UFC 2.12 ヒューストン(レポ):アデサニヤ、ウィテカーを返り討ちにしミドル級王座4度目の防衛、キャノニアが王座挑戦に前進。トゥイバサ、ヘビー級3位のルイスを粉砕
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UFC 271: Adesanya vs. Whittaker 2
2022年2月12日(土/現地時間) 米国テキサス州ヒューストン:トヨタ・センター
レポート:井原芳徳 Photos by Josh Hedges/Zuffa LLC via Getty Images
第14試合 メインイベント UFCミドル級タイトルマッチ 5分5R
○イズラエル・アデサニヤ(王者)
×ロバート・ウィテカー(1位、元王者)
判定3-0 (48-47/48-47/49-46)
※アデサニヤが4度目の防衛
アデサニヤは昨年6月にマービン・ヴェットーリに判定勝ちして3度目の防衛に成功して以来の試合。前王者のウィテカーとはアデザニヤが暫定王者時代の19年10月、王座統一戦を行い、アデサニヤが1Rから右フックでダウンを奪い、2Rに左フックでKO勝ちしている。その後、ウィテカーはダレン・ティル、ジャレッド・キャノニア、ケルヴィン・ガステラムに3連勝し、王座戦に辿り着いた。
1R、長身のアデサニヤがいつものように低めの構えから左ジャブ主体のフェイントで圧をかけ続ける。スイッチも織り交ぜ、じわじわ距離が詰まると、3分過ぎには左ストレートが炸裂し、ウィテカーはスリップする。ウィテカーはタックルから打開を図るが、アデサニヤは軽々と切る。記者採点はアデサニヤ。
2R、ウィテカーは左フックを多用するように。空振りは多いが、アデサニヤの入り際に時折命中するように。アデサニヤは時折のけぞる。中盤には同じくアデサニヤの入り際にウィテカーが懐に飛び込みテイクダウンに成功する。アデサニヤはすぐに立ち、ウィテカーは金網に押し込む。離れるとお互いやや慎重なお見合いが続く。記者採点はウィテカー。これでポイントは五分か。アデサニヤが圧をかけ続け、パンチやローを当ててるため、アデサニヤに入っていても不思議ではない。実際ジャッジは2者がアデサニヤにつけている。
3Rもウィテカーが時折左のパンチをヒット。中盤、ウィテカーはタックルを仕掛けるが、アデサニヤは突き放す。再びタックルを仕掛けて倒し、アデサニヤの立ち際に背後に回るが、アデサニヤはアームロックを狙いつつ突き放す。終盤、アデサニヤが圧を掛け続け、右のカーフックを当てると、ウィテカーの足が流れる。記者採点は僅差だがアデサニヤ。
4Rも同様の構図が続き、中盤、またもウィテカーからタックルからバックに回り、オンブの状態で裸絞めを狙う。場内は一気に盛り上がるが、アデサニヤはすぐ振りほどいて突き放す。その後はウィテカーもパンチを当てるが、アデサニヤが圧をかけ続け、左ハイもヒットし若干ながら優勢だ。とはいえどちらも手数は落ち、攻めあぐねている感も無きにしも非ずだ。記者採点は僅差だがアデサニヤ。ジャッジは2者がバックを取ったウィテカーにつけている。
5Rもウィテカーが左フック、アデサニヤが左ミドルを当てるが、変わらずお互い手数は乏しい。ウィテカーは果敢にタックルを繰り返すが、アデサニヤは耐え続ける。記者採点はウィテカー。このラウンドはウィテカーがポイントを確実に取ったが、既に点差をつけていたアデサニヤが安全策で逃げ切った感もある。ジャッジは2者がウィテカーにつける。
記者採点合計48-47でアデサニヤ。ジャッジは2者が同じ採点、1者が49-46でアデサニヤを支持し、アデサニヤが判定勝ちでウィテカーへの返り討ちを果たすと共に、4度目の王座防衛を果たした。
第13試合 セミメインイベント ヘビー級 5分3R
○デリック・ルイス(3位)
×タイ・トゥイバサ(11位)
2R 1’40” KO (右肘打ち)
1R、トゥイバサが組みに行くが、中盤過ぎにルイスが足を掛けて倒す。トゥイバサが立とうとすれば、右のパンチをを連打し苦しめる。トゥイバサが立っても再び足を掛けて倒して上に。最後は立った状態で終える。記者採点はルイス。
2R、ルイスがスタンドの状態でパンチを連打し、トゥイバサを押し込む。離れて再びパンチを連打するが、トゥイバサも右ストレート、左肘をお返し。するとルイスは少し苦しそうな様子を見せ、トゥイバサはパンチと肘のラッシュでさらに追い詰め、最後は組み際に右肘をクリーンヒット。ルイスが前のめりでダウンすると、レフェリーがすぐさまストップした。
トゥイバサは17年のUFCデビュー後、3連勝してから3連敗したが、以降は5連続KO勝ち。3位のルイスを粉砕したことで、一気に上位入りが確実となった。
