青木真也×二重作拓也 格闘技医学トーク (1) 格闘技は社会的に徳俵ギリギリのところで成り立っている
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青木真也Youtubeチャンネルで、青木と“格闘技ドクター”二重作拓也氏の対談が実現した。
青木の知人がアマチュアの格闘技大会に出場しハイキックをもらってKO負けした際、セコンドの青木が取った安全対策を、ソーシャルメディアを通じて知った二重作氏が絶賛したことがきっかけで実現した今回の対談。
青木は「そもそも格闘技って、僕は『スポーツではない』と思っているんですよ」「本来やってはいけないことを、体重を合わせ、メディカルチェックをし、ルールを作り、それっぽい体(てい)を作って社会に認めさせている」「徳俵いっぱい、ギリギリのところにいるという認識がないとまずい」という基本認識を示し、「徳俵」の外に出ないための安全対策の重要性を二重作氏と共に掘り下げた。例え周りから「面倒くせえ」と思われても勇気を持って医学的に正しい対応をすること、知識を深めることの重要性を説いている。
全てはこの、格闘技の文化を守るため。バウトレビューでは2人の考えに共鳴し、2人の承諾を得て、対談内容を4回に分けてたっぷりお届けする。
二重作拓也氏は1973年生まれ。極真空手の全日本ウェイト制大会に出場した実績がある格闘技の実践者でありつつ、高知医科大学医学部を卒業し、リングドクター、チームドクターの経験とスポーツ医学の臨床経験から「格闘技医学」を提唱する。
ハイキックに最適な関節の角度といった格闘技テクニックを医学的に解説し、パンチドランカー予防策も紹介する「Dr.Fの格闘技医学 第2版」(秀和システム)等の著作がある。2019年には糸井重里との対談(ほぼ日刊イトイ新聞)、23年には田原総一朗との対談(Youtube)といった、各界の著名人とのコラボ―レーションも行ってきた。
衆議院の緒方林太郎議員とは福岡県立東筑高校の同級生で、昨年2月、緒形議員が衆議院予算委員会で子供の格闘技の安全対策を阿部俊子・文部科学大臣に提案した際にも、質疑内容の整理で協力した。
Xのアカウントでも積極的に格闘技医学の情報を発信。3月、青木真也とXでのやり取りを通じ接点を持ち、今回初対面した。
青木 ごっちゃんし!今回は青木真也が安全方面の話をわーわー騒ぐということで。たまたま僕の友人が先日(アマチュアの)“金持ち格闘技ファイト”に出まして。セコンドに付いたところ、ハイキックでぶっ倒されて。その時は顎が折れたのかわからなかったんですけど、失神ノックアウトされて病院に搬送されるという事案が起こったんです。そのあとたまたま二重作先生とTwitter(=X)上でやり取りして、今回の対談に至りました。今回は「格闘技における安全」という話を、ドクターとしていこうというテーマです。
二重作 よろしくお願いいたします。
青木 二重作“先生”って言ったらいいんですかね。
二重作 一応、世の中では「格闘技ドクター」と呼ばれていまして。格闘技方面だと、一つのリングドクターだけを突き詰めたタイプではなく、いろんなポジションを経験しています。もともとは(フルコンタクト)空手のジュニア選手から始まっているんです。高校の時にある流派で二段を取って試合をしていたんですが、アメリカに行って大きなアフリカ系アメリカ人にぶっ倒されちゃって。「このままでは勝てない、人間のことを勉強しよう」と思って医学部に行ってしまったという、その時点ではボタンを掛け違えてしまった人です。
青木 パフォーマンスをアップするための医療から、安全面まで幅広く触ってこられましたよね。俗に言うリングドクターだけの立ち位置ではないですよね。
二重作 リングドクターとしては、前田日明さんのリングスや、アントニオ猪木さんのUFOの東京ドーム大会も担当しました。目の前で菊田早苗選手とアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが戦って、まさかのパンチでKOされた時も僕がリングドクターでしたね。
青木 菊田早苗がGRABAKAの資本金を作った試合ですね(笑)。
青木 まずは、格闘技に対する安全という話をしていこうと思います。どうですか?格闘技の安全?
二重作 一言で言うと「やばい」ですね。まず、実際に後遺症に苦しまれている方はかなりの数いるんですが、業界の外に出てしまうので、分からないんですよね。
青木 (業界全体を統括する)連盟もないですし(引退後の動向を)追えてないってのもある。後遺症って、実際にはどういうものですか?
二重作 いろいろありますが、やはりパンチドランカー、英語でCTE、慢性外傷性脳症ですね(=複数回の頭部外傷に起因して進行性の脳細胞の変性が起きる病気)。OBでも「この人はそうだろうな」という人がたくさんいます。リングの上で目に見える形での事故は少なくても、引退後に様々な問題を抱えて…。
青木 その後に自殺してしまったり、ダメージが原因で突然心臓が止まってしまったりするケースはあるということですよね。
二重作 報告義務もないし、幅広くデータを取っている人もたぶんいないから、よくわからないままここまで来ています。
青木 「分からないほうがいい」というか、あえて見ないようにしている部分もありますよね。
青木 そもそも格闘技って、僕は「スポーツではない」と思っているんですよ。スポーツという建前を作ることで、社会と認め合っている。本来は、僕と二重作さんが裸でグローブをつけて「気に入らないからぶっ飛ばす」ということを人に見せて商売にしているわけじゃないですか。本来やってはいけないことを、体重を合わせ、メディカルチェックをし、ルールを作り、それっぽい体(てい)を作って社会に認めさせている。僕はそれを「社会と握り合う」と表現しているんですが、その「握り合い」があるゆえに格闘技がスポーツとして認められている。空手における道着もそうで、道着を着て帯をしているから子供にもさせられる。
二重作 はい。「青少年育成」みたいな。
青木 「武道」と言えているけど、やっていることは“ファイト”“戦い”なんです。それを社会と握り合うためにルールや道着がある。格闘技がこれだけメジャーになると、ボクシングも含めてみんな「スポーツ」だと思っている。
二重作 その話は実はすごく重要で、英語圏では「スポーツ」と「コンバットスポーツ」を明確に分けています。MMAはコンバットスポーツ、テコンドーはスポーツといった具合に。フルコンタクト空手は、武道と名乗りつつも海外ではコンバットスポーツと見なされます。コンバットスポーツは基本的にノックアウトや絞め・関節技が許されているもので、法的な差が明確です。でも日本はそこがすごくファジーな国なので。
青木 曖昧ですよね。
二重作 武道と名乗りながら、海外に行けばコンバットスポーツ。日本でも、よーいドンで始まる以上はルールのあるスポーツに見えますが、中身はコンバットスポーツです。今はその派生がいっぱいある。
青木 スポーツっぽく見せているけれど、みんな安全面に対する危機意識が薄いですよね。ボクシングだって、ルールがセットされ、ドクターがいて、安全が担保されているからこそ許されている。ドクターの体制ができていなかったら、もう終わると思うんです。コンバットスポーツ、ファイトスポーツは、徳俵いっぱい、ギリギリのところにいるという認識がないとまずいと思っているんですよね。(第2回に続く)
青木真也×二重作拓也 格闘技医学トーク (2) たとえ周りから「青木、面倒くせえ」と思われても。医学的に正しい対処法・手順を知ることの重要性




