空道 5.13-14 代々木第二体育館:第6回世界選手権に岩﨑大河、大倉萌ら出場
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全日本空道連盟「2023北斗旗第6回世界空道選手権大会」(5月13日(土)~14日(日)国立代々木競技場第二体育館)に、MMAで活躍する岩﨑大河、キックボクシングで活躍する大倉萌が出場する。両選手とも昨年11月のアジア選手権でも優勝している。また、今大会には空道の強豪国ロシアの選手も「ロシアからの集団(応援団)来場をしない」「大会会場でロシア国旗を使用しない」「ロシアコールをしない」といった条件付きで参戦することになり、過去の世界大会同様に日本人選手にとって熾烈な戦いとなりそうだ。
以下は全日本空道連盟から届いた今大会についてのプレスリリース。(※5月5日追記:ロシア勢の欠場が5日に発表されている)
空道(空道)とは
極真空手全日本選手権優勝、同世界選手権ベスト4、柔道三段などの経歴をもつ大道塾初代塾長・東孝(あずまたかし)が創始した徒手総合武道。「道着とフェイスガードを着用して行うMMA」であり、道着を掴んでの肘打ち・頭突き、帯を掴んでの相撲的な展開、道着を掴んでの柔道的な投げ、襟を使っての絞め技など多彩な技術が展開される(写真A参照)。身長(センチ)と体重(キロ)の数値の和によってクラス分けを行う。武道としての「社会性」、ルール整備による競技としての「安全性」を兼ね備え、観る側のわかりやすさ(大衆性)をも追求した21世紀生まれの「武道スポーツ」である。
今大会への道のりと、ロシア選手の出場に関して
2021年4月、東塾長が癌により永眠。2022年、コロナ問題により、予定していた第6回世界選手権開催がならず。2023年、コロナ問題が完全に収束していない状況ゆえに、ホスト国日本含め、各国の代表を各カテゴリー1~2名に限定して、1年遅れの世界選手権を開催することは決定したものの、ロシアのウクライナ侵攻問題により、ロシア選手の出場の可否が国際世論のうえで問われる状況に……と未曽有の混乱が続いた中、国際空道連盟(KIF)は「スポーツ界においてこの 1 年は国際大会からロシアおよびベラルーシの選手の排除が続けられてきたが、オリンピック憲章では“スポーツをすることは人権の 1 つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、 スポーツをする機会を与えられなければならない”“スポーツ団体は、スポーツが社会の枠組みの中で営まれることを理解し、政治的に中立でなければならない”“オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教 政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない”と謳われている。また、我々、日本を代表する文化のひとつであり、武士が愛した文化であり、空道や柔道など と同様に“道”という文字が用いる茶道においては、ホストがゲストに茶を振る舞う茶室(約3メートル四方の狭い空間)は神聖な場所であり、この中では身分や職業、生まれた場所や家系による差別なく皆を平等に扱うというのが、重要な精神のひとつとなっている。日本が発祥の地である空道においても、試合場に上がったら、どの国の選手であるかよりも、空道を愛する一人の選手であることをリスペクトしあうことが相応しい。空道の“空”という文字は、こだわりなく、あらゆるものを受け入れるという意味を持っている。連盟として、この世界大会にウクライナ・ロシア両国から選手が出場できることを願って調整し努力する」(原文を要約)と宣言するとともに、根強く両国と折衝を重ねてきた。結果として、ウクライナからの選手招聘はウクライナ国内の事情により叶わぬこととなったが、ロシアからは、-230クラスで世界選手権2005・2009年優勝、2014年準優勝、2018年ベスト4のコリャン・エドガーや、女子-220クラスで世界選手権2018年優勝のアナスタシア・モシキナを含む選手たちが、ロシアという国の代表でなくAAHOC(Athlete Authorized by the Hokutoki Organizing Committee)として「ロシアからの集団(応援団)来場をしない」「大会会場でロシア国旗を使用しない」「ロシアコールをしない」などといった条件受諾のもと、世界選手権に出場することを、KIF理事会の議決に基づく判断として発表するに至った。
今大会のみどころ
世界選手権のこれまでの歴史を振り返ると、日本は、2001年の初回大会では3つ、2005年第2回大会では2つの王座を獲ったものの、2009年の第3回大会では「日本人優勝者ゼロ・全7カテゴリーすべてロシアが優勝」という事態に陥り、2014年の第4回大会、2018年の第5回大会ではそれぞれ1カテゴリーの王座をロシアから取り戻し、首の皮1枚、競技発祥国としての威厳をかろうじて保ってきた。果たして、東塾長の願った「完全なる日本の復権」を今大会で達成することが出来るか?
