RIZIN榊原信行CEO“ABEMA一本化”の理由を語る「UFCに対抗できるよう経営を強靭化し、若い世代に未来を託したい」。『榊原社長に呼び出されました』番組内で

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8月28日、RIZIN公式YouTubeチャンネルにて生配信番組『榊原社長に呼び出されました』が放送され、RIZINの榊原信行CEO、広報の笹原圭一氏、総合演出を担当する映像ディレクターの佐藤大輔氏が出演した。
番組内では、超RIZIN.5(9月10日(木)京セラドーム大阪)から、ABEMAを「公式メディアパートナー」として実質的に放送を一本化するに至った経緯が、榊原CEOの口から赤裸々に語られた。ファンの間で賛否両論を呼び、バウトレビューでも分析した、プラットフォーム移行の真相をはじめ、一部で囁かれる資金難の噂の否定、入場曲の権利問題、そして次世代を見据えた経営の「強靭化」と北米進出という壮大なビジョンまで、RIZINの現在地と未来図が浮き彫りとなる、同番組では異例の内容となった。
U-NEXTからの「ゼロ回答」と、エムアップ・ABEMAの「男気」
近年、RIZINのPPV配信はU-NEXTとABEMAが二大プラットフォームとして数字を牽引してきた。しかし今回、RIZINはABEMA中心の体制へと舵を切った。榊原CEOはその決断の背景について、「RIZINの未来を一緒に築く、未来を描いて未来に向かって走っていくのに1番大事なのは、やっぱり情熱だし、一緒に作るということに対して同じベクトルがちゃんと向いていることが必要」と前置きし、交渉の舞台裏を明かした。
「1番最初に(パートナーシップを)U-NEXTさんに提案したんだよ、1年前に。経営を強靭化したい、ドリームファクトリーワールドワイドという運営母体を経営的に安定化させていくために力を貸してほしい。それはお金です。僕らが必要とする資金を負担して未来を目指すのに力を貸してくれませんか、という提案をした」
RIZINのプレスリリースや公式サイトの大会概要には、日時・会場・チケット料金などのほかに、主催、制作協力という項目があり、近年の大会は「主催/RIZIN FIGHTING FEDERATION 制作協力/株式会社エムアップホールディングス/ディライトワークス株式会社」という記述で定着している。榊原氏がPRIDE時代から親交の深い美藤宏一郎氏が代表を務めるエムアップホールディングスが、RIZINの権利を一元管理し、会場費の前払い・PPVなど経営面を支えてきたという。エムアップはコンテンツ事業、電子チケット事業、アプリケーション開発、ライブ配信などを手掛ける東証プライム上場企業で、RIZINは同社を通じ、さらなる拡大を見据えたメディアパートナーとしてU-NEXTに打診した。しかし、結果はシビアなものだった。
「色々検討いただいたけど、結果、年を挟んでU-NEXTさんは『ゼロ回答』だった。僕らからの提案に対してはね。それで、なぜかONE(Championship)をやってました。まあそれはそれで経営判断だからしょうがないじゃん。ONEと5年契約して。(ONE代表の)チャトリがなんか勝ち誇ったように言ってたじゃん。完全に負け。でもそれはしょうがない」
ONEは今年4月から日本オリジナルのシリーズ「ONE SAMURAI」をスタート。ONEのチャトリ・シットヨートンCEOは2月の記者会見で、5年間で60大会の開催を約束した。U-NEXTはONEを国内独占生中継している。ONEに「負け」た榊原氏に手を差し伸べたのが、かつてONEを独占放送していたABEMAだった。
「PRIDEの時代は資金面でギブアップしてUFCに売っちゃったじゃん。でも今回はそんなことはしたくないし、自分たちの力で世界を目指すチャレンジをしたい。その中でエムアップの美藤社長が一肌も二肌も脱いで、その思いにABEMAさんが答えてくれて、じゃあRIZINさんやろう、日本発で世界にチャレンジしてみようよと言ってくれた。僕らはやっぱり男気には男気で応えたい。極論だよ、RIZINのPPVって売上が上がったら各プラットフォームも利益があるじゃん。そしたら適正な利益を取って、残りはRIZINの未来のために投資してほしいじゃん。間違ってもそれが他の団体の金になって、敵に塩を送るようなことにしたくないんだわ。RIZINで上がった利益は次の未来のために投資してほしい。それに対してエムアップもABEMAも『イエス、やろう』と言ってくれたんで」
今後の映像クオリティ、入場曲ミュート問題について
プラットフォームがABEMAに集約されることで、一部のファンからは「ABEMA特有の過剰な演出が入るのではないか」「映像の質が変わるのではないか」という懸念の声が上がっていた。これに対し、長年、試合紹介映像(いわゆる煽りVTR)を制作してきた佐藤大輔氏は「ABEMAさんが何を作るかは分からないですけど、僕がやる仕事は誰からも何も言われたことないですからね。『こうやってくれ』もないし、試合前に見せてくれもない」と断言。笹原氏が「画面の端っこに『メインイベントまであと何時間』みたいなカウントダウンが出たりはしない」と補足する。(実際、これまでのABEMA PPVでもカウントダウンは出ておらず、他のプラットフォームと映像は同じだ。)
