空道 5.29 代々木第二体育館(レポ):北斗旗全日本体力別。MMAから岩﨑大河、キックから大倉萌が凱旋優勝。空道一筋の目黒雄太が前人未到の7連覇達成
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
全日本空道連盟「2022 北斗旗全日本空道体力別選手権大会」
2022年5月29日(日)国立代々木競技場第二体育館
記事提供:編集スタジオとのさまがえる(写真:牧野壮樹、朝岡秀樹、全日本空道連盟)
(上写真:優勝を決め、岩﨑大河は、小学1年生のときからの師である山田利一郎・大道塾新潟支部支部長のもとへ。山田支部長は1987年から1994年にかけて全日本を4度制している)
コロナウィルス蔓延防止のため、2020年は春の階級別、2020年秋の無差別とも全日本大会の開催を中止、2021年も秋の大会を中止……という措置をとってきた空道。今回の大会も、当初は1月開催の予定だったところ、延期のうえに予選なしのオープン大会として開催に漕ぎ着けたが 「社会体育」を標榜する競技だけに、競技者の大半は、一般企業等に勤務する社会人。現在の社会状況のなかでエントリーできた者は多くはなく、果たして従来の競技レベルの展開がみられるのか? と心配されたが、蓋を開けてみれば熱戦が続出。そんななかでも、V7の記録を懸けた目黒雄太、MMAから帰還の岩﨑大河、キックボクシングから帰還の大倉萌は、それぞれ、優勝を遂げた。
◆260+クラス
2018年の世界選手権は準決勝で、その翌年の全日本無差別は敗退したのち、MMAの世界で研鑽を重ねてきた岩﨑大河(大道塾総本部)が、プロ7戦7勝の戦績を引っ提げて3年ぶりに空道のマットに還ってきた。初戦は襟絞めにより27秒で一本勝ち、2試合目は掴んでの打撃の連打で効果を奪い、本戦旗判定5-0で決勝進出を果たすと、決勝では、岩﨑不在の間に全日本連覇を達成していた奈良朋弥(大道塾青森市支部)を圧倒。本戦、マウントパンチで1ポイントを獲得し、バックチョーク(写真白)を決めかければ、延長戦では上段膝蹴りで1ポイントを2回、2ポイントを1回、右ストレートで1ポイントを奪い、主審を「試合続行不能」の判断に至らしめた。襟絞めのほか、道着を掴んでの打撃~テイクダウンも以前同様に巧みでありながら、スタンドで相手に密着しグラウンドに移行するやバックを奪う動きなど、MMAの試合を積むことによって得られた技術も使いこなしており、明白な進化を感じさせた。来年開催の世界選手権で、ロシア勢にリベンジを果たすことを期待したい。
◆-260クラス
昨年準優勝の近藤瑞起(大道塾岸和田支部)は初戦は腕十字で一本勝ち、2試合目はマウントパンチやスタンドでのパンチで計3ポイントを奪った後、投げ技で相手の戦意喪失を得て、決勝進出。決勝でも、麦谷亮介(大道塾行徳支部)に豪快な投げを決める(写真青)。マウントパンチによって、本戦で1ポイント、延長で2ポイントを得て完勝。北斗旗(各カテゴリーの優勝者のなかでポイント換算でもっとも得点率の高かった者に授与される旗=MVPを示す)を獲得した。昨年、不戦勝の連続で決勝に駒を進め、決勝では清水亮汰に完膚なきまで叩きのめされていたため“ラッキーな準優勝者”的なみられかたをする面もあった近藤だが、その実力が成績に違わぬものであることを証明してみせたかたちだ。(下写真は北斗旗を手にした近藤)
◆-250クラス
昨年、18歳にして準優勝を果たした小野寺稜太(大道塾総本部)が、スピードある打撃から流れるようなテイクダウンを決め、初戦ではニーインベリーからのキメ突き、決勝ではマウントパンチで1ポイントを奪取。初優勝を果たした。特筆すべきはその決勝の相手、佐川太郎(大道塾仙台東支部・写真青)。小野寺が2019年にU19(世界水準に合わせその年の年末の時点で19歳未満の選手のカテゴリー=平たく言えば高校選手権)の全日本優勝歴があるのに対し、佐川は2019年にシニア(平たく言えば壮年部)全日本王者となり、一般カテゴリーに挑んできた46歳。初戦では優勝候補の一角であった玉木直哉にタックル一閃、マウントパンチで1ポイントを奪い、2試合目ではアマチュアMMAで実績を誇る高橋直人を中段膝蹴りでKO(一本)。一般カテゴリー決勝で「U19チャンピオンvsシニアチャンピオン」という(ある意味で)夢の対決を実現させたのだった。ジュニアクラスから昇格した選手とシニアクラスからのチャレンジャーがトップのカテゴリーで相まみえる……このようなことが起こりうるのは、総合格闘技系のルールでありながら安全性とのバランスを図り、ジュニア層とシニア層、双方への普及を成し得ているこの競技ならではのことだろう。
