ONE Championship 1.25 マニラ:秋元皓貴、キック復帰戦は判定勝ち。鈴木博昭2連勝。和田竜光、接戦も判定負け。小笠原裕典2連敗
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ONE: HERO’S ASCENT
2019年1月25日(金)フィリピン・マニラ:モール・オブ・アジア・アリーナ
レポート:井原芳徳 Photos by ONE Championship
第11試合メインイベント ONEフライ級(61.2kg)チャンピオンシップ 5分5R
×ジェヘ・ユスタキオ(フィリピン/王者)
○アドリアーノ・モラエス(ブラジル/挑戦者)
判定0-3
※モラエスが王者に
両者は14年9月に初対戦し、モラエスが2Rギロチンで勝利したが、昨年6月の王座戦でユスタキオが判定2-1で勝利して王座を奪っている。
1R、モラエスが圧力をかけ、お互いパンチを振るう展開が続くが、まだ慎重。両者当てるが、地元のユスタキオの攻撃が軽く当たるだけで会場が沸く。
2R、モラエスは最初のタックルでテイクダウンを奪い、金網際でハーフで押さえ込む。ユスタキオが立とうとすると、モラエスはオンブで乗っかり、裸絞めを狙う。2分ほどこの状態が続き、モラエスは下に落ちながら足を取りに行くが、ユスタキオは脱出し、背後からしがみつく。モラエスは潰して上になり、ユスタキオは下から蹴り上げを狙う。残り1分、グラウンドでもつれ合い、モラエスがギロチンを仕掛けようとするが、ユスタキオが防御する。ユスタキオは下から蹴り上げ、肘を当てる。主導権はモラエスだが、ONE基準ではユスタキオも打撃で印象点を稼いでいそうだ。
3R、モラエスがスタンドで圧力をかけ続けるが、有効打は乏しい。中盤過ぎと終盤にモラエスがタックルを仕掛けるが、ユスタキオは切る。
4Rも同様の構図が続くが、モラエスは中盤過ぎ、ようやくタックルで倒すことに成功し、バックマウントを奪う。オンブになると、下に落ちながらモラエスは左足を取りに行き、股裂きと膝十字の中間の形で40秒ほど追い詰める。2Rにも同じ技をトライして失敗したが、ユスタキオが疲れてきたところで成功させる。残り30秒、モラエスはようやくほどいてバックを奪い、最後はユスタキオは脱出したが、左足のダメージでバランスを崩し、印象を悪くする。
5R、モラエスは圧力をかけ、ユスタキオは右フックを振るうが、踏ん張りが効かずやや流れ気味だ。モラエスがテイクダウンを奪うが、ユスタキオはすぐスタンドに戻す。2分過ぎ、今後はモラエスがタックルで倒すとトップキープに成功する。時折モラエスは立ち、ガードの中に戻る展開を繰り返す。ユスタキオは時折ボディにパンチを当てて抵抗する。
記者採点は4Rに追い詰めたモラエス。ジャッジ3者も順当にモラエスを支持し、モラエスが王座奪還を果たした。試合後、モラエスは巻いたベルトを外してマットに置き、ベルトをはさんでユスタキオと共に頭を下げ合い、ユスタキオにも敬意を示した。
第10試合 MMA ライト級(77.1kg)GP一回戦 5分3R
×ホノリオ・バナリオ(フィリピン/元フェザー級王者)
○ローウェン・タイナネス(米国)
1R 4’46” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/549607038783371/
今年からスタートしたGP(トーナメント)一回戦。1R、タイナネスが1分半過ぎにタックルでテイクダウンを奪う。タイナネスがトップキープし、左の肘、パウンドを的確にヒットし、3分過ぎにサイドを奪う。タイナネスがマット・ヒューズ・ポジションでガッチリ固め、パウンドを連打する。バナリオは脱出したが、タイナネスは再び押さえ込み、バックマウントを奪うと、左のパウンドを連打したことろで島田レフェリーがストップした。3月31日の両国国技館大会でエディ・アルバレスが勝てば、準決勝で当たることになる。
第9試合 MMA フライ級(61.2kg) 5分3R
○ダニー・キンガド(フィリピン)
×和田竜光(フリー/DEEPフライ級王者)
判定3-0
和田は7月のONE初戦でリース・マクラーレンに判定負けしたが、11月の2戦目でユージン・トケーロに52秒で裸絞めで一本勝ちしている。対するキンガドはONEフライ級王座挑戦経験もあり、9月に若松佑弥に判定勝ちし3連勝中だ。
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/586634698415454/
