ONE 8.3 ルンピニー:ムエタイの聖地で日本MMAストロー級強豪対決、山北渓人「ボカン戦の負けは僕のマインドを良い風に変えてくれた」×猿田洋祐「経験を活かした戦略と新しい技術を出し、キツい展開に持ち込んで勝つ」
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ONE Fight Night 24(8月3日(土)タイ・バンコク・ルンピニースタジアム)で対戦する山北渓人と猿田洋祐のインタビューがONEから届いた。大会の模様はU-NEXTにて同日午前9時より生放送される。山北と猿田の試合は第5試合となる模様だ。
MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We/元パンクラス同級王者)
猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS/元ONE&修斗同級王者)
ムエタイの聖地・ルンピニースタジアムのリングで、日本のMMAストロー級の実力者同士の一戦が実現する。
山北は試合翌日の8月4日にで28歳になる。レスリングをベースとし、20年2月にMMAプロデビューし、22年7月、北方大地に判定勝ちしパンクラス・ストロー級王者となる。昨年3月にONEに初参戦し元ONEストロー級王者・アレックス・シウバに判定勝ち。今年1月の有明大会で2位のボカン・マスンヤネに判定負けし、プロデビュー以来の連勝が8で止まった。3月のカタール大会で早速再起戦が用意されると、ジェレミー・ミアドに1Rブルドッグチョークで一本勝ちしている。
猿田は37歳。21年9月、ジョシュア・パシオのストロー級王座に挑戦し1R TKO負け。22年4月にグスタボ・バラートに判定負けした。その後、自身のジム「FIGHT BEAT WORKOUT」を出身地の埼玉県川口市にオープンした影響もあってブランクが続き、2月のONE Fight Night 19ルンピニー大会で5位のマンスール・マラチエフと対戦し、ギロチンでチャンスを作ったが、接戦の末に判定負けしている。
ストロー級王座戦線は、3月のカタール大会で王者・ジャレッド・ブルックスに1位のパシオが挑戦したが、ブルックスがスープレックスで頭部から落とす反則を犯してパシオが試合続行不可能となり、パシオが反則勝ちで新王者となった。
8月3日の大会のメインイベントでは、1位のブルックスと2位のボカン・マスンヤネによる暫定王者決定戦が行われるため、山北と猿田は今後の上位戦線進出に向けてちょうどいいアピールタイミングとなる。
山北渓人、猿田洋祐との日本人対決に「構図としては修斗対パンクラス、これぞストロー級にしか出来ない最高の試合に」=『ONE Fight Night 24』
―― 現在のコンディションは?
「いつも、いつも通りですが、減量は考えずに勝手に落ちています。動きもすごく良いです。周りからも仕上がっていると言われてます!」
―― 今回の対戦相手の猿田選手について、いつか戦う相手と前からイメージしていましたか。
「ONEに参戦し始めた頃から同じ階級なので意識はしていましたし、僕がONE参戦する前からもやはり見ていて。強い選手で目指さないといけない存在とずっと思っていました」
―― 選手としての印象は。
「やっぱり組みが強いイメージでレスリングもちゃんと強いし、体操出身ということで身体能力もあってバランスすごい。それで柔術も強く打撃もできて本当、全部できる選手だなって思います」
―― このインタビューを行う前、猿田選手にインタビューをしたのですが、猿田選手も今と同じ印象を山北選手に対し思っていました。
「以前に猿田さんが、僕について猿田選手と前チャンピオンの(内藤)のび太選手を掛け合わせたみたいな、いいとこ取りしたみたいな選手と言ってくださって、それを耳にしてすごい嬉しかったし、自分もタイプ的にもまさにそんな感じかなとも思っていました」
―― ONEという海外選手と戦う機会が多い中で、早い段階で日本人対決となりましたが、何か意識することありますか。
「確かに、想像していたよりは早めに来たなって思いました。でも世界一を目指している者同士なので、いつかは当たるだろうと思っていましたし、日本人対決は、出来ればやらないかなと思っていましたが、実際、やるってなったら、相手も強い選手なので素直に嬉しかったです。僕の中で猿田選手がストロー級の日本人選手の中では一番強いと思っているので、その選手と試合できるとこまで来たのかと、嬉しいです」
―― 今回の試合、ファン目線的には、“山北選手がONEの元世界王者に挑む”と“パンクラスvs修斗の王者対決”という構図がありますが、その辺りは意識しますか。
「構図としては修斗対パンクラスというのが、わかりやすいなと思っていて。このパンクラスの2代目王者の北方(大地)選手が猿田選手にやられているので、ここは3代目の僕が取り返さないと。」
―― フィニッシュはパウンドアウトですか?
