RIZIN 5.6 マリンメッセ福岡:堀口恭司、衝撃の9秒KO勝ち「那須川君、やろうよ。立ち技最強トーナメント、俺も出ますんで」。那須川天心は中村優作を2R葬
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RIZIN.10
2018年5月6日(日) マリンメッセ福岡
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント 61kg契約(バンタム級相当) 5分3R
○堀口恭司(アメリカン・トップチーム/RIZINバンタム級(61kg)トーナメント’17優勝、元UFCフライ級(56.7kg)3位/60.8kg)
×イアン・マッコール(米国/元UFCフライ級3位/60.75kg)
1R 0’09” KO (左フック)
堀口は大晦日大会まで行われたRIZINバンタム級トーナメントで優勝。マッコールは12月29日の同トーナメント二回戦でマネル・ケイプに膝蹴りで額を切られ、試合開始わずか1分46秒で無念のTKO負けとなっていた。
マッコールは12年3月のUFCフライ級初代王座決定トーナメント準決勝でデメトリアス・ジョンソンと引き分け、3か月後の再戦で判定負け。その後、ジョンソンはUFC史上最多王座防衛記録11回を達成し、現在も継続している。15年4月の6度目の防衛戦でジョンソンは堀口を5R終了1秒前に腕十字で極めて一本勝ちしていることから、ジョンソン絡みのカードとして、世界的にも注目を集めていたが、試合はあっという間の決着に。
1R、開始すぐ、サウスポーのマッコールに対し、堀口はオーソドックスに構えて左にステップする。堀口が足を止めると、マッコールが飛び込んできて左フックを放つが、堀口はかわしながら左フックをクリーンヒット。マッコールは腰から崩れ落ち、豊永レフェリーはすぐさまストップした。
勝利者インタビューで堀口は「戦ってくれたイアン選手、ありがとうございます。相手が攻めて来たので、左のカウンターを狙っていました」と話し、今後の目標をアナウンサーから聞かれると「那須川君、やろうよ。立ち技最強トーナメント、俺も出ますんで、よろしくお願いしまーす」と、那須川が一つ前の試合で呼びかけたキックトーナメント参戦を希望。リング下で見ていた那須川も笑顔で応じていた。
第11試合 セミファイナル キックルール 58kg契約 3分3R
×中村優作(チーム・アルファメール・ジャパン/WSOF-GCフライ級(56.7kg)王者/57.85kg)
○那須川天心(TARGET/Cygames/RIZIN KICKワンナイトトーナメント(57kg)’17優勝、RISE&ISKAオリエンタル世界バンタム級(55kg)王者/57.85kg)
2R 1’42” TKO (3ダウン:左フック)
中村はMMA戦績20戦14勝(7KO)5敗1分の31歳。DEEP、VTJで活躍後、16年12月、DEEPのケージで行われたWSOF-GCフライ級王座決定戦で勝利し王者に。日本拳法仕込みのパンチ力に定評があるが、最近では昨年10月の修斗舞浜大会でライリー・ドゥトロにパンチで攻め込まれ2R KO負けしている。プロでのキックルールの試合は初だが、アマ時代には経験がある。
那須川は大晦日大会のキックトーナメント以来のRIZIN登場。2月のKNOCK OUTでタイの強豪スアキムに判定勝ちして以来の試合。4月にはシンガポールの名門ジム・イヴォルブ(EVOLVE)でムエタイの強豪と1週間練習。無敵の快進撃を続ける中でも新たな技術吸収に余念が無い。