各クラス展望
■男子最重量270+クラス。
日本代表は岩﨑大河。プロ無着衣総合格闘技界でも勝利を重ね、UFCに次ぐプロモーションであるONEにおいて、4月に試合が組まれていた岩﨑(試合は相手の負傷により実現せず)。「2つの格闘技を並行して行うなんて、類似したルールの競技だとしても、バカげてる」といった声もあるなか、岩﨑は4月にMMA、5月に空道……と連戦を行うつもりでいたのだ。WBC決勝、泥だらけのユニフォームでリリーフに立った大谷翔平は野球界の常識を覆したわけだが、岩﨑も格闘技界の“二刀流”が「バカげていない」ことを証明できるか? ロシア王者であるルスラン・メジドフがその前に立ちはだかる。
■男子-270クラス。
日本代表・西尾勇輝は2022年11月のアジア選手権出場がメジャー大会デビューながら、そこで優勝したことにより代表候補に滑り込み、プレーオフ戦で、前回世界選手権後の全日本で連覇を重ねてきた奈良朋弥を退け、正代表の座を勝ち取った新星。この階級にはロシア選手が出場しておらず、対抗馬となるのは、リトアニアのナショナル王者、ゲティミナス・マカウスカや韓国王者のキム・ウーラムといったところ。ロシアの選手が出場していない階級で日本人選手が優勝できないようであれば、空道界で日本が権威を取り戻すことなど、いよいよ遠い夢になってしまうようにも思うが、実際のところ、リトアニア、グルジア、キルギス、アゼルバイジャン、アルメニアといった旧ソ連国、ブルガリア、ルーマニアといった東欧諸国を筆頭に、南米や西ヨーロッパの各国の競技レベルは、世界選手権が回数を重ねるごとに目に見えて向上しているので‟ロシア抜きですら日本が勝てない“という深刻な事態をみせつけれられる可能性も十分にある。
■男子-260クラス。
2017年アジア選手権-270クラスで岩﨑大河を下し、2018年世界選手権-270クラスでは優勝したコンスタン・カラウリヌイッフ(ロシア)に後ろ回し蹴りをヒットさせるなど肉薄し、階級を1つ落として-260で出場した2022年アジア選手権で優勝を果たしている韓国のリ・ウンチョルが優勝候補筆頭か。日本代表の近藤瑞起は、その2022年アジア選手権決勝でリに敗れているだけに、リベンジに懸ける想いは大きいだろう。一方、もう一人の日本代表、宮原穣は極真空手の全日本選手権で優勝、世界選手権で準優勝といった実績を持ち、2022年秋に空道における試合デビューを飾り、アジア選手権でベスト4に入り、プレーオフ戦で日本代表となった超新星。フルコンタクト空手出身者ならではの華麗な上段蹴りを武器とし、海外のパワーファイターとの対戦経験も豊富だ。
■男子-250クラス。
日本代表の小野寺稜太は3歳から空道をはじめ、2018年にU19-240クラスで全日本を制した後、高校卒業と同時に大道塾総本部寮生となり、2021全日本-250準優勝、2022全日本-250優勝と、エリート街道まっしぐらで世界選手権出場を決めた逸材。ところが、その後、コロナウィルス感染の後遺症で血栓症となり、まったく練習できない状態となり、2022アジア選手権には不出場、2023年になってからようやく満足な稽古ができるようになり、プレーオフ戦を闘って復調を証明した。もう一人の日本代表、寺阪翼は中学からひきこもり生活を送り、高校時代に大道塾八戸支部に入門したことで人生が変わったというサイドストーリーの持ち主。この階級では、リトアニアのヴィリウス・タラセビシウス、ルーマニアのレムス・モガが前回世界選手権では、日本代表選手を相手に、スプリットの旗判定を演じており、侮れない。
■男子-240クラス。
日本代表の伊東宗志はサイドステップからのパンチ、寺口法秀は真っ向勝負のパワーファイト、リザーバーの曽山遼太は距離を取っての打ち下ろしのハイキックと、それぞれ個性溢れる武器をもつ。ロシア王者のパべル・マルコフスキーを打ち崩すのは誰か? 2017年ワールドカップで3位入賞後、脚を切断する寸前の事故に遭いながら復帰したカポエイラの名人、コロンビアのロナルド・ハビエル・バルガスにも注目したい。
■男子-230クラス。
日本代表は全日本連覇記録を更新中(現在V7)の目黒雄太と、2022アジア王者・谷井翔太。果たして、世界選手権-230クラス2005・2009年優勝2014年準優勝、2018年ベスト4のレジェンド、コリャン・エドガーの再戴冠を阻止することが出来るか?
■女子220+クラス。
この階級でロシアから出場するのは、前回大会では-220クラスで世界の頂点に立ったアナスタシア・モシキナ。離れてはムエタイ式の蹴り、組んでは柔道仕込みの内股、双方がキレる内藤雅子が、ロシア選手特有のパンチラッシュを無効化できるか?
■女子-220クラス。
ロシアのナショナルチャンピオン、タチアナ・ボイアルキナが出場するが、日本代表の大倉萌は2022アジア選手権女子-220クラス優勝、2022・2017全日本女子-220優勝、これまでの日本女子空道の歴史の結晶ともいえるテクニシャンである。日本人初の女子世界王者誕生に期待したい。
概要
大会名 2023北斗旗第6回世界空道選手権大会
会場 国立代々木競技場第二体育館
進行予定
5月13日 9:30開場 10:00開会式 10:30試合開始 16:10終了
5月14日 10:30開会式 11:00準々決勝(ベスト8) 15:45決勝戦開始 17:00表彰式
※ 試合の予定時刻は、試合の進行によって30分程度早まる可能性もありますのでご注意ください。
※「第3回世界空道ジュニア選手権大会」との併催となります。13日、14日とも、試合コート2コートを用い、ジュニアと一般の試合を並行進行する予定です。
チケット料金 一般・高校生:5,000円(税込) 中学生:2,000円(税込) 小学生以下:無料 ※左記料金で2日間観戦可能です。
大会情報 http://ku-do.jp/23sekai/