(※2019年10月のONE日本大会、修斗・パンクラスの王者対抗戦で、猿田は北方にグランドパンチで2R TKO勝利を飾っている。)
「そうですね。やっぱり“やられた分は”って感じです。」
―― 言える範囲でお願いします。猿田選手に対しての警戒点は何でしょうか?
「投げ、パンチもしっかり振ってくるし、倒してもくる。試合見ていて、すごいパンチを振ってくるなって思いましたが、今回も打撃面はいつも通りしっかり仕上げてくると思うし。後はやっぱり組みですね。結構、トップが強く、上を取るとかなり強い選手だと思うので。もし上を取られたら、ずっと動き続ける練習を今回はたくさんしてきました」
―― その上で、自身がイメージする試合展開、もしくは理想的なフィニッシュの形があったら教えてください。
「猿田選手はあまり一本負けしている選手じゃないと思うので、そういう選手から一本を取ってみたい。ただ、テイクダウンを取るのも手こずるかなと想定しているので、打撃の展開もしっかりあると考えています」
―― 猿田選手はスクランブル合戦のきつい試合になるだろうと予想していましたが、いかがですか。
「前回のマラチエフ戦を見たのですが、やっぱり凄く動きますね。僕もすごく動くタイプなので、やっぱり見ていて面白い試合になると思います。噛み合うと思います。これぞストロー級、軽量級っていうような感じの試合になると思います」
―― 猿田選手は現在、数字的には3連敗の状態ですが、ただ敗れたものの、マラチエフ戦では善戦していました。この辺りどう思いますか?
「確かに、ランキングとか数字的には落ちている感じになっていると思うのですが、実質の強さは全く落ちてないと思っています。仮にあるとしたら、負けている中でダメージはあるのかなと。その分は自分にアドバンテージになるのかもしれません」
―― ONE参戦からの自身の試合やパフォーマンスをどう評価していますか?
「3試合して3戦2勝1敗です。日本大会で負けてしまったのですが、僕的には日本大会でランキング2位のボカンと戦いましたが、もしその時勝っていれば、(近く)タイトルマッチをやるのかなって思っていたので、あそこで落としちゃったんで、ちょっと遠回りしたなって思っています。でもその後のミアド戦で快勝出来たので、なんとか立て直したんじゃないかなって思います」
―― 日本大会でボカンに負けてからわずか1ヶ月後にミアドに一本勝ち。この期間の心理状態はどうだったのですか。
「負けてちょっと落ち込んでいたんですけど、そのタイミングでオファーをくれて、これはチャンスだなと思って。そこで(所属先のMe,Weの山崎剛)代表と相談して、代表もやろうって感じになっていたんで、怪我とかもそんなになかったんで、それで受けました。ボカン戦では上手くやろうとしてちょっと落ち着きすぎて戦っていたので、僕の良い部分のガツガツした感じとか、全然出せていなくて、ミアド戦では練習からそこを取り戻すことができたし、試合でも良いイメージで戦えたので、勝っている時の自分を取り戻せたって感じです。」
―― では、この敗れた経験が自分の良い部分を再認識し、さらに磨きをかけることに繋がった感じでしょうか。
「そうですね。やっぱり負けは必要。必要というか、僕のマインドを良い風に変えてくれました。あの経験でさらに強くなっていると思います。負けましたが、良い経験になりました。負けて落ちてそこから復活したところなので、今が一番乗っているというか、一番強い状態だと思います」
―― この試合に集中していると思いますが、この先の展望があれば教えて下さい。
「やはり前回勝てなかったので、もう1回ランカーに挑戦したいなと思います。そしたらタイトルマッチも圏内になると思うので。そのチャンスをこの試合で勝って掴みたいと思います」
―― 興味ある選手はいますか。