なお、今大会はこの試合とメインの堀口戦がフジテレビで生放送された。19時台の「ジャンクスポーツ」に那須川が出演して試合を宣伝し、那須川は19:57の生中継スタート時に入場し、20時前のチャンネルを変える人の多い時間に登場する形となった。今回は青コーナーだったのもそのためだろう。赤コーナーの中村の登場時には、両選手の紹介VTRが生放送され、那須川戦を希望している大雅と中村の練習風景も流れる。リングサイドでは大雅と兄のHIROYAも試合を眺める。
RIZINキックルールは肘無し、組んでからの攻撃は1発まで可能で、那須川が主戦場とするRISEと同じ。1R、那須川はいつも通りサウスポーに構えて距離を取り、中村が左ジャブからパンチで詰めるが、那須川はクリンチしブレイク。那須川は少しずつ左ジャブ等のパンチを当てるようになり、右フックを当てると、中村はタックルで倒し防御し、梅木レフェリーが注意する。那須川は左ミドルを当て続け、中村も変則な動きで右フックを当て場面もあるが、那須川はひるまない。すると終盤、中村が右フックで飛び込んできたタイミングで、那須川が空手仕込みの胴回し回転蹴りを中村のアゴに炸裂させ、ダウンを奪うことに成功する。
2Rも那須川優位の流れが続き、左フックでダウンを奪取。中村も右ミドルを強打し、流れを変えようとするが、またも那須川は左フックでダウンを奪い追い詰める。中村はダメージが溜まっており、那須川がクリーンヒットでは無い形ながらも左フックを当てて最後のダウンを奪い、見事KO勝ちを果たした。
マイクを持った那須川は「ちょっとヒヤヒヤしました。優作選手の入り込みが早くて気を付けたんですけど、結果的に勝てて良かったです。RIZINはMMAもキックもあり、中村選手と戦ったことを誇りに思っていますし、中村選手も同じ気持ちをだと思います。次、6月17日、RISE 125幕張メッセ大会でロッタン選手とRISEの世界タイトルがあります。皆さん応援に来てください。RIZINでもキックのトーナメントをやってもらって、強い奴とどんどん戦いたいです。キックのベルトを是非作ってください」とアピールした。なお、大会後の会見で、榊原信行RIZIN実行委員長は、9月30日と大晦日の2大会でキックトーナメントを開催する意向を示している。
第10試合 女子49kg契約(肘有り) 5分3R
○浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)トーナメント’17優勝/48.75kg)
×メリッサ・カラジャニス [Melissa Karagianis](カナダ/6IX MMA/元KOTCアトム級(47.6kg)王者/48.95kg)
判定3-0 (豊永=浅倉/田澤=浅倉/大藪=浅倉)
浅倉はDEEP JEWELS代表としてRIZIN女子スーパーアトム級トーナメントに参戦し、大晦日大会の決勝でRENAを破り優勝した。
王者になってから初戦の相手・カラジャニスは30歳。15年にMMAデビューし、米国のKOTCを主戦場とし、シャードッグによるとMMA戦績は6戦3勝3敗で、勝利は全て判定勝ち。RIZINで山本美憂に勝ち、RENAに敗れたアンディ・ウィンとも過去2度戦い、どちらも勝利。昨年8月にはウィンの持つKOTCアトム級王座に挑戦し勝ったが、11月の初防衛戦でJayme Hinshawに4Rチョークで一本負けしている。
1R、浅倉がサウスポーに構えて前に出るが、カラジャニスは広いリングの中で距離を取って回り続ける。1分過ぎ、浅倉は得意のタックルを仕掛けると、一発でテイクダウンに成功。ロープに引っかかってブレイクにないように、上手く回転させながらハーフをキープする。いったん立ってパウンドを狙い、カラジャニスがかわして背中を向けると、すぐバックマウントを奪う。マウントに移ると、カラジャニスに立たれるが、すぐ胴タックルを仕掛け、豪快に抱え上げて再びグラウンドへ。ハーフガードから肩固め、肘、膝、アームロックを狙い、最後は立ってサッカーボールキックを放ち、いったん立たれてもまた倒し終了する。肘有りはRIZINでは初だが、RIZIN参戦前から肘有りの試合は経験しているため、うまく使いこなせている。