また、SNS等で多く指摘されていた、入場曲がミュートされる問題についても言及があった。番組内でのABEMAからのアナウンスによれば、今後は生放送と見逃し配信のページが1つに統合され、U-NEXTと同様のシームレスな視聴環境になるという。ただし、追っかけ再生やアーカイブ(見逃し)配信時に一部楽曲がミュートされるのは、生放送とアーカイブで著作権の許諾条件が異なる(特に洋楽の権利処理が困難である)という法的な事情によるものだという。
佐藤氏は「煽りVで洋楽使えないのは痛いんですよね」とこぼしつつ、「洋楽は許諾に時間がかかる」と、映像制作の最前線ならではの苦労を明かした。
『RIZIN CONFESSIONS』はお休み。大会当日に熱量を集約
大会前後の恒例のドキュメンタリー番組『RIZIN CONFESSIONS』だが、今回の『超RIZIN.5』の大会前に関しては配信を「お休み」することが佐藤氏から明かされた。
休止の理由について佐藤氏は、「いっぱい取材したのに煽りVTRだけじゃ短くてもったいないなと思って(CONFESSIONSを)出してたんですよ。でもやっていくと、100に近い素材を事前に出しちゃって、そこから煽りV用に短くする作業をすることになって、当日の煽りVTRを見た時に『これCONFESSIONSで見たよ』ってなっちゃう」と説明する。今回は出場選手の顔ぶれやキャラクターが既に広く認知されていることもあり、極上の素材を出し惜しみし、当日の会場と配信での爆発力に全振りする構えだ。笹原氏も、京セラドームというPRIDE時代以来の関西での大会場での開催に向け、「東京で見られるのと同じ『これぞRIZIN』をお見せしたい」とオープニング演出への自信をのぞかせた。
「RIZIN守るためなら何でもする」。盤石な経営と後継者への思い
ABEMAへの移行に伴い、一部で「RIZINは経営が苦しいのではないか」という憶測が飛んだことに対し、榊原CEOは真っ向から反論した。
「本当にみんなにチケットやPPVを買ってもらって、経営的には上手く回り出してるし、今回エムアップさんとABEMAさんも資金提供してくれたんで。そこは心配ない」と健全な経営状態をアピール。「コロナの時は本当に大変でしたよ。(佐藤)大輔からガンガン詰められて色々払ってくださいとか言われたけど(佐藤氏は「覚えていない」と笑いながら否定)、選手のファイトマネーは遅配したことない」と明かし「RIZIN守るためだったら何でもしますよ。お金がしんどくなれば、いろんな借金してでもみんなを食わせるためには体張りますし、守るためには全力で行きますから」と強調する。さらに「私腹を肥やすためじゃなく、次のRIZINのために、未来のために投資していきたい。お金を使って何かを買って幸せってことじゃなく、RIZINにお金を使ってみんなが熱狂してくれるのが一番の幸せだから。そこに積極的に投資していきたい」と表明した。
資金繰り発言の途中、榊原氏は「こういう性格なんで、割と騙されやすいんですよ。心無い人に利用されちゃう。RIZINの名前を勝手に騙っていろんなお金を手当てしている人が、過去に犯罪に巻き込まれた人もいたんで、そういうところで迷惑かけている輩がいるかもしれないですけど、僕らは健全にやっているんで心配なく」とも発言した。この放送の前、RIZINの公式サイトには「『巌流島』のプロデューサー・谷川貞治氏と弊社は、業務上の取引や契約等は一切ございません」「谷川氏は弊社のスタッフでも、RIZINの営業代理店や業務委託先でも、ましてや一部ネットなどで散見されたRIZINプロデューサーでもない」「谷川氏が独自に進めている業務は我々の関知するところでは無く、当然当社として何ら責任を負うものではありません」という声明が掲載されており、このことを意識した発言だったと思われる。
また、榊原氏は、組織のトップとしての引き際や、次世代への継承という重いテーマにも触れた。
「俺だっていつ死ぬかわかんないじゃん。60代で亡くなる人もいるんだよ。今のままでは経営を誰かにバトンタッチできるところまで来ていないので、経営を強靭化し、若い世代に未来を託したい。ファンが20年も30年も熱狂してくるためのチャレンジをしたいです」
後継者の話題では、朝倉未来や平本蓮の名を挙げ、「志を持ってやってくれる人が現れてくれたらいいなと思っている」と語る一幕もあった。
見据える先は北米。独自の「世界観」で打って出る世界戦略
経営を強靭化した先にある具体的なビジョン。それは明確に「海外進出」、とりわけ「北米進出」だという。
現在、年間10~12大会ほどのペースで開催しているRIZINだが、これを国内で30大会、40大会と粗製濫造するつもりはない。クオリティを担保し、選手が稼げる舞台を維持しながら、世界最高峰のUFCが待つ北米市場へと乗り込む構えだ。
「UFCに対抗するためには、資金調達をしっかりしないと。儲かったお金で投資していくというスピード感では追いつかない。いろんな企業がお金を入れてくれる、資本政策を組まないと。今の資本の株主を増やすのもそうだろうし、いずれにせよもっと資金がいるんですよね」
年商2000億円とも言われるUFCの圧倒的な資本力に、真正面から同じ土俵で勝負するわけではない。榊原CEOが掲げるのは、日本発のMMAプロモーションとしてのアイデンティティだ。「UFCの規模には追い付かないけど、UFCとは違った我々なりの世界観とクオリティで海外にリーチしていきたい」。