「日本人対決になりますが、同じく修斗のチャンピオンの箕輪選手です。かつて北方選手と猿田選手の戦いがあって、今度は僕と箕輪選手の、次の世代の戦いになるかなと思うので。それが面白いんじゃないかなと思います」
―― 因みに、今大会で実施されるバラートとブルックスの勝敗予想は。
「やはりジャレットが強いかなって思うんです。前の負けも反則負けですが、逆にあれをできるのは強いなって感じです。バラートもレスラーですけど、レスラーという感じより、テイクダウンディフェンスしながらガンガン打ち合っていくタイプのイメージで。でも、ジャレットはどっちかと言うと、常にテイクダウンしていくスタイルなので、この攻防が面白い試合になると思います」
―― 最後にファンの方へメッセージを一言お願いします。
「今回わかりやすくパンクラス対修斗のチャンピオンの対決になって、ONEという世界最高峰の舞台でその2人が試合できるので、僕らストロー級にしかできない最高の戦いになると思います。ぜひ見届けてほしいです」
猿田洋祐、山北渓人との日本対決に「きつくて噛み合う試合になる」
―― 現在のコンディションはいかがですか。
「そうですね。今のところ順調に来ています」
―― 対戦相手の印象は。
「バックボーンがレスリングでテイクダウンが武器だと思うんですけど、柔術もしっかりやっていますし、アレックス・シウバ戦とか見ても、打撃の部分も成長している印象があります。オールラウンダーですね。レスリングが武器だけども、 全てにおいてレベルの高いものを持っておる選手だと思っています」
―― いつか対戦するだろうと以前からイメージしていましたか。
「いや、日本人対決はなかなかないと思っていたんで。そこまで意識とはしてなかったです」
―― 山北選手の警戒するべき点は何でしょうか。
「自分と似たタイプというか。自分はレスリング出身じゃないんですけど、テイクダウンを武器にして戦っている感じなんで。そして体格的にもちょっと似た部分があるかなと感じています。似ているからこそ、きつい試合というか、噛み合う試合になると思っています」
―― きつくて噛み合う試合、これはどのような意味でしょうか。
「どんな戦略でお互い来るかわからないですが、打撃でもレスリングの部分でもグラップリングの部分でも、どこでも全部勝負してやろうかなと思っています。攻守が入れ替わ理続けるスクランブル合戦になるイメージなので、動きのあるきつい試合になるだろうとイメージしています」
―― それは寧ろ、猿田選手が得意とする戦いなのでは。
「そうですね。自分はそういう戦いのスタイルというか、そういう試合がやっぱり好きなので。自分から持っていくけども、多分向こうもそれが得意な選手なので、いつも以上にその場面を作りやすいのかなとは思っています」
―― この試合がスクランブル合戦になるというイメージで言うと、特に山北選手の試合でのフィジカルやコンディション面はどう評価されますか。
「実際ジム近いんですけど、練習したりとか、目の前で会ったことも多分ないと思いますが、だからその点の分析については、試合映像とかで判断するしかないのですが、しっかりした身体というか、フィジカルトレーニングをやり込んでるのだろうなっていう印象です。スピードやスタミナの部分は結構レベル高いと分析しています」
―― 実際に試合で組んでみてから分かると言う感じですね。
「そうですね。そこが楽しみ。それまで試合をやったことない選手と組むっていうのが、自分は試合中での楽しみの1つなので」
―― 言える範囲でお願いしますが、理想的な試合展開やフィニッシュを聞かせてください。
「いつも誰が相手でも同じようなことを言っていますが、山北選手よりもきつい試合展開に持っていく。自分から持っていくっていう。そこでどっちが我慢できるかというか。動きを止めずに、どっちが先に動きを止めるかって感じですかね。自分は彼よりも動き続けて、 彼が疲弊したところでフィニッシュしたいと思っています」