2Rもカラジャニスのパンチをかわしつつ、一発目のタックルでテイクダウンに成功。カラジャニスは全くタックルに対応できない。中盤、浅倉が上四方、サイドと動き、3分過ぎにはマウントへ。肩固め狙いからチョークに移行し、防御されるが、腕十字を仕掛けて伸ばす。女子特有の関節の柔らかさもあり、肩が入った状態になったため、カラジャニスはタップせず、ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーも止めなかったが、レフェリーによって止めていても不思議ではない状況だった。
3R、カラジャニスの蹴りを少しもらうが、中盤から浅倉は組み付いて押し込み、3分経過時にテイクダウンに成功。ハーフガードからマウントや肩固めを狙い、時折パウンドもヒット。残り1分、またもマウントを奪い、腕十字を狙う。カラジャニスは脱出し、浅倉が押し込ん、最後はパンチを当て終了。記者採点は終始主導権を維持した浅倉。ジャッジも同様で、浅倉の勝利となった。
浅倉は「去年10月に福岡で勝って、トーナメントで勝って、また福岡に戻って来られてうれしいです。チャンピオンになって第1戦でしっかり勝ちたかったんですけど、こういう結果になって、まだまだだと思いました。もっと強くなって、皆さんとRIZINを盛り上げていけたらと思います」とアピールした。
するとリングサイドで試合を観ていたRENAがリングに入り「シーザー(武志・シーザージム)会長、榊原代表、高田(延彦・統括本部長)さん、トーナメントじゃなくワンマッチで浅倉選手とリマッチを実現させてください」とアピールする。
浅倉は「この試合終わってばっかでテンパっちゃってるんですけど、チャンピオンになって、追われる立場になって、改めてRENAさんの凄さを実感しました。でも、ファイターとして、自分は(大晦日の後に)1戦して、まだRENAさんがMMAをしていなくて、正直どうかなと思って。チャンピオンになってもまだこんな結果で、この立場じゃ言えないですけど、まだ今は考えられないです」と返すと、RENAは「ふられてもーたなー、まじで」と大阪弁で漏らし、「7月6日にGirls S-cupで試合があるので、7月29日のRIZINで2試合目でどうですか?」ともう一押しする。
浅倉は「RENAさんも7月2戦目で、自分も2戦目になるので、大丈夫ですか?ここで決められないので、ちょっと考えさせてください」と、少し心が揺れ動き、RENAは「フラれちゃったんですけど、女子格闘技を盛り上げるため、お願いします。今のまま(の自分の実力)じゃダメだとわかっていますけど、死に物狂いで浅倉カンナを潰しに行きます」とさらにアピールを繰り広げた。
第9試合 70kg契約(ライト級相当) 5分3R
×ディエゴ・ヌネス [Diego Nunes](ブラジル/エボルサオン・タイ・ブラジル/Superior Challengeフェザー級(65.8kg)王者/69.75kg)
○矢地祐介(KRAZY BEE/元修斗環太平洋ライト級(65kg)&PXCフェザー級(65.8kg)王者/69.75kg)
判定1-2 (田澤=矢地/大藪=ヌネス/豊永=矢地)
矢地は大晦日大会で五味隆典に三角絞めで勝利し、RIZIN参戦以来4連勝中だ。