U-NEXTからABEMAへの事実上の配信一本化は、目先の利益や配信プラットフォームの選択にとどまらず、他団体への資金流出を防ぎ、新たな資金を獲得し、自らの資本を分厚くし、世界へ打って出るための布石のようだ。PRIDE時代、UFCに飲み込まれた過去を繰り返さないために。経営基盤を強靭化し、若い世代へバトンを繋ぐために。9月10日の超RIZIN.5は、単なるビッグイベントの枠を超え、RIZINが次なるフェーズ――世界との生存競争へと足を踏み出す、歴史的なターニングポイントとなる。
超RIZIN.5 対戦カード
MMA RIZIN&PFLフェザー級ダブルタイトルマッチ 5分3R
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ[Razhabali Shaidulloev](キルギス/Ihlas/RIZIN王者)※4度目の防衛戦
AJ・マッキー[AJ McKee](米国/チーム・ボディショップMMA/元ベラトール王者)
MMA ライト級(71kg) 5分3R
朝倉未来(JAPAN TOP TEAM/元THE OUTSIDER 60-65kg級 65-70kg級王者)
青木真也(BAMF/元ONE MMA&DREAMライト級王者、元修斗ウェルター級世界王者)
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
カルシャガ・ダウトベック[Karshyga Dautbek](カザフスタン/トゥラン・オルダ/タイガームエタイ)
平本 蓮(剛毅會/K-1甲子園2014 -65kg優勝)
MMA ライト級(71kg) 5分3R
ホベルト・サトシ・ソウザ[Roberto Satoshi Souza](ブラジル/ボンサイ柔術/元RIZINライト級王者、元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
野村駿太(アメリカン・トップチーム/DEEPライト級王者)※BRAVEから所属変更
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
ヴガール・ケラモフ[Vugar Karamov](アゼルバイジャン/オリオン・ファイトクラブ/元RIZINフェザー級王者)
高木 凌(フリー)
MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
RENA(シーザージム/シュートボクシング女子世界フライ級(51kg)王者)
ナターシャ・クジュティナ[Natasha Kuziutina](ロシア/アメリカン・トップチーム/ウラル&ウエスタンシベリア/元LFA女子ストロー級暫定王者)
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
斎藤 裕(パラエストラ小岩/元RIZIN&修斗世界フェザー級王者)
YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISE OFGM -65kg級王者、RISEスーパーライト級(65kg)3位)
キック(肘無し・ワンキャッチワンアタック・オープンフィンガーグローブ着用) 71kg契約 3分3R
宇佐美秀メイソン(team VASILEUS/RISEウェルター級(67.5kg)王者、元ISKAユニファイドルール・インターコンチネンタル・ウェルター級(67kg)暫定王者)
“ブラックパンサー”ベイノア[Noah Bey](アメリカン・キックボクシング・アカデミー/元RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級(66.68kg)王者、極真会館全日本ウェイト制2018軽量級(70kg)優勝)
MMA 59kg契約 5分3R
冨澤大智(FIGHTER’S FLOW)
ドンマイ川端[川端龍](JAPAN TOP TEAM)
超RIZIN.5 概要
大会名 ANGEL CHAMPAGNE 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り
日時 2026年9月10日(木)開場・14:00(予定) 開始・16:00(予定)
会場 京セラドーム大阪 [HP]
中継 ABEMA、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE(前売6,500円 当日6,900円 アーカイブ5,000円)、スカパー(6,900円)
チケット料金 VVIP1列席 110万円(完売) VVIP2・3列席 55万円 VIP席 22万円 SRS席 55,000円(完売) RS席 44,000円 応援シートS席(朝倉/平本/斎藤/YA-MAN/RENA/シェイドゥラエフ)36,300円(完売) S席 33,000円(完売) A席 16,500円(完売) 外野S席 31,900円 外野A席 15,400円
チケット販売 イープラス チケットぴあ ローソンチケット IGアリーナチケット 出場選手・所属ジム
お問い合わせ RIZIN FF事務局 03-5772-3223 https://jp.rizinff.com/