―― 現在3連敗中と言う状況ですが、前戦のマンスール・マラチエフ戦ではニアフィニッシュしたり、結果と反比例してパフォーマンス自体は非常に良いイメージがあります。この点、ご自身はどう受け止めていますか。
「3連敗しているのは事実なんです。でも前回が約2年ぶりの試合で。その試合も急なオファーで準備期間が3週間とか1ヶ月前くらいでした。自分がチャンピオンだった時の感覚を取り戻そうとかそう言う意識はないです。それとは違い、また新しいものを作ると言うか、新しい武器だったりとか、フィジカル面もそうですけど、あの時以上のものを作ろうと思ってやっています。ただ、結果がついてこなかったっていうのがあって、悔しい部分もたくさんあるんですけど、手応えとしては前回の試合もそうですけど、思っていたよりは動けたというか、勝負できたなっていうのはあります。もちろん勝つのがベストだったのですが、それでももっと厳しい試合というか、もしかしたら何もできなくてやられるっていう可能性もあったと思うので。なので前回の試合も負けましたが、感覚的にはまだいけるという自信はあります」
―― 新しい形を作る上で、どの程度の手応えを感じていますか。
「試合で出せないと成長しているとは言えないと思うので、成長しているかどうかは今はわかりませんが、ただ、ずっと同じものというか、ずっと使っていたものだけで勝負しようとは思ってないので、新しい技術を覚えて練習したりとか、山北選手のため準備してきた技とか、 この2ヶ月半の練習の中でだいぶ完成度が上がってきたので、それを試合で出せれば成長したなと思えるし出せなかったらまだまだだなっていう感じですね」
―― 話は逸れますが、ご自身が運営するジム「FIGHT BEAT WORKOUT」はいかがですか?
「オープンして約1年半経って会員数とか経営面で言えば、だいぶ安定しているというか落ち着き、次の店舗を考えている状況です」
―― おめでとうございます。すごく良い流れで事業も上手く展開されているのですね。
「そうですね。今のところはお陰様で計画通りというか予定通りできてます」
―― 事業者としての活躍はプロ選手として、モチベーションなどどのような影響を与えていますか。
「そこは完璧に分けています。元々ずっと会社員としてフルタイムの仕事しながら、ONEでもチャンピオンになったので、格闘家以外の部分の自分を分ける形で持っていて。格闘家としての活動が、そのままこの経営とかジム運営のことに関わることはあまりないのかなと感じです」
―― 今回勝利した先、どのような展望を考えていますか。
「まずは今回の試合をしっかり勝つこと。新しいスタイルじゃないですが、ちょっと今までの自分と違うような試合を見せて勝ちたい。そして勝った後は自分も選手としての最終章というか、あと本当に数試合というか、契約の試合をしっかり戦っていきたいのとその上で今まで戦ったことない選手たちと試合したい。勿論ランカーの選手たちともやっていきたいと思っています」
―― 因みに、今大会でブルックスとバラートが対戦しますが、猿田選手の勝敗予想はいかがですか?
「ブルックスが勝つと思うんですけど、序盤は少し苦戦するのかなと思います。バラートはやはり特殊なので。小ささもそうですが、スタイルも独特。自分は対戦したことがありますが、戦前にイメージしていても、実際に向かい合った緊張感や戦った感覚で違いを感じました。想定したものから修正するまではちょっと苦戦するのではと思います」
―― 最後にファンへのメッセージを。
「今回の相手の山北選手は日本では無敗の選手で、本当に日本人トップ選手の1人と思います。時間をかけて気合入れて準備してきました。自分が勝っている部分は経験の部分だと思っていますので、その経験を活かした戦略だったり、また新しい技術、スタイルを練習していますので、それをしっかり試合で出して、山北選手よりもきつい試合展開に持ち込み、勝とうと思っています。ぜひ皆さん応援よろしくお願いします」