初参戦のヌネスは82年11月30日生まれの35歳。04年にMMAデビュー。08年からWECに上がり5戦4勝1敗。WECがUFCに吸収されるとUFCに出場し、3勝3敗の成績を残した。その間にマイク・ブラウン、マニー・ガンバーリャン、バート・パラゼウスキーに判定勝ちし、ケニー・フロリアン、デニス・シバー、ニック・レンツに敗れている。13年9月と14年2月にベラトールに上がったが、後にベラトールの王者となるパトリシオ・フレイレらに2連敗。以降はロシア、スウェーデン、イタリア、ルーマニアの大会に上がり4勝(2一本/2KO)1敗。スウェーデンのSuperior Challengeでは14年にヨアキム・ハンセンをKOしフェザー級王者となり、昨年12月には初防衛している。長年フェザー級え戦ってきたが、イタリア、ルーマニアの試合ではライト級で、体格面での不安は少なそうだ。今回は同じブラジル出身のヴァンダレイ・シウバの推薦で参戦する。
1R、矢地がサウスポーに構え、オーソドックスのヌネスとミドルの応酬。1分半過ぎ、ヌネスが詰めてボディと顔面に散らすパンチの連打からコーナーに押し込み、突き放し左フックを当てる。だが矢地も首相撲から右膝をお返しする。距離を取っての展開に戻るが、3分半過ぎにもヌネスの右フックが当たり、矢地がクリンチで防御する。終盤、ヌネスがサウスポーにスイッチし、最後は距離を詰めてヴァンダレイのようにパンチを連打し終了する。まだ大差は無いが、ヌネスのパワフルなパンチが少し好印象か。
2Rもヌネスが詰めてパンチを連打して来るが、矢地が首相撲で捕まえ右膝をお返しする。その後もヌネスがパンチの連打で詰める状況を繰り返すが、矢地は組み付いてテイクダウンに成功する。自軍コーナー付近のヌネスはセコンドのアドバイスを聞きながら、下から足関を狙う。矢地は対処して立ち上がるが、ヌネスはすぐタックルを仕掛けテイクダウンし上に。スタンドに戻ると、ヌネスはパンチを振るって来るが、矢地が右のパンチをヒット。追い討ちのテンカオは空振りして倒れるが、下からのヌネスの顔面を数発蹴り上げダメージを与える。ヌネスは上になるが、ダメージ回復優先といった様子で終了する。
矢地が巻き返し、ほぼ五分で迎えた3R、ヌネスはまたもパンチで詰めて来ると、矢地は組み付き、両脇を差し、足を掛けてテイクダウンに成功する。だがヌネスはトップキープさせず、スタンドに戻し、またもコーナーに詰めてパンチを狙ってから押し込む。離れると二段式の飛び膝を胸元に当て、さらにパンチラッシュ。矢地は耐えしのいだものの、疲労の色を隠せず、下がる状況が続く。中盤、ヌネスがタックルでテイクダウンに成功。ヌネスはいったん立ってからサイド、ハーフと動き、腰を上げてパウンドを落とす。矢地は脱出するが、ヌネスの勢いは止まらず、コーナーに詰めてパンチをヒット。終盤、矢地も一発右フックを当てるが、ヌネスは耐えて終了。
記者採点は1Rヌネス、2R矢地、3Rヌネスで、全般を眺めても攻め込む場面が多かったヌネスを評価したが、ジャッジは割れ、2者が矢地を支持。矢地はなんとか勝利をものにしたが、RIZIN 5戦で最も苦しむ試合となった。黒星がついたが、ヌネスも今後の活躍が楽しみだ。
第8試合 70kg契約(ライト級相当)(肘有り) 5分3R
○ダロン・クルックシャンク(米国/ミシガン・トップチーム/69.85kg)
×松本光史(フリー/修斗ライト級(70.3kg)世界王者/69.95kg)
1R 3’52” KO (左ハイキック)
クルックシャンクは北岡悟、矢地祐介に連敗して以来1年ぶりのRIZIN登場。RIZIN初参戦の松本はMMA戦績28戦19勝(4KO/8一本)7敗2分の34歳。3月25日の修斗後楽園大会で岡野裕城を1R KOし修斗ライト級世界王座を初防衛すると、「歴史あるベルトを巻いている一人として、僕は次のステップに進みたいです」とアピールしていた。
