子供のスポーツでの安全確保対策について阿部俊子文科相「対応を整理し速やかに実行に移したい」。緒方林太郎議員の質疑に格闘技ドクター二重作拓也氏が「二人三脚」で協力
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2025年2月27日の衆議院予算委員会第四分科会において、緒方林太郎・衆議院議員(有志の会)が、子供の格闘技での事故の現状について説明しつつ、子供のスポーツでの事故による脳などへの後遺症を防ぐためのガイドライン整備を阿部俊子・文部科学大臣に提案した。
阿部大臣は「大会指導現場における安全確保の実態等について調査をしっかりとさせていただき、必要な対策に対して早期に検討を進めさせていただきたい。その上でガイドラインの作成という手段も含めて、必要な対応を整理し、速やかに実行に移したい」と答えた。
緒方議員は同日夜のInstagramに「答弁はほぼ満額回答でした」と記し、この問題に緒形議員と「二人三脚」で取り組み委員会を傍聴した医師の二重作(ふたえさく)拓也氏も「大臣から返ってきたのは、迷いのない力強い答弁だった」と高く評価した。
子供のスポーツでの安全確保対策について阿部俊子文科相「対応を整理し速やかに実行に移したい」
緒方議員のYoutubeチャンネルにその日の委員会の様子がアップされており、安全対策についてのやりとりは冒頭の約6分間に行われた。衆議院インターネット審議中継のサイトのライブラリにも残っている。
冒頭で緒方議員は「2005年度以降の学校事故で亡くなった子供1614人、何らかの障害が残った子供715人というデータがございます。運動中の心臓、循環器系での突然死であるとか、熱中症での死亡等あるそうでございます。また、フルコンタクトの空手とかキックボクシング、ボクシング、総合格闘技等、習い事としてのコンタクトスポーツの低年齢化が進行をいたしております。動画投稿サイトには、2歳の子供が空手の試合で蹴られて転倒する映像とか、小学生同士が練習で心臓の上を殴り合う映像とか、骨が未完成で命のリスクがある映像が多数見られます。昨年11月には小学生が反則攻撃で意識を失い動けなくなった、そして周囲の大人がその状況をしばらく放置するという映像が話題になりました。私自身、柔道をやるんですけども、かつてフランスに住んでまして、フランスにおいて柔道で人が亡くなるというのは、私からすると全く想像ができないですけれども、日本では、亡くなる方がやっぱり歴史的に見ておられるということなんですね」と、子供の格闘技での事故の現状について説明した。
厚生労働省に対して緒方議員は「子供の脳とか脊髄、頸椎、腰椎とか心臓といった、そういう部位に対する衝撃はその後の成長に大きな悪影響を与えるのではないか」と質問すると、厚生労働省の野村知司・社会援護局障害保健福祉部長は「幼少期を含めて脳などに打撃を受けることによって、生命を失う危険性があります。さらに生命を失わずとも、その後遺症として、身体や精神に障害が生じる可能性がございます。脳を損傷した場合には、それに起因して、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知の障害が生じ、いわゆる高次脳機能障害となる場合もあると承知しております」との認識を示した。
続けて緒方議員は「我が国において少なくともスポーツで子供の命が失われるとか、あるいは長期にわたって機能障害が残るとか、そういう事例はゼロを目指すべきだと思います。その実現に向けてスポーツ庁、さらには場合によっては厚生労働省の知見も得ながら、教育、啓蒙等を含むガイドライン整備が必要なのではないかと思います。特定のスポーツ競技ということでなく、分野横断的に、2歳児・3歳児はこういうことは控えるべきであるとか、競技横断的なガイドラインが必要なのではないかと私は思います。大臣、看護師であります。この件、わかっていただけると思います。大臣の力強い答弁を求めたいと思います」と、阿部文科大臣に提案した。
