#超RIZIN5 9.10 大阪:青木真也 朝倉未来戦1か月前インタビュー(前編)「やめられるなら、やめたい」――終わりを受け入れるからこそ、現状のベストで立つ

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9月10日、京セラドーム大阪で開催される「超RIZIN.5」で、朝倉未来と対戦する青木真也。日本のMMA(総合格闘技)史において、時代や団体の枠組みを超えて異彩を放ち続けてきた43歳のベテランが、今、日本一影響力のある格闘家との一戦で、ふたたび大きな注目の真ん中に立とうとしている。
しかし、試合を約1か月後に控えた青木真也の語り口は、どこまでも淡々としており、驚くほど静かだ。周囲が煽り立てようとするドラマ性に、彼は簡単に乗っかろうとしない。
「僕は(未来に)全く触る気がなくて、あくまでも『自分の物語である』という。自分の話を仕舞っていくことの方を重視しているので」
「やめられるんだったら、やめたいんですよね」
そう呟く青木が見据えているのは、輝かしい未来やキャリアの再建ではなく、自らの最期のあり方そのものだ。
若き才能・秋元強真との練習で得たわずかな「延命」を感じつつも、衰えや限界をごまかすことなく受け入れ、過去の自分ではなく「今の自分のベスト」を冷静に仕分けていく。20年近く戦いの場に身を置き、自らを律し続けてきた男が、なぜ今「誰にも何も言われたくない」境地に達したのか。
試合に向けた単なるインタビューの枠を超え、自らの終わりと対峙する青木真也の素のポリシーに迫る(前編/全2回)(聞き手:井原芳徳)
秋元さんのおかげで、寿命がちょっと延びたかな
―― (8月3日)月曜ですかね、来週11日火曜に試合を控える秋元強真選手との最後の練習だったかと思います。RIZINのYoutube番組「RIZIN CONFESSIONS」でも色々話されていましたけど、彼との練習は青木選手にとってもかなり刺激が大きかったそうですね。
青木 秋元さんのおかげで、選手寿命が延びた感はありますね、結果的に。週1回の練習に向けて、逆に自分がコンディションを作る作業をやってきたので。そのおかげで、この2月から8月まで寿命が延びた感じはあります。
―― 青木さんは昨年11月の手塚裕之戦はバタバタで決まったり、気持ち的にも微妙な形で臨んでいた印象です。当時はまだ秋元選手との練習もしていなかったですしね。
青木 ちょっと生き返った感はあるんですけど、言うても「寿命がちょっと延びたかな」くらいですよ。
―― ご自身でそう思っていたとしても、実戦で動いてみたらまたズレがあるかもしれないですしね。
青木 そうですね。ズレはあると思うんですよね。ただ、試合まであと1ヶ月ちょっとの段階で、試合に向かいながら、自分を確認する作業に意味があると思っていて。試合どうこうよりも、その確認作業をする方が大きいのかもしれない。「今までのあの試合の解釈はこうだったんだ」とか「こう思っていたけど、実際は終わっていたんだな」とか。
―― 24年1月のセージ・ノースカット戦(当日急きょジョン・リネカーに相手変更)のあたりで終わるつもりだったという話も最近されていますよね。
青木 そういうものを再確認していくし、人間関係や人付き合いも含めて再確認していくと思いますよね。
―― 今度の9月10日の朝倉未来戦が最後になるのか、あるいはまだまだ続くのか。「アントニオ猪木よりも長く引退カウントダウンを続けている」と最近は自虐的におっしゃっています(笑)。
青木 やめられるんだったら、やめたいんですよね。でも、僕らの仕事は、使ってくれる奴がいればやってしまうし。そこも含めて難しいなと思います。
―― プロモーター側が今度の試合内容を見て「まだ使える」「こういう可能性がある」と思えば広がりがあるかもしれないし、「ちょっとこれは…」となれば。
青木 そういうことじゃないと思うんですよね。パフォーマンスで価値が下がるんだったら、もう下がっているはずだから。
―― いや、そんなことないんじゃないんですか。
青木 じゃあ、戦績で負けたから価値が下がりますか?って話ですよ。
―― 僕の感覚としては下がっていないんです。11月の手塚戦試合に関しても、プロレス論であれこれ僕も物申しましたが、試合内容に関しては素晴らしかったと思っていますよ。
青木 結果的に勝ち負けで価値は下がらなかったんですよ。だから、それによって価値が上がっちゃうと、やめられないですよね。僕は試合をしたいわけではないから、そこら辺は難しいところですね。でも「勝ち負けで価値は変わらないじゃん」って本当のことを言っちゃうと、自分たちが大事にしているものを殴られたような気持ちになる人もいるだろうから。
―― 僕も「勝ち負け重視派」みたいに思われがちかもしれないですけど、決してそんなことはないですよ。
青木 でもそういうもんじゃん。
―― 一般的にはね。
青木 一般論としてはそうですよね。
俺は俺の物語の中でやるだけ。誰にも何にも文句を言われたくない。
青木 なんだろうな。今回、「どういう試合ですか?」と言われても、お互いがお互いを触り合わないのがすごく良いなと思っていて。僕も彼(朝倉未来)に触らないし、彼も僕に触らない。