1R、開始すぐから松本が前に出てくると、クルックシャンクは時折スイッチして回って距離を取り、パンチを当てさせない。中盤過ぎ、クルックシャンクが松本をロープに詰め。左ミドルと右のハイを連続で当て、少し松本をひるませる。これで手応えをつかんだか?クルックシャンクが次第に圧力を増すと、首相撲で松本を捕まえて右膝をアゴに当てると、突き放して松本が下がった直後、左ハイをアゴにクリーンヒット。松本が真後ろに倒れて痙攣すると、高本レフェリーがすぐさまストップ。松本はいい所なく沈んでしまった。
第7試合 キックルール 51.5kg契約 3分3R
○石井一成(東京KBA/元ムエタイTrue4Uフライ級王者/51.4kg)
×栄井大進 [さかい だいしん](TARGET/51.3kg)
判定3-0 (和田30-28/梅木30-28/豊永30-28)
石井は昨年10月のRIZIN福岡大会で政所仁に判定負けしており、地元福岡のRIZINで初勝利を目指す戦い。なんとチケットを1人で500枚も売ったという。栄井は石井と同じ19歳で、那須川と同じTARGET所属。2月4日のRISEで金子梓と53kg契約で対戦し判定負けしている。
1R、サウスポーの栄井が左ストレートを当てて石井の腰が落ちるが、石井は距離を詰めてパンチ戦に持ち込んでパンチを当て、残り1分には右ハイを当てるように。終盤には右ミドル、右ストレートで追い込む。記者採点は10-9で石井。
2R、開始間もなく、石井の右ローがローブローとなり一時中断。2分ほどで再開し、パンチの打ち合いで石井が若干優勢を維持する。栄井も二段式の左ハイ等を返すが、パンチの防御のため自ら組み付く場面が多い。記者採点は10-9で石井。
3Rも石井がパンチを主体にしつつ、右ミドル、右ハイにつなげ攻勢。1分半過ぎ、バッティングで栄井が倒れ、長瀬レフェリーはダウンを宣告したが、栄井と他のレフェリーの指摘により、ダウンが取り消される。その後も石井が攻勢をキープし終了。記者採点は10-9で石井。合計30-27で石井。ジャッジ3者も石井を支持し、石井が地元での勝利をもぎ取った。
第6試合 59kg契約 5分3R
×マネル・ケイプ(アンゴラ/VSチーム/RIZINバンタム級(61kg)トーナメント’17ベスト4/59.0kg)
○朝倉 海(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 55-60kg級王者/58.9kg)
判定1-2 (大藪=朝倉/高本=ケイプ/田澤=朝倉)
朝倉は12月29日のRIZINで初参戦し、伊藤盛一郎と戦う予定だったが、伊藤の欠場が大会8日前に発表され、代役の才賀紀左衛門と対戦し、2Rにパンチと膝のラッシュを当ててTKO勝ちしている。対するケイプはバンタム級GPで山本アーセンとマッコールに1R TKO勝ちし、準決勝で堀口に肩固めで敗れたが、破天荒なキャラも相まって一気に知名度を上げた。
1R、両者素早くステップを踏んで動き、パンチと左ミドルの応酬。1分半過ぎ、ケイプの伸びのある左右のストレートが立て続けに当たると、朝倉はロープに詰められ、ケイプが倒して上になる。だがしばらくして朝倉はスタンドに戻すと、それでも果敢に打ち合い、朝倉が右フックを当て返すとケイプがひるむ。その後もお互いパンチ、蹴り、タックルを狙うが、残り1分、コーナーでの差し合いで膠着しブレイク。残り時間、朝倉が左ミドルを当てるが、打ち合いとはならず終わる。
2Rも時折パンチの打ち合いが繰り広げられると、朝倉は右目の下から出血し、少しもらい続ける状況が続いたが、2分頃にタックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。朝倉はハーフ、サイド、トップと動き、パウンドや肩固めを狙って攻勢を維持する。残り10秒には立ってサッカーボールキック、踏みつけを放ち、好印象でラウンドを終える。