阿部文科大臣は「スポーツにおける安全の確保、本当に重要でございまして、スポーツ団体等に対しまして安全対策を促す仕組みを整備することは大変重要であると私も考えております。文部科学省といたしましては、スポーツ団体またスポーツ大会関係者また指導者等による取り組みが適切かつ確実に行われるように、大会指導現場における安全確保の実態等について調査をしっかりとさせていただき、必要な対策に対して早期に検討を進めさせていただきたいと思います。その上で委員御指摘のガイドラインの作成という手段も含めて、文部科学省として必要な対応を整理をいたしまして、速やかに実行に移したいと考えています」と答えた。
阿部文科大臣の回答を聞いた緒方議員は「大臣ありがとうございます。本当にその答弁を待ち望んでおりました」と感謝を述べた。自身の同日夜のInstagramにおいても「答弁はほぼ満額回答でした」「これで動き出すと思います」と記している。
格闘技ドクター二重作拓也氏も「二人三脚」で緒方議員に協力
また、Instagramで緒方議員は「福岡県立東筑高校同級生の医師である二重作拓也さんと二人三脚でやって来ました(今日は傍聴人で来てもらいました)。子どもがスポーツをすることで亡くなったり、機能障害を負ったりすることのないよう、競技横断的なガイドラインを作るべき、という議論を二人でしてきました。二人で整理した問題意識をあべ文部科学大臣にぶつけました」と、この質疑に至った経緯を説明した。緒方議員は質疑の最後に二重作氏について言及し「K-1のリングドクターをやったりして、こういった問題を間近で見ている人間です」等と紹介していた。
二重作氏は極真空手の全日本ウェイト制大会に出場した実績がある格闘技の実践者でありつつ、高知医科大学医学部を卒業し、リングドクター、チームドクターの経験とスポーツ医学の臨床経験から「格闘技医学」を提唱する。格闘技専門誌「Fight&Life」では連載を担当。ハイキックに最適な関節の角度といった格闘技テクニックを医学的に解説し、パンチドランカー予防策も紹介する「Dr.Fの格闘技医学 第2版」(秀和システム)等の著作がある。糸井重里との対談(ほぼ日刊イトイ新聞)、田原総一朗との対談(Youtube)といった、各界の著名人とのコラボ―レーションも増えている。緒方議員が国に対して投げかけた、子供の格闘技の安全問題について、以前からXのアカウント等で頻繁に情報発信し、1月には「SNS医療のカタチ」Youtubeチャンネルにおいて詳しく説明していた。(下動画)
二重作氏は委員会の翌日の28日のnoteの投稿でこの出来事を報告し、「看護師でもある大臣は、医療と教育の架け橋となれる経験と知識を有しており、何よりも『命の尊さ』を実感してきたお立場だろう。緒方議員のメッセージに呼応するかのように、あべ俊子大臣から返ってきたのは、迷いのない力強い答弁だった」「大臣、議員、そして官僚。ここには分断はなかった。それぞれの立場からベストを尽くして、子供たちの、格闘技や武道を含めたスポーツを、習い事や教育の現場を、『より良くしていきましょう』という宣言のような、確認のような時間に僕は感じられた」と高く評価し「自動車を運転するときはシートベルトが必須なように。エアバッグで救われた命が増えたように。飲酒運転は『あってはならない』がデフォルトのように。格闘技を、武道を、スポーツを無暗に禁止・規制する方向ではなく、より健康で、より安全で、より広く、より長く、より深く愛されるものに再構築していきませんか?命と健康を守る身体文化に高めていきませんか?そんな方向性で進んでいくだろう」と今後の展開への期待を記した。答弁後、二重作氏は阿部文科大臣と挨拶し、大臣は「いろいろ勉強させてください」と話したとのことだ。
格闘技、武道関係の皆様へ。
命を守るーーーこれは技術以前に大切なことです。心臓震盪や脳損傷から命を守るのは、見えない打撃でも、ビックリする達人技でもなく、正しい医学知識です。
練習、試合、鍛錬で養った強いハートを、格闘技・武道の未来のために。
もちろん僕も共に走ります! https://t.co/GCB9wLZlB2
— 二重作 拓也 (@takuyafutaesaku) March 3, 2025