―― それはすごく感じていました。試合決定後、青木さんはご自身のYoutubeチャンネル等で大量に情報発信していますけど、朝倉未来について語ることは全然していないですよね。むしろ過去にBreakingDownで朝倉未来が騒動を起こしたときのほうがイキイキと彼について喋っていました。
青木 僕は全く触る気がなくて、あくまでも「自分の物語である」という。自分の話を仕舞っていくことの方を重視しているので。
―― 朝倉選手の方も青木さんについてほとんど何も言っていない。
青木 彼がなぜ言わないかも分かります。だって、絡んでも良いことがないじゃないですか。自分の客に混ざっちゃうと困るから。客が全く違うから。「朝倉未来経済圏」の朝倉さんのお客さんに、ちょっと小難しい層が入ると、「自分たちの客じゃない」って明確に分かっているはずなんです。そこが彼は賢いなと思うんですよね。鼻が効いているんだろうなってすごく感じますね。
―― 確かに。試合が決まって榊原信行CEOが記者会見の時にこの試合について、PRIDE時代からさかのぼった歴史的な位置付けを語られて、そこでファンや周囲も理解して腑に落ちた感がありました。説明があったことで、あとは「9月10日のゴングを聞くだけだ」という空気は出来上がったのかなと。
青木 まあそうですね。あとは別に、俺は俺の物語の中でやるだけで知ったこっちゃないです。
―― 佐藤大輔さんが作る試合までのRIZIN CONFESSIONSの中でひょっとすると何かあるくらいで。
青木 佐藤大輔とはちょっとやりたいことがあるくらいで。でも、僕自身はこれ以上はもう何もないです。本当にないです。もっとタチの悪い言い方をすると、もう誰にも何にも文句を言われたくなくて。コーチみたいな存在もいらない。年齢を重ねた人は「ケツを叩いてくれる人をつけた方が良い」という風潮があるじゃないですか。
―― ベテランの野球選手とかで、周りが厳しいことを言ってくれなくなるから、叱ってくれる人を近くにおいて、蘇生するパターンもありますね。
青木 それも分かるんです。でも、それも分かった上で、ここまで20年近く自分で好きなことをやってきて、もう誰にも何も言われたくない。だから、アドバイスとか意見を俺に向かって言わないでね、と思っています。
―― 特に青木さんはずっとMMAにおける師匠らしい師匠がいない状態で戦ってきたから、それに慣れているというのもありますよね。
青木 それで人間関係が狭くなるとか、周りに人がいなくなるとしても、不快な奴とは関わりたくない。「めんどくせえなこいつ」と思ったら「あ、じゃあいいや」って離れちゃう。そうなっていくと大変だなって。収集がつかなくなるというか。
―― 良かれと思ってご自身で選んだスタンスだと思いますが。
青木 周りは扱いづらくなってきますよね。そういう意味では大変。でも、俺はそれで良いと思っていて。だから「先がないな」と思うんですよ。先がないから、将来を見据えて練習する必要もないし、今の目の前のことだけをちゃんとやる。
―― 逆に言うと、自分のことは自分が一番分かっているから、日々のチョイスも自分で全部できる。
青木 あとは嘘をつかないこと。もう伸びない、衰えていくだけ。「今が一番強い。成長している」みたいな嘘は言わない。低下を鈍化させているというか、衰えをゆっくりにさせていることを自分自身で受け入れてやっているから、まだできているんだと思うんですよね。
―― 他のプロスポーツ選手でも、長くやる人はそういう感じになっていきますしね。
青木 イチローだって45歳で引退しましたから。
―― その上で、いくら維持しても抗えない部分、動体視力などがある中で、今度の朝倉未来は当然打撃で来ますから、そこの怖さがありますよね。
青木 怪我だけしたくないなと思いますね。怪我だけはしたくない。それ以外は何もないです。
追い込めない自分を知った上で、やるんです。
青木 昨日出たラジオで(井上拓真とのリベンジ戦を控える)那須川天心が「絶対に負けない、負ける選択肢を持たずに次の試合に行く」みたいなことを言っていたんですけど、それってキャリアにおいて何回も使えるカードじゃないんですよ。負けることを考えずに負ける選択肢を持たずに試合するって、意識の中でもそこまで背水の陣で追い込んでやるのって、多分キャリアで2回か3回しか使えないんですよね。「これをここで使うってことは勝負どころなんだね、頑張ってね」と話したんですけど、僕はもうそのカードを使い切っていると思っていて。だから、自分が負けることも意識するんですよね。「負けたらこうだな」ということを意識するし、同時に勝ち筋も意識する、というくらいですよね。それをもう一回、本当に負けることを恐れずに負けることを考えずに行く、みたいなところでは追い込めないですね。追い込めない自分を知った上で、やるんです。みんな簡単に「頑張れば良いじゃん」と言うけど、肉体と精神は繋がっているから、気持ちが折れないなんてことはないですから。気力の低下とか体力の低下みたいなものは同時に感じていますね。
―― そんな中で、秋元選手との練習でそれが伸びたというのは、やっぱり彼の求めに応える練習をこなさなければいけないというのがすごく大きかった?