3R、スタンドの打撃戦が続き、両者ミドルをヒットし合う。両者打撃決着を狙っている様子だが、同時に警戒も強く、なかなか均衡は崩れない。残り40秒、朝倉がタックルを狙って右手を前に突き出すと、ケイプの左目に入り、ケイプは倒れてうめき声をあげ、試合が一時中断する。再開後、朝倉はパンチを振るうが、ケイプがかわして終了する。
記者採点は朝倉。接戦で評価が難しいが、打撃はほぼ五分で、2Rのグラウンドの展開で朝倉が差をつけたと判断した。ジャッジの採点はその難しさを反映するように分かれたが、2者が朝倉を支持し、朝倉のRIZIN 2連勝となった。
第5試合 女子49kg契約(肘有り) 5分3R
○浜崎朱加(AACC/元インヴィクタ・アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者/48.85kg)
×アリーシャ・ガルシア(米国/UWF USA/49.0kg)
判定3-0 (大藪=浜崎/高本=浜崎/田澤=浜崎)
浜崎はMMA戦績16戦14勝(3KO/5一本)2敗の36歳。DEEP JEWELSの前身のJEWELS時代から主力として活躍し、同大会では9戦負け無し。米国の女子大会インヴィクタ(INVICTA)に主戦場を移し、アトム級王座を獲得し2度防衛。UFC参戦を目指し、UFC女子は一番軽い階級がストロー級(52.3kg)のため、昨年3月のインヴィクタの試合ではストロー級に上げて試合をしたが、元ストロー級王者のリヴィア・ヘナタ・ソウザに1R TKO負けを喫した。その後、インヴィクタのベルトは返上し、試合はそれ以来となる。日本の大会復帰初戦では、RIZINで浅倉カンナに勝ち、マリア・オリベイラに敗れているアリーシャ・ガルシアと対戦する。
浜崎のセコンドには練習仲間のRENA、ガルシアのセコンドにはジョシュ・バーネットががつく。1R、浜崎はサウスポーに構え、積極的にパンチを振るい、タックルで押し込んでテイクダウンを奪う。だがロープにもつれ、ドントムーブで少し中央寄りに戻されると、浜崎の動きに合わせガルシアは立ち上がる。浜崎はそれでもコーナーに押し込み、足を掛けて倒そうとするが、ガルシアは倒れず離れ、打撃戦に戻す。ガルシアが少しずつパンチを当てていると、浜崎は鼻血を出す。終盤にもパンチをもらって少し頭がのけぞってしまう。ガルシアのステップ、伸びのあるパンチに手を焼いている印象だ。
2R、浜崎はサウスポーに構えて右に回り続けてガルシアのパンチを防ぐと、タックルでテイクダウンに成功し、サイドをキープ。両足でガルシアの左腕を挟む「マット・ヒューズ・ポジション」からパウンドを連打する。いったん立たれても、しぶとく組み付き、再びテイクダウン。ハーフで固め続け、マウントを狙って足を抜こうとするが、そのタイミングでガルシアはリバースして上に。浜崎は下からの蹴り上げを続け、終盤に両足でガルシアの左腕をはさむも、関節技には持ち込めず終了する。
五分で迎えた3R、浜崎は度々スイッチし、パンチを狙うが、逆にガルシアのパンチをもらってしまう。浜崎が中盤、タックルを仕掛けて倒すと、バックを取りに行くが、ガルシアは脱出し、逆に組み付いて抱え上げてテイクダウンし、バックマウントを奪う。ガルシアはチョークを狙うが、乗りすぎて崩れて下に。ガルシアは下から足を登らせるが、浜崎はほどいて動いてバックマウントを奪い返す。浜崎は腕十字を仕掛け、一瞬伸ばしそうになるが、ガルシアが体をひねって防御した状態で終了。記者採点は残り1分に攻勢を維持した浜崎。ジャッジ3者も浜崎を支持し、浜崎が苦しみながらもRIZIN初戦を白星で飾った。
浜崎は「3年半ぶりに日本のリングに戻ってきました。アメリカで世界チャンピオンになって、日本を盛り上げたくて戻って来たのですが、一本を極められず不甲斐ないです。次は一本を極めます。暖かく迎えてくれたRIZINのスタッフ、支えてくれたAACCのみんな、ありがとうございます。まだ懲りずに続けていきたいと思います」とアピールした。