1R、重心低めに構えるキンガドに、和田は右ローを強打し続けると、胴タックルでテイクダウンを奪い、バックに回り込む。だがキンガドはブリッジしつつ引っ繰り返し、バックを奪い返すと、地元ファンが大声援を送る。キンガドはしばらく裸絞めを狙い続け、和田が脱出しかけても、しがみついて再びバックを取ろうとする。残り1分、ようやく和田は外してスタンドに戻すが、お互いその先の攻め手は乏しい。キンガドが好印象を残すラウンドに。
2R、スタンドの展開が続き、1分半過ぎ、和田が組み付き、がぶりの状態からキンガドの頭に膝を連打する。キンガドが逃げようと動くと、和田がバックマウントを奪いキープし、パウンドを当てつつ裸絞めを狙う。終了間際にキンガドが上になるが時間切れに。印象としては和田が五分に戻すが、キンガドへの大声援に、ジャッジが影響されている可能性はある。
3R、スタンドの展開で、お互いパンチを当て、五分の状態が続く。1分半過ぎ、和田がタックルを仕掛けて押し込むが、キンガドは押し返す。和田はキンガドの後頭部に肘を連打してしまい、オリヴィエ・コスト・レフェリーから警告を受ける(減点ではない)。ブレイクがかかり、和田が片足タックルを仕掛け、バックを奪うことに成功する。キンガドは和田の左手をつかんで必死に抵抗し、前方に落とし脱出する。残り30秒、和田ががぶりの状態から膝を連打するが、最後はキンガドが返してハーフで押さえた状態で終える。はっきりした差の無い最終Rで終わったが、キンガドが打撃でやや好印象を残し、和田は反則で悪印象を残してしまい、キンガドの判定勝ちとなった。キンガドの成長が見える内容だったが、和田も健闘しており、まだまだONEでチャンスはあるだろう。
第8試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
×ファディ・カレッド[Fahdi Khaled](チュニジア)
○ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
判定0-3
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/423697741792984/
昨年6月のRISEで那須川天心を苦しめたロッタンが登場。対するカレドはタイで練習している選手だ。1R、開始すぐからロッタンが圧力をかけ、パンチを振るい、左フックでダウンを奪う。崩しを連続で決めると、両手でガッツポーズをする等して観客も煽る。2Rもロッタンが圧力をかけ続け、パンチ、崩し、膝で圧倒。3Rもその流れは変わらず、ロッタンの完勝に終わった。
第6試合 キックボクシング(肘無し) フライ級(61.2kg) 3分3R
×ジョシュ・トナー(オーストラリア/ISKA K-1ルール世界フェザー級王者)
○秋元皓貴[ひろき](EVOLVE Fight Team/元WBCムエタイ日本フェザー級王者)
判定0-3
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/619504645174251/
秋元は愛知出身の26歳。小学2年生から空手を始め、2010年のK-1甲子園で準優勝し、K-1甲子園では山口裕人、小川翔、江幡睦に勝ったことがある。プロでもTURBΦ、ピンサヤーム、森井洋介、駿太を下し、12年にはMA日本とWBCムエタイ日本のフェザー級王座を獲得した。だが13年4月のスラチャイ・シースリヤンヨーティン戦でプロ19戦19勝としたのを最後に空手に戻り、17年5月のJFKO主催第4回全日本フルコンタクト空手選手権では軽量級優勝を果たした。昨年10月、ONE Championshipのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOが経営するシンガポールのジム「EVOLVE」に加入し、キック復帰を目指していた。。
対するジョシュ・トナーは、16年11月にK-1で小澤海斗にKO負けし、昨年7月のONEでムエタイの強豪・ペッダムとムエタイルールで対戦し2R KO負けをしている選手だが、10月にはジョセフ・ラシリに判定勝ちしている。
