極真会館 11.30-12.1 東京体育館(レポ):コバレンコ、37歳のベテラン荒田昇毅を決勝で下し全日本大会4年ぶり2度目の優勝。女子はザベリナが宮本神・小城みなみら下し優勝
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極真会館(松井章奎館長)「日本赤十字社 災害義援金チャリティー 第56回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」
2024年11月30日(土)・12月1日(日)東京体育館
レポート&写真:井原芳徳
直接打撃制(フルコンタクト)空手の極真会館が毎年秋に開催している体重無差別のトーナメント、全日本空手道選手権大会。今年は男子89名、女子30名が参加し、初日の11月30日に1回戦、最終日の12月1日に2回戦から決勝まで行われる。男子は6~7試合、女子は4~5試合を勝ち抜かないと優勝できない。男子は約4分の1、女子は約6分の1が海外からの招へい選手で、昨年秋の世界大会の入賞者も参戦する。今大会は来年春に予定される世界ウェイト制大会の日本代表選考大会にもなっている。
男子は37歳のベテラン・荒田昇毅、2020年優勝者の在日ロシア人強豪・コンスタンティン・コバレンコが優勝有力候補。松井章奎館長(上写真)は11月13日の記者会見で「昨年第13回の全世界大会が終わった翌年ということで、新たな循環・代謝の始動の年ということになると思います。昨年世界大会を締めくくりとして引退する選手もいると同時に、今年の全日本選手権で新たな若い力が出てくると、いいチャンスになると思います」と大会の位置づけを説明しており、新旧世代のせめぎ合いが見どころとなる。
トーナメント表は極真会館公式サイトの大会ページ参照。(編集部注:海外の選手の極真会館の公式表記は姓・名の順ですが、当記事では一般的な名・姓の順としています。国名表記もI.K.O.RUSSIAといった公式表記ではなく、ロシアといった国名としています)
男子
※3回戦まで本戦2分・延長2 分・体重判定10kg差・再延長2分。4回戦以降は本戦3分・延長2分・再延長2 ・試割り及び体重判定10kg差・審議
4回戦
[Aブロック]
○荒田昇毅(千葉海浜支部/2024全日本ウェイト制重量級優勝、2023全世界ベスト16、2022(秋)全日本4位、2019全世界8位、2013世界ウェイト制重量級優勝)
×西尾咲哉(岐阜支部/全中部大会3連覇)
本戦5-0
西尾が前に出るが、荒田が右インローを当て続けると失速し、中盤以降、荒田が左膝蹴りを度々当てて西尾を下がらせ、差を示し本戦で勝利した。
○イリヤ・ポリアコフ(ロシア/2024全ロシア中量級優勝)
×樋口知春(総本部道場/2024全日本ウェイト制軽量級優勝、2018全日本ウェイト制中量級優勝)
合わせ一本
体格で勝るポリアコフが、足掛けで倒してからの下段突きで技ありを2度奪い、危なげなく勝利した。
[Bブロック]
○ダニル・ゴリウシキン(ロシア/2023全世界ベスト16)
×大秦稜司(京都支部/2024全日本ウェイト制中量級4位、2022(秋)全日本3位、2022全日本ウェイト制中量級優勝)
延長5-0 本戦2-0
小柄な大秦が右のローを効かせて健闘し延長に持ち込み、同様にローを当て続ける。だが終了間際、ゴリウシキンが足掛け下段突きで技ありを奪って差をつけ判定勝ちした。
○谷川蒼哉(総本部道場/2024全日本ウェイト制中量級2位)
×田水春樹(東京城西支部/2023全日本ウェイト制重量級ベスト8)
延長4-0 本戦0-1