第12試合 ミドル級 5分3R
○ジャレッド・キャノニア(3位)
×デレク・ブランソン(4位)
2R 4’29” TKO (レフェリーストップ:グラウンド肘打ち)
1R、中盤にブランソンがタックルから抱えて倒すが、キャノニアはすぐ立つ。その後も打撃戦とブランソンのタックルが繰り返され、3分半過ぎにまたもテイクダウンに成功。今度はハーフガードをキープする。終盤、スタンドに戻るが、詰めて来たキャノニアに、ブランソンが下がりながら右フックをヒット。ダウンしたキャノニアのバックをブランソンが取り、裸絞めを極めかけるが時間切れとなる。記者採点はブランソン。
2R、最初からブランソンがタックルで倒すが、すぐスタンドに戻る。するとキャノニアの右ストレートのヒットがじわじわ増加。すると終盤、キャノニアが首相撲で捕まえ、離れ際に右肘をクリーンヒット。さらにパンチを出してから、右の裏拳をアゴに当て、ブランソンをダウンさせる。キャノニアは上から押さえ、右のパウンドと肘を連打し、ブランソンの意識が飛んだところでレフェリーがストップした。
キャノニアはウィテカーに前回敗れたが、最近6試合は5勝1敗。逆転勝ちのキャノニアは勝利者インタビューで「次のタイトル挑戦者は俺しかいない」とアピールした。
第11試合 ライト級 5分3R
×アレクサンダー・ヘルナンデス
○ヘナート・モイカノ
2R 1’23” 裸絞め
第10試合 ライト級 5分3R
○ボビー・グリーン
×ナスラット・ハクパラスト
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
【プレリム】
第9試合 ヘビー級 5分3R
○アンドレイ・アルロフスキー(元王者)
×ジャレッド・バンデラ
判定2-1 (29–28/28–29/29–28)
第8試合 女子フライ級 5分3R
×ロクサン・モダフェリ(12位)
○ケイシー・オニール(15位)
判定1-2 (28-29/29-28/28-29)
モダフェリは03年に日本のスマックガールでMMAデビュー。米国に戻ってからはUFCのリアリティショー・TUF 出演をきっかけに知名度を上げ、今回が引退試合。1R、モダフェリがパンチを狙って前に出るが、MMA 8戦全勝のオニールは落ち着いて右に回って距離を取り、左ジャブ、右ストレート等を的確に当て続ける。
2Rも同様で、オニールがパンチを当て続け、なおかつ圧をかける時間も増える。終盤、モダフェリは雄たけびを数度上げ、10秒を切ってタックルで倒すが、その先につなげられず終了する。
3Rもオニールが的確にパンチを当て続ける。モダフェリもパンチを返す頻度が上がり、時折組んで膝を当てるが、すぐにオニールは突き放し続ける。残り1分、モダフェリがタックルで倒すが、すぐにオニールは立つ。モダフェリは押し込み、しつこく倒そうとするが、オニールは耐えきり、最後はバック肘を当て終了する。
モダフェリのしぶとさも光った最後の試合だったが、内容的にはオニールの完勝だった。ジャッジはなぜか1者がモダフェリにつけたが、2者はオニールを順当に支持した。試合後のインタビューでモダフェリは感謝の言葉を述べ、オクタゴンにグローブを置いて退場した。
第7試合 バンタム級 5分3R
○カイラー・フィリップス
×マルセロ・ロホ
3R 1’48” 腕ひしぎ三角固め
第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○カーロス・アルバーグ
×ファビオ・シェラント
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第5試合 バンタム級 5分3R
×マーナ・マルティネス
○ロニー・ローレンス
判定0-3 (27-29/27-29/28-29)
第4試合 ミドル級 5分3R
×A.J.ドブソン
○ジェイコブ・マルクーン
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第3試合 フェザー級 5分3R
○ダグラス・シウバ・ジ・アンドラージ
×セルゲイ・モロゾフ
2R 3’24” 裸絞め
第2試合 ウェルター級 5分3R
○ジェレマイア・ウェルズ
×マイク・ダイヤモンド
1R 4’38” 裸絞め
第1試合 ヘビー級 5分3R
×ウィリアム・ナイト
○マキシム・グリシン
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
※ナイトが計量でライトヘビー級リミットを13ポンド(5.55kg)オーバー。ヘビー級戦に変更。ナイトはファイトマネーの40%をグリシンに譲渡