両者オープンフィンガーグローブ着用の試合。1R、トナーがガードを固めて詰めて来るが、秋元は右ローをコツコツ返し続け、左ミドルを連続で当てると、トナーはうずくまり、大成レフェリーがダウンを宣告する。秋元は三日月蹴り気味の左ミドルを随所で当て続けるが、トナーは耐えて圧力をかけ続ける。すると秋元が左ミドルを空振りした後にガードが下がったところで、トナーが右ストレートを当ててダウンを奪い返す。秋元は顔面パンチの無いフルコン空手で戦い続けた影響か?時折ガードが下がってしまい、そこをトナーに突かれてしまう。
2Rもトナーが随所で右ストレートを当て、左ボディや膝も絡め、やや優位。秋元の左ミドルも読まれるようになっている。少しずつ秋元がローを返すが、トナーは耐える。
3R、序盤はトナーが左ミドルを当てていたが、秋元が左ミドル、右ローを効かせると、右ミドルでダウンを奪う。さらに秋元はパンチの連打からの右ハイで2ダウン目を奪取。3ダウン目は奪えなかったが、反撃は許さず、苦しみながらもキック復帰戦で判定勝ちした。
第4試合 ムエタイ フライ級(61.2kg) 3分3R
○エリアス・マムーディ(フランス)
×小笠原裕典(クロスポイント吉祥寺)
判定3-0
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/1153543191489925/
小笠原瑛作の兄・裕典は、6月のONE初戦こそルイ・ボテーリョをバック肘で沈めたが、9月のハキム・ハメッシュ戦では1R右ストレートでKO負けした。
マムーディはK-1・Krushで16年11月に戸邊隆馬に判定勝ちしたが、以降は小澤海斗、西京春馬、村越優汰に3連続判定負けしている。昨年6月のK-1のフェザー級王座決定トーナメント一回戦では優勝した村越から1Rに右ストレートでダウンを奪い、延長戦まで持ち込んでいる。17年にはWPMF世界フェザー級王座を獲得し、ムエタイのほうが得意なため、K-1では出せなかったポテンシャルを発揮する。
両者オープンフィンガーグローブ着用の試合。1R、開始すぐからマムーディが右の前蹴り、右ストレートで積極的に攻めて先手を取ろうとする。バックブロー、首相撲からの膝でも攻め、右肘を当てると、裕典は左まぶたをカットし、ドクターチェックが入る。再開後、マムーディ―は組んでの膝を連打し、ロー、ハイ、肘も当て、裕典を圧倒する。
2R、序盤のマムーディの右ストレートで裕典はダウンする。その後もマムーディがパンチ、肘、膝等を当て続けて裕典を苦しめる。3Rも同様で、残り1分に裕典は被弾覚悟でパンチと肘の打ち合いに持ち込むが、マムーディの優勢は変わらず、マムーディの完勝に終わった。裕典はONE 2連敗となった。
第2試合 ムエタイ バンタム級(65.8kg) 3分3R
×モハメド・ビン・マムード[Mohammed Bin Mahmoud](マレーシア)
○鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)
3R 2’53” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
元シュートボクシング世界スーパーライト級王者の鈴木は11月23日のマニラ大会でONEに初参戦。ストライキングジムAresとSBから独立し、SBのベルトも返上し、退路を断っての一戦だったが、デイヴィダス・ダニーラに判定勝ちした(上写真)。対するマムードは12月にStergos Mikkiosを1R KOしている22歳。首相撲からの右肘、左ミドルと右ストレートの連打で2ダウンを奪い、インパクトを残していた。
https://www.facebook.com/ONEChampionship/videos/2060396057584203/
両者オープンフィンガーグローブ着用の試合。1R、鈴木がサウスポーに構え、じわじわ圧力をかけ、左ハイを当て続け、場内がどよめく。マムードの右ハイ、右ストレートをかわし続け、終盤には鈴木が左ストレートをクリーンヒットする。
2R、マムードは鈴木の蹴り足をつかんでから肘を放つように。だが鈴木が左インローを当てていると、マムードはバランスが悪くなり、終盤には構えをサウスポーに変える。
3Rも鈴木が圧力をかけてロー主体で攻め続け、左ハイも当てる。マムードは蹴り足をつかんで倒すことを繰り返すが、有効打は乏しい。終盤、鈴木はマムードを金網に詰めると、左右のフックを振ってからの右アッパーをクリーンヒットし、マムードをぐらつかせると、右ローも効かせてからパンチと膝のラッシュ。マムードが防戦一方になったところで大成レフェリーがストップした。