体格で勝る田水が前に出続け、ロー、左膝蹴り主体で若干優位に進めるが、差が小さく延長へ。谷川もローで応戦していると、田水は失速し、つかみでの注意も受け、谷川が判定勝ちした。
[Cブロック]
○アントニオ・トゥセウ(フランス/2023全世界4位、2024・2023・2022ヨーロッパ重量級優勝)
×徳田寛大(大阪西支部/2024・2023全日本ウェイト制軽重量級3位)
本戦5-0
中盤から体格で勝るトゥセウが左ミドル、ボディフックを聞かせて徳田を下がらせ続け、差を示し判定勝ちした。
×西村大河(東京城北支部/2024全日本ウェイト制重量級3位、2023全日本ウェイト制軽重量級4位、2022全日本ウェイト制軽重量級3位)
○マクシム・エキモフ(ロシア/2024ロシア重量級2位、2024全日本ウェイト制重量級2位、2023全世界7位)
本戦0-4
西村がロー、ミドルを当てるが、エキモフは体力温存しつつ耐えると、終盤、突きと膝のラッシュで西村を下がらせ判定勝ちした。
[Dブロック]
×小林健人(東京城北支部/2024全日本ウェイト制軽量級2位、2023全日本ウェイト制軽量級優勝、2020全日本8位)
○ラシャド・グセイノフ(ロシア)
本戦0-5
小林は3回戦でアレハンドロ・ナヴァロを下し4回戦に進んだ。本戦はお互い突きを出しつつローで削り合う展開。終盤、体格で勝るグセイノフが圧を強めて手数を増し、本戦で勝利した。
×大秦零司(京都支部/2024全日本ウェイト制軽重量級2位)
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2023全世界6位、2022(秋)全日本2位、2022全日本ウェイト制重量級優勝、2020全日本優勝)
0-4
コバレンコが2度顔面殴打、大秦が1度顔面殴打で注意を受け、激しい打ち合いとなるが、終盤にやや手数多く攻め込んだコバレンコが判定勝ちした。
準々決勝
○荒田昇毅(千葉海浜支部/2024全日本ウェイト制重量級優勝、2023全世界ベスト16、2022(秋)全日本4位、2019全世界8位、2013世界ウェイト制重量級優勝)
×イリヤ・ポリアコフ(ロシア/2024全ロシア中量級優勝)
再延長4-0 延長2-0 本戦0-0
荒田は左右のロー主体の攻めで、終盤、ポリアコフが圧を強めローと左膝のヒットを増やすが、荒田も返し続け差をつけず延長へ。ポリアコフのローと左膝がやや目立つが、荒田も攻撃を返し、再延長へ。お互い接近戦で打ち合う。差ははっきりつかなかったが、若干優位だった荒田が勝利した。
○ダニル・ゴリウシキン(ロシア/2023全世界ベスト16)
×谷川蒼哉(総本部道場/2024全日本ウェイト制中量級2位)
本戦3-0
25㎏重いゴリウシキンが体格差を生かして前に出て突きを連打し、倒してからの下段突きも終盤に多用して差を示し判定勝ちした。
×アントニオ・トゥセウ(フランス/2023全世界4位、2024・2023・2022ヨーロッパ重量級優勝)
○マクシム・エキモフ(ロシア/2024ロシア重量級2位、2024全日本ウェイト制重量級2位、2023全世界7位)
本戦0-5
エキモフが前蹴りでトゥセウを数度吹き飛ばし、中盤には右膝蹴りを効かせ、最後の突きの攻防でもやや上回り判定勝ちした。
×ラシャド・グセイノフ(ロシア)
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2023全世界6位、2022(秋)全日本2位、2022全日本ウェイト制重量級優勝、2020全日本優勝)
本戦0-5
突きを多用するグセイノフに対し、コバレンコが執拗に右ローを当て続けてグセイノフを追い詰め、最後は左ローも絡めて圧倒し本戦で勝利した。
ベスト4
準決勝