第4試合 120kg契約(ヘビー級相当)(肘有り) 5分3R
○アンテ・デリア [Ante Delija](クロアチア/クロコップ・トップチーム/110.3kg)
×ヒカルド・プラセル [Ricardo Prasel](ブラジル/アレマオン・ブラザーズ・チーム/107.25kg)
判定3-0 (田澤=デリア/ハーゾグ=デリア/高本=デリア)
RIZINでは今年の大晦日大会でミルコ・クロコップの引退試合を組む予定で、そこまでの大会の中でミルコの対戦相手となるヘビー級の新鋭を発掘する試合を組んでいく方針を示し、今回は初参戦4選手による2試合を用意した。エジプト出身の元大相撲力士・大砂嵐が夏以降にRIZINでMMAデビューする予定で、そことの絡みも今後話題となるだろう。
デリアはミルコの推薦で参戦するストライカー。プラセルは柔術がベースで、昨年8月にブラジルのアスペラFCのヘビー級王座を獲得しMMA戦績9戦全勝。1R開始すぐ、プラセルがタックルを仕掛けるが、デリアが防御し、膠着ブレイク。再び組み付くとデリアが潰して上になるが、プラセルが両足でデリアを浮かせて脱出する。スタンドでデリアがパンチを当てると、デリアは打撃戦を嫌って自ら引き込んで下に。デリアはパウンドを振るうが、うまく当たらず、最後は下からプラセルが右肘を当てて終える。
2Rもプラセルがタックルを仕掛けるが、デリアは切って上になりパウンドを落とす。プラセルが1R終盤同様に下から右肘を当て続けると、デリアは左まぶたから出血する。それでも執拗にデリアはパウンドを随所で当て続け、パウンドは消耗が目立つように。
3Rもプラセルがタックルを仕掛けるが、デリアは切って上に。プラセルは三角絞めを狙って足を登らせるが、デリアは対処する。デリアばパウンドを落とし続け、デリアはクリーンヒットを免れているが、防戦状態が続く。残り1分。和田レフェリーがブレイクし、最後はデリアがパンチを当て、相手のお株を奪うようにタックルから抱え上げてテイクダウンを奪い終了。記者採点の勝者はデリア。ジャッジ3者もデリア。デリアが師匠ミルコの期待に応え、RIZINで白星をあげた。
第3試合 120kg契約(ヘビー級相当)(肘有り) 5分3R
○ジャルジーニョ・ホーゼンストライク [Jarzinho Rozenstruik](スリナム/ヘマーズジム/111.35kg)
×アンドレイ・コヴァレフ [Andrey Kovalev](ウクライナ/ニコラエフMMAクラブ/103.4kg)
判定2-1 (大藪=コヴァレフ/豊永=ホーゼンストライク/ハーゾグ=ホーゼンストライク)
両者とも初来日。ホーゼンストライクは入場前のボディチェックで塗布物が確認され、入念に梅木レフェリーらに拭かれてからリングイン。和田レフェリーからイエローカードが提示される。
1R、序盤からパンチ合戦で、ホーゼンストライクの右ストレートでコヴァレフが少しひるむ。コヴァレフは少し鼻血を出しながらも、左ミドルを返していき距離を作ると、右フック、左ジャブを返すように。しかし距離が縮まればホーゼンストライクのパンチが再度当たり出す。
2Rに入るとホーゼンストライクはロー、前蹴りを使い出し、流れを変えようとしたが、コヴァレフも1分半過ぎに胴タックルを仕掛けてテイクダウンを奪い、局面を変化させることに成功。ホーゼンストライクは寝技に対応できず、コヴァレフは簡単にサイドを奪うと、細かくパウンドを当てる。マウントを狙うとハーフになるが、その状態でポジションを安定させ、パウンドを当て続ける。