◆-240クラス
25歳にして20年の空道歴を持ち、実力を評価されながらこれまで全日本で入賞歴のなかった伊東宗志(大道塾日進支部)が、2018世界選手権代表・曽山遼太(大道塾岸和田支部)、2011&2018全日本王者・田中洋輔(大道塾御茶ノ水支部)をいずれも旗の割れる接戦で制し、2021全日本準優勝・遠藤春翔(大道塾総本部)との決勝へ。リーチを活かした蹴り技から、足払い、小外刈りによるテイクダウン→キメで効果ポイントの山を築いてきた遠藤に対し、低い重心で前に出てパンチをヒット、投げを凌ぎ膝蹴りを腹に食い込ませ(写真青)、延長旗判定5-0を得た。
◆-230クラス
5年前のアジア選手権出場時はムエタイのテクニックオンリーだったソムチャイ・ヌアナーは、大道塾札幌西支部でムエタイの技術を指導する一方で、日々、ブラジリアン柔術の技術を学び、年々、空道ルールへの対応力を高め、今年に至ってはクローズガードからの三角絞めでニア一本の場面までみせ、快進撃。昨年準Vの大西凛駿(大道塾横須賀支部)らを撃破し、ファイナリストに躍り出た。しかし、決勝では、目黒雄太(大道塾長岡支部・写真白)のアクロバティックな攻撃のリズムを崩すには至らず。豪快に投げ捨て、マウントパンチで2度、効果ポイントを奪った目黒が2015年からの連続7回目の優勝を達成した。空道における同一階級での連続優勝としては昨年のV6の時点ですでに過去の記録を更新しているのだが、全日本連続優勝記録としては小川英樹が-230と-240クラスにまたがって達成したV7があり、次回大会でV8を達成してこそ並ぶ者なき記録ともいえる。来年のさらなる記録更新、そして3回目の世界選手権での悲願の初優勝に期待したい。
◆女子-220クラス
2019全日本無差別準優勝以降、キックボクシングの試合を重ねてきた大倉萌(大道塾吉祥寺支部)が世界選手権に向け、戦線復帰。上段前蹴りなどで器用さをみせ優勝を果たしたが、決勝は延長4-1で旗が割れる接戦だった。相手の小野寺玲奈(大道塾帯広支部・写真青)は先月開催のジュニア全日本選手権U19クラスの王者であり、今大会、僅か数十日後の一般カテゴリー昇格出場であったにもかかわらず、物怖じすることなく、昨年2021年の全日本覇者である渡邊富紀恵(大道塾神戸同好会)にプレスを掛け、準決勝を制したスーパールーキーである。のびしろを考えると、来年の全日本で大倉を、そして世界選手権でロシア勢を、喰う可能性も十分だ。
◆女子-220クラス
2015年以降、全日本を3度制覇、長期に渡りトップ戦線に君臨する今野杏夏(大道塾多賀城支部)を新鋭の内藤雅子(大道塾横浜北支部・写真白)が撃破。柔道出身の内藤は、これまで内股などの投げ技にキレをみせていたが、今回は、左ミドルを中心に、リーチを活かした闘いを展開。文字通り、長足の進歩をみせた。
入賞者、各賞受賞者
優勝者。左上から時計回りに岩﨑、近藤、小野寺、伊東、大倉、内藤、目黒(写真は一時的にマスクを外してもらい、撮影)
◆2022 全日本空道体力別選手権大会
男子
260+ 優勝 岩﨑 大河 (大道塾総本部) 準優勝 奈良 朋弥 (大道塾青森支部)
₋260 優勝 近藤 瑞起 (大道塾岸和田支部) 準優勝 麦谷 亮介 (大道塾行徳支部)
₋250 優勝 小野寺 稜太 (大道塾総本部)準優勝 佐川 太郎 (大道塾仙台東支部)
₋240 優勝 伊東 宗志 (大道塾日進支部) 準優勝 遠藤 春翔 (大道塾総本部)
₋230 優勝 目黒 雄太 (大道塾長岡支部) 準優勝 ソムチャ ヌアナー (大道塾札幌西支部)
女子
220+ 優勝 内藤 雅子 (大道塾横浜北支部)
-220 優勝 大倉 萌 (大道塾吉祥寺支部)
最優秀勝利者賞(北斗旗授与): 近藤 瑞起 (大道塾岸和田支部)
道場別獲得ポイント順位
1位:大道塾総本部 2位(同点):大道塾行徳支部 大道塾仙台東支部
◆2022 全日本空道シニア選抜選手権大会
超重量級 優勝 諏訪 一郎 (大道塾広島中央支部)
重量級 優勝 平田 裕紀 (大道塾東中野支部) 準優勝 白幡 陽一 (大道塾富士山支部)
軽重量級 優勝 横山 智樹 (大道塾行徳支部) 準優勝 佐藤 利昭 (大道塾日立支部)
中量級 優勝小林 悟 (大道塾帯広支部) 準優勝 小川 哲郎 (大道塾筑紫野支部)
軽中量級 優勝 谷口 雅春 (大道塾関西宗支部)準優勝 山田 弘志 (大道塾関西宗支部)
軽量級 優勝 石井 善身 (大道塾小岩支部) 準優勝 桐田 淳利 (大道塾仙南支部)
軽軽量級 優勝 糸永 直樹 (大道塾草加支部) 準優勝 大貫 浩治 (大道塾仙台東支部)