○荒田昇毅(千葉海浜支部/2024全日本ウェイト制重量級優勝、2023全世界ベスト16、2022(秋)全日本4位、2019全世界8位、2013世界ウェイト制重量級優勝)
×ダニル・ゴリウシキン(ロシア/2023全世界ベスト16)
延長 一本 本戦0-1
体格で勝るゴリウシキンが前に出続けるが、荒田はかわし続け、時折ローを返す。お互いヒットが少なく延長へ。荒田は引き続きローを当てていると、ゴリウシキンは体が流れ始め、中盤に右ローを当てると、ゴリウシキンが倒れて足を伸ばしたまま動けず、荒田の一本勝ちとなり、場内は大歓声に包まれた。
準決勝
×マクシム・エキモフ(ロシア/2024ロシア重量級2位、2024全日本ウェイト制重量級2位、2023全世界7位)
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2023全世界6位、2022(秋)全日本2位、2022全日本ウェイト制重量級優勝、2020全日本優勝)
本戦0-5
小柄がコバレンコが前に出て、右のローを効かせつつ、終盤には突きも多用する。エキモフも右顔面前蹴りや左膝を返すが、攻撃が少なく下がる状況が続き、本戦でコバレンコが勝利した。
3位決定戦
×ダニル・ゴリウシキン(ロシア/2023全世界ベスト16)
○マクシム・エキモフ(ロシア/2024ロシア重量級2位、2024全日本ウェイト制重量級2位、2023全世界7位)
本戦0-5
準決勝の荒田戦のダメージの溜まっているゴリウシキンに対し、エキモフが積極的にロー、突きを当て続けて主導権を握り勝利した。
決勝
×荒田昇毅(千葉海浜支部/2024全日本ウェイト制重量級優勝、2023全世界ベスト16、2022(秋)全日本4位、2019全世界8位、2013世界ウェイト制重量級優勝)
○コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場/2023全世界6位、2022(秋)全日本2位、2022全日本ウェイト制重量級優勝、2020全日本優勝)
本戦0-4
※コバレンコが優勝
大会前の記者会見で両者決勝での対戦を希望していただけあり、開始すぐからお互い前に出て激しく打ち合う展開に。だが中盤からコバレンコが足掛け下段突きも絡めて流れをつかむと、荒田の圧力をステップでかわし続けながら、左右のローを度々当てて主導権を握る。大差まではつかなかったものの、審判5名のうち4名は差を評価し、コバレンコが勝利し、4年ぶりの全日本大会優勝を果たした。
松井館長は大会後のインタビューで、優勝者のコバレンコについて「戦いに緩急・抑揚がついて良くなった」と評価した。準優勝の荒田についても「若い時は勢いに頼っていたが、支部長になってから責任感が生まれ、人間的な成長を感じた。頼りになる男だと思った」と称え「来年のウェイト制の世界大会でも本分を発揮してもらいたい」と期待を寄せた。
優勝:コンスタンティン・コバレンコ(ロシア/総本部道場)
準優勝:荒田昇毅(千葉海浜支部)
3位:マクシム・エキモフ(ロシア)
4位:ダニル・ゴリウシキン(ロシア)
5位:ラシャド・グセイノフ(ロシア)
6位:イリヤ・ポリアコフ(ロシア)
7位:谷川蒼哉(総本部道場)
8位:アントニオ・トゥセウ(フランス)
敢闘賞:谷川蒼哉(総本部道場)
技能賞:イリヤ・ポリアコフ(ロシア)
試割賞:ダニル・ゴリウシキン(ロシア)25枚
新人賞:田水春樹(東京城西支部)
(下写真は歴代優勝者の演武の様子)
女子
※3回戦まで本戦2分・延長2分・体重判定5kg差・再延長2分。準決勝は本戦3分・延長2分・再延長2分・体重判定5kg差・審議。3位決定戦・決勝は本戦3分・延長2分・再延長2分・試割り/猿臂及び体重判定5kg差・審議
