA(K&K BOXING CLUB/元REBELS65㎏王者 )
第10試合 INNOVATION×REBELS 3vs3対抗戦 58.5kg契約 3分3R
久井 淳平(多田ジム/INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/ILFJ認定ラウェイ王者、元WPMF 日本スーパーバンタム級王者)
第9試合 INOVATIONスーパーバンタム級(55.34kg)王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
岩浪 悠弥(橋本道場/INNOVATIONスーパーバンタム級1位、同バンタム級王者、元同フライ級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者)
和斗(井上道場/INNOVATIONスーパーバンタム級2位)
第8試合 INNOVATIONフェザー級王座決定戦 3分5回戦(延長1R)
宮元 啓介(橋本道場/WPMF世界スーパーバンタム級王者、元WBCムエタイインターナショナルスーパーバンタム級王者、元WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元MA日本スーパーバンタム級王者)
直也(Versus/INNOVATIONフェザー級3位)
第7試合 INNOVATIONスーパーフェザー級挑戦者決定トーナメント決勝戦 3分5回戦(延長1R)
櫻井 健(Hardworker/INNOVATIONスーパーフェザー級1位)
マサル(MONKEY☆MAGIC/INNOVATIONスーパーフェザー級4位)
第6試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 大将戦 65kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし
与座 優貴(橋本道場/極真会館2017全世界ウェイト制軽量級優勝)
イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会/SB日本スーパーライト級7位)
第5試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 中堅戦 62.5kg契約 3分3回戦 ※肘打ちなし
紀州のマルちゃん(武勇会/INNOVATIONライト級9位)
土佐丸(シュートボクシング摂津富田ジム/シュートボクシング協会)
第4試合 INNOVATION×シュートボクシング 3vs3対抗戦 先鋒戦 56kg契約 2分3回戦 ※肘打ちなし
遊羅(マイウェイスピリッツ)
翔汰(Sublime guys)
第3試合 INNOVATIONフライ級(50.8kg)INNOVATIONランキング査定及びルンピニージャパン認定マッチ 3分3回戦
花岡 竜(橋本道場/アマチュア28冠王)
平松 侑(岡山ジム/INNOVATIONフライ級7位)
第2試合 ジム対抗戦 スーパーフライ級(52.16kg) ルンピニージャパン認定マッチ 3分3回戦
光喜(マイウェイジム)
スダ456(BRING IT ONパラエストラAKK)
第1試合 INNOVATIONフェザー級(5715kg)INNOVATIONランキング査定及びルンピニージャパン認定マッチ 3分3回戦
井上 竜太(Hardworker)
真田 貴望(武勇会/INNOVATIONフェザー級10位)
概要
大会名 Join Forces-14
日時 2019年7月15日(月/祝) 16:30開場 16:45開始予定
会場 新宿FACE(東京都新宿区歌舞伎町1-20-1 ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町7F)
チケット料金 RS席 12,000円 S席 8,000円(完売) A席 6,000円(完売) 自由席 5,000円 ※当日券は500円UP
チケット販売 チケットぴあ、参加各ジム・各選手
お問い合わせ INNOVATION事務局 TEL 043-247-0112 http://kick-innovation.com/
INNOVATION 7.15 新宿フェイス:INNOVATION×REBELS対抗戦 橋本悟×潘隆成、番長兇侍×UMA、久井淳平×浜本“キャット”雄大 直前インタビュー