青木 仕事として、責任感ですね。それで持たせてもらった。それがなかったら自制するものがなかった。
―― 今の練習先としてはロータス世田谷ですか?
青木 ロータスをメインにして、週1回、秋元さんとやっていて、試合1ヶ月前になって自分の練習に完全に入り込む感じです。無理をしないこと、ですね。
―― コンディションキープという話ですね。
青木 みんな言うんだけどさ、「追い込める」というのも若い人の特権だから。先週、木曜日にMMAの練習をしっかりやって「あ、動けたな」と手応えがあったんです。「良い練習ができた、動けた」と思ったら、金曜日になったら全然動かなくて「あ、ダメだ」となった(苦笑)。金土日まで疲れを引きずるのを感じると、「ああ、もう違うな」と思いますよね。
―― だいぶ落ちてはいるんだろうけど、考え方の整理の仕方はすごく冷静にされているのがさすが青木さんだなというところはあるし、
青木 だから嘘をつかない。みんな嘘をつくじゃないですか。
―― 正直ですね。
青木 いろいろ落ちているなと思うし、だからこそ9月10日には現状のベストを持っていきたいと思っている。
―― 客観的に自己分析が丁寧にできているから、逆にこれは怖いなというか、9月10日の青木真也は強いんだろうなと思います。100かは分からないけど…
青木 現状のベストはあると。ただ、それが自分の時間軸で見た時に、過去含めてのベストではない。覚悟した上でやる。でも、現状のベストは持ってこれると思います。◆◆◆
※「青木真也 朝倉未来戦1か月前インタビュー(後編)資本主義と格闘技――この競争は、俺たちを豊かにしているのか?(仮題)」は後日公開します。お楽しみに。
対戦カード
RIZIN&PFLフェザー級ダブルタイトルマッチ 5分3R
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ[Razhabali Shaidulloev](キルギス/Ihlas/RIZIN王者)※4度目の防衛戦
AJ・マッキー[AJ McKee](米国/チーム・ボディショップMMA/元ベラトール王者)
MMA ライト級(71kg) 5分3R
朝倉未来(JAPAN TOP TEAM/元THE OUTSIDER 60-65kg級 65-70kg級王者)
青木真也(BAMF/元ONE MMA&DREAMライト級王者、元修斗ウェルター級世界王者)
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
カルシャガ・ダウトベック[Karshyga Dautbek](カザフスタン/トゥラン・オルダ/タイガームエタイ)
平本 蓮(剛毅會/K-1甲子園2014 -65kg優勝)
MMA ライト級(71kg) 5分3R
ホベルト・サトシ・ソウザ[Roberto Satoshi Souza](ブラジル/ボンサイ柔術/元RIZINライト級王者、元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
野村駿太(アメリカン・トップチーム/DEEPライト級王者)※BRAVEから所属変更
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
ヴガール・ケラモフ[Vugar Karamov](アゼルバイジャン/オリオン・ファイトクラブ/元RIZINフェザー級王者)
高木 凌(フリー)
MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
RENA(シーザージム/シュートボクシング女子世界フライ級(51kg)王者)
ナターシャ・クジュティナ[Natasha Kuziutina](ロシア/アメリカン・トップチーム/ウラル&ウエスタンシベリア/元LFA女子ストロー級暫定王者)
MMA フェザー級(66kg) 5分3R
斎藤 裕(パラエストラ小岩/元RIZIN&修斗世界フェザー級王者)
YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISE OFGM -65kg級王者、RISEスーパーライト級(65kg)3位)
MMA 59kg契約 5分3R
冨澤大智(FIGHTER’S FLOW)
ドンマイ川端[川端龍](JAPAN TOP TEAM)
出場予定選手
宇佐美秀メイソン(team VASILEUS/RISEウェルター級(67.5kg)王者、元ISKAユニファイドルール・インターコンチネンタル・ウェルター級(67kg)暫定王者)
概要
大会名 ANGEL CHAMPAGNE 超RIZIN.5 浪速の超復活祭り
日時 2026年9月10日(木)開場・14:00(予定) 開始・16:00(予定)
会場 京セラドーム大阪 [HP]
チケット料金 VVIP1列席 110万円 VVIP2・3列席 55万円 VIP席 22万円 SRS席 55,000円 RS席 44,000円 応援シートS席(朝倉/平本/斎藤/YA-MAN/RENA/シェイドゥラエフ)36,300円 S席 33,000円 A席 16,500円
チケット販売 イープラス チケットぴあ ローソンチケット IGアリーナチケット 出場選手・所属ジム
お問い合わせ RIZIN FF事務局 03-5772-3223 https://jp.rizinff.com/