3R、コヴァレフのタックルを潰し、ホーゼンストライクが上になり、立ち上がってサッカーボールキックを肩口に当てる。トップになってから攻めあぐねると、コヴァレフは脱出してスタンドに戻すが、再びタックルに行くと、これも潰され、頭に膝蹴りをもらう。ホーゼンストライクは自らスタンドに戻し、少しパンチを当て、最後はタックルで倒し返して終了する。
記者採点は試合内容自体ではドローだが、試合前のホーゼンストライクへのイエローカードを考慮してコヴァレフの勝利とした。ジャッジは割れたが、2者が打撃で優位だったホーゼンストライクを支持した。
第2試合 女子54kg契約 5分3R
○村田夏南子(フリー/パンクラス女子ストロー級(52.2kg)1位/53.6kg)
×ランチャーナ・グリーン [Lanchana Green](英国/ザ・ラボ・ダーリントン/53.7kg)
1R 4’54” アナコンダチョーク
村田はレスリング全日本選手権優勝の実績を引っ提げ、16年4月のRIZINでMMAデビュー。同年12月大会で中井りんに敗れた後は、パンクラス、DEEPで勝利したが、膝を怪我し、しばらく休んでいた。今回の試合に備え、アメリカで練習を続けてきた。
当初はクンルンファイト王者のジャン・ウェイリーと戦う予定だったが負傷欠場。代わって出場が決まったグリーンは英国人の父親とタイ人の母親を持ち、ムエタイをベースとし、MMA転向後、16年のUFC TUFシーズン23でヘレン・ハーパーに勝利しベスト4まで進んだが、アマンダ・クーパーに敗れた。MMA公式戦績は1敗1分。
1R、村田が片足タックルからコーナーに押し込んでテイクダウン。パウンドを連打すると、グリーンは足を登らせ、下から蹴り上げを狙う。村田は被弾して左まぶたを腫らすが、いったん立ってサイドに回り、ハーフから肩固めを仕掛ける。グリーンに防御されるが、外してグリーンが立とうとした隙に、がぶったてからアナコンダチョークを極めタップを奪った。
左目を腫らしながらマイクを持った村田は「突然のオファーを受けてくれたランチャーナ選手ありがとうございます。復帰まで支えてくれた皆さん、お母さんありがとうございます。アメリカにもう1回戻って、もっと強くなってこのリングに戻ってきます」とアピールした。
第1試合 キックルール 63kg契約 3分3R
△北井智大(チームドラゴン/RISEライト級(63kg)3位/62.8kg)
△ダルビッシュ黒木(KING EXCEED/RISEライト級12位、RISE WEST-63kg 九州最強決定トーナメント~Road to RIZIN~優勝/62.85kg)
判定1-1 (和田=ドロー/梅木=黒木/豊永=北井)
黒木(くろぎ)は宮崎県出身。3月16日のRISE福岡大会での4選手による1DAYトーナメントで優勝し、今大会での北井戦を勝ち取った。
1R、広いリングの中で北井が距離を取る時間が続いたが、残り1分、北井が左のテンカオを効かせてからラッシュ。黒木もローを返し、まだ大差をつけさせない。記者採点は10-10。
2R、黒木は執拗にローを当て、北井はローを嫌って前に詰めて右アッパー等のパンチを連打するが、黒木も残り1分に左フックをお返しし、北井がぐらつく。だが北井も終了間際に左の飛び膝を顔面に当ててからのパンチ連打で黒木を追い詰め好印象を残す。記者採点は10-9で北井。
3R、序盤に黒木が打ち合いの展開で左フックを当て、北井がダウン。2R終盤に当てたパンチも効いていたか? 北井は立ち上がると逆転を狙って距離を詰めパンチの連打と膝を返し挽回。黒木はブロックして耐えながら時折左右のフックを返すが、北井は最後までパンチを連打し続ける。記者採点は8-9で黒木。合計は28-28でドロー。採点内容がなぜかアナウンスされなかったが、ジャッジも三者三様でドロー。両者白星とはならなかったが、存在感を示す好ファイトを繰り広げた。