3回戦
○小城[こじょう]みなみ(千葉北支部/2024全日本ウェイト制中量級優勝)
×ダリア・コマネンコ(ロシア)
延長5-0 本戦2-0
体格で勝るコマネンコが前に出続け、小城は回って距離を取り、執拗に右主体でローを当てて抵抗する。延長に進み、同様の構図が続くが、コマネンコは押し出しで2度注意を受けて印象を悪くし、蹴り続けた小城が判定勝ちした。
×本村愛花(東京城東北千住支部/2023全日本ウェイト制重量級優勝、2022(春)全日本4位)
○エリザベータ・ザベリナ(ロシア/2024全ロシア重量級優勝、2023全世界3位)
本戦0-5
ザベリナが中盤から左右の膝蹴り、ローのヒットを増やしてはっきり差をつけ本戦で勝利した。
○クセニア・ザソリナ(ロシア/2024全ロシア中量級優勝、2022全ロシア優勝)
×知念琉花(神奈川横浜北支部/2022全日本3位)
再延長3-1 延長1-1 本戦0-2
ザソリナの左肘打ちが知念の顔面に命中し、倒れた知念はマットに頭を打ち付け、ダメージが大きく中断する。知念は治療のため担架で運ばれた。ザソリナには注意1が入る。2試合挟んでから再開し、差が小さいままで延長へ。ザソリナには押しと顔面殴打で注意2が入り、内容も差が乏しく、体重判定になるが、5kg未満の差のため再延長へ。お互い突きとローで削り合う。ここでも差が乏しかったが、3者からザソリナが支持され、勝利をもぎ取った。
×田崎佑麻(広島支部/2024全日本ウェイト制重量級2位、2014・2012・2011全日本優勝)
○宮本 神[じん](本部直轄浅草道場/2024全日本ウェイト制重量級優勝)
延長0-3 本戦0-1
本戦は宮本がやや多く攻め、最後は顔面前蹴りを当てるが、差が小さく延長へ。同様に宮本がロー主体でやや優位に進め、審判3名から支持され勝利した。
ベスト4
準決勝
×小城[こじょう]みなみ(千葉北支部/2024全日本ウェイト制中量級優勝)
○エリザベータ・ザベリナ(ロシア/2024全ロシア重量級優勝、2023全世界3位)
本戦0-5
ザベリナが開始すぐから前に出続け、突きと蹴りを出し続け、小城は下がってほとんど攻撃が返せず終了。ザベリナが完勝した。
準決勝
×クセニア・ザソリナ(ロシア/2024全ロシア中量級優勝、2022全ロシア優勝)
○宮本 神[じん](本部直轄浅草道場/2024全日本ウェイト制重量級優勝)
0-3
宮本がサウスポーで構え前に出て突きを当て、ザソリナは回ってローを返し続ける。若干だが優位だった宮本が3者から支持され決勝に進んだ。
3位決定戦
×小城[こじょう]みなみ(千葉北支部/2024全日本ウェイト制中量級優勝)
○クセニア・ザソリナ(ロシア/2024全ロシア中量級優勝、2022全ロシア優勝)
本戦0-3
お互いロー等の蹴り主体の攻防となる中で、ザソリナが顔面殴打で2度注意され、小城は不運な形でダメージを負うことに。終盤、ザソリナが前に出続け積極的に攻めたことが評価され勝利した。
決勝
○エリザベータ・ザベリナ(ロシア/2024全ロシア重量級優勝、2023全世界3位)
×宮本 神[じん](本部直轄浅草道場/2024全日本ウェイト制重量級優勝)
本戦4-0
※ザベリナが優勝
前に出るザベリナに対し、宮本は右の前蹴りで突き放しつつ、左ロー、右ミドルを当て続ける。だが終盤、ザベリナが圧力を強め、突きを増やして巻き返す。宮本も健闘したが、ザベリナが5名の審判のうち4名から評価され勝利し、ザベリナの優勝となった。
優勝:エリザベータ・ザベリナ(ロシア)
準優勝:宮本 神(本部直轄浅草道場)
3位:クセニア・ザソリナ(ロシア)
4位:小城みなみ(千葉北支部)
新人賞:岡野結衣(茨城支部)